睡眠に関するさまざまな研究結果

オリビア・ゴードン氏:みんなが「ものの取り過ぎ」について話す時、普通はケーキやファストフードなど、身体に悪いものを食べ過ぎることに対してそういう話をします。

では、自分の健康や生活に不可欠なものに関してはどうでしょうか。

例えば睡眠はどうでしょう。実は「睡眠のとり過ぎ」もあるのです。ほとんどの人は1日7~9時間の睡眠を必要としますが、睡眠の取り過ぎは、うつ病、心臓病、糖尿病などの健康問題と関連があるのです。

例えば2014年に894組の双子を被験者に行われた研究では、毎晩7時間睡眠の人に比べて、9時間かそれ以上の睡眠、あるいは7時間より少ない時間しか寝なかった人のほうが、うつ病の遺伝的リスクが増すことがわかりました。

つまり、睡眠不足でも睡眠過多でも、環境的要因に反して、遺伝的要因でうつ病を発症する確率が上がることがわかったのです。

40万人の台湾人の成人を対象に行われた睡眠習慣に関する研究によれば、一晩4時間以下しか睡眠をとらない人たちと、一晩8時間以上睡眠をとる人たちでは心臓病のリスクが同等だったのです。

睡眠不足の被験者の心臓病のリスクが35パーセント増加したのに対し、睡眠過多の被験者では34パーセント増加しました。

また2009年に発表されたほかの論文によれば、276人の被験者を6年間にわたり観察したところ、7時間以下、または8時間以上の睡眠をとった人たちは、二型糖尿病を発症したり、グルコース耐性のトラブルを抱える可能性が少なくとも2倍に上がることがわかりました。

ほかにもあります。約5万4,000人の44歳以上の成人を対象にして行われた2013年の研究では、睡眠過多と心臓病、糖尿病、肥満、発作、そして精神健康問題の増加率に関連があることが分かりました。

実際、心臓病、糖尿病、発作の発症率に関しては、睡眠過多の人の方が睡眠不足の人よりも高いことが分かっています。そうです、睡眠はさまざまな健康問題と関係があるのです。

しかし、睡眠過多が実際にそのような問題を引き起こすのかどうかははっきりと言い難いのが現状です。睡眠過多自体が、うつ病や心臓病の症状であるということができますし、そのほかの健康問題と関係があるのかもしれません。

いずれにせよ、慢性的に睡眠を取り過ぎるのは健康に問題があるというサインかもしれません。