入社した人のメルカン認知率は100パーセント

菅原弘暁氏(以下、菅原):ほかにどなたかいらっしゃいますか? 会社で採用オウンドメディア、もしくはそれに近しいものを始めてるとか、始めようとされてるとか、そういう方とかいらっしゃいませんか? 

質問者2:ありがとうございました。2つおうかがいしたいんですけど、1つが、KPIを置いてないなかでも、入社された方がどれくらいメルカン見てるかというのをおうかがいされてると言ってたんですが、実際どれくらいの割合の方が見ていらっしゃって、効果としてどういうふうに感じていらっしゃるのかっていう現状と。もう1つは、メルカリさんの採用ってコミュニティ運営に近いなって感じてるんですね。

短期ですぐジョインを決めないけど、中長期にファンになってもらって、いずれ口説き落としてジョインするみたいな、そういうのが上手だと思うんですよね(笑)。コミュニティとしてメルカリのファンになってもらう。

そのコミュニティの運営と、メディアってすごく近しいところなんだけど、機能はぜんぜん違うというか。

その連携の仕方がすごい難しいなと感じていて、メルカンはそういうコミュニティ機能を持ちだすタイミングが来るのかなみたいなのを、ちょっと期待していたりして。

そうなるとどうやってユーザーさんと繋がり続けるかとか、イベントをすごいやってらっしゃるなかで連携して、運営回してたりするのかなとか、まとまらない質問で恐縮なんですけど、コミュニティのあり方。

松尾彰大氏(以下、松尾):逆に僕、今勉強になりました。新しい気づきがありました。1個目に関していうと、直近の前クォーターでいうと、認知率は100パーセントでした。

でもけっこう僕が、やってる人間が口説くために使ってるので、100パーセントになるわっていう話なんですけど、それでも上がったんですよね、やっぱり。

すごくいいなと思うし、あと定性的な話ですけど、エレベーターで新しく入った人と話してて、「最近どうすかね」みたいな感じで、「彼女と最近どこデート行ったんすか?」みたいな話をしたら、「そういえば、彼女がいきなり松尾さんのこと知ってるとかいい出して」みたいな。

「なんでですか?」っていったら、「松尾さんって、メルカンの編集長でもともとこういうメディアやってて、人事ではこういう人がいて、一緒に働いてる人って○○さんでしょ、みたいに彼氏の職場情報をメルカンから全部取得してて。

(会場笑)

松尾さん、超うちの中で有名人になってましたよ、みたいなことをいわれたりとか。

でもそれってやっぱり安心感をちゃんと与えられるとか、そういったものを1つプラットフォーム、メディアとして持ってるっていうのは大事なのかなと思っています。

潜在層とのリレーションシップ

2個目は今、僕すごい気づきがありましたと。確かにメルカリのHRって、イベントめちゃくちゃやるんですよ。イベント何回やりゃいいんだよみたいな感じで、やって集客して実施して、会ってっていうので、確かに、すぐのアプライばっかり期待してるわけじゃなくて、コミュニティ作りとか横でつながってもらう時間とか。

ただそのお金はメルカリがもちろん出すし、むしろメルカリのこと知る場として活用してくださいねみたいな、そのレベルなんですよね。

そうすると中長期的に半年後とかにアプライに繋がったりとか、いきなり誘いづらいけど、サシで採用会食に誘いづらいけど、「メルカリで今度こういうイベントあるから来なよ」みたいな感じで誘えたりとか。

そういう候補者、潜在層とのリレーションシップというのを結びながら、結果的にアプライにつながったりとか。合否っていうのはまた別の話なんですけど、それと継続的に情報を発信するメディアっていうのを持っているっていうのは、確かに両軸あるかなと思っています。

ただ最後に言われたメルカンをコミュニティ化するみたいなのは、ちょっとあんまりイメージわかないかなっていう感じですね。それはわかんないですけど。確かに、おっしゃる通りだと思います。

菅原:前に松尾さんと話してておもしろいなと思ったのが、ご自身で面談やられてるじゃないですか? そのコンテンツを作ったときに伝えるべき読者と、毎日会ってるんですよね。コンテンツを伝える先というか、想定読者と。

