接続率の国内No.1は実感値でもソフトバンクになった

孫正義氏:それではソフトバンクの事業領域について説明をしたいと思います。まず、国内のほうでございます。

スマホの契約数、これが今後も国内で順調に伸びていくというふうに見られております。このスマホの増大があるに連ねて、さまざまなビジネスチャンスが我々には残されている、というふうに考えております。

従いまして、我々ソフトバンクのモバイルの営業利益も、ボーダフォン買収時というのはどんどん下がっていったんですけれども、反転して、利益が着実に伸びているということであります。

また、ソフトバンクというと、携帯が繋がらないと多くの人に思われていましたが、少なくとも、去年プラチナバンドの電波を我々がふけるようになって以来、急激に我々の接続率は改善し、今やコンスタントに他の2社を大きく上回る接続率になっております。

これはデータの回線も、そして音声の回線の接続のほうも、順調に他の2社を大きく上回る接続率で推移している、というふうに思っております。

第三者の調査によっても、番号ポータビリティ、番号乗り換えした後に、今までよりもたくさん繋がるようになったか、今までよりもスピードがよく出るようになったか、という調査の結果、我々のユーザは、一番つながるようになった、スピードも上がったというふうに実感いただいている、という調査が出ております。

ちなみに我々、これを検証する意味でも、例えば、新幹線ですね。東北、東海、山陽新幹線において、3社のスマホを持って、同時に新幹線を何往復もする、というテストを行いました。その結果、かつてはソフトバンクの携帯といえば、新幹線に乗るとブチブチ切れるということでしたけれども、今や一番、通信品質が安定している、というところまで実態の調査として結果が出てきました。

ということで我々としては、少なくともスマホになって以来……それ以前の部分というのは、我々がプラチナバンドの許認可をいただいておらず繋がらないというところがあったわけですが、完全にNo.1になったと喜ばしく思っております。

楽天を抜いて、日本最大のショッピングモールが誕生した

次にヤフーでございますけれども、ヤフーも順調に経営のバトンタッチが進んで、若い経営陣で順調に業績を伸ばしているというところであります。

また店舗数ですね。楽天さんとの競争があるわけですけれども、売上高とか利益について、まだEコマースの部分ではヤフーは遅れをとっておりますが、少なくとも、新しいEコマース革命ということで新しい方針を打ち出して以来、急激に、ヤフー上で販売するという審査、出店の応募とその審査が終わったというところが13万店舗になったと。そういう意味では、着実に店舗数でみて日本で最大のショッピングモールが出来た、というふうに感じております。

また取り扱い品目数もさっそく増え始めたと。先ほどのグラフは、出店の申し込みと審査が終わったというもの。まだ開店出来てないというお店がたくさんありますが、すでに開店が出来たお店だけで、さっそく1億点の商品点数になっておりますので、これがこれから続々と伸びていくと考えております。したがって、この部分も楽しみだなあと考えております。

pepperの集客効果はすでに現れている

次に、最近発表しましたpepperでございますけれども、日本のロボット産業というのは、これから急激に伸びると私は考えております。

そこで先日、世界初の、感情を認識出来るパーソナルロボット。人々が自宅で買えるロボットとして本格的なものを売り出すということで発表させていただきました。

クラウドにあらゆる情報を持って、人工知能で感情をどんどん豊かに学習していく、というものですが、我々のお店に置き始めましたところ、集客効果がさっそく非常に出てきております。

開発者向けに我々は、スマホだとかPCのように、ロボット上のアプリケーションソフトを第3者が我々のプラットフォームで開発できるように、とそういう構えをとっております。開発者向けのイベントもさっそく来月20日に行いたいというふうに考えております。

ということで、国内のほうは非常に順調に推移しております。

スプリントは業績、ネットワークの質ともに反転してきた

これを、国内で培った我々のノウハウを今度は海外に移植させていきたいというふうに考えております。そこで当然スプリントの話になるわけですけれども、おかげ様で、業績が反転してきたということであります。また、ネットワークの改善も出来た。

業績ですけれども、まずは14億ドルから18億ドルにEBITDAが30%増大しました。我々の買収まではずっと赤字の連続だったわけですけれども、久方ぶりに利益が出てきた、しかもニ四半期連続でコンスタントに出るようになってきたというわけであります。

で、ネットワークのほうでございますけれども、こちらも順調に推移しております。まず音声の接続率ですけれども、これが着実に電話をした時に繋がる、という接続率が増えてきております。大幅に改善しておりますけれども、次はデータの接続率です。

こちらもLTEの接続率が大幅に改善しております。どれほどの状況かといいますと、まず最初にスプリントはネットワークが繋がらない、しかもどんどんパケットの接続率が落ちている、という状況でした。

そしてこのグレーで囲っているところが、競合3社の状況でございます。グレーのなかで3社がもつれ合いながら推移していた一方で、それに比べてスプリントは大幅に落ちている、という状況が4月の20日まで続いておりました。

4月20日時点から一気に反転してきて、今日現在は競合他社とほぼ変わらないところまで追い付いてきた、ということでございます。これはパケットのデータ全体の接続率ですね。

