2017年8月期第3四半期決算説明会

篠田真貴子氏:みなさま、今日は暑い中お集まりくださいまして、ありがとうございます。上場して2回目の説明会で、「3ヶ月ってあっという間なんだな…」と正直驚きとともに実感しています。よろしくお願いいたします。

まずは第3四半期の数字、そのあとは第3四半期に実際に行った取組みをいくつかご紹介したいと思います。

トピックとして簡単に申し上げますと、業績予想のとおりなのですが、3ヶ月で営業損失を計上しています。ただ、累計としては前期比増収減益で、着地見込みに対しても順調に推移しています。

ほぼ日手帳2017年版、今も販売中ですけれども、着地が見えてまいりまして、前年の2016年版に比べまして、5万部の増加、66万部の見通しでございます。こういったあたりを中心に、お話ししてまいります。

第3四半期決算の概要1(P/Lサマリー)

第3四半期の数字ですが、第2四半期累計(9〜2月)の売上高は27億円ですが、第3四半期の売上高は約5億円、そのうちほぼ日手帳が1億9,400万円、それ以外のほぼ日商品で2億6,200万円、その他4,700万円というかたちになっています。

伸び率としては、売上高は前期比で約3割アップです。売上原価率は52.5パーセント、販管費は前期比28.3パーセント増の4億4,000万円、トータルとして営業利益が2億円の損失、当期純利益が1億2,200万円の損失となっています。

こちらを累計すると、売上高が32億1,900万円です。うちほぼ日手帳が21億円。他の商品が8億円というかたちです。

売上原価が13億円、構成比率約40パーセント。販管費が13億9,900万円、前期比13.2パーセント増。トータルとして営業利益が5億1,900万円。当期純利益が3億4,000万円となっています。

第3四半期において、売上高の伸び率が非常に高くなっていますが、手帳のシーズンではないので、過去の第2四半期に比べると、全体の小さい中での伸び率だということをご理解ください。

前回、「生活のたのしみ展」をやりましたと少しお話ししましたけれど、初めてのトライアルでしたので、さまざまな初期コストがかかりました。そこが前年に比べて売上高の増加、販管費の増加というかたちで表されています。また、営業外費用において、第3四半期に上場関連費用を計上いたしました。

第3四半期決算の概要2(ほぼ日手帳部数)

ほぼ日手帳売上部数の推移です。2017年版は見込みで約66万部を考えています。すでに第3四半期でこの水準を達成しています。

第3四半期決算の概要3(販路別売上高)

販路別売上高です。第1四半期、第2四半期、第3四半期の売上高をそれぞれ前年と今年で比較しています。まず一見して、過去2四半期に比べると第3四半期の売上の水準が小さいと。

その中で、今期は直販のところが伸びていて、先ほどお話しした「生活のたのしみ展」の貢献が大きいとご理解ください。全体としてはこのような構成比になっていて、32億円のうち約22億円が直販というかたちになっています。

第3四半期決算の概要4(地域別売上高)

次は海外と国内の売上高の比率です。第3四半期累計期間の海外売上高比率は約21.4パーセントとなり、前期比3.0ポイント増加となっています。国別比率では、トップが中国、次がアメリカで、この順序は変わっていません。

構成比率は中国が若干下げていまして、その分アメリカが増やしているというかたちになっています。ここは初めのところで、第3四半期累計でも、ほぼ日手帳の売上高が前年比で少し下がっています。

これと繋がるのですが、前年の中国の直販において、爆買いと言ってもいいかもしれない動きがありました。(今期は)そこの反動で少し下がっています。

ただ、先ほど見ていただいたように、ほぼ日手帳全体の部数も伸びていまして、海外も国内も伸びています。部数は伸びたけれど、1部当たりの価格が少し下がってきているためにこのような動きになっているとご理解ください。

第3四半期決算の概要5(17/5末B/S)

バランスシートは、前期末との比較になりますと、主に動くのは在庫のところです。手帳のオフシーズンになって参りますので、今の時期は期末と比べて在庫水準が落ちます。8月末に向けて次の仕入れをしますので、また高い水準に戻るといった季節性がある、ということだけご指摘しておきたいと思います。

第3四半期の取組み1(ほぼ日手帳)①

ここからは第3四半期の取組みをいくつかご紹介します。1つはほぼ日手帳関連で、「アーカイブキャンペーン」という名前で、過去数年に販売したカバーを再販させていただきました。

ありがたいことに、これまで「ほぼ日という会社がある」「手帳を売っている」ということを知らない方たちに、ちょうど知っていただく機会が増えたなと感じまして…。

ただ、手帳本体としてはオフシーズンになってしまいましたので、こういった過去のカバーをご紹介するキャンペーンをいたしました。主要販路である我々の直販とロフトの両方で展開をして、第3四半期の売上増に貢献しています。

