激辛耐性は生まれつき?

ハンク・グリーン氏: 辛いものにどの程度耐性があるかは人それぞれ違いますよね。チリソースみたいな激辛ソースがたっぷりかかっている料理を食べる友人の横で、僕は「食べられないから代わりに辛くないのをください」と注文します。

例えばバターヌードルみたいなやつ。

どうして人によって違うのでしょうか。ハバネロソースをまるで水を飲むように飲み込める理由は、研究者たちにもはっきりとはわかっていませんが、いくつかの要素が関係しているようです。

1つには、生まれながらにして辛味を感じにくいというものです。辛さというのはTRPV1(トリップ・ブイワン)という受容体によって引き起こされます。

TRPV1は物理的な温度に反応するタンパク質ですが、カプサイシンのような辛さを持つ分子とも結合します。ハラペーニョ(青唐辛子の一種)を食べたときに舌が燃えるような熱さを感じるのはこのためなんですね。

研究者たちはTRPV1をどれぐらい生成できるかは遺伝子によって決まっていることを発見しました。そのため人によって受容体の数が異なってしまい、辛さに敏感だったり平気だったりするわけです。

また、このTRPV1をどれぐらい頻繁に使っているかも関係していて、多くの研究でも感度は鈍くなっていくというのが明らかになっています。辛み成分であるカプサイシンを多く食べている人は、より多くのカプサイシンをとらないと同じ辛さを感じられなくなっていくのです。

つまり激辛の食べ物が平気な人は、日常的に辛いものを食べ続けているため、あの燃えるような辛さを感じなくなっているんですね。シラチャーソース(アメリカでよく使われるチリソース)でも食っとけ!

もう1つの要素は、激辛を感じなくなっているのではなく、激辛の刺激自体が好きだというのです。タマル(メキシコの辛いちまき)やカレーを頻繁に食べて育ってきたなら、そうした刺激を楽しめるようになっていきます。

つまりは辛さそのものに引きつけられるのでしょう。激辛好きな人に「辛くないの?」と尋ねようものなら、「この辛さがいいんじゃないか」と答えるはずです。

こうした現象を、「健全なマゾヒズム」と呼ぶ心理学者もいます。ジェットコースターのように、安全が保証された状態で危険なことをする心理です。

性格と結びつけた研究もあります。白人の大学生を対象にした調査で、辛いものが好きな人はスリルも好む傾向が見られました。

つまり、激辛でも平気だというのは遺伝子のせいか、タバスコソースをいつも食べてるせいで感覚が麻痺したか、というわけです。

ですが、一番大きな理由は、あのヒリヒリ感を楽しめるかどうかなんでしょうね。