アメックスに投資したバフェットの成功

益嶋裕氏(以下、益嶋):続いて(のコメント)「6時間の総会なんて日本では考えられないですね」。

そうですね、よほど大荒れの総会でもそこまでは長くならないと思いますので、なかなか考えにくいと。

西尾貴仁(以下、西尾):さすがに1時間の休み時間をはさみましたもんね。

益嶋:そうですね。お昼休みを入れて、という気遣いはあったんですけれど、アメリカでもかなり特殊な総会ではあるとは思うんですが、日本とはまったく違う総会でございました。

続きまして、「なんでVISAでなくアメックスなんでしょうね?」と。

これははるか昔に遡るんですけれども、昔、アメリカン・エキスプレスに不祥事があった時に、アメリカン・エキスプレス・カードの株が叩き売られた時期がございました。

その時に、バフェットはいろんなところで自分で調査をして、不祥事があって株が売られているけれど、本来の彼らのビジネスであるクレジットカードは、みんな今までと変わらずに使っているというのを、バフェットは自分の目で確かめたそうなんですね。

「これであれば、今叩き売られていても、いずれ業績は回復するだろう」ということで、大きく買ったと。

その当時、バフェットは小さな投資組合を作って投資をしていたんですけれど、初期のバフェットの(投資の)なかでは大きな成功になったのがこのアメックスということで、そういう経緯があるのかなと思います。

「アメリカではペプシよりコカ・コーラのほうが圧倒的に存在感があるんでしょうか?」 私はよく知らないんですけど、アメリカで1年間生活していた西尾さん、どうなんですか?

西尾:そうですねぇ……少なくとも日本にいるよりはペプシの存在感はあったかなと思います。僕の印象はそれでもコーラのほうが強いかなという印象はありますね。

益嶋:それが「コカ・コーラに堀がある」とバフェットが思っている理由かもしれませんね。

カブキさま。「通訳はいるのでしょうか?」

これは残念ながらいません。私どももそこが一番苦労した点でございます。私はあまり英語が得意ではないので、あまりついていけなかったんですけれど、西尾に助けていただきながらがんばってまいりました。

バフェットが日本に送ったメッセージ

続いて、「バフェットは日本嫌いなのですか?」ということで。バフェットが日本嫌いということはとくにないと思います。

2011年3月に東日本大震災がございましたが、その半年後、バークシャーが米国で保有している非上場企業の子会社が日本にあるということで、そこに来るということで、それと同時に日本人向けにメッセージをくれました。

「日本のみなさん、みなさんのパワーというのはすごいんだ」と。「みなさんだったら復活できる。信じているよ」という温かいメッセージをくれたことがございますので、日本が嫌いということはとくにないとは思います。

ただ、もしかすると、今までは相対的に投資魅力として大きいのが日本株よりも米国株だったということになるのではないかと思います。

「バフェットは利上げ前に1回利益確定しないでしょうか?」

実はバフェットはちょこちょこと売却はしております。1回買ったら数年間、もしくはずっと売らないというイメージの方もいらっしゃるとは思うんですけれど、実は3ヶ月に1度発表されるポートフォリオをチェックしていきますと、ちょこちょこ売ります。

前々回の12月末時点のポートフォリオですと、エネルギー株を一気に売ったと。エクソンモービルなんかを全部売却したりですとかもありましたので、適宜利益確定をしているとお答えできるかと思います。

「バフェット師匠、Sell in Mayは来ますか?」

これは先ほどのご回答どおりわからないんですが、今のところ来ないようではないかと思っております。

「最近のバークシャーのパフォーマンスは良くないですよね。直近S&P500のほうがいいよね」ということでご指摘いただいております。

図でご紹介しますけれど、最初にものすごいリターンを稼ぎ出してると申し上げたんですが。こちらですね。

この図をご覧いただきますと、初期は青が圧倒的に勝ってるんですが、とくにこの2005年以降、赤のほうが勝ちつつあるということで、ご指摘のとおり……。

例えば、バフェットはハイテク株にあまり投資をしないと。IBMは例外ということで有名ですが。例えば、ポートフォリオにAppleも入っていない、Googleも入っていない、Amazonも入っていないので、そのへんがやはりパフォーマンスには響いてきているのかなと思っております。

マネックスグループの株主総会に望むこと

続いて、「イエレンさんの発言はどう考えても『今年中には利上げしますよ』とのメッセージだと思いました」。

そうですね、そういう捉え方ももちろんあると思いますし、いまだに年内利上げというのはコンセンサスとしてあるんだと思うんですが。

ただ、イエレンさんはもともと労働について研究していた経済学者であると。彼女はFRB議長に就任する会見の時に言ったことは、「まだまだ米国には働きたくても働けない人があふれている。我々FRBにはそれについてできることがある」と言ったぐらい、労働者市場の回復を重視する方ですので。