第3四半期の取組み1(ほぼ日手帳)②

それから、7月から始まる半年分の手帳「ほぼ日手帳avec後期」を6月に販売しました。昨年から取組み始めた商品ですので、まだまだ成長途中ではあるのですが、少しでも手帳の季節性を平準化させることになったらいいなと思っています。

第3四半期の取組み2(生活のたのしみ展)①

続きまして、「生活のたのしみ展」です。前回の説明会でも少しお話ししましたけれども、大勢のお客様に集まっていただき、たくさんの商品を売りました。また今回はトライアルで、6月から「生活のたのしみ展WEB STORE」という名前でWeb販売も行いました。

「生活のたのしみ展」は3月24日、25日、26日の3日間。金・土・日と六本木ヒルズの半屋外の場所で開催しました。入場口を設けたイベントではないので、正確な入場者数はカウントできないのですが、レジ決済回数でいくと約1万5,700回動いていました。

おかげさまで3日間ずっとかなりの混雑で、売り場や飲食のところなどは、一番長いときで2時間以上待っていただくかたちになっていて、諦めて帰られたお客様も少なくなかったという状況です。

ですので、正直手応えはありながらも、もっと自分たちの提供できるキャパを増やせたらさらに広がるポテンシャルもあると思いますし、次の成長へ向けたテーマが見つかるような成果だったと思っています。

第3四半期の取組み3(ほぼ日商品)

こちらは手帳以外の「ほぼ日商品」というカテゴリーになっています。アパレルのところが引き続き好調でした。

第3四半期の取組み4(ドコノコ)

こちらは収益以外の今後に向けた新しい場づくりの取組みですけれども、犬や猫と親しんでいただく写真SNSアプリの「ドコノコ」です。6月5日でローンチから1周年になりました。累計ダウンロード数は13万で、デイリーアクティブユーザーは1万4,000強で推移しています。

この中で、収益化のトライアルとして、オーダーメイドの商品の取組みを始めました。

1例がこちら(スライド左下)なのですが、写真型のSNSですので、利用されているみなさんは、ご自身の飼っていらっしゃる、あるいは大好きな犬や猫の写真をあげておられます。

この写真をオーダーメイドでフォトブックにする、あるいはカレンダーにするということをご提案しましたら、かなり反響が良くて、アクティブユーザー数に対する実際の購入者でいくとかなりの比率です。

今はここのダウンロード数やアクティブユーザー数を無理に伸ばすというよりも、こういった密なコミュニティを提供する我々もしっかり育てていって、こういった商品も少しずつ販売しながら、新しい取組みをやっていきたいと思っています。

2017年8月期業績予想について

通期の見通しは、決算短信で出させていただいたように変えていません。計算上、ということにはなりますけれど、第3四半期累計の実績が出ていますので、発表している通年の業績見通しから引き算すると、第4四半期はこうなるのかなといった計算が出てきます。

これでいきますと、売上高が約6億円。当期純利益が少し赤字の1,100万円となっています。今のところ足元まだ動いてるところではありますが、基本はこのかたちで動きつつ、例えば京都に「TOBICHI」という我々の(3つ目となる)ギャラリーショップを出したり、新しい取組みに向けた手は緩めないというかたちで運営していますので、今、その販管費のところが少し高めに出てきています。そこを通期でコントロールしていこうとやっている最中です。

リスク情報(季節性の変動について)

こちらは第3四半期のところで見ていただいたように、季節性の変動がございまして、第4四半期の売上が、先ほどの引き算より高い数字が出ていますが、こちらは去年の実績です。

第4四半期最後の8月に、次の9月1日から発売する2018年版手帳の卸販売分の出荷があるので、事実上2018年版の1回目の売上が今期末に立つということで、若干戻しはしますが、どうしても販管費は変わりませんので、第4四半期については、収益的には貢献しないというふうにご覧ください。

第4四半期の取組み2(アプリ)

まだ日が浅いのですが、直近の取組みとしては、6月6日、「ほぼ日刊イトイ新聞」の19周年創刊記念日でサイトリニューアルを出しました。おかげさまでコンテンツ数がだいぶ増えてきたので、少し見やすくしようということです。

また、合わせてアプリのローンチもしています。まだ出して1ヶ月ちょっとなので、その効果がどうこうということはすぐに言えないのですが、やはりアプリを出したことで維持率がだいぶ高まりまして、いいスタートができたかなと思っています。

第4四半期の取組み3(TOBICHI京都)

先ほども少し触れましたが、京都に「TOBICHI」をオープンしました。今後もいい場所があれば広げていくことは考えたいのですが、まずはご縁があった小さな場所で、小さなお店を構えて、今もイベントをやっています。

