無料のクラウドレジアプリ"Airレジ"の可能性

藤田功博氏(以下、藤田):札幌で開催中のIVS Spring 2014インタビュールームにゲストをお招きしてお送りしております。今回はLaunch Pad入賞者インタビューということで、株式会社リクルートライフスタイルから大宮様にお越しいただきました。

藤田:おめでとうございます。

大宮英紀氏(以下、大宮):どうもありがとうございます。

藤田:第3位に入賞されたということで、今の率直なお気持ちをお聞かせください。

大宮:そうですね。正直悔しいなというのが、第1位です。今回リクルートとして、たぶん初めて出させていただいたんですけれども、資金の面とか会社の規模から考えて、そもそもこういう場が適切なのかとか、参加する前にいろんな方々にやっぱり言われました。

ただ、今回出てみてですね、僕自身のキャリアもそうですけれども、プロダクトによりフォーカスしていくというか、何の価値があるかということを、みんなで議論してきた経験だったりとか、今後リクルートがもっと成長するために、イノベーションを起こすという意味でいうと、今回の経験が非常に良かったかなと思っています。

藤田:なるほど。

大宮:ということで次につなげないと、この悔しさが消化されないなと思って……。

藤田:それも1つの収穫なのかなという気がしますけれども、改めてプレゼンテーションされたサービス内容というのをお聞かせください。

大宮:僕たちは無料のクラウドレジアプリ「Airレジ」を提供しています。従来のレジですと、数万、数十万、百万を超えるものも含めて世の中には市場に出ているのですけれども、「Airレジ」は無料で提供させていただいています。従来のものとは全くコンセプトが違っていまして。

従来のものは業務ツールということで、業務が回る、お金を管理できるなど、基本的にそういうレジが大半なのですけれども、リクルートがやるということでいうと、「じゃらん」とか「ホットペッパーグルメ」とか、「リクルートポイント」「リクルートカード」いろんなものがありますので、そういった集客ができるプロダクトと掛け合わせることで、業務支援と集客支援を両方同時にするということを考えて、今サービスを作っていっている感じですね。

藤田:個人的にはそこにすごく大きなインパクトがあるというか、今、多くの場合ネット予約の情報というのが宙に浮いた状態で、メールが来てそれをノートに手書きをしているとか、わりかし最後のそこがネット化されていないのかと。それがこのプロダクトのおかげで、かなり有機的につながるという気がします。

大宮:そうですね。まず今、リクルートが新商品を作ってお店に案内しても、お店の方々からすると、もう業務で手一杯なんですよね。最近でいうとアルバイトの採用も厳しいとか、いろんなことがあるなかでいうと、これ以上負荷をかけても、店舗さんも幸せにならないですし、僕らがごり押しをしても嫌われるだけなので、やっぱり店舗さんがまず第1に喜んでくれる、ということをコンセプトに作りたいなという思いがあったのと。

やはり波というか、クラウド化とか、スマートデバイス化とか僕らが表現したいことが、より柔軟にできる環境が整ったことによって、今回のPOSレジのそのコンセプトを、強力に進められる環境と。

今後はそれを、例えば、よく飲食店であるのが、ホワイトボードにマグネットで席に貼って座席管理をしているとか、紙台帳で予約を管理しているとかして、ネット化されていないので、これを自動的に、例えば普通のPOSをやる操作でオンライン化してしまうと。店舗の方々からすると、電話を受けて転記とか、何をして転記とか全部必要なくなるので、ワンストップで便利にお使いいただけるのかなと思います。

今回、「Square」さんと「freee」さんと連携しているんですけれども、基本的にレジはハブになる存在だと思っていますので、多くの発注系もそうですし、スタッフマネジメントとか、それ以外のメディアも含めて、そういうものをよりシームレスに連携して、ユーザーエクスペリエンスもちゃんと高めた上での、提供をこれからしていきたいなと考えているんですね。

レジにだって付加価値をつけられる

藤田:なるほど。世の中に沢山お店がある中で、わりかし若い世代の方はそういうことにすごくピンときて、あっと思うと思うんですけれども。やはり多くの中高年の方が経営しておられるお店とか、そういうところに対する提案というのは、どういうネットワークでされているんですか?