松尾:そうですね。

菅原:けっこうほかのメディアとあり方が違うところだと思って。けっこうみんな顔の見えない人に向けて書いてるんですよね。

松尾:そうですね。前職の経験がやっぱり大きいと思います。やっぱりWeb・IT業界とかクリエイティブ業界に特化したメディアで、キャリア系の話を聞くメディアなんで、読者が今目の前にいるし、それの作り方もわかってるし。

けっこう自分にとって都合のいいフィールドだったから、ある程度、的を外さずできてるのかなっていう気はしますね。

菅原:そういった意味ではコミュニティとメディアというのは、別にメディアが先行ではないですけど、メディアを続けていくうえで、コミュニティの存在っていうのはめちゃくちゃ大きいんじゃないかなと。

松尾:そうですね、おっしゃる通りだと思います。

菅原:だって読者の集団がいるわけですからね、そこに。その人たちと会話してれば「あ、これ伝わってないんだ」というのが。

松尾:採用オウンドメディアをやるんだったら、主体は人事であるべきだとはやっぱり思いますね。

質問者2:ありがとうございます。

作ることも失敗することも大事だった

質問者3:ありがとうございました。僕も2点あるんですけども、1点目が、メルカンを開設する上で、どんなリスクを考えていらっしゃったかなというところで。

例えば配信される情報の正確性とか、インタビューの出演者が、例えばすぐ辞めてしまったりして、採用の面接のときにその社員のことについて問われたりしたとか、そういったような、どういうリスクを事前に考えていたかというのが1点目。

2点目が、新卒も中途もそうなんですけど、けっこう社員を巻き込むっていうことの難しさをすごく今感じていまして、実際にメルカンを立ち上げて9ヶ月っていう話がありましたけど、そのなかで社員の方々の採用に対するコミットメントの姿勢というか、なにか変化を、運用してみて感じたことがもしあれば、おうかがいできればと思います。

松尾:1個目に関してはまったく考えてないですね。リスクとか。だいたいもう、まさにGo Boldという名のもとに、とりあえずブチ上げて、やれるかやれないかは、基本やるんですけど……それは、あとで考えるみたいな。成功の仕方はあとで考えるみたいなほうが、メルカリのスタイルかなと思ってます。本来、ある程度頭がいい人だったら考えると思うんですけど、基本的には、当時はけっこう突っ走ってたかなと。

とにかく作ることが大事、やってみることが大事。失敗するのも大事だったので、そこまでリスクのことは考えてませんでした。

退職者については基本的には消さない方針です。ただ、会社が勝手に消すことはあると思いますけど、本人からの意向で消すみたいなのは、言われたら消すみたいなことを基本的にはしない。するつもりもないです。だってその人いたので。当時の話ですから。そういうことは考えてます。そんなケース今までないですが……。

2個目のメルカンによるコミットメントの変化っていうと、僕入社してすぐにこれを作ったので、変化というものはわからないです。

ただ、会社の温度感とか見ると、基本的にやっぱり変わってないのかなと思っていて、規模も人数もかなり増えてますけど、1年間で、採用に対するコミットメントの低下が見受けられるとかはほとんどないかなと思っています。

メルカリの場合は見えたらけっこうやばいと思う。なので、落ちるところをメルカンが補完したっていうところがあるかもしれないですね。

やっぱり経営陣が常に言い続けるし、全体定例とかでも、経営の数字が発表されたあとの次の発表はHRの話なので。進捗率みたいなのが全社定例で発表されるんですけど、採用だけは絶対にグリーンにならないんですよ。どんだけよくても常にレッドかイエロー、グリーンになるのは達成した瞬間の期末だけ。危機感を常に持って、だって隣で「あなたの仕事ぜんぜん減らないでしょ、やりたいことぜんぜんできてないでしょ」がみんなで共有されている。

「もっと優秀な人と、もっとイケてる人と働きたいっしょ」みたいなのがずっと話されてるって感じですね。

質問者3:経営層のマインドっていうのは、もともとそういう感じで、採用について、やっぱり重要だと考えていたんですか?