新事業の収益計画について

最後に、新規事業の収益計画についてです。こちらは前回の説明会でも、いくつか新事業があるけれど、収益貢献は少し先になりますということを申し上げました。

その状況はとくに変わってはいませんが、若干ここの事業の入れ替えがありまして、「生活のたのしみ展」はすでに始まっています。

「ほぼ日のアースボール」は次年度にサービス開始を目指しています。

「ドコノコ」はすでに始まっていますが、黒字化は先であると。

前回、「新事業A・B」というところまでお見せしていました。新規事業Aは、今、公開に向けて準備中です。もう1つの新規事業Bは、実はアプリ的なものだったのですが、社内で開発を進めて、「これはあまり市場に受け入れられないかな」と判断して止めました。

前回の説明会で糸井からお話しさせていただいた、「ほぼ日の学校」は実際に始めたいと思っていて、次の年度の公開に向けて準備中です。このようなかたちで進めています。

私からの説明はここまでといたします。どうもありがとうございました。

「生活のたのしみ展」の今後の計画

質問者1:質問が3点あります。まず「生活のたのしみ展」からお伺いしたいのですが、女性が多いというのはたぶん御社の『ほぼ日手帳』のお客さまと同じような層かと思うのですが、年齢層や別のところで、これまでリーチできなかったお客さまもにリーチできるような面があったのか。解説をお願いいたします。

篠田真貴子氏(以下、篠田):顧客層に何か広がりや変化があったかというご質問だと思います。

年齢層という意味では、我々の印象論になってしまいますが、とくに大きな変化はないと思っています。顧客層を何で知ったかというところは、現場で簡単にアンケートを取って聞きました。

「生活のたのしみ展」の告知は、主にほぼ日(『ほぼ日刊イトイ新聞』)でやっていたのですが、うれしいことに、「ほぼ日を見てきました」という方は決して多くなく、普通にソーシャルメディアで見て、「何か六本木でやっているのかな?」と思って、「Instagramを見たら、おもしろそうなことをやっているから来た」という方。あるいは「ドコノコを見てきました」という方が、少なからずいらっしゃいました。

そういった意味で、ほぼ日やほぼ日と非常に近い関係にある「TOBICHI」だけでは出会えない顧客層にリーチできるのかなという手応えは受けております。

質問者1:ありがとうございます。もう1点追加なのですが、生活のたのしみ展の今後のスケジュールは、どれぐらの頻度で開催されるご計画なのかをお願いいたします。

篠田:今、次年度の計画を作っているところなのですが、年複数回の開催を目指しております。次年度やそれ以降は回数を少しずつ増やしていきたいなと考えています。

質問者1:開催場所は東京が中心になるのでしょうか?

篠田:まずは東京中心でやろうと思っています。イベントの認知度を高めるという意味が一番大きいのですが、もう1つは、私たちが中のオペレーションをスムーズにしていくまでの間、我々の本社から近い場所で開催できると、不慮の事態が起きたときに対応しやすいということがありますので。

まず何回かは都内でやって、オペレーションがスムーズになってきたら、より幅広な展開も可能ではないかなと考えています。

質問者1:3点目は業績についてです。今期の足元のところは例年よりいい状況のようですが、第4四半期で何か気をつけておくべき、リスク要因はございますか?

篠田:第4四半期については、売上のところは、ほぼ日手帳ですね。直販については2017年と同じように、前年と比べると部数は伸びているけれども単価は下がっている、という傾向が続きます。

あとは先ほどコスト面のところで申し上げたように、新しい事業の機会があれば、少し前倒しでもその機会を見逃さずに動くということがありますので、販管費も少し膨らんで見えるのかなと見ております。

質問者1:ありがとうございました。

『ほぼ日手帳』18年版の売上について

質問者2:上場時の説明会のとき、17年版の手帳のとき、ロフト向けの出荷が前期に少し前倒しで出ているというお話があったと思うのですが、18年版の手帳はどのようになりますか?

篠田:今期より多めに売り込んでおりますが、前年同月並で契約をしております。前年と同じ配分です。

質問者2:ありがとうございます。1部当たりの価格が下がっているということですが、どういった経緯によるものなのか。少しご説明いただけないでしょうか?