大宮:そうですね。まずPOSレジに関して、例えば僕らも、実はこれ結構前からベータ版として、いくつかの店舗さんでやっているんですけれども、やっぱり使ってみて初めて良さがわかるんですね。というのと、そもそも現状のPOSレジに不満を持っていないんですよ。それはなぜかというと、そこにあるものというか、ハサミだったらハサミで紙が切れると同じように、そこに付加価値があると全く思っていないですし……。

藤田:こういうものなんだという……。

大宮:そうです。そうです。こういうものだからということは、やっぱり考えている。例えば、スティーブ・ジョブスが、スマートフォンの概念を変えたように、そこには、こんなことが出来るという想起をさせて、はじめてこのプロダクトを使ってもらって、良さを認識していただく。やることはやらなくてはいけないので、リクルートの営業リソースはもちろんあるんですけれども、プロダクト自体を磨くとか、ブランディングをちゃんとするとか、そういうことをしないと、そもそも広がらないということで。

そういう営業力もそうですし、そういったブランドとか、プロダクト、もとはプラットホーム的な開発能力も含め、結構いろいろチャレンジしていることは、今回多いんですけれども、さっきお話いただいた地方の方々でいうと、リクルートブランドってちょっと安心していただけるということもありますし、あとは地域に根ざす営業マンがいるということが大きいことだとは、正直思っております。

グローバルの視点で見れば、リクルートもまだまだ小さい

藤田:なるほど。実際そういうサービスを展開される上でLaunch Padというのは、もともとこういうのに出たいなとか、もともと知っておられたということですか?

大宮:そうですね。Launch Padというよりも、IVSの存在は知っていてですね、今回Launch Padのこのあとにセッションをさせていただくことになっているのですけれども、まず先にそれが決まってですね、そのあと、freeeの佐々木さんとか、KAIZENの須藤憲司さんから、ちょっと出てみたらどうなのというのをFacebookでメッセージをもらって、やっぱりこれどうしようかなと。

正直周りから見るとき、リクルートという資金を持っている企業が、何でここに出てくるの? とすごい思われるだろうなと思ったものの、(IVSの)小林(雅)さんに出てもいいですかと言ったら、出てもOKという話だったので、ぜひ出ようかなと思っていました。

藤田:なるほど。

大宮:特に大きな理由が、リクルートもグローバルの視点でいうと、まだまだ小さいんですね。Amazonさん、マイクロソフト、アップルとかいろいろな中でいうと、彼らもすぐに日本に、普通に来ているじゃないですか。

と考えると、例えばそういった店舗支援業務を含め、多分ここ1、2年ぐらいで、ガツンとくると思っていて。リクルートが持っているようなアセットがあって、やっぱりここが勝負だとすると、営業マンもちゃんと使いたかったですし、営業を使わなくてもプロダクトとして自然発生的に広がっていくということがやりたかったので、それでいうと、こういう場所に出て、プレゼンスを上げるのもそうですし、そういうことをやりたかったというのが一番の目的ですね。

Launch padを終えた感想は?

藤田:実際、今日朝早くから準備されたかと思うのですけれども、当日会場に入られてどんなお気持ちだったんですか?

大宮:そうですね、すごく緊張しました。リクルートという会社に行くと、いろいろ上の方も含めて、ある程度事前に話をして、期待値調整をした上で承認をもらうみたいなことをやるんですね。僕もそういうことに、だんだん慣れてきたと思うのですけれども。

これって本当一発勝負というか、バトルと書いていましたけど、本当になんか6分間を全速力で走って、走り切りなさいみたいなスタイルなので、今回はそういうのに慣れていないのと、そう意味でいうと良い経験になりました。

そういう緊張感も含めて、今後リクルートがもっとイノベーションを起こすには、こういう場にもっと出ていかなければいけないと思いますし、良い経験になったなと思うのと、僕だけじゃない他の人たちも、良い経験というか、チームとしても良い経験できているんじゃないかなと思います。

藤田:なるほど。実際プレゼンテーションを終えられて、発表を待つまでの間というのはどんな状態になっているんですか?

