ローソン・玉塚会長が退任の意向を表明

玉塚元一氏:お忙しいなか、お集まりいただきましてありがとうございます。今、案内があったとおり、5月30日の株主総会で、取締役1年の任期をもって、代表取締役および代表取締役会長を退任することを、本日の取締役会でご報告させていただきました。

経緯について少しご説明させていただきます。みなさんご存知のとおり、本年2月に三菱商事による我々の公開買い付け(TOB)が無事完了しまして、三菱商事が当社の過半数を持つ株主になり、ローソンは三菱商事の子会社になったわけです。

実はこれには大きな背景があります。どういう背景かといいますと、コンビニエンスストア業界は、もうすでに10兆円を超える産業になってきておりますが、どんどん淘汰が進んできたと。

ローソン、セブンイレブン、ファミリーマートという3つのグループの、まさに最終戦に突入しているわけです。

セブンイレブングループはセブン&アイグループということで、イトーヨーカドーさん、ヨークベニマルさん、セブン銀行等、1つの大きなサイズのグループを形成しておられる。

そして2015年の末に、ファミリーマートさんとユニーが一緒になると。これも業界の中では非常に大きなニュースでした。それを伊藤忠商事が全面的にバックアップすると。これはファミリーマート、ユニー、そして伊藤忠という大きな連合ができたと。

さて、ローソンです。ローソンは単体でがんばってきたということですが、この三つ巴の戦いのなかで、はたして単体で突っ走っていくのがいいのか、すでに10年以上の資本業務提携をしてきた三菱商事をもっと巻き込んで、総合戦闘力を上げて戦ってきたほうがいいのかというなかで、「これは完全に後者であろう」ということで、三菱商事をさらに巻き込んで、とくに商品力強化、サプライチェーン、あるいは海外展開、システム、物流……さまざまな領域で総合力を使っていこうということで、この流れをつくったわけでございます。これが最終的に本年2月のTOBに結実したということでございます。

6年半取り組んだ“現場主義”の功績

一方、私は副社長、COOから約6年半、ローソンでさまざまな取り組みをしてまいりました。私の基本的な主義は、「我々の商売すべては売り場で結実する」と。

従って、売り場であり、それを支える加盟店現場の最適主義、売り場力強化を徹底的にやってまいりました。その前線をサポートするスーパーバイザーという人間が1,200人はいるわけですが、このスーパーバイザーの業務改革等を徹底的に進めてまいりました。

私が来たとき、「ローソンは店舗の偏差が非常に激しい」と。偏差が激しいというのはどういうことかというと、品ぞろえ1つをとっても、いいお店はいいんだけど、残念なお店は残念だということです。

この偏差を縮小しようと試行錯誤しましたが、「セミオート(半自動)発注」を導入して、今はこれによりだいぶ偏差が縮小されてきたと思っております。

また、今後我々コンビニエンスストア業界はますます生活者に密着したお店にしていかなきゃならないということで、生活支援強化という文脈で品ぞろえ強化をしてまいりました。

以前2,500種類くらいしかなかった品ぞろえを、全店平均でも3,000以上まで持ち上げてきたり、社内賛否もありましたが、成城石井という、スーパーマーケット業界でも屈指の利益率を誇る業態の買収も完了させ、PMOもしっかりやって、今や当社グループにとってなくてはならない、ローソングループ全体の生活支援度を上げていく存在になってまいりました。

そういったさまざまな取り組みをしてきたなかで、私なりの道筋は1つつけてきたんじゃないのかなと強く感じております。

会長退任後について

横にいる竹増さんもこの3年くらい、私と一緒にさまざまな経験をしてまいりまして、セミナー等でも加盟店さんの信頼もますます上がってきているということで、ここのTOBのタイミングというのはすごくわかりやすいタイミングで、このタイミングでリーダーも竹増さんということにして、それを三菱商事が徹底的に支援する。そして我々の社員、加盟店が支援するほうがいいだろうと。

我々のような商売は、スピードがすごく重要です。避けなければいけないことは、例えば二党体制みたいなかたちになるのは非常によくないんです。

そういう意味では、シンプルな意思決定のストラクチャーにして、それをみんなが全面支援していくと。その道筋もだいぶ整ってきたということで、今回はそのようなかたちにしたほうがいいだろうと決断しました。

