創業から3ヶ月目くらいで利益が出ていた

藤岡清高氏(以下、藤岡):コストは多くはなかったと思うので、単月黒字化は早めに達成されたのですか?

倉富佑也(以下、倉富):創業から3ヶ月目くらいで利益が出ていました。そして、オプトさんから出資を受けることが出来ました。その頃はアクセル踏みすぎて毎月1000万円くらいキャッシュアウトしていたので、4ヶ月目頃に「あと1000万円しかない」と気づいて慌ててブレーキをかけたりしていました。最初の1年半ほどはそんなこともやっていました。

藤岡:なるほど。そうこうしながらも売上はずっと上がり続けていたのですか?

倉富:1期目が少し伸びて、2期目が停滞して、3期目でぐっと伸びて、その伸びが4期目も継続中という感じです。2期目は苦戦しました。

グローバルで戦えるような規模にもっていく。戦いはそこから

藤岡:現在、2つの主要事業を展開されていますが、この2つに分かれてきた背景は?

倉富:我々の強みのひとつは、事業と事業をつなげるコンビネーション技術なので、既存事業と関連する事業セグメントについてM&A等の方策も含めた進出に力を入れています。

つまり、クラウドソーシングから関連した事業に手を拡げて、2015年の8月にサイバーセキュリティ事業を展開している株式会社イエラエセキュリティを買収させていただく機会をもらい、その後は特にサイバーセキュリティの分野に注力し、当該分野は今年も前年比170%で成長しています。

藤岡:なるほど。では、ココンは社会をどう変えていくのでしょうか?

倉富:そもそも今どういう時代なのかという点からお話したいと思います。現在ソフトバンクアカデミアに参加していて、そこで「秦の始皇帝やナポレオンといった歴史上の権力者がなぜ事を成せたのか」をテーマに研究しました。

秦の始皇帝が国家統一した背景には、商人が権力を持っていて商業的な視点から統一が望まれており、商人の力が国家統一にプラスに働いたことがあります。大きな流れを汲まなければ、恐らく中国統一はできなかったと思います。

その研究を通して、「自分の生きる時代が、どういう時代か?」をより強く意識するようになりました。今の時代について見方はいろいろあると思いますが、大きなところだと2つあります。

1つは、個人や組織に対する富の極端な集中が起きる時代だと思います。資本主義が加速する時代、かつ、インターネットが普及しているのでそれが顕在化しやすい時代です。ですから、政治ではなく、資本の観点で巨大な力の集中、影響力の集中が起きる時代だということです。

もう1つは、インターネットの大革命が加速すると考えています。既にVRやAIといったいくつかのテーマがあります。

そう考えると、ある程度資本主義の特性を応用して、面白いセグメントにも挑戦できる会社を作っていきたいです。また、折角この時代に生きるからには、中期的にはそういった時代の大革命の一翼になりたい。

2020年頃には税前利益で100億円までに成長する算段をもっています。そういう挑戦をしていく会社でありたいと考えています。

藤岡:なるほど。そういう大局観から考えると面白いですね。

2020年頃には税前利益で100億円を目指す

藤岡:具体的にはどのようになさるお考えですか?

倉富:ココン社の事業内容としては、サイバーセキュリティとクラウドソーシングの事業を行っています。

サイバーセキュリティの事業について、日本のセキュリティ業界はグローバスなサイバーセキュリティ分野だと新しいトレンドを追う観点と商業的成功という点で完敗状態です。多くはアメリカかイスラエルの会社が最新トレンドを追っている状況です。

ですから、現在負けているこのアジアのマーケットにおいて、5年ほどかけて新しいトレンドを追えるようなセキュリティカンパニーを作りたいと考えています。

B向けのセキュリティベンダーで営業利益が30億円ほどあれば、国内では利益水準No.1です。サイバーセキュリティセグメントでは、しばらくはB向けの事業を中心に、利益だけではなく、市場シェア、顧客満足度などのあらゆる観点でのNo.1を目指しています。

