進退の相談は誰にもしていない

記者14:テレビ朝日です。昨日1日考えられたということですが、新世代の、人事を刷新して生まれ変われる可能性もあったと思うんですけれども、蓮舫代表自身はどの部分に限界を感じたんでしょうか。あと野田幹事長に相談などはされたんでしょうか?

蓮舫:まず、誰にも相談していません。自分の出処進退です。この大きな野党第一党を引っ張っている立場ですから、軽々に漏らすようなこととか、そういうことは絶対にしてはいけないと、これは常に思っていました。

その上で、人事に着手するという手段もあったんですけれども、遠心力を求心力に高めていくときに、人事で本当に高まるんだろうか?

本気で今の安倍内閣、今の安倍総理、今のお友達しか見ていない行政機構、総理に引っ張られているかのような歪められた行政の感がある部分をどうやって正していけるのか?

それは、人事ではなくて、私の足りない部分をしっかり補ってくれる新しい執行部に委ねるのが一番の早い道だと思いますし、この道をしっかり国民のみなさま方に受け止めていただきたいという私の判断です。

記者14:すいません。関連してなんですけれども、テレビ朝日です。やはり国民には、今の蓮舫代表自身、信頼を得られないとご判断されたんでしょうか?

蓮舫:民進党として、今の行政を歪めたかのような安倍内閣の受けになる、そのための力が私には足りていなかったと思います。

記者15:毎日新聞のマノと申します。先ほど、執行役員会でどういうお話をされたのかということが1点と、あと執行部の面々の反応と、慰留の声などはなかったかということをお願いします。

蓮舫:先ほど冒頭で私が申し上げたことと同じことを申し上げました。その上で、慰留の声もありました。私の判断を評価していただく方もいました。ただ、出処進退は私が決めることです。私は揺らがないという思いをお伝えしたら、それを了承いただけました。

その上で、次の常任幹事会、あるいは両院議員総会、あるいは代表選規約等も含めて確認をして、明日また引き続き行いますけれども。

とにかく戦う民進党、そして受け皿になる民進党、空白を作らずに100パーセント以上の力をもって国民の声に応え続けていくことを、今の執行部でも全力でやろうという心合わせをしたところです。

再出発を図る手はなかったか

記者16:共同のノミヤマです。人事には具体的には着手をしていないということですが、このタイミングで代表をお辞めになるのではなくて、野田幹事長以下の執行部を大幅に刷新して、若手を登用するなどして再出発を図るという選択肢はなかったのでしょうか?

蓮舫:先ほど来お伝えしているとおり、人事を行うか、私が退くか、どちらが求心力を高め、そのどちらが民進党が国民の声を代弁し国民の思いをしっかり国会で活動ができる決断なのかを、1日熟考して出した結論です。

記者17:フリーランスでミヤザキノブユキと申します。10ヶ月前ですけれども、蓮舫さんが参議院にスカウトされた頃から「花斉会」という、新聞でいわゆる野田グループと言われる派閥に入られていたと思いますが。

蓮舫:はい。

記者17:その花斉会のメンバーですよね。幹事長だとか、副代表とか。そういったかたちでかなり目立った蓮舫執行部でしたが、この人事は蓮舫さんご自身がお考えになられて、花斉会のメンバーに力を貸してもらおうとお考えになられたんでしょうか?

蓮舫:人事は全部、私が責任を持っています。そこにおいて特段、特定のグループだけを重んじるということはしていません。

記者18:すいません、日刊スポーツのナカヤマと申します。昨年の代表選で「党を率いる」という強い決意の下で代表になられたと思うんですが。

こういう結果になってみて、リーダーシップを発揮するということに関して、ご自身のそれまでの思いと現実を踏まえて、どう思われたかということについて教えてください。

蓮舫:その質問に答えるには、もう少し時間をいただきたいと思います。

記者19:急な辞任表明ということで、一般的にはなんとなく代表の地位を投げ出したというような、逃げ出したというようなイメージを国民に与えると思うんですけれども、こういうふうなことについてはどう思われるのかということと。

あとは「求心力が発揮できなかった」というような表現をされてますが、端的に言って、代表の任がご本人にとって重すぎたというふうにお考えだったんでしょうか?

