2016年末の時点で『プペル』23万部を突破

西野亮廣氏(以下、西野):また新作ですか?

のぶみ氏(以下、のぶみ):今、ちょっと、毎週描いてるんですよ。一応。よかった。ごめんなさいね、気遣わせて。

(西野氏の服を見て)あ、それはいただいたやつだ。この前。かっこいいわ。

山口トンボ氏(以下、トンボ):さあ、西野さんがやってまいりました。

西野:すみません、遅くなりました!

のぶみ:売れっ子だよ~。おめでとうございます。23万部?

トンボ:23万部!

のぶみ:これはきたなー! でもなんか、僕が見てた感じだと、やっぱり10万くらいまで、僕のときも同じだったけど、10万くらいまで押し上げないといけないんですよね。自分でね。

西野:っていうことですよね。なんか、そんな感じでしたね。

のぶみ:なんか、20までいくまでは、スルスルスルって、パパパって、もう拍車かかったなみたいな感じが出てたなと思ったんですけど、どうでした?

西野:10万くらいまでは、自分もそうやし、うちのチームも、マネージャーも全員で、あの手この手で作戦を練って売るみたいなのをやったんですけど、どこかでやっぱり、自分たちの手を離れて、バッと転がった瞬間は(あった)。転がったのは、10万より先ですね。

10万まではやっぱり自分たちで、自力でいかなきゃいけなかったですけど、そこから先は、なんか勝手に。

のぶみ:もう1回離さないといけないんですよね。たぶんね。1回そこらへんまでいったら、逆にたぶん、パーってやったほうが。

西野:どうなるんだろう、ここから。ここからですね。

のぶみ:まあまあ、有料のほうでもいいですけど。これは、映画化きたんじゃないですか。

トンボ:映画化。プペル!

西野:映画ね。そうですよね。そっか、そっか。そういう話も。いろいろ決まったんですよ。

トンボ:そうですよね。ちょっと決まったものを、言える範囲で有料のほうで。

のぶみ:たぶん今、西野さんの言うことがけっこう監視もされてるだろうから。すぐニュースになってしまう可能性が高いからね。

西野:なるほど。

トンボ:有料だったら、なに言ってもいいみたいのもちょっとおかしいんですけどね(笑)。

西野:そうですよね(笑)。

のぶみ:そうなんですけど。けっこう、それはログミーの人たちもわかってるらしくて、使わないようになってるので(笑)。

次回作はもうできている

西野:でも、のぶみさんすごいですね。毎週ですか?

のぶみ:毎週描いてます。『ママがおばけになっちゃった!』って、やっぱり意識しちゃうから、描くことで消してますね。自分の過去を。「1回売れたら、次も売れる」っていう世の中じゃないということが判明したんですよ。

西野:へ~!

のぶみ:だから、ちょっと慎重にいかないと、やばいなとは思ってますね。

西野:のぶみさんで、やばいなと思うんですか?

のぶみ:やばいなと思いますよ。やっぱり、そんなに甘くないんだなって。前、もうちょっと本が売れてる時期だと、売れてるやつの続編は必ず売れるって言われてたから。

そうじゃないんだっていうのが、だいたいわかってきたので。あ、すげえことだなと思いましたけどね。

西野:2016年で何作出されたんですか?

のぶみ:10作出しましたね。

西野:すごいな。

のぶみ:一応、来年も書こうと思ったんですけど、ちょっと戦隊家族シリーズは、1回1月にやめて、ちょっと毎週描いて、なんか自分の新しいやつを見つけないと、遠くまでは進めないなと思いましたね。

西野:よく出てきますね。そんだけポンポンね。

トンボ:お話がね。

のぶみ:お話は、出てくるんですよ。だから、次のやつとか、ちょっとドキドキはしますよね?

西野:次回作ですか。もう僕は、次回作はできてるんですよ。もう書き終わっていて。これをどうやって形にするか、そういうところになってるんですけど。でも、次回作、どうなんだろうな。

のぶみ:怖いは、怖いですよね。

西野:自分のなかでは、すごく気に入ってるので、「出せたらいいかな」とか思っちゃってるんですよね。『えんとつ町のプペル』くらい、バーって売れるのかなぁ。そんなに甘くはないとは、そら思ってるんですけど。まあでも、出したいなと。

のぶみ:出すべきは、出すべきなんですよ。

西野:なんて言うんですか。売上が、例えば1,000部って言われていても、「これは世の中に出したい」みたいな。次回作はそんなので。

のぶみ:1,000部はあり得ないと思うけど。たぶん初版部数が高くなると思うんですよね。そこからだよね。

西野:あ、(コメントにて)「次回作、感動でした」。実は、ちょっと読んでるんですよ。

トンボ:僕も聞きたいな。

西野:文章だけ。東京キネマ倶楽部で。読み聞かせではないですけど。文章だけを読むっていうのをやっていて。

のぶみ:泣くって聞きますよね。

分業制はスタッフの取り合い

西野:あと、やっぱりアニメとかと一緒で、僕は分業制なので。要は、今のアニメ業界もたぶんそうだと思うんですけど、スタッフの取り合いなんですよ。

トンボ:あ~なるほど! そらそうですよね。

のぶみ:そっか、そっか。作りたいからか!

