良い習慣を身に付けろ!

田中:では、次の質問に移りたいと思います。

質問者G:ITベンチャーに勤めて4年目です。今日はありがとうございます。先ほどの、イケてる奴は起業しろ、もしくはITベンチャーで3年やれ、という話がすごく心に残りました。自分も3年で何かを掴んで辞めようと思ったんですが、結局面白くて4年目になりました。

そこでひとつ伺いたいのは、皆さん経営者として、ギラギラしているけどスキルがまだない若手社員に、どういう奴だったらチャンスを投げてみよう、無茶振りしてみようと思うのか。実際にそのチャンスをあげた時に、そのチャンスをものにして成長していく人と、うまく成長できない残念な人との違いは、どこにあるのかを伺いたいと思います。皆さん全員にお伺いしたいです。

熊谷:まず、成長する人としない人の違いは、能力の違いよりも圧倒的に努力の違いが大きい、と私は思います。能力の違いは確かにありますが、そんなに大きい差は人には無いです。心構え、良い習慣、あとは圧倒的に努力をされている方が成長すると思います。

今、良い習慣と言いましたが、これがすごく大事です。人の9割のアクションは習慣です。良い習慣を身に着けた方は、これも複利ですごく差がつくの。5年10年で。

例えば、僕はさっき、人の名前を覚えました。あとは挨拶する時に必ず目を見ています。握手、名刺交換、挨拶、会話、乾杯、必ず人の目を見ます。目を見ると信用できるじゃないですか? コミュニケーション取れるじゃないですか? でもほとんどの方が、この5つのタイミングで目を見ない。

性質が悪いのは、目を見ない人は見てると思っている。挨拶してると思っている。例えば挨拶、目を見て「こんにちは!」というのと、目を見ないで「こんにちは」と言うのと、互いに挨拶はしているんです。でも圧倒的に前者のほうが良い印象じゃないですか? これが10年でえらい違いになる。良い習慣を身に着けて、圧倒的努力をした人が絶対に成果が出ます。

千葉:今の話、良いですよね。前にIVSで熊谷さんのお話聞いて色々学んで、真似してやっているところが多いんですが、挨拶とか、従業員、働くメンバーのことを仲間と呼ぶだとか、実践しています。

コロプラでもやっています。コロプラは挨拶を徹底させている文化です。新卒が育っていくという環境の中で、能力等色々あるかもしれないけど、普段の行い、良い人である、まっとうな人であるということが大切なので、「おはようございます」「お疲れ様です」「ありがとうございます」「いらっしゃいませ」とか、基本的な社員同士のコミュニケーションを徹底させています。

うちの会社に来ると、異常にみんな「おはようございます!」って言ってすれ違っているんですけど、これは文化なので結構強力にやっていかないと無理なんです。大体お客様が来ると驚かれるし、中途の社員が他から転職してくると「こえー(怖い)」みたいな(笑)。みんな「おはようございます」って廊下で言ってくる、と。

でも、こういうことができるかどうかが後々効いてくる、というところがすごく賛同したところ。僕も実践しているし、いいと思っています。ITベンチャーってそういうのできない人が多いので、ぜひ皆さんはやったほうがいいし、そういう風にしていって欲しいです。

質問に答えると、新卒、伸びた人と伸びない人がいるんですが、シンプルに。言われたことを100%仕事で返している人はあまり伸びないです。言われたことに対して120%を必ず返し続けている人は、やはり伸びます。

要は、期待を超えるアウトプットを出してくる人。それは小さくても、中くらいでも、大きくても何でもいいんです。とにかく、上司や先輩からの何かの期待に対して、常に120、つまり想定外が含まれている状態。これをやり続けられる人はもう圧倒的に伸びますね。そのためには努力しかない。そのためには時間をうまくコントロールするしかないので、24時間をしっかりと効率的に使える人。

言い訳には意味がない

田中:千葉さんも能力以上に努力が大事だ、という意見に賛成?

千葉:結局、努力しかないですよ。若いうちは。あとは20代は吸収が早いので、睡眠時間を多少削ってでも倒れない。40代になると倒れてきてしまうんですが(笑)。20代の特権は”神の吸い込み能力”だと思います。圧倒的に吸い込める年なんですよ。

同じ1時間の時間効率が全然違うので、その1時間を友達となんとなくだらだらカラオケをして過ごすのか、自分のためにどうするのかの違いで、30代、40代になった時に全然変わってくるし、できる、できない人はそこで明らかに違いますね。

森川:必ず人間は壁にぶつかると思います。ぶつかった時に言い訳をするのか、それを乗り越えるための前向きな方向に行くのかのどちらか。言い訳しかしない人は絶対に伸びないですね。いかに超えられるか、前向きな提案をし続けて、そこにどれだけ努力できるか。そこに尽きると思います。

田中:例えば僕が言い訳ばかりするLINEの人材だったら、森川さんはどうするんですか?

