紫外線が植物に与えるダメージ

ハンク・グリーン氏:植物は生きるのに日光を必要としますが、だからと言ってより多くの日光がより健康的な芽吹きにつながるというわけではありません。

植物も人間と同様に、太陽の最も有害な光線をブロックしなければなりません。そうしなければその細胞は深刻な被害を受けてしまいます。

植物は光合成のために太陽光を必要とします。その光はクロロフィルと呼ばれる色素により吸収されます。そして化学反応によりエネルギーとなるグルコースを生み出します。しかし全ての光が同じではありません。

異なる光の色は異なる量のエネルギーを運びます。赤い光は緑の光よりエネルギーが少なく、緑の光は青や紫の光よりエネルギーが少なくなります。植物はほとんど全ての色の可視性の光を光合成に用いることができますが、クロロフィルは緑の光をわずかしか吸収しません。ですから植物の茎や葉は緑に見えるのです。つまり、その光の色しか私たちには見えないということです。

紫を超えた色は紫外線、またはUVと呼ばれます。そのUVはDNAのような分子の結びつきを崩壊できるほどのエネルギーを持っています。ですから、人間がこれを浴びると日焼けをしてしまうのです。

紫外線は人間の皮膚細胞のDNAにダメージを与えます。すると免疫システムは、癌などのさらに深刻な問題を引き起こすことのないように、その細胞を破壊します。

あなたの体はメラニンと呼ばれる黒い色素分子を作りだし、それが紫外線を吸収して、皮膚がダメージを受けることのないように保護します。太陽にたくさんさらされると、さらに皮膚を保護するために、特別な皮膚細胞がさらに多くのメラニンを作り出します。それにより日焼けが生じるのです。

しかし紫外線は人間にだけ有害なのではありません。紫外線は植物細胞を含む、他の生物の有機分子やDNAにもダメージを与えるのです。考えてみてください。植物は日に当たった状態でずっといるのです。植物が日陰を提供してくれるのであって、彼らが日陰に入ることはできません。紫外線が多すぎると光合成にも支障が生じます。

なぜなら太陽光からエネルギーを得る構成にダメージを与えてしまうからです。それには大事なタンパク質、クロロフィル、光合成遺伝子が含まれます。

ちょうど人体が太陽の光から身を守るためにメラニンを形成するのと同様に、植物も自分を守る術を持っています。彼らはさまざまな物質で構成された混合物、フラボノイドを形成し、それが紫外線を吸収してくれます。

そしてちょうど人間と同じように、たくさんの太陽光にさらされる前にそのような化学物質を生み出していなかった植物の細胞は死んでしまい、葉に白っぽい日焼けが生じてしまうのです。それは「葉焼け」と呼ばれます。

ある人たちは、日が出ている時に植物に水やりをすると葉焼けをしやすくしてしまうと言います。その理由は、水滴が小さいレンズのような役目を果たし、太陽光の光を集めてしまうので、植物の葉に熱い点をたくさん作ってしまうから、というものです。アリを虫眼鏡で焼いてしまうような状態だというのです。

しかし科学者がこの点に関してテストをしたところ、ほとんどの植物においてそのような状況にはならないことがわかりました。なぜなら水滴の形はさまざまに異なり、大きさも違いますから、葉の上に落ちた状態の水滴が葉の表面に十分な量の光を折り曲げる様子は見受けられなかったのです。

ですから植物は人間より太陽光を必要とするかもしれませんが、彼らも十分な保護を得られないなら火傷をしてしまうのです。