生肉を食べる危険性

ハンク・グリーン氏:あなたは刺身を食べている時に、ふとこう思ったことはないでしょうか?

「なぜ生の魚は食べるのに生の鶏は食べないの?」。

実際のところ、生の肉を食べるというのは、それがどのように畜殺され、保管され、料理されているかに応じて、どのぐらいの健康上リスクをもたらすのかが決まります。

しかし、異なる動物には異なる寄生虫が住んでおり、ある動物は人間にとって比較的安全だったり、逆に害をもっていたりします。そのなかでも、魚は安全な部類に入ります。

魚は通常ヒトに対して有害な細菌を保有していませんが、条虫や吸虫のような寄生虫の幼虫に注意しなければなりません。感染した生魚を食べると、幼虫は成熟して臓器にすみつき、深刻な被害を引き起こします。魚を凍らせて保管すると、寒さで寄生虫や細菌が死ぬこともありますが、魚を調理することが、感染症を抹消する最善の方法です。もしあなたが食べる寿司が、驚くほどきれいなキッチンで作られているのであれば、食べても大丈夫でしょうが。

では、牛肉や鶏肉、豚肉のようなほかの肉はどうでしょうか?

サルモネラ菌や大腸菌のように、これらの動物に生息している細菌は、魚に住んでいる細菌よりも人間にとって危険なことが多いです。多くの有害な微生物は、私たちがステーキとして食べている筋肉ではなく、牛の腸内に生息しています。しかし、肉屋さんが牛の腸管に穴を開けてしまうと、牛肉が汚染されて、ステーキの表面に細菌を持っている可能性があります。

たいていの場合、ほどよく焦げるほど調理すると感染物を殺すのに十分であり、すでに滅菌されているため、お肉内部が赤く残っていたとしても問題ありません。

肉の表面に生息する病原菌が内部に混入するため、ひき肉はステーキよりも危険です。さらに、複数の動物の肉を含んでいる場合は、1匹でも汚染された牛がいると、その牛肉全体に対して悪影響を及ぼしてしまいます。そのため、完全にレアのハンバーガーを注文することはおすすめしません。

牛肉よりもさらに有害な微生物を持っている可能性のある危険な生肉は、鶏肉と豚肉です。

感染性の下痢を引き起こすカンピロバクター属は、鶏の腸内に潜んでいます。養鶏場が多くの鶏を保有して衛生状態が悪くなると、たくさんの鶏が汚染される可能性があります。

一方、豚の場合は旋毛虫という寄生虫が昔から腸内に潜んでいましたが、近代的な農業の手法によってそれらの寄生虫が広がらないようになっています。幼虫は豚の筋肉組織の中に嚢胞を形成するため、感染した豚を食べてしまうと、それら寄生虫があなたの腸に住み着いてしまいます。

そのため、豚の場合細かく切って料理してから食べるようにしましょう。