森川:言い訳は聞かないですね。意味がないので。言い訳って誰でも言えるんですが、それを聞くと時間がもったいないので。言い訳する人には時間を使わないようにしています。

田中:そういう人達には、どういった対応をすればいいと思いますか?

森川:結論から言うと、それをやりたいのかやりたくないのか。本当にやる気があるのかやる気がないのか。例えば言い訳をする時間をつくらなかった時に、それで諦めたらそれまでですよね。それでも提案してくるのであれば、それはチャンスがあると思うので、それの繰り返しだと思います。

面倒を見るか見ないかの一番重要なポイントは、本当にやる気になっているのか。誰かに言われたとか、これやらなきゃいけないとか、たまたまこうなった、じゃなくて、自分の責任でやる気があるのか。そこに尽きると思います。そういう人に一番時間を使いたいです。

田中:どうでしょうか? 答えになっていますか?

質問者G:はい、ありがとうございました。熊谷さん、千葉さん、森川さん、ありがとうございます。

心が動く金額が、その人の価値

質問者H:東洋大学2年生です。熊谷さんにお伺いしたいことがあります。先ほど熊谷さんはコンプレックスをバネにしていると仰っていましたが、僕自身もコンプレックスの塊でして。小さい頃いろいろあったり、今貧乏生活をしていて、一日一食で生活するということをこの3か月くらいやってきたのですが、それでもお金が足らなくなってしまい、どうしたらいいのかわからない、となってしまったり。

昨日のIVSのお話を聞いていても、お金がないことを言い訳にするな、とすごく仰っていて、自分でもそうしたくないという気持ちもありながら、でもお金がないからできない、という風に負のスパイラルに陥ってしまっている自分がいて。負のスパイラルから抜け出す方法がもしあれば、それを提案していただければすごくありがたいです。

あとは、個人的に熊谷さんのことを尊敬しています。僕の人生のモットーが、人を大切にする。自分も含めた、人を大切にしていくということが自分の中でテーマなので、熊谷さんをいつも見て、尊敬しています。ありがとうございます。

熊谷:負のスパイラルから抜け出すためにはひとつしかない。行動すること。行動することしかない。何を行動したらいいかというと、今もし、優先すべきものがお金を稼ぐことだったら、自分のためになって、あとは世の中のためになって、つまり悪いことじゃないってことね、一番率がいいバイトでもなんでも探して、まずは徹底的に稼ぐ。自分で。お金を貯めるという「行動を起こす」ことがすごく重要だと思います。まず一定のところまでいったら……。

お金の話をちょっとしようか。お金って、一定の塊になるとパワーが出るんです。どういうパワーが出るかというと、少額だと本当にパワーにならないんだけど、一定の塊になるとお金自身がお金を増やしたり、お金自身が情報を集めたり、お金自身が良いスパイラルを生んでくれるんです。お金が無いと、逆のスパイラルになってしまうんですよ。お金を借りたりすると、お金がどんどん出ていってしまう。お金とは不思議なもので、貯めることがすごく大事。そう、これがお金の力なんです。

でも一方ですごく大事なのは、すごく冷静にお金に対して相対さなくてはならない。お金に心を売ってはいけない。心が動く金額が、その人の価値なんですよ。例えば、1,000万円で人を殺せと言われて、殺してしまう人も世の中にはいる。その人は1,000万円の価値の人なんですよ。だからお金で心が動いてはいけない。お金に魂を売ってはいけない。

そういう強い人になりながら、お金を貯めることがすごく大事。今マイナスのスパイラルにいて、貧乏で苦しくて一日一食という話があるのであれば、良いこと、自分のためになることで、まずは徹底的にお金を貯めなさい。それが、10万円、30万円、100万円になってくると、自分の自信に繋がって、そこから今度は事業を興したりすれば、良いスパイラルが起こってきますから。まずはお金を貯めるという「行動を起こす」ことをしたらいいと思います。以上が回答ですが、質問の回答になっていますか?