蓮舫:前段の質問に対しては真摯に受け止めます。後段の質問ですけれども、とくかく私は、自分の持ち得る力、そして自分が成し得る力、全力は傾けてきました。

党の結束が高まる代表選になってほしい

記者20:TBSです。今後いくつか党の代表に返り咲いたり、あるいは日本で初の女性の総理、それを目指す考えはもうないということなのでしょうか?

蓮舫:あの……退く会見でそれに堂々と答える強さをまだ持ち合わせていません。

記者21:東京新聞のガナハです。3つほどお尋ねしたいと思います。

昨年の代表選で党が発足して以来、初めて選挙で選ばれた代表ということで、かなり期待があったと思います。代表選の時に発信力をご自身でも強みにされていたと思いますし、周りの期待が高かったと思います。

この1年足らずの間ですけれども、ご自身が残した……例えば発信力ですけれども、それの役割を果たせたのか。ご自身が残した功績を、あえてお尋ねしますが、どういうことをあげられるかというのが1つ。

2点目が、今回、前に進めるために退くということですけれども、都民ファーストの台頭とかがあるなかで、まあいろんな話が……。「解党」という言葉も取り沙汰されるようになっています。かえって分裂の動きを推し進めるようなことにならないか、どういうふうにお考えになっているかが2点目。

3点目なんですけれども、「遠心力が働いた」というふうにおっしゃってますが、これは例えば政策的には、憲法とかあるいは原発エネルギー政策とか、党でいろんな意見がある部分があると思います。

こういうことなのか、最初よく言われましたが、あるいは政治的に、幹事長を野田さんにするなど、わりとご自身に近い人を置く、そういう政局というか政治的な部分なのか。遠心力が働いた原因というのはなんなのかをお聞かせてください。

蓮舫:まず1点目、退いていく立場のこの会見で、自分がこれを成したと誇れるものを言うべきではないと思っています。

2点目ですけれども、むしろ仲間の結束が高まる前向きな代表選になると、それは信じています。3点目に関してですけれども、それはちょっとよくわかりません。

民進党の目玉がないのでは

記者22:ジャパンタイムズ、ヨシノと申します。2点あります。

1点目はまず、辞める原因が「統率力」ですとか「遠心力」ですとか比喩的な言葉を使っていらっしゃってですね。

ついこの間まで続けられるつもりだったので、具体的な問題、具体的な場面で、これはちょっとリーダーシップが足りないという場面必ずあったと思うんですが。

具体的になんの問題で、例えば支持率なのか、人事の話なのか、政策の話なのか、どういう面で自分でリーダーシップが発揮できなかったとお考えになってるかという、そこがわからないのが1つと。

2つ目は、民進党は、政権を取る前は、年金問題ですとか、予算の組み替えですとか、政策の目玉があったと思うんですけれども。

最近はそういった「これが民進党」という目玉があまり感じられなくて、スキャンダルの追求をしてるという。

これが1つ大きい問題じゃないかと私は思うですけれども、この目玉政策の欠落ということに関してはどうお考えになっているか。この2点お願いします。

蓮舫:1点目は、先ほどからお伝えしていることを繰り返すことになると思いますので、ご理解をいただきたいと思います。

2点目なんですけれども、「消えた年金5,000万件」の時にも、まずはスキャンダルから入りました。旧社保庁。知らないわけがない。例外なわけがない。

あの時は第一次安倍内閣でしたけれども、相当なやりとりをして、その上に新たな年金制度のあり方、社会保障制度のあり方をしっかりと提示してきた。

今回私たちは、例えば森友・加計の問題の指摘・批判もしていますけど、あわせて改正策も提議しています。

とくに国民の知る権利、これは憲法調査会の中でも議論をしていますし、公文書管理のあり方、そして歪められた行政ですから、規制改革、今のこの国家戦略特区のあり方、抜本的に見直そうということもあわせてお伝えしていますが。

その部分がセットでしっかり届かなかったところにも、私の代表の発信力の足らざるところもあるんだと、率直に自戒をしています。

支持者に申し訳ない

記者23:文化放送のオカダと申します。昨日考えて辞意を決められて今日の会見ということで。

一般の有権者のみなさま、民進党を支持している方々の中にはかなりショックというか、いろんな思いを抱えていらっしゃると思いますが、改めてそのみなさまにはどんなことを伝えたいと思われますか?

