株式投資のリスクを下げる3つの方法

中原良太氏(以下、中原):では、リスクを下げる方法には具体的にどのような方法があるのか。私は3つの方法があると考えています。

まず手段1が、リスク管理(資金管理)を見直すという方法です。

手段2が、エグジット(保有期間)を見直すという方法。

手段3が、スクリーニング(銘柄選別)を見直すという方法です。

私は、この3つの方法しかないと思っています。なので、この3ステップをすべて網羅しないと、もうリスクは下がらないです。この手段のうち1つでも欠けるとうまくいかないんじゃないかなと思います。

ということで、各ステップについてご紹介していきます。

リスク管理(資金管理)の方法

一番最初にご紹介するのが、リスク管理(資金管理)です。

要するに、いくら買うかとか、何銘柄に分散するか、というのが非常に大事なんですね。それでドローダウン、損を減らすために重要なのは、リスクが大きすぎないように、適切にリスク管理や資金管理を実践していく必要があるということになります。

具体的には、リスクが大きい場合は、銘柄の分散数を増やしていく。1銘柄にドーンと集中投資するのではなくて、銘柄分散数をどんどん増やしていくという方法が1つ。

2つ目は、そもそもの投資額を減らしてしまうという方法です。100万円投資していたところを50万円にしちゃうという方法ですね。

3つ目は、間隔を空ける。これは同じタイミングで投資をしないということですね。例えば、リーマンショックやライブドアショックのように相場が大荒れしているときというのは、それだけ相場が読めない、先読みできない状態です。もう本当に不安定な状態だと。

いつ上がるか、いつ下がるかわからないという状態ですから、こういうときに集中してドーンと投資してしまうよりかは、その時にはこれだけしか投資しない、でもある程度先行きが見えてきたところで投資していきましょうというふうに、時間の間隔を空けることが大事だと考えています。

もちろんリスクが大きい場合も問題ですが、リスクが小さすぎるというのもダメです。なぜかというと、リターンも小さくなってしまうから。なので、リスクが小さすぎる場合は、分散数を減らしてグッと集中投資するか投資額を増やす。

まあ、1銘柄10万しか払ってなかったところを、100万に増やしていくとか。あるいはタイミングもわざわざ分散しないで、一気に投資していくというのも、1つの方法だと思います。これが一番初めに注目すべき、リスク管理というポイントでした。

エグジット(保有期間)とリスクの関係

2つ目、エグジット(保有期間)です。リスクを考えるときに、1つ想像していただきたいポイントとして、天気予報の法則というのがあります。これは僕が勝手に名付けたんですけど。

これは何かというと、明日の天気予報と1週間後の天気予報の2つを想像してみてください。明日の天気予報は、まあ8割5分とか、それぐらいの確率で当たるんですよ。1週間後の予想は6割ぐらいしか当たらないんですね。(明日の天気予報の)半分ちょいぐらいしか当たらないんですよ。

ということで、天気予報は明日のことはほぼ確実に当たるけど、1週間後のことはあまり当たらないのが普通ですよね。これはどういうことかというと、明日のことはローリスクなんですよ。

だいたい当たるから、あまり不確実ではないんです。ただ、1週間後のようにだいぶ離れたときになるとハイリスク。不確実、なかなか当たらない、予定通りにいかないということになっていきます。

ですので、ここは非常に大事なんですけれども、保有期間が短ければ短いほど、リスクは小さくなります。だいたい当たるようになっていきます。逆に、保有期間が長ければ長いほど、リスクは大きくなっていきます。

まあ当然ですよね。明日で動ける株価には制限がありますから。だいたい±10パーセントしか動かないんですけど、1ヶ月後には半分になっちゃってるかもしれないし、1.5倍になってるかもしれないし、変動幅が大きくなると。まあ当然と言えば当然です。

ということで、保有期間が短ければ短いほど、リスクは小さくなります。長ければ長いほど、リスクは大きくなっていきます。

ということで、このポイントを押さえながら、もし今、リスクが大きすぎる場合、リスクを小さく押さえたい場合は、保有期間を短くする必要があります。

逆に今、リスクが小さすぎる場合は、もっと意図的に保有期間を長くして、リスクを増やして、リターンも増やしていくことに注力していく必要があると考えられます。ということで、保有期間がリスクに密接に関係しているというお話でした。

たいていの方はこのエグジットのところを軽視して、うまくいかないんです。「いつ株を売るか」というところまできちんと計画することで、損をギュッと圧縮することができます。ということで、2つ目のポイントでした。

スクリーニング(銘柄選別)は慎重に

最後に3つ目のポイント。スクリーニング(銘柄選別)です。どうやって株を選ぶか。エントリー条件とか、株を買うための注文方法とか、いろいろあるんですけれども、要するにそういうことです。注意すべきポイントは1つしかありません。

何をすればいいかというと、平均損失の大きな銘柄の排除。これはとくにシステムトレードをやっている方は要注目です。例えば、ボラティリティが大きすぎる株というのは明らかに危ないですよね。

それこそ、毎日ストップ高になってるとか、毎日ストップ安になってる銘柄というのは、とてもじゃないけど、買ったり売ったりできないとか、もう心理的に無理だと。なんかもう疲れちゃって、安心できない、もう夜も眠れないということになってしまって本末転倒ですので、こういうリスクの大きな銘柄というのは、意図的に排除していく必要があります。

とくに注目すべきは、平均損失です。過去の相場のバックテストをしてみて、1トレードあたりの平均でどれぐらい損失が出たのか、5パーセント損をしたのか、それとも10パーセント損をしたのかを確認することで、リスクの大きい銘柄をジワジワと排除していくのが大事だと考えています。

このときには、カーブフィッティングしないように、過剰最適化しないように、条件式は慎重に選ぶ必要があります。そのためにも、この平均損失という統計的な数字を見ながら、意思決定をしていくのがいいんじゃないかと考えています。

本日のまとめ

最後にまとめにいきます。

一番最初に、リスクとは何かというお話をしていきました。リスクとは不確実性だと。 このリスクを下げることが、自分の損を圧縮するために、非常に大事なポイントになってきます。

では実際に、リスクを劇的に下げる、ドローダウンを劇的に下げるためには、何をすればいいのか。その3ステップがこちらです。

一番最初に注目すべきは、リスク管理(資金管理)。

2つ目がエグジット(保有期間)。エグジット(保有期間)のところでは、天気予報の法則がありました。こちらぜひ覚えておくと、リスクを下げやすいので、ぜひご活用ください。

3つ目がスクリーニング(銘柄選別)。こちらはカーブフィッティングしないように、できるだけ統計的な数値を使って工夫をしていくようにしましょう。

注文方法はカーブフィッディングしづらいので、平均損失の大きな銘柄を除外するとか。こういったところで攻めていくと、非常にやりやすいんじゃないかなと思います。

効果としては、リスク管理が一番劇的に効果を発揮します。次がエグジット。3つ目がスクリーニング。どれも欠けちゃいけないんですけど、この順位でチェックしていくとやりやすいと思います。

今回は以上で終わります。この3つのポイントは本当に大事なんですよ。投資家として長生きするために必要不可欠な生命線だったりします。

この3つを知らなかったら、すごい危ないことをします。前ポッドキャストでもご紹介しましたけど、100万円を1銘柄にドンって全部入れちゃうみたいな、そんなことをやっちゃう人もいるんですよ。それは危なすぎるので、絶対にやっちゃダメ。

そういうことをしないように、リスク管理の3ステップを押さえていただければと思います。