質問者H:はい、大丈夫です。ありがとうございます。

コミュニケーションの深度はネットと関係ない

質問者I:今日はありがとうございます。私、中国の大学を卒業し、去年の10月から新宿にある7人のベンチャー企業で仕事をしています。質問は2つあります。今日のテーマは挑戦する人生。今日の皆さんはもう成功した人生だと思います。

自分の人生を挑戦するために、他の人からの影響も大事だと思います。私から見ると、今インターネットを経由して、確かにベンチャー起業しやすいです。皆の交流はしやすくなりました。でも皆の交流は薄くなると思います。それについてどう思いますか? すみません、日本語がちょっとまだ……。

もうひとつは今、日本のサービスやモノは世界のどこでも有名です。例えばトヨタ、車とか化粧品とか家電製品。でも日本のインターネット系の会社は、なかなか他の国では難しいと思います。例えば楽天とかグリーとか、中国に進出して、どちらも失敗、みたいな感じ。そして皆さんが他の国に行く際に、グリーとか楽天とかの失敗についてどう思いますか? 皆さんが国外に進出する際にはどのようにしたいですか? ありがとうございます。

田中:では、まず最初の質問。コミュニケーションがテクノロジーで円滑にはなっているけれど、薄くなっているんじゃないかということに関しては、まず森川さんから。どう思いますか?

森川:よくそういう話はありますね。僕は人類の進化は選択肢だと思います。例えば、車が出たから運動しなくなって体力が落ちたのかどうか。車は別に乗らなくてもいいわけじゃないですか? 体力つけようと思ったら歩けばいいし。

コミュニケーションも関係を深めたかったら、直接会ってコミュニケーションすればいい。一方で、コミュニケーションを取りたいんだけど取れない時に、あったら便利なものがまた重要だと思うんです。人の進化というのは選択肢をどう選択するのかを考えること、そして行動すること、この延長線上にあるかと思います。

田中:2つ目の質問として、グリーさん楽天さんの中国撤退のこと。日本は工業製品、車とか家電製品は海外に出て行ったけれども、ネットビジネスはなかなか苦戦していると。皆さんだったらどうしますか? という質問。森川さんは実践しています。千葉さんも海外にゲームとか出されていると思いますが、コメントいただければと思います。

千葉:1問目のほうを答えたいですね(笑)。僕の持論であり、うちの会社かもしれませんが、別にいいんじゃないんですか? と思っています。もともと人はそんなにコミュニケーションを欲しているのかどうか、これを冷静に考えたほうがいいんじゃないかと思います。

リア充、非リア充って言葉ありますけど、人が好きで、積極的に人と絡んで、シェアハウスにも住んでっていう人は、何をしたってやっているし、別にツールが変わろうと関係ないと思います。

一方で、大多数はそんなに欲していないと思うんですよ。大多数は。幅広い人とのネットワークってそんなに欲していなくて、ここにいる人達は多分欲している側の人だと思うんですが、社会全体で見ると欲していないんじゃないかと。

僕も実は、人の前に出るのがすごく苦手で。Facebookは仕事だと思って頑張っているんですが、LINEは友達5人しかいないですね。そのうちの1人に奥さんがいる、っていう、もう最悪な状況なんですが(笑)。

それくらい実は引きこもり体質で(笑)。土日はじっと家でゲームしたり、酒飲んだりして過ごしているほうです。多分みんな自分に素直になれば、そんなに積極的にコミュニケーションしたがる人だけではないと僕は思っているので、インターネットがどうこうで罪悪、みたいな話は、極端な議論だと思っています。

熊谷:僕も1問目答えていいですか? 歴史的に見て、今は一番コミュニケーション取りたいと思ったら取れる時代になっていると思っています。なぜかというと、インターネットの登場によって、ムダな時間が減っているはずなんです。上手く使っている人は。下手な人は情報過多で流されちゃっているけど、上手く使っている人は、ネットによって一番時間が豊かになっているはず。

例えば、ものを調べるのに昔は図書館に行って調べていたのよ。今は、手元で瞬間で、タダで調べられるでしょう? 昔図書館に行っていたことを考えれば、どんだけ時間の節約になっているか。 インターネットの時代は、このテクノロジーが人を幸せにするツールだと僕は思っているのですが、それは使い方が正しい人ですね。

インターネットを上手く使ってさえいれば、人とのコミュニケーションは取りたい人と、最も長く時間が取れる時代ですよ。だから使い方だと思います。以上、誰も2番目を答えないで終わりましたね(笑)。

日本のIT企業が世界で勝てない理由

田中:2番目はちょっとタブーなトピックなんでしょうか? 森川さん?

