服をテーマにした5人のアーティスト

カリン・ユエン氏:みなさんこんにちは。Little Art Talksへようこそ。カリンです。

今や衣服というのは、どこから来たのか、何歳なのか、どのような種類のスタイルを持っているのか、その人物について多くの情報を知らせてくれます。今週の「5 Artist in 5 Minutes」では、衣服について扱った芸術作品についてお話しします。

田中敦子(1932~2005)は、日本の前衛アーティストで、≪電気服≫は、電気ワイヤーと色とりどりの点灯する電球で制作されたコスチュームです。そして、彼女は2つの展覧会で出品し衝撃的だったこの作品は、薬局の広告のネオンライトのイルミネーションに着想を得ました。彼女は、顔と手を露出したままそのドレスを纏いました。

かさばる衣服は、その身体回路を表していて、ここに表現していて、エイリアンのような生物体のように、点灯しながら散発的に感覚を放出します。田中によると、花火のように瞬き、具体美術協会(吉原治良を中心に1954年に兵庫県芦屋市で結成された団体)によれば、田中の作品は、第二次世界大戦後の日本の急激な変化や都市化を象徴しています。

カレン・ラモンテ(Karen LaMonte 1967~)は、アメリカ合衆国のアーティストで、今まで20年間、等身大の一連の鋳込みガラスのドレスを制作しました。彼女の作品は、仕立てレンズを用いて人間の状態の脆弱さを探求しながら、主に美と喪失のテーマを扱っています。

≪横たわる衣襞のあるドレスの印象(Reclining Dress Impression with Drapery≫は、1960年代~70年代のフェミニズムアートとファッション批評に根差しています。この作品は、ジェンダーへ焦点てているものの殆ど遊び心のあり、女性の女らしさを誇張する襞飾りのついた肩紐や、引き締まった臀部の中は、明らかに空虚になっています。

衣服を通して見える社会

インカ・ショニベア(Yinka Shonibare 1962~)は、ロンドンを拠点に制作している英国系ナイジェリア人で、彼の作品は、同時代のグローバル化の文脈の中における、植民地主義とポストコロニアリスムの文化的なアイデンティティを探求しています。いわゆるアフリカ民族衣装のような衣服を着た頭部の無い人形を用い、著名絵画を再制作しています。

ダッチワックスプリントと呼ばれる色彩豊かなこの綿織物は、アフリカの衣服のお馴染みの素材であり、しかしながらこの名前が文化的に曖昧な素材を暗示するように、植民地時代の織物の援用の歴史を反映しています。

織物は、オランダ統治時代のインドネシアのろうけつ染めの安価な大量生産の模造品として生産が始まりましたが、植民地化された後、オランダのろうけつ染めはオランダ本国や他のヨーロッパ諸国に導入されても普及するには至らなかったのです。

オランダのろうけつ染めの織物は、インドネシアの市場でも同じように需要がなかったので、損失を防ぐために、市場の取引相手は西アフリカに移行していきました。

それ以来、本来的に全くアフリカのものではないのにもかかわらず、アフリカ人のアイデンティティの大部分を占めるようになります。18世紀のフランスあるいは英国のヴィクトリア様式を模倣した、ダッチワックスプリントの衣服を用い、ショニベアは、ヨーロッパとその植民地主義、そしてアフリカの関係性を再構築します。彼は、非植民地と抑圧者の関係性と権力、そして黒人と白人の想像力を、複雑化させて挑みました。

アン・ハミルトン(Ann Hamilton 1956~)は、大規模なマルチメディアインスタレーションを手掛けるヴィジュアル・アーティストです。

≪インディゴ・ブルー≫は、ハミルトンの最も知られた作品で、サウスカロライナのチャールストンにおけるインディゴ製造の歴史に着想を得たサイトスペシフィックなインスタレーションです。その染料も工場も、南のプランテーション経済や労働に対する敬意と密接に結びついています。

8万枚積み上げられた、無名の作業員の制服の前に立つと、手仕事のプロセスについて言及し思い起こさせます。そして、参加者に木製の机といすに誘われ、海軍兵学校によって出版された国際法の題名のついた書籍の数節を消していきます。

消しゴムと唾液をつかって書いてあることを消していく人は、この過去を消すという行為が積み重ねられるために消しゴムが削られ、それはもうひとつの労働の記憶になります。シャツの上に縫い付けられた名前は、都市の労働者の生活の歴史を反映させています。

デイヴィド・ハモンス(David Hammons 1943~)は、アメリカ合衆国のアーティストで、彼の仕事の多くは黒人人権運動の市民権運動のコミットメントを反映しています、それらは、文化的、人種的な因習を極めたステレオタイプの物体や活動を援用しています。

≪フードの中(In the Hood)≫はダークグリーンのフードが狩猟の獲得品の剥製のように壁に打ち付けられ、頭部の形がワイヤーで形成され、見えない頭部が着用しているかのようです。

この作品は斬首を連想させ、フードをかぶった黒人の男の不信なイメージと、尖った頭頂部は、クー・クラックス・クラン(アフリカの秘密結社、白人至上主義団体)を思い起こさせます。静かな衝撃をもたらす作品でありながら、シンプルな不審と恐怖、そしてアイデンティティーの隠蔽と露出の二重性が吹き込まれています。

さて、今週の「5 Artist in 5 Minutes」でした。みなさんが楽しんでいただけことを願っています。