篠田:『ほぼ日手帳』は本体とカバーが別売になっていまして、基本的にカバーをかけてお使いいただくという商品設計になっています。

カバーはデザイン性があって、みなさん気に入ったものを使われますので、熱心なユーザーさんの方ですと、過去に買ったカバーは2年、3年と使い続けたりされています。

なので、一昨年以前ですと、我々の直販チャネルにおいては、本体1に対してカバーの売れ行き数が1未満で0.6とか0.7。そのような数字だったのが、去年は本体1に対してカバーが1以上売れていました。

これはなぜかというと、主に中国で『ほぼ日手帳』の認知度が一気に高まって、ただちょっと価格的に向こうの方には高いということもあるのだと思いますが、カバーだけ買って、本体は地元で買った事務ノートを入れて使われるという方が、SNSなどを見ていても多くいらっしゃいました。

そこから私たちも追いかけるかたちで、「『ほぼ日手帳』はカバーではなくて手帳なんだ」ということのお知らせを続けている中で、そのバランスがだんだん普通に戻ってきていると。ここが主な要因です。

質問者2:わかりました。「生活のたのしみ展」を第3四半期にやられたということですが、第3四半期が一番売上的にはそこそこのクォーターであったと思います。イベントは来期以降複数回開催するということですが、これは黒字なんでしょうか。

篠田:黒字を目指していますが、今回は赤字でした。

質問者2:わかりました。最後は、(「ドコノコ」に関して)ダウンロード数やDAUを追いかけてないということですが、1年経って13万ダウンロードということで、この3ヶ月で1万ぐらいしか増えてないので、スローな立ち上がりにも見えます。

御社としては(コミュニティの)密度のほうに力を入れるということですが、このあたりはどのような評価になっているのでしょうか。

篠田:社内では、どういう増え方をするのかというのは、当初からはっきりと目標設定していたわけではないので、とくに今のペースが遅すぎて困るという評価はしておりません。

むしろ、思ったより手応えがあるのがコミュニティの質のほうで、非常に熱意の高い方々が、アクティブユーザーの率でいうとかなり高い状態を維持してやっていけていることに手応えを感じています。

質問者2:ありがとうございます。

国内外の今後の展開

質問者3:ご説明ありがとうございます。株主優待を投入されて、優待品としては「ほぼ日の新商品」と書かれていますが、これはどのようなものでしょうか。

篠田:すみません。それはちょっと今は……。発表できる一番早いタイミングで発表させていただきます。

質問者3:まだ今出ていない商品ということでしょうか?

篠田:そうです。新商品なので、まだ出ていない商品です。

質問者3:地域別売上高のところで、海外の数字を見せられましたけど、これは問題意識として海外の売上を増やそうという話なんでしょうか。目標とか、客観的なものがあれば教えてください。

篠田:海外の市場は伸びるポテンシャルがあると思っておりますので、過去以上に力を入れて取り組んでいこうとしています。

今、売上でも申し上げましたけれど、例えば中国ではこれまで「Weibo」で発信をしていたのですが、合わせて「WeChat」という、LINEに近いプラットフォームにも6月にWebショップをオープンしました。

今はまだテスト中なので、ごく小規模な販売をやってみていますが、中国のお客さまに、私たちの幅広い品揃えとコンテンツでブランドをより便利に楽しんでいただけるものを作る準備を進めています。

英語圏では、2013年に英語版を出してから、ずっとそのような努力は積み上げてきていますので、全体としては社内でも取り組んでいくとご理解いただけますでしょうか。

質問者3:京都に3つ目の「TOBICHI」を作ったということですけど、改めて位置付けを確認したいと思います。こちらは将来的に増やしていくのか、とりあえず一巡なのかを教えてください。

篠田:まず位置付けですけれども、大きく言うと、私たちがやっている「TOBICHI」というのは、人が集まる場所であると同時に、コンテンツの仕入れ場所でもあります。

そういった意味で、Webでは展開しづらいコンテンツ、リアルの場のほうが合うコンテンツがたくさんあるわけで、そういったコンテンツを作れるクリエイターの方、あるいはブランドと出会い、そのコンテンツを仕入れさせてもらって、広く市場に向けて展開する場として位置付けています。

今「3ヵ所目」と言っていただきましたけれど、1・2ヵ所目は南青山で、ほぼ3軒ぐらいしか離れてません。1ヵ所として運営できるような場であるのに対して、京都は明らかに離れているので、京都ならではのコンテンツの仕入れが可能になってきますし、あるいは時間差を設けてそれぞれの場所でそのコンテンツを展開することで、顧客層の広がりも見込めるかなという狙いです。

今後はまだ何も決まったことはありませんけれども、志としては、たくさんではありませんが、もう1ヶ所、2ヶ所と場所が作れたら、今お話ししたTOBICHIの目的・趣旨に合うものではないかと考えています。

質問者3:最後に、まだ決まってないと思いますが、来期のポイントをいただけないでしょうか。

篠田:先ほどお見せした新事業のチャートが、今お話しできるトピックかなと思っております。それ以外は商品構成なども含めて、基本は今年度の計上分ということになります。今は具体的なことを申し上げられるほどではございませんのでご理解ください。

質問者3:ありがとうございました。

篠田:こちらこそありがとうございました。

司会者:よろしいでしょうか。それでは、このあたりで質疑応答の時間を終わらせていただきます。