松尾:そうですね、それ以外はあんまり考えてないんじゃないですか。採用が一番。プロダクトももちろんやってますけどね。

菅原:プロダクトも人が作りますもんね。じゃああと2つぐらい、今ちょうど2人手上がったんで。

採用オウンドメディアの“内輪感”との向き合い方

質問者4:同じ時期に「スゴいい保育」っていうオウンドメディアを立ち上げて、保育業界の保育士を採用するために、オウンドメディアを作ってるんですけども。

先ほどの男性の方がおっしゃっていたように、社内の人間がぜんぜんコミットしてくれないっていうのが、すごい課題としてあって。

コミットしなかったら、書くほうもぜんぜんやってもらえないし、そういうところはすごい課題だなと思ったんですけど。ちなみに、さきほど、記事1個1個書いてきて、評価っていうのはどこに置いてるのかなというのがあって。例えばPVとか。

松尾:評価してないです。

質問者4:評価してない、じゃあ書いた時点でもうおしまい?

松尾:おしまいというか、リリースしました、それを編集会議で「あの記事よかったね」「Twitterとかで評判になってたね」みたいな、それくらいです。

本当にしないです。ただ普通のメディアだったらすべきだと思いますよ。けど採用オウンドメディアってストック型の側面もあるし、届くべき人に届けばいいっていうところもあるので。

検索したら出てくるとか、URLとして提供できるっていう、そもそもページとしてあるかどうかみたいな、そういうところのほうが大事だと思っているので、「これだけバズったことを書けた、よかったね」とか、いいときはいいねって言いますけど、悪いときもたくさんあるので。

悪いときっていうか、無風だったみたいな。それをいちいち取り上げて「あれはなんで無風だったのかな」みたいな、そんなことはしないです。これが一番の仕事の人はいないので。

質問者4:それぞれ本業を持ってて、その片手間にやるっていうのがやっぱり。「だったらやらなくていいじゃん」みたいな。そういったインセンティブが働くので、そこをいかに変えるには、どうすればいいのかなと思って質問したんですけど。

松尾:なるほど、それは上司の方とかが言ってるんですか? 現場の人とかに。

質問者4:上司も言ってますね、言ってますけどなかなか……。

松尾:上司の人、書いてますか?

質問者4:書いてないですね。

松尾:上司に書かせるべきですね、そしたら。「なんで上司が書いてないのに私が書けとか言われなきゃならないの」とか。上司が書けるネタ無いとかいってたらやんないほうがいいですよそんなこと。

菅原:そうですね、元を言えば「上司が書け」ですよね。

松尾:僕ら絶対、シェアしてくださいとかほとんど言わないですから。僕は基本的には自分の、Facebookのフィードを見てもそうですけど、ほとんどメルカンのこと載ってないですからね。

まあ載っててもいいんですけど、ただスタンスとしてそういうのが大事っていうわけじゃないので、大事じゃないと思ってやってるので、ただ言うんだったらやれよということですね、自分が。

代表であっても、上長であっても。だから部下がやってくれないんですっていうのはおかしな話だと思いますけどね。

質問者4:ありがとうございます。

質問者5:採用オウンドメディアで、どうしても自社のことばっかり発信していると、内輪感っていうのが気になることってあるのかなと思うんですけど、その内輪感が出過ぎないように気をつけていることとか。

もしくは採用広報オウンドメディアだから、メルカンは内輪感がむしろあってしかるべきだっていう意思決定をして運営しているのかというと、どうなのかなと思いまして。おうかがいできればと思います。

松尾:内輪感でいうと、社内報的なスタンスのものが多少なりともあるので、許容はしてます。

ある意味狙っているっていうこともあります。じゃないとシェアしないし。ただ社内のことだけにフォーカスするって、やっぱり黙ってたらそうなるので、似たような切り口で社外の人を巻き込むとか、ネタの切り口変えてみるとかは大事かなと思っていますね。

ただまだ1年経ってないですけど、やっぱりお金使うところはそういうところだと思っていて、社外を巻き込むとか、一緒にイベントやりましょうよみたいな感じでアウトプット前提でメルカン使うとか、そういうところの工夫は必要かなと思います。

内輪感は避けられない問題ですよ、こういうていを背負ったメディアは。第三者でありえないので。

質問者5:ありがとうございます。