森川:皆が本当にインターネットのサービスをつくりたいのかどうかが重要かなと思います。どういうことかと言うと、スポーツと一緒で、日本は昔、サッカーが弱かったですよね。なぜかというと、運動神経のある人は野球をしていたからなんです。

産業で言うとどういうことかって、大企業に行きたい人が多いということは、優秀な人がインターネットの会社にまだ行っていない、ということですよね。逆に言うと、皆がインターネットの会社に行きたい、皆がそこを目指す、そしたらそこからすごいものが生まれると思うんです。

日本って人口が1億人以上いるじゃないですか? 1億人以上いる国ってそんなにないんですよね、世界を見回して。するとその1億人の中の優秀な人が全部インターネットで新しいものを生みだそうとしたら、多分それは具現化できると思っているので、その違いかと思います。皆さん是非インターネット業界に行って、新しいイノベーションを起こして欲しいなと思っています。

成功する人が歩む道とは?

田中:ありがとうございます。最後にパネリストの皆さん、20代の学生、後は社会人になったばかりのオーディエンスが今集まっていますが、ひと言熱いメッセージを送っていただければなと思います。

千葉:皆さん、今日はありがとうございました。楽しかったです。僕、学生が大好きなんです。どれくらい大好きかと言うと、僕は副社長なんですけど、うちの代表の社長は馬場と言いますが、彼が学生の時に僕が色んな採用活動をしているなかで九州工業大学という大学のキャンパスまで探しに行って出会った。優秀だなと思ったところから、今こうやってご飯を食べさせてもらっている関係になっています。

学生の、しかも優秀な人が持つポテンシャルは底知れないと思っています。だから今日もこうやって休みの日に来ているわけです。その人達が社会に貢献できるようになるかどうか、世界で闘えるようになるかどうかは、育つ環境でめちゃくちゃ大きなインパクトが出るので。

もしかしたら弊社の馬場は、そのまま九州にいたら地元のSIer(システムインテグレーター)、システム開発会社に入って、そのまま地元にいたかもしれない。それをたまたまご縁があって、こっち側のインターネット界隈に2002年に来たお蔭で、10年間で今このポジションになっているという成長力。その社会のインパクト。

たったひとりの人材でこれだけ大きな力があるのであれば、日本のものづくりを本気でしたいと思っている人達が、どんどんインターネットの界隈、起業するもよし、会社に入るもよし。来れば来るほど間違いなく日本は盛り上がるはずなので、せっかくもうここに来ているということは、かなり意識が高い人達だと思うので、少なくともこの会場の皆さんは、ぜひ遅かれ早かれ、大企業を経てでもいいですし、どこでもいいので、人生の中でインターネット界隈に来て闘っていただきたいなと思います。

最後に宣伝。コロプラ、今年の夏初めてインターンシップをやります。僕が丹精をこめて、6年目にして初めてインターンシップをやろうかなと思っているので、相当レベル高いプログラムを用意して、本気の闘いをやろうと思っています。「コロプラ サマーインターン」で検索していただければ(笑)。今日はありがとうございました。

(会場拍手)

森川:僕はなるべく2つに分けるようにしています。やるかやらないか、進むか戻るかとか。結局成功する人というのは、やるかやらないかで言えばやるんですよね。前に進むか戻るかと言えば、前に進むんだと思います。非常に人生とはシンプルで、皆さんがもし本当に成功したいと思ったら、必ず、前に進むってほうを選び続けてほしいと思います。

熊谷社長の手帳を使わせていただいています。僕が20代の頃に決めたのは、歴史を変える人間になりたい。そのために何をすべきなのか、というのをずっと考えてやってきました。

歴史を変えるというのは、自分だけの欲望ではなく、世の中にとって求められているものを具現化するということだと思うんです。それは、人を幸せにする、社会を豊かにするということ、プラス課題を解決するということもあるし、そういうことを考えた時に……。

考えるのは誰でもできるんですよね。あとはやるかやらないかですよ。皆さん、今日、迷っている人がいっぱいいるのかもしれません。ただ、迷っている時間はあまり意味がなくて、迷っているならとにかくやる。そういう人生を歩んでほしいなと思います。頑張ってください。

(会場拍手)

熊谷:皆さん。夢とコンプレックス、この2つをバネに、笑顔づくりの、挑戦する人生。ぜひ第一歩を踏み出されて、歩まれてください。結果として、皆さんの人生も笑顔になると思います。そして、誰しも持っているコンプレックス。挑戦して結果が出た時に、このコンプレックスは感謝に変わります。感謝に変わったら、すごい豊かな気持ちになれるよ。ぜひお勧めいたします。やっぱりここはやんなきゃいけないと思います。ご質問いただきました皆さん(会場からの本日の質問者の名前を全て挙げる)、ご質問ありがとうございました。

(会場拍手)

田中さん:素晴らしい! それでは皆さん、これで午前中のセッションは終わりとなりますので、最後に千葉さん、森川さん、熊谷さんに大きな拍手を送っていただき、終わりにしたいと思います。ありがとうございました。