競争しない企業はより大きな利益を生み出す

ピーター・ティール氏:ありがとうございます。本日は、さまざまなトピックについてお話しをさせていただこうと思います。

起業家精神について、書いたり話したりする上で大変なのは、決まったやり方がないということです。「このようなステップに沿うべきだ、この6つのことをやるべきだ。そうすれば成功する」などと私が言っても、みなさんには、それは誤りだとわかるはずです。そこで、そういったトピックについてお話しするにあたり、間接的にアプローチしようと思います。

「逆説の問題」、ビジネス、誰もが信じようとはしないが真実であること、まだ誰も手をつけていないビジネスとはなんでしょうか。そして、そこには私が常に帰り着く答えが存在します。その中のいくつかについてお話し、みなさんに考えてもらえるよう、フィンテックの文脈に関連付けていこうと思います。

私が常に出す答えが1つ存在します。圧倒的で重要な事実です。

そこには常に、おおざっぱに言って2つのものが存在します。2つのビジネスです。競争する企業と、競争しない企業です。

激しく競争する企業は、あまり利益を生みません。一方で競争しない企業、しっかりと差別化されたユニークなことを行う企業は、大きな利益を生み出します。一般に独占企業と言われるものですが、経営者はくれぐれもそのように名乗らないようにと、よくよくアドバイスを受けています。

(会場笑)

激しく競争したければ、簡単です。このカンファレンスから帰って、サンフランシスコでレストランを開けばよいのです。そういう人は大勢います。

(会場笑)

競争は極めて激しいですが、資本蓄積という資本主義的な意味合いの中では、資本主義とはいえません。レストランを開店しても、資本を蓄積することはできないからです。

(会場笑)

小さなマーケットから始めて独占する

ではどうしたらよいのか、という疑問に戻りますが、独占的なビジネスには、いくつかのタイプの特徴があります。

まず重要なのは、スタンダードなものの見方とはちょっと違う物の見方をする必要があることです。

ベンチャーキャピタルの、スタンダードな疑問とは「マーケットの大きさはどのくらいか。大きな市場を追い求めるべきだ」といったことで、みなさんがいつも言われていることですね。特定できるマーケットで、たいへん大きなものである必要があるとされます。

一方で、独占の見方からすると、真に大切なのは、1兆ドルのレストラン市場などの、巨大マーケットではありません。持っているマーケットのシェアが大きいか否かです。大きなシェアを手にいれるには、スタート時点ではマーケットは非常に小さい場合がほとんどです。しかし、迅速に大きなシェアを掌握できます。これが、事業拡大の秘訣です。

PayPalを市場に投入したのは、1999年です。私たちは2万人いるeBayのパワー・セラーに急速に的を絞りました。最初の3~4ヵ月で、マーケットのシェアを0から30パーセント、40パーセントにまで伸ばすことに成功したのです。大変幸先のよいスタートでした。

これは、消費者に切り込んでいく、成功したインターネット会社で、ここ数十年にいえる事実だと思います。多くの企業が極めて小さなマーケットから始めて、最終的には独占します。同心円状で、徐々に拡大するのです

2005年から2008年におけるクリーンテクの実験のような、シリコンバレーにおける失敗例を見ると、「何百、何百万、何兆ドルもの価値がある市場です。このパイのわずか何分の一であっても、ビジネスとして大成功を収められます」などとパワーポイントでプレゼンされるような、巨大市場であることが特徴として挙げられます。しかし実際には、大海の小魚であるかのように、膨大な競争にさらされるだけなのです。

たとえば薄膜ソーラ―パネル会社であれば、99社の競合他社に勝たなくてはなりません。風力発電会社、水力発電会社とも競争し、中国メーカーも相手です。恐ろしい立場です。大海の小魚になんて、なりたくはありませんよね。

バズワードを使う企業は差別化ができていない

似たような文脈でよく聞かれる質問が「テクノロジー分野で、今は何がトレンドですか。なにが流行しそうでしょうか」といった類のものです。私はこの手の質問が大変苦手です。私は預言者ではありませんから。どのようなトレンドが来るかなどは、とてもお話しできません。

しかし、なにか系統だったことを言わなくてはならないとしたら、トレンドになっているものは、ほぼすべてが過大評価されているということです。あるトレンドについて、みなさんが耳にする時点ではすでに波が過ぎ去っているか、コンセンサスがとれすぎているかです。