蓮舫:申し訳ないと思います。ただ……1日でも空白を作らない。みなさんが私たちを支援してくださった思いを、それをバネにさらに応えていく強い民進党であるということを示していく。

そのための代表選ですし、この代表選を通じて、私たちが支援してくださった方、あるいはこれまで見てくださらなかった方も含めて、こっちに立ち止まって見つめてくれるような議論を経て。

そして「今の内閣、今の政権では絶対ダメなんだ。そのかわりに私たちがいるんだ」ということをお示しする代表選。新執行部。そして強く戦っていきたいと思います。

記者24:共同通信のタカハシです。よろしくお願いします。昨年、国民の期待を受けて、蓮舫民進党として誕生したんですけど、この1年間をわかりやすく総括していただくと、どんなコメントを出しますか?

蓮舫:うーん、総括ですか……。先ほどの方の質問にも「少し時間をください」と言いましたが、やっぱり総括というのはもう少し時間がかかるものだと思います。

自分の中で足りなかったもの、「あの時の判断は……」、そして「自分の指示は……」、いろいろなものがありますけれども、全体として自分が総括するにはもう少し時間がいるものだと思っています。申し訳ございません。

記者25:ありがとうございます。代表をやられていて一番難しかったこと、代表になってみてはじめてわかった、「こんなに代表というのは大変なんだ」みたいなことがもしあれば、1つでも2つでもできるだけ具体的に教えていただければと思います。

蓮舫:う~ん、難しかったこと……。まあ、岡田前代表の時にも代行でお支えをさせていただいて、近くで見させていただいてそのご苦労というのは推察、あるいは実際に間近で見ることによって痛感はしていましたが。

代表ということは最後後ろに誰もいない。自分の判断。自分の決断。そして自分が引っ張っていく。この孤独な立場というのをものすごく痛感しました。

二重国籍問題について改めて質問

記者26:IWJのタニグチと申します。よろしくお願いいたします。二重国籍問題について、もう一度お聞きしたいと思います。

ご自身の国籍という極めてプライベートな部分を、民進党代表であられる蓮舫さんが各種マスコミの批判を受けて公にされたわけですけれども。

そういった極めてプライベートな情報を公開することによって、マイノリティの方への圧力を助長するというような批判もあったかと思うんですね。

実際、蓮舫代表も会見で、「こういった国籍の開示、公表をするのは、私で最後にしてほしい」というようなコメントもされていました。

改めて、国籍を公表されたということはやはり間違っていたんじゃないか、マイノリティの方への圧力を助長する効果があったんじゃないかというふうにはお考えにならないでしょうか?

蓮舫:まず質問を正させてください。国籍を公開したのではありません。あの、戸籍ですよね。

そこにおいてはご懸念のところはまったく同じ思いです。「私で最後にしてもらいたい」というのは強い強い思いです。かつ、限定された行(注:箇所)だけを公表させていただきました。

とにかく誰かに強要されて戸籍を見せる環境をこれからは絶対作ってはいけないと思いますし、その出自によってなんらかの偏見を生まれるような行為を強要することがあってはいけないと思いますので。

その部分はこれからも強く私はアンテナを高く掲げて、あるいは戸籍法の改正等が必要であると判断をすれば、党の中で議論をしていきたいし、提起をしていきたいと思っています。

記者26:戸籍の開示要求が民進党の内部からもはじめ声が上がったかと思いますが、そういった民進党の内部にあるマイノリティの方への配慮を欠いたような意見というものを、今後どのようにされていきたいと考えていらっしゃいますでしょうか?

蓮舫:ぜひ誤解を解きたいと思いますが、我が党は「共生社会」を綱領に掲げています。マイノリティの方も、さまざまの出自の方たちも含めて、誰もがお互いを支え合う共生社会。それはすべての民進党の所属の議員が同じ思いを持っています。

その上で、私に対して戸籍の開示という声がありましたけれども、それはマイノリティ差別を助長するという声ではなくて、彼らが支援者とかあるいは耳にした声を重く受け止めて、その疑惑を明らかにするべきではないかというシンプルな発言だと思っています。誤解しないでいただきたいと思います。