トレードノウハウとは?

中原良太氏(以下、中原):こんにちは。私、株式予報の中原良太といいます。今回は、トレード入門者が必ず抑えるべき「ノウハウの作り方」というテーマですね。30分ほどの時間を使って、講義をしていきたいと思います。

「ノウハウというのは、何なのか?」というのが、これから株式トレードをしていくにあたって、非常に重要なポイントなんですね。

「ノウハウって何なの?」っていうのを詳しく知らないで、ノウハウという言葉を使っているとか、アイデアとノウハウの違いを知らずに、ごちゃ混ぜにして使っているという方も非常に多くいらっしゃるんですね。

ここを間違えて勘違いしていると、どれだけ勉強したところで、利益を出しにくくなってしまう。多少利益は出せるでしょうけど、どんなに勉強しても、その効果が半減してしまったりとかですね。非常にもったいないことになると考えられます。

ということで、本講座の目的なんですが、利益を出せるノウハウというのを作るためのアイデアの組み合わせ方、というのを習得していただくのが目的です。

私がこれまで何回も、ノウハウとか、アイデアという言葉を別々で使い分けているかと思うんですけど。ここの定義を、まず明らかにしていきたいと思います。

一番はじめにお伝えしたいのが、トレードノウハウというのは何なのか? ということから、お伝えしたいと思います。

トレードノウハウとは、自分でコントロールできるすべての事柄を具体的にルール化したものです。私は、これをすべてまとめて、4W2Hというふうに呼んでいます。

私の著書の『株2年生の教科書』などでも、このトレードノウハウの作り方について、講義しているんですけれども。「自分でコントロールできるものをすべてルール化する」というのがノウハウと定義しています。

これは、1つでも抜けや漏れがあってしまうと、そもそもそれはノウハウではなくなります。ただのアイデアになります。こうすれば、なんとなく利益が出る気がするというアイデアでしかなくて、実際にそれを使って利益を出せるということまでには至らなくなってしまうんですね。

ということで、このノウハウの定義をしっかり押さえておいていただければと思います。トレードノウハウとは、自分でコントロールできるすべての事柄を具体的にルール化したものです。

じゃあ、ここでノウハウというのは、非常に重要なものなんだということがおわかりいただけたかと思うんですが、具体的に、アイデアとノウハウって何が違うんだ、というところを明らかにしていきたいと思います。では次のページに進んでいきますね。

思い付きはアイデアではない

この3角形のピラミッドのような図に注目してみてください。これが、3段階に色分けされています。一番下から一番上にかけて、徐々に実用性が高まっていくと考えてください。

ちょっと具体的なお話をしないと想像がつかないと思うので、さっそく具体的なお話をしていきます。

まず、一番下。知識の一番最下層にあるものは、「思い付き」だということです。思い付きは、損益の改善に結びつく可能性がある考えのことを示しています。可能性があるものですね。私たちがポッと思い付いた、こういうふうにすれば利益が出せるんじゃないかというような思い付きですね。

例えば、昨日、株価が10パーセント安くなった株は、利益を出しやすいんじゃないかとか。あるいは、逆に、上がった株だと損を出しやすいんじゃないかとか、という考え方のことです。

これはあくまで、損益の改善に結びつく可能性があるというだけで、実際に利益が出せるかはわからないです。これを思い付きと言います。思い付きは、アイデアではないです。

じゃあ、アイデアとは何なのか? アイデアとは、思い付きよりももっと重要度の高いもののことを示しています。トレードアイデア、重要度の高い思い付きのことを示しています。効果はあるが、単独では不十分。こういうものをトレードアイデアとして言っています。

例えば、さっき申し上げた前日比がマイナス10パーセントの場合は利益を出しやすいとか、そういう株を買ったら、利益につながりやすい。逆に、10パーセント上がってしまった株は、株を買っても損を出しやすい。というのは、思い付きの中でも、比較的、効果実証済みの思い付きなんですね。