ちなみに近年シリコンバレーでのトレンドは、教育ソフトやヘルスケアITです。また、ビッグデータ・クラウド・コンピューティングのSaaSなどもトレンドです。ビッグデータ・クラウドコンピューティングと聞いたら、まず詐欺だと考えて、速やかに逃げることをお勧めします。

(会場笑)

もしみなさんが、これらのバズワードに関連したスタートアップ関係者であれば、私たちがSaaSにモバイル・プラットフォームを提供していることをご存じのことでしょう。今、私たちはそういうことをやっているわけです。

(会場笑)

ひょっとしたらこの会社はたいへんすばらしいもので、もっと話す必要があるのかもしれません。しかし私のパターン認識によると、バスワードとはポーカーの「テル」のようなものです。関係者はたいてい、はったりをかましています。

実際のところ、ビジネスそのものもきちんと差別化がなされてはいません。その手の類のものの1つに過ぎません。カテゴリーは明確に分類されており、こういったカテゴリーに近づいてみても、すでに誰かがなにかをやっていて、差別化はできていないのです。

新しいチャレンジをするとき、カテゴリーは存在しない

私の意見では、偉大な会社はすべて、1つのカテゴリーに属しています。なにか本当に新しいチャレンジをする時には、そのチャレンジを的確に描写する言葉が存在しません。なにかが起ころうとしている時には、もともとカテゴリーなどは存在しないのです。こういったことは、私が見て来た事柄の一部です。

スタートアップを評価する時、テクノロジーや人材を見るのはもちろんですが、私は、ビジネスの戦略を見ることに、極めて価値があると考えています。こういった学びを、フィンテックの文脈にあてはめて、教訓を引き出したいと思います。

今はスタート時期ですが、フィンテックとはたいへん大きなテーマです。

バズワードには、必ずリスクが伴います。ある意味、たいへん自然なテーマであるとも言えましょう。みなさんもご存じのとおり、資金や資産は、デジタルグッズとしてはゼロや1であると考えられています。フィンテックと、多くのIT、インターネット消費者テクノロジー間をマッピングします。

もちろん、ある意味たいへん儲かる部門もあります。私が90年代にニューヨークで働き始めた時には、お金を稼げば稼ぐほど、お金に近くなると考えられていました。

人々はトレーダーとして働き、銀行員は投資銀行員よりも、投資銀行員は弁護士よりも、弁護士は医師よりも多く稼ぎました。要するに、なにかのプロフェッショナルであれば、よりお金に近づくことができたのです。多くの手取りを得ることができました。フィンテックにも、同様のことが言えます。

もちろん、既存の産業がありますが、硬化し破たんしていてあまり革新的とはいえません。ですから突破口があるはずなのです。

というわけで、フィンテックの周辺にはこういったマクロ的ストーリーがあり、たいへんパワフルです。

強力な差別化は、ほかを圧倒するテクノロジーから生まれる

しかし、私が今日、ここにいらっしゃるみなさんに挑戦したいこととは、特定分野の差別化の課題について、マクロのレベルでいつも考えていることです。それは、他人に容易にクローンのようにコピーされないこととはなにか、ということです。

さもなければ、「ナポリ風イギリス流フュージョン料理店」といったように、エキゾチックに聞こえるだけで、他人にすぐに真似されるような、単なるレストランを開店しますか、ということです。

独占的な価格決定力の課題とは、ほんの一瞬だけのものであってはならない、ということです。真によいビジネスとは、極めて長期間堪えうるものです。

ですから、私がフィンテックの観点で探し求めているものとは、しっかりとした型を持ち、防衛力を保持した、維持可能なビジネスを創造するにはどうしたらよいか、という説明ができるストーリーであり、時間が経っても他人にコピーされないことへの挑戦なのです。これはさまざまな角度から絶対に実現可能であるはずです。

これはそのアプローチの1つですが、私はいつも、フィンテックにおける挑戦とは、ほかの誰も持っていないような、強烈に差別化されたテクノロジーを持っていれば、絶対に誰にも負けないと思っています。それは常に、強力な差別化の因子になるはずです。

こういった挑戦は、あまり一般的ではありません。ですから、スタートアップ関係者に質問する時に、相手にあまり歓迎されない質問をしようと思ったなら、例えばバイオテック分野のスタートアップを設立する科学者相手であれば、ビジネスについての質問をすればよいのです。相手はたいてい、サイエンスの影に隠れたがるはずですから。

そしてフィンテック分野の相手であれば、居心地の悪い質問とはテクノロジーの質問です。「どんなテクノロジーがありますか」と聞かれても、テクノロジーは、検索エンジンで検索してもウェブサイトなどは出て来ません。