3月、雇用統計が一時的に落ち込んだと。4月に戻ったとはいえ、まだこのまま継続して戻るかどうかわからないということになりますと、労働市場がそんなに回復してこないと利上げにはなかなか踏み切らないのではないかと。

もちろんFRB・FOMCというのは合議制、みんなで決めますので、イエレンさん1人の決定ではないんですけれども、ただそう働きやすいのかなと個人的には思っております。

「マネックスの株主総会にも真似できることありますか? ありそうなら松本社長によろしく」ということで。

確かに私も参加しながら、どうすればマネックスでも楽しんでいただけるかなと考えてはいたんですけれども、なかなか現時点では、日本の会社法のルールなんかもあるんだと思うんですけれども、ちょっと乖離が大きすぎて、現実的に埋められるものはないのかなと思いました。

ただ、マネックスグループのほうでもより良い株主総会にしてもらうことは大切なだと思いますので。

西尾:グッズなどは毎年お渡しさせていただいております。

益嶋:そうですね。プレゼントさせていただいたりしておりますので、そういったところもがんばっていきたいと思います。

オオサワさま。「為替のレートの違いはありませんが?」

これはおそらく、先ほど西尾から米国株の手数料の他社さまとの違いについてご紹介したんですが、為替のいわゆるスプレッドと言われるところ、他社さんとの違いはないですか、というご質問なんですけれども、これどうなんでしたっけ?

西尾:他社さんとは、アメリカのドルを買った際のスプレッドはほぼ同じだったかと思います。

益嶋:同じですね。

マネックス証券における米国株取引について

西尾:次のご質問にあるように「ドルの購入スプレッドはいくらですか?」ということなんですが、こちらは1ドルあたり25銭のスプレッドを頂戴しております。

益嶋:これは他社さまと同じ水準ということですね。

「来年もバークシャーの株主総会に出席してレポートしてください」ということで。

もちろん来年も行けるものなら行ってまいりたいんですけれども、許してもらえるかどうかは、今回のセミナーとWebコンテンツのお客さまのご感想次第ということになるかと思います。ぜひたくさんご覧いただきたいと思います。

続いて、「米国株売却後、代金はドルで保有し、そのまま次回の売国株購入代金にあてられますか? それとも自動的に日本円に換金されてしまいますか?」。いかがでしょう? 西尾さん。

西尾:これは前者ですね。そのまま売却していただいたあとはドルのままお金が入ってきますので、そのまま次の米国の購入の代金に充てることができます。自動的に日本円になるということはございません。

益嶋:ドルのままご保有いただけるということでございました。続いて、「ウォルマートに関してなにか話していましたか?」

私たちが聞いていたかぎり、ウォルマートについては話してなかったと……。

西尾:そうですね。そんなに大きくは。

益嶋:少なくともウォルマート単体で、先ほどのIBMとかコカ・コーラのレベルのご質問というのは来てなかったと思います。

「米国株は取引報告書で為替が反映されないのでしょうか?」。これはどうなんでしょうか?

西尾:いえ、為替は反映されますね。

益嶋:されると?

西尾:はい。買った時の約定のレートというのが取引報告書には載ってくるはずです。

コカ・コーラはバフェットの永久保有銘柄の1つ?

続いて、「世界的に有名な投資家やヘッジファンドマネージャーなどは参加していましたか?」

参加していたのかもしれないんですが、正直私どもには見分けのしようがなかったので、わからないんですけれども。

ややご質問の趣旨とは逸れますが、バークシャーの社外取締役にはあのビル・ゲイツが長年就任しておりまして。ビル・ゲイツとウォーレン・バフェットは非常に仲が良いんですけれども、ビル・ゲイツが会場のなかに来て社外取締役の席にいたということがございました。

続いて、「バークシャーの株主総会に参加したい場合、マネックスの口座で株を所有していてもダメなのですか?」

そうですね。こちら、マネックスで保有していたから総会の出席権が得られるかというと、それは得ていただけないということになります。

「(バフェットは)コカ・コーラ、売らないんですかね?」

ちょっとわからないですが、一説によると、コカ・コーラはウォーレン・バフェット、そしてバークシャー・ハサウェイの永久保有銘柄の1つではないかと、まことしやかに言われておりますので。実際にこの数年で売ったことはないと思います。

続いてノアさま。ほかのお客さまからも、バフェットの経営するバークシャーの株主総会に参加したい場合のご質問たくさんいただいておりますので、もう一度だけ整理させていただきますと……。

マネックス証券でバークシャー・ハサウェイの株をご保有いただいても、名義が個人の方にはならないので、参加はいただけないと。

ただ、バークシャーはいろいろな方が参加できるように、招待できる仕組みを出していたり、ネット上で参加権が買える仕組みであったり、そういったものをご用意されていますので、そういったところを活用いただければ、来年も参加ができることができるかもしれないということにはなるかと思います。