2016年、今年の漢字

司会者:みなさま、本日はお忙しいところお集まりいただき誠にありがとうございます。ただいまより、2016年「今年の漢字」の発表及び奉納儀式を行います。

私は本日の司会を務めさせていただきます、バン・ユカと申します。

本日、2016年今年の漢字の発表に際し、主催者並びにご協力いただいております清水寺様より各代表にご出席いただいております。公益財団法人日本漢字能力検定協会より、代表理事会長、漢検 漢字博物館・図書館館長、髙坂節三。

そして、当清水寺より、貫主・森清範様にご列席をいただいております。そしてこのように、この境内にも大勢のみなさま方にお越しをいただいております。報道陣も例年よりも一層多いかと思います。今年の漢字はどのような漢字なのでしょうか。

それではここで「今年の漢字」についてご説明いたします。「今年の漢字」はみなさまがこの1年を振り返り、世相を表現する漢字一字を考えることで、漢字の持つ奥深い意義を再認識していただこうと1994年より毎年実施してまいりました。

全国から今年の世相を表す漢字を募集し、もっとも応募数の多かった漢字を、ここ京都の清水寺で発表しております。

そんな「今年の漢字」も今回で22回目を迎えます。第1回目の1995年は阪神淡路大震災やオウム真理教事件が発生するなど、社会を震撼させるショッキングな出来事や、大リーグでの野茂投手の活躍が、国民の心を震わせたことなどが理由で、「震える」、「震」という漢字が選ばれました。

また、今から4年前の2011年には、東日本大震災という未曾有の災害に見舞われ、日本中が不安や深い悲しみに覆われました。しかし、この大規模災害の体験から、身近な人々とのつながりの大切さを実感したという声が多数寄せられ、この年の「今年の漢字」は「絆」という、復興や被災地の人々を想い、未来への希望を託した漢字になりました。

そして昨年は、全国から13万票近くのご応募をいただき、もっとも応募数の多かった漢字は「安」という字でした。この年は、安倍政権の「安」、安倍政権による安全保障関連法案をめぐって国論が二分され、これからの国の平安について深く考えさせられる、そんな1年でした。

また、頻発するテロ事件や異常気象など、安全が脅かされることが続くなか、「安心して下さい、はいてますよ。」のフレーズでお笑いタレントが人気を博するなど、人々が安心を求めた年となりました。

今年、2016年はハガキ・インターネット、国内900ヵ所以上に設置した応募箱を通じたご応募、中国・台湾からのご応募、そして企業や学校などの団体応募により、153,562票の応募をいただきました。そのなかでもっとも応募数の多かった漢字はなにになるのでしょうか。

それでは、2016年度「今年の漢字」発表へと移らせていただきます。これから、2016年の世相を表す漢字として、もっとも応募数の多かった漢字をここ清水寺で森清範貫主に大きく揮毫していただき、本堂の御本尊、清水型十一面千手観音像に奉納するという儀式を行います。

この奉納儀式により、今年の漢字に込められた人々の想いを清水型十一面千手観音像にお伝えし、今年の世相を清め、来年がいい年になることを祈りたいと思います。

それでは、森清範貫主、2016年、今年の漢字のご揮毫をお願いいたします。

ありがとうございました。みなさまどうぞご自由にご撮影くださいませ。この漢字、「金」という文字でございました。

なお、森貫主、髙坂会長のインタビューは奉納の儀式の後に行います。どうぞあらかじめご了承くださいませ。

「金」という漢字、もう何回目かというかたちで、「3回目だ」という声が飛んでおりますけれども、「おなじみだ」ということですが、今年はやはりなんといってもリオオリンピックで日本選手が大活躍で、金メダル続出でございました。

そして、みなさんの記憶に新しいかと思いますがアメリカの大統領選挙、トランプ氏が当選なさいましたけれども、「金髪」で、そして「お金持ち」ということで、「金」という字が選ばれたとも言われております。

そしてまた、いろいろな活躍も多いと思いますが、やはり前東京都知事の政治問題であるとか、あるいは東京オリンピックの巨額な資金問題。あるいは築地の問題など、政治と金にからむ問題が多くあったことも、この金という文字が選ばれた理由の1つでございます。

もちろんうれしい理由もございます。イチロー選手のメジャー通算3,000本安打達成。あるいはレスリングの伊調馨選手の五輪5連覇など、スポーツの金字塔が打ち立てられた、そんな年でもございますし、そして最近流行りのPPAP。

ピコ太郎さんをご存知でしょうか? 全身金色の衣装でございます。そういったあたりで金色が、そしてどんどん輝く年になって欲しい、輝く日々を、将来をということで、金色が選ばれたのではないでしょうか。

今年の漢字、2位以下は?

それでは、2位以下を発表してまいりましょう。2位は「選」、選ぶという字。こちらはやはり米国の大統領選挙やEUの離脱問題でイギリスも選挙がありました。そしてまた日本では、18歳からの選挙、投票が開始となったということで、選。みなさんが選択を迫られるということがこれからの社会にどんどん求められる。そんな世相を反映しています。

そして第3位は、変化の「変」でございます。やはり天変地異があったり、大物のアイドルが解散する、であったりとか。そして、米国の選挙もそうでございますけれども、世の中に大きな変化があった。そしてまたよりよく変わっていただきたい、そんな願いが込められています。

そして4位が震えるという「震」。初回と同じですね。そして5位が、いろんな驚くことがあったということで驚く、「驚」という文字が選ばれたようでございます。みなさま、撮影はよろしゅうございますか? ちょうど今、「書き終えた!」というポーズのところをみなさまにシャッターチャンスとしてしっかり狙っていただいておりますけれども。

このお写真をお撮りいただくと、みなさまのもとに輝かしい金色、そして金が舞い込んでくるかもしれません。どうぞせっかくの機会でございます、よいお写真撮影をなさっていただけたらと思います。

全国各地から、そして世界各国から153,562票ものご応募をいただいた、そのトップを飾るのは、今年の漢字「きん」「かね」「かな」「こがね」と読むこの文字でございます。それでは……、もう一度(写真を撮影したい)ということでございます。貫主、よろしくお願いいたします。なかなかいいショットがそれぞれあるようでござます。

こうして森貫主にご揮毫いただくこの文字も22枚を数えるということで。今年は「金」、3つ目の金でございますけれども、1つ目の金、2つ目の金、そして3つ目の金と、文字が違うのではないでしょうか。

さあ、撮影の方はよろしゅうございますか? それでは、撮影も落ち着いたようでございます。それではここで、今年の漢字「金」の奉納儀式に移らせていただきます。なお、奉納後に記者会見を行い、みなさまのご質問にお答えいたします。この儀式では、今年の漢字を清水寺本堂の御本尊、清水型十一面千手観音像に奉納を行い、来年が明るい年となりますようお祈りをいたします。

恐れ入りますが、少し奉納の準備をさせていただきます。本堂に移動させていただくため、ご参拝のみなさまの通路を一時規制させていただきます。ご協力、どうぞよろしくお願いいたします。担当スタッフはどうぞ位置についてください。

それでは、森貫主、高坂館長、どうぞご移動をよろしくお願い申し上げます。