「糖アルコール」とはなにか?

ステファン・チン氏:もし、あなたが一番食べるのが好きな材料のリストを作るとしたら、何をリストに入れますか? 砂糖はそのリストに入りますか? もちろん入りますよね。だって砂糖は美味しいですから。

アルコールはどうですか? もしあなたがお酒飲むのに十分な年齢だったら、例えすぐに酔ってしまうとしても、もちろん入れますよね。

最近の栄養素の分類を見ると、多くの食べ物に入っている栄養素、つまり砂糖とアルコールを組み合わせた栄養素「糖アルコール」があることに気づいているかもしれません。

糖アルコールは多くの加工食品に普通に使用されています。ローカロリーで甘みを出すために、ソフトドリンク、スナックバーといった製品に使用されています。そして糖アルコールには、エリトリトール、キシリトール、そしてソルビトールというようにたくさんの種類があるのです。

しかし、糖アルコールとは一体何なのでしょうか? 砂糖でしょうか、アルコールなのでしょうか? またはアルコールに入っている砂糖のことなのでしょうか?

栄養素リストを見ると、私が飲むプロテインドリンクやコカコーラにアルコールがあるということなのでしょうか? それは違います。糖アルコールは、砂糖として働きますが、あるアルコールを作り出すために発酵されます。しかし、おそらくみなさんが考えているものとは違う方法です。

誰かが「アルコール」という言葉を口にするのを聞けばいつでも、99.99パーセントの人が思い浮かべるのはエタノール、またエチルアルコールとしても知られる物質のことなのです。しかしエタノールというのは、アルコールの数ある種類のなかの1つにすぎません。

技術的にいって、アルコールはヒドロキシルグループに分類されている、水素と酸素のペアが含まれている化合物です。これは飽和している炭素原子と繋がっています。そして、その炭素原子の電子は、ほかのなにかと繋がっているということを意味します。それだけです。

これは、全ての化学化合物の全種類はこのような構成で、それらの多くの化合物は決して体内に摂取したくないと思われる物質です。エチレン・グリコールのように凍結防止剤に使われる物質、これもアルコールです。そしてイソプロピルや消毒用アルコールとしても知られている2プロパノールもアルコールです。

こういった物質は酔わせる物質が混入しておらず、単に毒性があります。一般的に、体がこういった物質を、ギ酸やシュウ酸といった危険でとんでもない化合物に代謝するからです。

ではどのようにして砂糖を摂取し、そしてあなたを死に至らしめないアルコールに代謝するのでしょうか。

糖アルコールが人体に及ぼす影響

例えば、エリトリトールのような糖アルコールは、トウモロコシから作られています。トウモロコシは、茹で、潰し、グルコースという普通の糖分に分解されます。そして多くのカビの餌になります。正確には、イーストと言います。ビールやワインに入っているアルコールのように、糖アルコールは発酵製品だからです。とくに糖アルコールを作るためには、会社は特定のイーストを使用し、甘く、毒性のないグルコースに変えます。

グルコースにあるイーストは大きく不恰好な砂糖分子を壊し小さくシンプルな分子を作ります。

そして残されるのは4つの炭素を含む分子で、分子のそれぞれは飽和して、ヒドロキシルグループにくっつくのです。ここで、糖アルコールになります。

糖アルコールにはエタノールが持つ酔わせる効果がなく、ありがたいことに他のアルコールのように人を死に至らしめる危険性もありません。なぜなら、体は糖アルコールを危険物質に消化しないからです。

しかし、グルコースのように、舌にある甘みを感知する部分にくっつくため、甘い味がするのです。

そして一緒に、グルコース分子よりも少ないカロリーなのです。多くの糖アルコールは、代謝されることなく体を通過します。あるケースでは、糖アルコールは全く破壊されないのです。

エリトリトールを例に挙げると、これは小腸で分子そのままで吸収されます。分子は決して壊れることがないので、そこに存在するエネルギーは放出されないのです。つまり、カロリーゼロとなるわけです。

糖アルコールには欠点もあります。エリトリトールは尿で排出されます。しかしほかの種類の糖アルコールは、腸内で完全に吸収されず他のゴミとして排出されます。これは、ソルビトールやマンニトールを含む食べ物のラベルに、緩下剤効果があると注意書きがされている理由なのです。わかりませんけど、ちょっと良くなさそうですね。ケーキを食べることはできますが、下痢には気をつけないといけませんね。