西野:優秀なスタッフの取り合いになるんですよ。たぶんあれでしょ、今、日本のアニメが盛り上がってるのは、ジブリが解散したからでしょ。要は、ジブリのスタッフがいろんなところで、『君の名は。』のほうへ行ったりだとか、っていうことでしょ。

あの感じで、やっぱり、アニメスタッフさんとは別ジャンルではあるけど、優秀なスタッフさんというのは、それなりに仕事を抱えているので。

のぶみ:スタジオポノックっていうのがジブリから独立してできて、『(借りぐらしの)アリエッティ』とか『思い出のマーニー』の監督が、今、『メアリと魔女の花』というのを……来夏公開ですもんね。あのときも、たぶん取られてるんですよね。ジブリ側からスタッフが。

トンボ:しかも、長期で取られるわけですもんね。

西野:そう。

のぶみ:細田さんもやってるだろうしね。

西野:アニメのスタッフさんとは、また違うところなんですけど、この人いいなっていうスタッフさんは、別の仕事をされていたりだとか。「なるほどな」と思ったんですけど、ジブリでも絵本とか出てるじゃないですか。

トンボ:出てますね。

西野:でもね、僕、あんまりそそらないんですよ。やっぱりジブリは動画で見たいし、映画で見たいんですよ。例えば、『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』、すごくよかったじゃないですか。映画で。でも、あれが絵本になってたら、そんなになんです。

のぶみ:絵本も出てますけどね。

西野:でも、そこはそんなに……。なんだろうな、やっぱりね、絵本が、CGみたいな感じが強すぎると、それはそれで、「これ映画でみたいな」ってなる。

のぶみ:僕もそう思ってたから、『えんとつ町のプペル』がおかしかったんですよ。その基準でいくと、それは売れないはずなのに、売れてるから。俺は、やっぱり今回成功したのは、光る原画もすごく力入ってたと思いますよ。あと、絵のクオリティが。

西野:あ、『アナ雪』もそうでした。『アナ雪』も絵本出てるんですか?

のぶみ:『アナ雪』も絵本出てますね。アニメの絵本ですけどね。

西野:やっぱ出てるんですか。なんか、映像ではあんなによくできたものが、絵本に落とし込んだときに、あんまりそそらないみたいな。

トンボ:同じ絵だとちょっと違うんでしょうね。

西野:やっぱり紙ですね! 紙とブラウン管は違うみたいな。

『あらしのよるに』大ヒットの理由

のぶみ:ただ、今のところ、僕らの先輩方がやってる範疇では、ですけど、絵本原作の映画をやった場合に、絵本は100万部突破しますね。

西野:へ~。

のぶみ:これは、けっこうな確率でそうですね。ただ、やれる人がいないですよね。あんまりね。

西野:絵本原作の映画ですか。

のぶみ:たぶん、僕か西野さんくらいだと思う。別に、驕った意味じゃなくて、今の感じで。

西野:切符を渡されているのが。

のぶみ:たぶん、チャンスを頂けるのは、僕か西野さんだと思うんだよね。

西野:(コメントにて)「あ、『あらしのよるに』だ」って。『あらしのよるに』がそうなんですか?

のぶみ:そうそう。『あらしのよるに』は、木村裕一さんと言って、僕の大先輩なんですけど。やっぱり、280万部いきましたからね。

西野:そもそも『あらしのよるに』は、なんで売れたんですか? 映画になる前は。なにがそんなによかったんですか?

のぶみ:『あらしのよるに』っていうのを説明すると、真夜中に小屋に入って、真っ暗なときに、ヤギとオオカミが出会って。オオカミだということがわからないヤギ、ヤギだということがわからないオオカミ、っていうやつでやってて。

暗闇の中で仲良くなるんですけど、最後、明日どうなるかわかりませんよって言って。明日会う約束を、このヤギとオオカミはしたんだけど、明日どうなるかわかりませんよっていうことにしたんですよ。

西野:なるほど。

のぶみ:木村裕一さんは、続編はないと思ってて、ここで切るのがかっこいいとすら思ってたんですよ。そしたら、全国の小学校とかで、このあとどうなるんだっていう作文をみんなが書いたんです。

西野:ああ、そういうことか。

のぶみ:参加型になったんですよ。それで続編が出て、というのをずっと続けてて。だけど、映画化になる直前の部数は、5冊か6冊くらい出てて、累計で29万部だったんですね。それから280万部になったから、もうおよそ10倍ですね。

西野:すごいなぁ。

トンボ:見たら、ゲームとかにもなってますね。これね。

西野:一大ブームだったんですね。

のぶみ:あと、『あらしのよるに』は、原作の木村裕一さんが脚本を書きましたね。もう、それはすさまじい忙しさのなか、書いてましたね。僕、間近で見てましたけど。

西野:絶対にそうだよな。

トンボ:でも、それ嬉しいっすよね。

のぶみ:西野さんがやるとしたら、絶対、監督か脚本って言われるでしょうね。

西野:脚本やりたいですね。僕、どっちかと言ったら。

トンボ:絶対そうやって携わってたほうが、いいですよね。

西野:脚本やりたい!

のぶみ:監督はもうありえない感じなんですよね?

西野:いや、そうでもないですけど、どうなんだろう。おもしろい監督がいたら……というか、おもしろいほうがいいと思うんです、絶対に。脚本に関しては、たぶん僕のほうがおもしろいから、僕がやるんですけど。僕、監督はど素人ですから、すごく優秀な人がいたら、ぜんぜんお任せしたいですね。もし、映画化の話になったらね。