ジェットバスの健康リスク

ハンク・グリーン氏:長い1日が終わり、足を伸ばしてジャグジーに浸かり、魔法のようなあのジェット水流で首のコリをほぐしたいなんて思われることがあるかもしれません。

しかし温かい湯船は私たちをリラックスさせてくれますが、実は同時に微生物による健康リスクが生じ得るのです。

どんなプールの水と同様に、暖かい湯船もさまざまな細菌を培養してしまいます。しかしジェットバスの場合はプールより小さく、暖かく、泡状のジェット水流があるため、ある種の病気に感染する危険性がさらに高くなります。

例えば、暖かい湯船による最もありふれた病気は、「シュードモナス毛嚢炎」という、毛嚢が緑膿菌というバクテリアによって炎症をおこす病気があります。

毛嚢とは毛が生えてくるために皮膚に開いた穴ですから、私たちの身体中にあります。ですからそんなバクテリアがあなたと一緒にお湯に浸かっている時、毛穴に侵入します。そして翌日以降身体中に嚢胞が広がります。

通常は水着を着ていたらその部分に発症します。それでもあなたの免疫力が働いていないというわけではない限り、その感染症は痒くて恥ずかしいだけであり、ほとんどが無害です。それに放っておけばだいたい1週間ほどで自然に完治します。

その菌がいるプールや湖にはいれば誰でもシュードモナス毛嚢炎に感染し得るのですが、「温浴毛嚢炎」とも呼ばれるのにはわけがあります。暖かい浴槽は清潔にしておくのが容易ではありません。それに暖かいお湯の中ではこの種のバクテリアが速く育ちます。

もちろん、プールや浴槽に塩素を加えることによって殺菌することもできます。塩素は次亜塩素酸を作り出すので、バクテリアを分解し、殺すことができるのです。しかし、塩素は泥、汗、ローションなど、他の物質にも反応してしまうため、小さな浴槽にたくさんの人が入っている場合には特に、すぐに有効でなくなってしまいます。それに加えて、塩素は高い温度のところでは効き目が薄れてしまいます。

他のバクテリアだって浴槽の濡れた暖かい環境が好きです。その菌にはレジオネラ菌も含まれます。このバクテリアは肌に触れるだけでは無害ですが、ジェットバスの場合は水中にたくさんの泡が含まれます。マッサージをしてくれる水のジェット噴射により、空気中にバクテリア入りの水蒸気が形成されます。それを吸い込むことにより、レジオネラ菌が肺に入り込み、感染症を引き起こしてしまうのです。

もしあなたが健康体なら、このようなことはさほど問題にはなりません。もしかしたら最悪の場合でも、風邪のような症状を発症するだけで済むでしょう。しかしもし高齢、喫煙者、肺に持病がある肩の場合、「在郷軍人病」と呼ばれる、人を死に至らせる可能性のある肺炎を引き起こす危険性があります。

そのほかにもある種のマイコバクテリアが暖かい浴槽に潜んでいる場合もあります。このバクテリアをレジオネラ菌のように吸入してしまうと、炎症を引き起こす代わりにバクテリアを増殖させ、「過敏症肺炎」というアレルギー反応を引き起こしてしまうのです。

もしあなたが高齢でも、持病があるわけでなかったにしても、免疫力がこれらのバクテリアに過剰反応してしまうなら、肺が炎症を起こし、呼吸困難になったり、疲労感を感じさせたりしてしまうのです。

それに患者さんに浴槽の使用頻度などについて尋ねる医師はあまりいませんから、通常多くの人は、自分が夜に浸かる浴槽が病気の原因になっているとは考えません。

もしこれらのことを聞いてスパに行くのが怖くなってしまったなら、心配しないでください、きれいで適度に塩素消毒がされている浴槽はまったく恐れる必要はありません。ただ、浸かる前にチェックしてくださいね!