実際にこの案というか、知識をトレードに活用するという方も非常に多いです。なので、思い付きの中でもかなり実用性が高い、重要度の高い知識です。ですので、実践しやすい知識ですね。

こういうのを、トレードアイデアと呼んでおります。なので、思い付きという全体がある中でも、比較的レベルの高い、実用性の高い、重要度の高いものをアイデアと、私は呼んでいます。

ですので、気軽にアイデアという言葉を使うのは、あんまり好きじゃないですね。なぜなら、アイデアというのは、重要度の高い知識、あるいは考えのことを示すものなんですね。

なので、重要度が低かったら、それは、ただの思い付きであって、アイデアではないですね。ということで、思い付きの中でも、とくに重要度の高いものがアイデアですよというお話をしました。

アイデアを組み合わせたものがノウハウ

では、最後は何なのか? おそらくあなただったら思い付いていると思います。一番最初に話した通り、一番上には、ノウハウというものがきます。

ノウハウとは何か? 適切なアイデアの組み合わせのことを示します。ノウハウが1つあれば、それだけで利益は出せると考えてください。ですので、アイデアをいくつも集めて、組み合わせたものがノウハウになるんだという考え方です。

先ほど申し上げた、前日比が例えば10パーセント下がったら買おう、10パーセント上がったら売ろうというアイデアがあったかと思うんですが、あれはアイデアです。これだけでは、実際に株を取引することはできません。なぜなら、これだけでは知識が不十分だからなんですね。

もしこれをノウハウにしようとすれば、何が必要かと言うと、例えば、10パーセント下がったら、どうやって買うのか。どんな注文方法を使って買うのか。どの証券会社から買うのか。なぜ、10パーセントさがったら利益につながるのか。いつ、どのような相場環境であれば買うのか。いくら分買うのかとか。

いろいろなポイントをすべて、アイデアを組み合わせてのノウハウが1つあれば、淡々とトレードすることができる。しかも利益を出すことができるというのが、トレードノウハウになります。

大抵の場合は、市場にいるトレーダーのほとんどが、トレードノウハウを持っていません。利益を出すための、アイデアの組み合わせというのを知らないですね。知識を持っていない、技術を持っていないということになります。

じゃあ、アイデアを持っているかというと、実際にアイデアを持っている投資家もごくわずかだと考えられます。実際に、重要度の高い思い付きと、重要度の低い思い付きを区別できるトレーダーというのは、ほとんどいないですね。

なので、実際、市場に参加しているほとんどのトレーダーは、思い付きでトレードをしています。思い付きでトレードをしている限りは、利益を出すことはできません。

なんとなーく良さそうだなと思ったことで、株を売ったり買ったりして、利益が出たらラッキー、損が出たらアンラッキーという具合ですね。これではギャンブルと何もかわらないという状況になります。

思い付きからトレードアイデアに、知識、技術を昇華していく、レベルアップしていくためには、過去の相場で、効果を実証していく。過去の相場でも、本当にその傾向が見られたのか、その思い付きが正しいものだったのかっていうのを実証していく必要があるんですね。

思い付き、アイデア、ノウハウという順で、知識は昇華していく、レベルアップしていくという具合です。ということで、思い付き、アイデア、ノウハウ、この違いが明確になってきたかと思います。あなたはいかがでしたか? 自分が投資するときに、あなたは本当にノウハウを使って投資していましたか? 

それとも、自分の思い付きで投資していたかもしれないですね。あるいは、アイデアで投資をしていただけで、本当に具体的なところまで詰め込んでなかったのかもしれません。

いずれにせよ、トレードノウハウを持たずして、継続的に利益を出すのは非常に難しいと考えられます。ですので、もし今あなたが、トレードノウハウを持っていないのであれば、ノウハウを1つずつ習得していくのが、非常に大事だと考えています。