クラウドソーシングではイラストレーターの方達が気持ちよく働ける環境作りや、地方創生等のテーマを設定して社会の働き方を変えていきたいです。

ココン社にとって重要なことは「既存の事業を成長させ続けること」であり、僕もそのことに日々取り組んでいます。それを前提としつつ、積極的にM&Aの機会も模索したいと考えています。

現在会社には営業キャッシュフローやエクイティで調達した資金を中心に、2桁億以上の現金があります。今年は優良で、一緒に働きたいと意気投合できる経営陣のいる会社と巡り合うことができましたら、2017年内に金額としては40億円ほどをM&Aに投資する準備をしています。

これまでM&Aをした4社はいずれの会社も創業社長が代表を継続しています。特に注力をしているのはサイバーセキュリティセグメントですが、事業に思い入れのある社長様で、事業売却に興味を持っていただける方がいましたら、お声掛けいただけますと嬉しいです。

セキュリティビジネスを始めた背景

藤岡:そもそもセキュリティビジネスを始めた背景も、日本発信で何とかしたい思いがあったのですか?

倉富:はい、そうです。僕は国という単位に執着しているわけではないのですが、アジアからそのような会社が出てきてもいいだろうとは思っています。

また、今のサイバー空間ではさまざまな面で攻撃者有利なところがあります。それによっていろいろな問題が発生していますので、そこを解決しに行くことには大義があると考えています。商業的な視点でもマーケットが大きいですし、ここに一定期間全力を割くことは良い意思決定だと思っています。

特定のセグメントでグーッと大きくなって日本のマザーズ市場でバリュエーションが数百億円程度というのは、まだ小さな規模だと思っています。ですから、それなりにグローバルでも戦えるような規模にまずはもっていこう、戦いはそこからだと考えています。

ビジョンを成し遂げるために必要なもの

藤岡:グローバルで戦うようになるために、今ココンが必要としていることは何でしょうか?

倉富:今はセキュリティ業界での有識者が必要です。あと、M&A後の統合を極めて高いレベルでできる人たちが一定数組織の中に帰属してくれると嬉しいです。

藤岡:では、求める人材像はどんなものですか?

倉富:セキュリティや大義のあることをやっていますので、倫理観がしっかりとしている人ですね。姑息だったり、ずる賢くない人がいいです。正義感や倫理観、自分が仕事を通して何を成し遂げたいのかといった意識がはっきりとしている人たちに入ってきてほしいです。

藤岡:ビジネスが長期的で、社会的意義があるものだからこそ、短期的な利益を求めるような人では難しいかもしれないですね。

これからのココンで働く魅力

藤岡:今のココンで働く魅力を教えていただけますか?

倉富:それぞれの事業でやっていることが異なるので、必要な人材も事業によって違います。しかし、共通する1つのテーマとして『攻めたセグメントではNO.1になろう』と勝ちに執着しています。

例えば、クラウドソーシングでは最後発でしたが、営業利益ではイラストのクラウドソーシングでNO.1になっています。売上でも今年中に1番になれると思っています。

ですから、特定セグメントでの勝ちを狙うことが好きな人、且つ、変化が大きいのでそういう躍動感を味わいながら働くことに魅力を感じる方はモチベーション高く働けると思います。

向上心を持って問題点を指摘したり、フルポテンシャルを発揮し続けることに情熱を持っている方は適していると思います。

藤岡:若い社員が多いかと思いましたが、多様性に富んでいますね。

倉富:平均年齢でいうと30歳前後ぐらいです。若い方は経験を積むことである程度レベルアップすると思います。ですから、僕と同世代の方たちには、経験を積んで5年くらい経ったタイミングで入ってきてくれたらと思っています。

それぞれのグループ会社でイラストやプロモーションのプロフェッショナルは若くても採用しています。ココンは営業部隊もないし営業会社でもないので、クリエイティブとエンジニアの会社となると「腕があるなら良い」という側面はあると思います。

給与水準も上げていけると思っています。3年後くらいにPMI(Post Merger Integration)で年収数千万クラスの人材が何人かいるような体制をイメージしています。それくらいの会社に仕上げていきたいと思っています。

藤岡:ますますのご活躍を期待しています。本日は貴重なお話ありがとうございました。