またもう1つ、実はこれは私のワガママなのですが、会長として、三菱商事のみなさんと、この一枚岩の体制をあと数年やっていただきたいというありがたいお言葉もいただいたのですが、私は「まだまだ経営の現場でしっかりがんばっていきたい」「現場主義で旗振ってやってくぞ!」ということです。

ありがたいことにいくつかお話もいただいていますので、そういう意味では新しいチャレンジに向けてがんばっていこうということです。後者はあくまで私のワガママです。ということで、意思決定をいたしました。

6年半、ローソンのみんなと戦ってまいりました。コンビニエンスストア業界、人手不足、いろんな問題がございますが、俯瞰して見るとこの業態、ご近所のお店で、高齢化が進みます、核家族化が進みます。そんななかで、ますますいろんな意味での生活支援のサービス、付加価値をつけていくことによって、まだまだチャンスはあると思っています。

非常にいいチームですし、なによりも加盟店のみなさまとの信頼関係等、いくつかの強みがあります。これを竹増・三菱商事連合軍で加盟店さんと一緒になって、しっかり成長させていくことを私も応援していきたいと。

5月末まで会長ですが、そのあとは顧問として残り、一部みなさまから相談等あると思いますけど、そういうものに対応していきたいと思いますし、なによりも社員、取引先、加盟店のみなさんに、心から感謝したいなと思っています。

とくに加盟店のみなさんには、いろんな現場現場で「玉塚さん、もっとこうしたほうがローソンがよくなるよ」「こうやったほうがローソンがよくなるよ」と、いろんなアイデアをいただいて、それを単純に実行してきた繰り返しです。そういった意味では、本当に加盟店のみなさんには、感謝感謝でございます。

横にいる竹増さんが新しいリーダーとして、大きな戦いになっていきますが、このチャンスをしっかりものにしていくことを、私は側面支援していきたいなと思っています。私からの説明は以上です。ありがとうございました。

竹増社長、ローソン全社員からのエール

竹増貞信氏:みなさん、お忙しいところありがとうございます。今、玉塚から話があったとおりです。実は今朝、取締役会があったわけですけれども、取締役会の前にも、玉塚の部屋で「一緒にやりませんか」ということを申し上げたわけですけれども。

やはり今、ローソンは大変な時期ですし、「玉塚さん一緒にやりましょう」ということで、慰留に慰留を……。止めましたが、今話があったとおり、「いや、ここからはこの体制でいくのがローソンのためなんだ」と。「for the ローソンを考えたときに、俺のこの決断が出たんだ」という話もいただきまして、ご意思は非常に固いということで、敬意を表してこの決断を受け止めまして、今にいたっているわけであります。

玉塚さんと一緒に働かせていただいた3年間、本当にリーダーとしては傑出されている方で、スピード、決断力、リーダーシップ、実行力のすべてにおいて、経験も豊富で、的確なご判断を間近で見てました。

本当にリーダーの中のリーダーで、私は個人的にも非常に尊敬をしておりましたし、会社の先輩としても、一緒にやれることを毎日楽しく思っていたわけであります。

玉塚さんの今回のご決断ということでありますので、しっかりと受け止めさせていただいて、後を継ぐにはまだまだでありますが、全社員一丸となって、玉塚さんの大きな穴を、みんな10センチずつでも背伸びして、しっかりと埋めていきたいと思っています。

玉塚の功績に対して本当に感謝したいと思いますし、これからまた新しいチャレンジをされるということでありますので、個人としても、ローソンとしても大きなエールを送って、拍手で玉塚さんを送りたいと思っております。

今日も出がけに、全社員と一緒に玉塚さんにメッセージを送りましたが、全社員からも大拍手が巻き起こりました。玉塚さんはいつまでも我々ローソンファミリーの兄貴でありますので、今「顧問」とおっしゃいましたけれども、顧問でなくても、これからも永遠にローソンファミリーの兄貴としていろんなことを教えていただきたいと思っております。

みなさま方もぜひよろしくお願いします。