次にLTEの部分。LTE、4Gの圏内という部分も、他社がLTE化がどんどん進んでいるのに対して、スプリントはLTEの接続がむしろ落ちているという状況だったわけですけれども、こちらの4月の20日を境に急激に反転してきて、他社に追いつくところまできたと。つまりネットワークの改善は進んだ、そして経費の削減、効率化も進んできた。

トップを入れ替え、営業面のテコ入れをはかる

ただ1つ、非常に不満なのは、営業の顧客獲得が全然進んでいない、というところです。スプリント1人負け、なんて表現されていますが、それは事実として顧客が純減しているというのがあります。

ただこれは、我々自身が1年くらい前から、ネットワークの改善には14年度の半ばまでかかる、ということを申し上げていました。ネットワークの改善が終わるまでは営業のエンジンを吹かせても、お客に対して自信を持って薦められるネットワークでないのに一生懸命売っても、これはあまり意味がないので、営業攻勢を大幅にはかけておりませんでした。

しかし、おかげ様でやっとネットワークの改善が大幅に進んだと。いよいよここから本格的に営業攻勢に入ろうということであります。

したがいまして、その体制作りのために新しいCEOとして、マルセロが我々のスプリントのCEOとして、これから販売に打って出るという体制を作るために、経営のトップがバトンタッチということになりました。

つまりスプリントの今後の戦略は、ネットワークの改善によって顧客獲得に転換する、ということ。そして経費の効率化は、これまで以上に更に進めていくということでございます。この2つがスプリントの基本戦略というかたちになります。

また、そのマルセロは、ブライトスターの創業者として世界各国に携帯端末の卸売りだとか、あるいは米国のベライゾン社の販売店のマネージメントだとかロジスティクスだとかをこれまで行っておりますので、米国の市場についても世界の市場についても、モバイルの業界を知り抜いております。また販売については非常に強い才覚を持っておりますので、彼がスプリントのCEOになると。

それに伴いまして、ブライトスターは残りの株式も追加で取得しまして、100%ソフトバンクの傘下に入るというかたちになりました。以上がスプリント関連の話になります。

スマホゲーム市場では、トップ5のうち3つがソフトバンクグループ

次に我々が最近力を入れておりますゲームの分野ですけれども、ガンホーとスーパーセルがあります。

なぜゲームに力を入れているかと言いますと、モバイルのゲームはこれからますます伸びていくということであります。5年で3倍近くになるということでございます。このモバイル、スマホのゲームの中で、ガンホーが非常に順調に推移しております。

国内でNo.1になったわけですけれども、着々と世界に足場を広めていくべく、拡大を推進しております。

また世界で見ますと、すでにスーパーセルが「Cクラッシュ・オブ・クラン」「HAY DAY」「BOOM BEACH」ということで、トップ10のなかに3タイトル持っているわけですけれども、非常に順調に推移しております。

ちなみに、これがApp Store とGoogle Playを合わせた、世界の売り上げランキングトップ5です。ガンホーの「パズドラ」が世界で2位を走っております。1位と4位は我々のグループのスーパーセル。したがって世界のトップ5のタイトルのうち、3つがソフトバンクグループということで、こちらも非常に順調に推移しております。

アリババの株式上場手続きの進ちょくについて

次に海外の我々のグループ会社といえば、アリババでございます。このアリババは、ニューヨークの証券市場に上場すべく、今手続き中でございます。このアリババについては、先ほど少し冒頭で申し上げましたけれども、去年1年間で3750億円の税引き後の利益が出ております。

それは1年前と比べますと、3倍弱伸びているということであります。非常に順調に業績を伸ばしていると。したがって、順調に株式上場の手続きも進むというふうに確信をしておるわけでございます。

というわけで、我々ソフトバンクの事業領域は、従前、というか1年前までは国内がほとんどだったわけですけれども、もはやソフトバンクは海外を含めて、領域を一気に拡大していくということでございます。

その海外の業績を更に伸ばしていくという意味で、今までグーグルの上席副社長をしておりました、事実上の事業部門の総責任者であるニケシュが経営陣に加わりました。グーグル社は開発は創業者の2人が現在も中心で行っておりますけれども、事業部門、ビジネス部門の総責任者はニケシュでした。そんな彼が、我々ソフトバンクのバイスチェアマン(副会長)ということで経営に参画するということになりました。

彼は世界最大のインターネットカンパニーであるグーグルの事実上のナンバー2をしておったわけでございましたので、インターネットを知り抜いているわけですが、その前はドイツテレコムでモバイルの経営にも深く関わっておりました。したがって、通信とインターネット、両方を知り抜いているという世界でも数少ない貴重な経営人材だというふうに思っております。

ソフトバンクも両方にまたがっているわけですけれども、そういう意味では、世界で唯一といっていいぐらい、両方の深い経験を持っている彼に経営に参画してもらうということは、ソフトバンクの今後の海外展開の布陣としては、大変心強く思っているということであります。

売上高、EBITDA、営業利益、この3点セット、先ほど申しました通り、我々の年初からの業績予想、予定通り粛々と成長を進めていきたいということで、我々は更に成長していきたいというふうに思っております。以上が今日の発表でございます。よろしくお願いします。