最高料率の求め方

ヤマモト:どうも、みなさんこんにちは。私は、日本証券金融株式会社、貸借取引部のヤマモトと申します。

今回は、制度信用取引をより深く理解したい、そんな投資家のみなさまに向けて、逆日歩に焦点を絞って説明いたします。

「逆日歩はどうやって決まるのか? その2」を始めたいと思います。その1では、基本的なルール、逆日歩の決まり方を中心にお話ししました。今回はそれを少し深掘りしていきたいと思います。

品貸入札では、0銭から銘柄ごとに定められる最高料率までの間で応札を受け付けると、Part1では説明いたしました。つまり逆日歩は、原則、0銭から最高料率までの間で決まるということになります。

この最高料率は、貸借値段、株価と考えてください。株価と売買単位、そしてその銘柄が株式かETF(上場投資信託)か、などで決まっていきます。

日証金のホームページには、最高料率を確認する表、最高料率早見表も掲載しておりますので、そちらもぜひ見てみてください。

今回は、試しに株式の最高料率を求めてみましょう。ある銘柄があるとします。売買単位が100株、株価、貸借値段が880円とします。この場合、最高料率はいくつになるでしょうか?

まず、売買単位が100株ですから、この青と緑の表でいいますと、青の表を見ます。そして、株価が880円ということになりますので、900円以下のところを見ますと、最高料率が1.8円ということがわかります。この銘柄については、最高料率は1株あたり1.8円となります。

それでは、売買単位が1,000株、そして貸借値段が680円ならばどうなるでしょうか? 売買単位が1,000ということになりますと、緑の表を見まして、株価が680円ですから、700円以下のところを見ます。そうしますと、最高料率が1株あたり1.4円ということがわかるわけです。

ご注意いただきたい点は、あくまでもこれらの数字は最高料率、決まりうる逆日歩の上限ということでありまして、実際に品貸入札で決まる逆日歩とは違うものということには、ぜひご注意ください。

倍率適用について

このように決まる最高料率ですが、銘柄の状況によっては、最高料率が倍率適用となることがございます。ここではどのような状況で倍率適用になるのかを説明いたします。下の表をご覧ください。

上から見ていきますと、①配当等の権利付銘柄については、権利落日の6営業日前から2営業日前までは最高料率が2倍になるということがわかります。

また②の権利付銘柄は、権利落日の前営業日、つまり権利付最終売買日については、最高料率が4倍となるということになります。

また、別の章でご説明いたしますが、③の注意喚起通知を行っている銘柄、そして④の申込停止を行っている銘柄、これらの銘柄についても最高料率は2倍ということになります。

このように銘柄の状況によって最高料率が倍率適用となります。

ここでもご注意いただきたい点は、最高料率があくまでも倍率適用になるというところでございますので、実際に決まった品貸料率、それが倍率適用になるということではございません。

例えば、実際に決まった品貸料が5銭ということでしたら、それが2倍、4倍になるということではないということには、ぜひご注意ください。

品貸入札の平均銘柄数

それでは、実際に品貸入札で結果はどうなっているのかを見ていきます。ここでは、2014年1年間を通して、品貸入札の1日あたりの平均銘柄数をグラフにしています。

まず、制度信用売りを行える貸借銘柄、こちらは2,000銘柄以上となっております。そのうちに貸株超過となり、逆日歩が発生する可能性があった銘柄は、約500銘柄となっております。

そして、そのうちで実際に逆日歩が有料となった銘柄については、その貸株超過銘柄の半分程度の約250銘柄となっております。また、最高料率をつけた銘柄は、1日あたり約2銘柄という結果でございました。

まとめ

それでは、今回のまとめをしたいと思います。

逆日歩は、原則、0銭から各銘柄の最高料率の間で決まることとなります。その最高料率は貸借値段、株価、そして売買単位、その銘柄が株式かETFか、などによって設定されます。

その設定された最高料率についても、その銘柄が制限銘柄、そして決算銘柄であった場合には、倍率適用がされるということになります。

ここまでで、逆日歩がどのように決まるのか、それについては整理ができたかと思います。Part 3では、よくある逆日歩についての質問をお答えしたいと思います。

それでは、「信用取引についてより深く知る! Step 2 逆日歩はどうやって決まるのか?」を終了したいと思います。ご視聴ありがとうございました。