営業利益の回復と為替の影響

司会者:それでは、質問がある方はいらっしゃいますでしょうか? では、後ろの女性の方。

質問者1:今期の業績について、2つ質問があります。まず営業利益の回復なんですけど、前年同期に1回、16.9パーセント落ちたのが、それくらい戻った水準かなという印象です。今、価格戦略も順調で、この金額が継続してさらに大きな回復が見込めるかということが1点目です。

岡﨑健氏(以下、岡﨑):まず業績について、業績予想で申し上げている通り、営業利益については大幅に改善させていきたいと思っておりますし、現在、実現できる状況で進捗を考えております。

去年の上期、その前期の下期から、売上成長の鈍化と、売上成長に対する経費の膨張が問題になっておりましたが、過去1年でそこの修正が相当進んできておりまして、ここから売上の伸びを、利益の改善を伴うかたちで考えていますので、そういう意味で構造改革できたのかなと考えております。ここから先、売上をどんどん伸ばしていくということを頑張ってやっていきたいと思います。

質問者1:為替の影響で、海外の利益に関してはマイナスだったけれども、外貨建ての資産の換算はプラスだったということも、詳しく教えていただけますか。

岡﨑:外貨建ての金融資産というのは、金融収益費用のところに関する数字だと思いますけど、これはドル建てで余剰資金であるとか、投資のために確保している資金を保有しておりまして、ドル建ての金融資産の評価額が円換算していくと、円安によってプラスになるというところが、プラスに寄与したというところです。

去年はまったく逆にマイナスに換算損ということで出ていたというところですが、今回は換算益ということで出ていて、これは実態としてあまり大きな意味は持たないかなと思っております。

ドル資金の確保をしっかりとできていると思うので、今後海外に事業を展開していく上では、準備は十分整えられているし、今後もドル高が進んでも問題はないと考えております。

「毎日お買い求めやすい価格戦略」の見通し

質問者2:日経新聞のイワタです。12月の足元の数字が少し計画を下回っているということかと思いますが、セールを抑制して、「毎日お買い求めやすい価格戦略」ということで。

セールはお客さんを集客する1つのツールであると思いますが、そのバランスが今、またさらに問われるかたちになるかなと思います。

足元の状況を今どう見ていて、今後売上を伸ばせば利益もついてくる体制になっているというなかでの、売上を伸ばす余地をそこでどのように生んでいくのかというのは、今、どうお考えでしょうか?

岡﨑:まず消費環境としては、お客さまの価格に対する感応度が非常に高いという認識を持っています。これはアパレルはとくにそうだと思いますし、消費全般そういうことかなと思っています。

そのなかで、価格に対する信頼性を維持するという意味もあって、「毎日お買い求めやすい価格戦略」というのを展開してきているんですが、同時にやっぱりお客さまはニュースであるとか、イベント性を求めていらっしゃるので。

今回やっていますように、わかりやすいかたちでセール期間を作り、そこでいろんな集客のためのイベントも合わせながら、買い物を楽しんでいただけるような機会、それからお得に買っていただけるような機会、これは積極的に作っていかなければいけないと思っています。

これは、「毎日お買い求めやすい価格戦略」と両立していくべきものであって、このどちらかだけでは売上が伸ばせないと思います。どちらかが偏ると、当然収益性を損なうことになると思うので。

このバランスはだいたい見えてきているところがあると思うので、より継続・強化していきたいなと思っています。

国内の消費者動向

質問者3:NHKのイワモトです。国内と海外で2点ございます。国内は、やはり「お客さまの価格に対する感応度が高い」というご発言がありましたが、改めて今の消費動向・経済動向をどう見ていらっしゃるのかというのが1点目。

もう1点、海外なんですが、今日トランプ氏の会見もありましたけど、御社の海外、米国の事業にどのような影響があるかとか、ご所感があればよろしくお願いします。

岡﨑:1点目についてなんですけれども、消費全般ということは、やや我々の立場からは言いすぎかもしれませんが、少なくとも我々の業界で感じうるかぎりにおいては、消費者は非常に買い物に対して慎重になられていると思います。

いいものであれば買われますけれども、無駄な支出はしないというスタンスが非常に鮮明かなと思っています。価格に対する感応度が高いですし、単純に安いというものではなくて、お得感であるとかニュース性のある、そういう買い物に限ってお金を使うということですから、そのなかにいかに入っていけるのかということが我々の問われているということかなと思います。

2点目については、この先どうなるかというのは、正直まだわかりませんので、コメントは差し控えさせていただければと思います。

海外ユニクロにおける顧客獲得戦略

記者4:日経新聞のイワモトと申します。中国についておうかがいしたいんですけれども。値引きをコントロールできたということは、値引きを抑えても買ってもらえる人が増えたということですよね? 消費環境をどのように見ていらっしゃるのかというのを教えてください。

岡﨑:中国についても、基本的に日本と同じように、毎日お買い求めやすい価格戦略ということで、マーケットにおける競争力の観点から価格を見直して、低位に据えて、週末の値引きを抑制するというかたちを基本にしてきています。

これに加えて、中国の場合はいろんなイベントが多いお国柄でもありますので、そういうタイミングに合わせて、我々は積極的にセール期間とかイベント期間を作って集客を図ってきたということなんですが、そういう取組みが非常にうまくいったということかなと思います。

消費マインド全般については、少なくとも我々の業界に関して見るかぎり、中国大陸については引き続き堅調かなと思っています。

前から申し上げていますけど、どちらかというと、その周辺の台湾とか韓国とか、香港のほうがやや弱くて、中国大陸についてはとくに景気の変調というものは、我々の業界においては感じていないというのが実感になります。

GU事業の減益要因

質問者5:GUについておうかがいしたいんですけれども、足元で計画を下回っていたということなんですが、下期にかけてどういう影響が悪かったのか、どういった対策をとられているのかというところを教えていただければなと思います。

岡﨑:GUは、ユニクロ以上にファッションに振ったポジショニングを取っておりますので、ある意味そのシーズンのトレンドを読んで、それに合わせた商品展開をしているというかたちになります。

去年は上期、それで非常にうまくいきました。具体的にいうと、ニットキャンペーンであるとかワイドパンツの打ち出しをやったんですけれども、これが非常によかった。逆に言うと、上振れしていたという状況です。

今期については、細かい話をすると、プリーツスカートみたいなものを打ち出していたんですが、これが思ったようには伸びなかったというところです。

やはり伸びないと、ある程度の在庫もあるので、値引きもしなければいけないしということで、そういう意味で、入り方のリズムを上期は崩したというところがあるということなんですが。

売れていないかと言われると、10月・11月はしっかり増収にもなっておりますし、12月も、ちょっと減収にはなったんですけれども、構造的な問題が起きているということよりは、去年ほどはトレンドをうまく当てられなかったところがあるかなと思っています。

下期については、先ほどご説明したような商品を強化しておりまして、手応えは非常にいいということと、あとは経費についてご説明したように、一時的な要因で物流費が上がったりというようなこともありました。

そういった要因がなくなってきますので、下期は利益面については回復をしていけると思っています。できれば、通期で上期の減益分については取り戻していきたいなと考えているということです。

司会者:それでは、これで質疑応答を終わりにさせていただきたいと思います。本日はお忙しいなか、誠にありがとうございました。

岡﨑:ありがとうございました。