関節のなかで起こっていること

マイケル・アランダ氏:いいですか?

(指の関節を鳴らす)

あー。私は昔からずーっと手の関節を鳴らしてきました。しかもしょっちゅう鳴らして、鳴らすこと自体を「ポキポキ」なんて呼んでいました。

鳴らすのが得意になって、身体のほとんどすべての関節を鳴らせるようになりました。でもなぜ鳴らすのかって思いますよね?

気持ちはいいですが、音が怖いですからね。関節とは体内の2本の骨が合わさる場所の名前です。

しかし、骨同士が直に合わさっているわけではありません。なぜなら摩擦により骨がすり減り粉状になってしまうからです。そんなことになったら不快でしょう。

それで、骨はクッションのような関節軟骨でキャップがされているのです。それは粘度の高い、透明な、「滑液」と呼ばれる粘液で常に潤っています。その液は「滑膜」という関節を包む場所から作られます。

あなたが関節を伸ばしたり曲げたりするとき、2本の骨が互いから引き離されます。すると滑膜が伸ばされます。そのとき膜内部の空間が増え、圧が減るのです。

これはとても重要なことです。なぜなら、あなたの滑液にはガスが溶け込んでいるからです。

ガスとは主に二酸化炭素と酸素です。そして、液の圧が落ちると、なかのガスが溶けにくくなります。つまり、ガスが溶けなくなって、気泡になるのです。ですから、「ポキッ」と聞こえる音は、実際には滑液中でガスの気泡が作られている音なのです。

興味深いのは、関節を鳴らしたあとにレントゲン撮影すると、実際に気泡を見ることができるんですよ。

そうすることで、関節の空間は15パーセント増えます。そして、20から30分かけてそのガスはまた滑液に溶け込んでいきます。そのため、通常は同じ関節を何度も連続して鳴らせないのです。

奇妙なことに、拳の関節を鳴らすことに危険性があるかどうかの研究データは多くありません。しかし、ドナルド・アンガーという医師はこの件で2009年のイグノーベル賞で表彰されました。

彼は60年もの間、常習的に左手の関節だけを鳴らし、右手は鳴らしませんでした。彼の左手に問題が生じることはありませんでした。これは超専門的に査読された論文ではありませんが、なかなか興味深いですよね。

拳を鳴らすことは関節炎の原因になったりすることはなさそうですが、握る力を弱める原因にはなるようです。滑膜や筋を伸ばしてしまうからです。

でも、関節を鳴らすことの一番危険なことは、周りの人に聞こえる音が不快ということかもしれませんね。私はそうとは思いませんよ!

(また関節を鳴らす)