日光にもアレルギーがある?

ステファン・チン氏:太陽は危険であることがわかっています。ビーチであなたに降り注ぐ紫外線は、DNAを傷つけ、痛みを伴う火傷を負わせ、そして最終的にはがんになる可能性をも与えます。よって、日焼け止めを塗る理由は十分にあります。

しかし、一部の人にとって、日光は蕁麻疹またはかゆみを伴う発疹の原因になります。そうです、太陽はアレルギーを起こす可能性を持っているのです。

あなたが日光蕁麻疹と呼ばれる症状を抱えている場合、日光にさらされると1分も経たないうちに、大きく、かゆみの伴うミミズ腫れが現れます。これらの蕁麻疹は1日以内に消えますが、想像通り、この病気は屋外に出ることに支障をきたします。

科学者は、なぜこれが起こるのかを完全には理解していませんが、免疫系がピーナッツや花粉に過剰反応することに、似ていると考えられています。

そのような場合、免疫系は、ピーナッツまたは花粉タンパク質のようなアレルゲンを異物とみなし、抗体のある腕の特殊な細胞がそれらを認識します。

もしアレルゲンのタンパク質が再び発生すると、免疫細胞が素早く動き出したくさんのヒスタミンを放出します。ヒスタミンとは、血管を刺激し筋肉を収縮させる化合物で、免疫細胞の流れを促進し異物を撃退する作用があります。

しかし、同時にそれは赤みや腫れなどの特徴的なアレルギー症状の原因にもなります。

太陽による蕁麻疹では、このような同じプロセスが起こると思われますが、免疫系異常が生じる原因分子は謎に包まれています。

主な理論として、適度な波長の光に当たると、アレルゲンに変換する光吸収分子を持つ人がいるということが挙げられています。そして重度になると、電球、または屋外で薄着になることによってミミズ腫れが現れ、アナフィラキシーにもなり得ます。

ここで、いいニュースがあります。この太陽のアレルギーは非常にまれであるということです。蕁麻疹を発症する人のうち、太陽が原因で発症する人は約0.5パーセントしかいません。

ただ、多形日光疹(PMLE)を患う人口の10~20パーセントには、日光蕁麻疹に似た症状があるとされています。PMLEとは、同じく太陽による発疹のことです。「多形」という名前からわかるように、かゆみ、水ぶくれ、単純にできた腫れ、または赤い斑点など症状はさまざまです。日光蕁麻疹のようにすぐに現れるのではなく、数時間から数日かかり、症状はしばらくの間(2~6日程度)続きます。

この場合に、どのように免疫系の異状が現れているのかは、あまりよく理解されていません。ただ、タイミングが遅れているという点で、毒蔦に似ていると考えられています。

毒蔦はヘルペスおよびキラーT細胞と呼ばれる免疫細胞を活性化させ、それは同時に炎症を引き起こす原因にもなります。

油性樹液を除いて、PMLEを発症するきっかけは光に反応する分子にあります。幸いなことに、PMLEは瘢痕を残すことはなく、繰り返し太陽にさらされると発疹が改善されることもあります。

日光を恐れる吸血鬼ではありませんが、彼らのように日光に恐怖を感じながら過ごさなければならない人たちがいるのです。