大宮:そうですね。事前にイメトレしているのですけれども、周りの発表がよく思えるという。イメトレしつつも、周りの発表を聞いているので、混乱してくるんですよね。そういうふうに思いながら、皆さん質が高かったとか、いいサービスだと思ったので、発表を聞きながらネットでググりながら、こういうサービスなんだと思って、ちょっと保存してたりとか、このあとやっぱりいろいろお話ししたいなとは思っていますね。

藤田:なるほど。いざ表彰式となりまして、順番に発表されていくわけなんですけれども、どんなお気持ちですか? 5位ではなかった、4位ではなかった、そして……というところで。

大宮:そうですね。正直、優勝したかったです。リクルートがそんなの出るの? とかいろいろ言われたからには、優勝するか、そもそも出ないか、くらいじゃないと、それぐらい追い込まないといけないなと思っていて。ちょっと3位というのが、微妙だなみたいな。

ただそれでも上位1位、2位はすごくいいサービスだと思っていますし、ちょっとカテゴリーが違ったりとか含めいろいろすると思うんですけれども。さっき二人と話をしても、お互いいろんな悩みだとか、お互いのビジネスの発展性だとか、普通に会社とか抜きでも、すごい尊敬する部分もありますし……。おめでとうとは言いたいですけれども、悔しいなとは思いますね。

未踏峰の“ラストワンマイル”を制覇して、シリコンバレーに対抗したい

藤田:実際プレゼンテーション終わられたあと、表彰式終わったあとにも、さまざまな方と出会いがあったかと思うのですが、今回のイベントをきっかけにどういうふうになっていきたいというのがありますか?

大宮:そうですね。僕らは今期、先程プレゼンで、明確に先期というか3月末で4万、今年度の3月までアカウント10万と目標決めていまして、海外にも、ある国に展開したいと決めているので、それをとにかく愚直にやりきるだけですし、それがリベンジのひとつの形になるのかな。

とにかく、今回がだめだとしても、市場にとにかく受け入れられるプロダクトだということで、自分たちのプレゼンをリベンジしていきたいなとは、思っていますね。

藤田:なるほど。その先にある大きな目標というのは、どういうことになるのですか?

大宮:そうですね。その先2年、3年後、数十万単位でつなげていきたいですし、先程言った、“ラストワンマイル”的なものとかって、物販はだんだん発展しているものの、人がお店に行くとか動きの中でいうと、まだ“ラストワンマイル”を誰もやれていないと思っていて、僕らはそれをやれるプレーヤーになりたいと思っています。

周りを見渡しても、営業もあるし、いろんなアセットも含めて有利な立場にはいるとは思うので、僕が今この会社で独立せずにやっているのは、それを使ってAmazonとかグーグルさんとかFacebookとかアップルさんも含め、そういうグローバルに対して日本の企業がプレゼンスを、東南アジアやいろんな国で発揮していくために、やりたいと思っているから。この会社に残って今必死に頑張るという感じですね。

藤田:ありがとうございます。では最後にひと言。このLaunch Padのインタビューを見られている方は、将来的に応募したいなとか、あるいは、興味を持って見た方は働いてみたいとか、いろいろあるかと思います。それ以外のメッセージでも結構ですので、あちらのカメラに向けて、お願いいたします。

大宮:僕らはですね、世界のプレーヤーに対してどう戦っていくかと真剣に考えながら事業を営んでいるというか、プロダクトを磨いて、広げていっています。その中で、人って本当に重要なピースだと思っていて、優秀な人だとか、いろんな経験を持っている人と働きたい。

今回実は、こういうPRも込めて大会に出ているので、是非“Airレジ”とかですね。Airレジ以外に、Airシリーズでいろんなサービスを、リリースを控えていたりするんですけれども、そういうことで世界にチャレンジしたい方は、是非一緒にやりたいなと思っています。

うちのメンバー、うちの会社のいろんな人に、Launch Padを通じて「営業でまず広げるというリクルート」から脱出、脱却していきたいなと思っていますので、みんなに勧めたいなと思っています。

藤田:ありがとうございました。札幌で開催中のIVS Spring 2014インタビュールームにゲストをお招きしてお送りいたしました。今回はLaunch Pad入賞者インタビューということで、株式会社リクルートライフスタイルより大宮様にお越しいただきました。ありがとうございました。

大宮:どうもありがとうございます。

藤田:おめでとうございました。

【IVS 2014 Spring Launch Padのドキュメンタリー動画はこちら】

制作協力:VoXT