ですから、強力な差別化についての一連の質問への答えですが、それは、ほかにはない、劇的にほかを圧倒するテクノロジーということなのです。

テクノロジーがなければ、スピードを上げるしかない

そういったものがなければ、課題は、物事を素早く見定められるか、という方向へと降りて来ます。つまり差別化されたマーケットを探すことが課題になります。

そして周りに立ちはだかる壁に対する挑戦とは、そのマーケットが他人に見つからないほど十分に狭いか、防衛力を保持したまま独占しうるものか、マーケティングするコストがかかり過ぎないか、などという話になります。私たちを取り巻く一連の課題ですね。

私がPayPalを立ち上げたときは、こういったビジネスから学べることは極めて困難でした。なぜなら、非常に独特な時期、タイミングであったからです。

1999年の夏、私たちはお金をe-mailにリンクするという、非常におもしろく革新的なアイデアで行き詰っていました。e-mailを基礎的なアプリケーションに据え、ホストアカウントの中央システムとしてお金をリンクさせるのです。

非常に自然なことに思えましたし、技術上それほど困難なブレークスルーにも見えませんでした。インターネットの時代に突入してすでに5、6年が経過していたにもかかわらず、まだ誰も思いついていなかったのです。

私たちがこれを思いついた時、浮上した問題は、他人にすぐ真似される危険はないだろうか、ということでした。そして私たちが帰着した結論とは、「日進月歩のマーケティングストラテジーにおいては、これはそれほど防衛力はない」というものでした。そこで私たちは、ぎりぎりのところまでペースを上げ、マーケティングをし、ひたすら資金をつぎ込みました。

私たちは、1999年10月にローンチし、会社のわずか24人を最初の顧客としてスタートしました。そして、できる限りのスピードで拡大するしかないと決め、登録してくれた人には10ドルを支払い、他の人を紹介し登録してくれた場合には、さらに10ドルを支払いました。こういったユーザーが本当に利益になるのか、といった疑問はさておき、ユーザー取得価格は1人当たり20ドルだったわけです。

おかげで私たちは、総体的に日に7パーセントから10パーセントという、大変うれしい急激な成長を遂げ、1,000人のユーザーを獲得しました。1999年11月半ばには獲得ユーザーは12,000人を超えました。12月31日には990万人、2000年2月3日には1,000万人です。当然、収入などはありません。ただひたすら、伸び続けるコストのカーブだけです。

(会場笑)

アイデアと展望に積極的かつ速やかに投資しただけ

2000年5月上旬、私たちは4ブロック先で似たような事業を行っていたイーロン・マスクの会社と50:50で合併しました。預金額は1,500万ドル、バーンレートに対し急激な成長は月1,000万ドルに達していたからです。そしてみなさんもご存じのとおり私たちはさらに資産を増やすことに成功しました。マーケットはさらに伸びました。

さて見直しをしたところ、技術面で難しい問題を見つけました。当時インターネットでは膨大な詐欺が発生していました。現実問題として、同様の事業を望む多くの競合他社、多くの銀行は、お金が盗まれてしまうのではないかとローンチをしり込みしていました。

おかげで私たちには、より堅固な技術的な防御を高め、詐欺対策を練る時間が十分にありました。やがて、支払いシステム中の資産へ、いくつかのネットワークが導入できました。そういったことがしょっちゅうおきました。PayPalには、クレイジーな物語が多々あります。

私には、ここからなにを正しい教訓として引き出すべきなのか、よくわかりません。しかし、少なくとも私たちには、はっきりと差別化された、非常にパワフルなビジョンがありました。私たちは自分に正直で、必ずしも大規模で維持可能なアドバンテージがある必要はありませんでした。

要するに私たちにあったのは、e-mailのリンクのアイデアと、すばらしい展望でした。私たちはそれに、できうる限り積極的、急速に投資しただけだったのです。フィンテックのビジネスに関して考えるべきことは、まさにこういったことだと思います。私はフィンテックビジネスに何年も投資を続けて来ました。挑戦者たちの多くは、非常に優秀で活動的です。

PayPal同様、いいアイデアがあれば、すぐに真似されてしまうので、ビジネスの資本を積極的に調達する必要があり、結果、プロセスを希薄化してビジネスをスケールし、急成長しました。

希薄化しなければ、ビジネスモデルをだんだん向上させることがきます。希薄化しなければ、ビジネスを迅速にスケールできます。

これらの手段はどちらも珍しく、非常にパワフルになりえます。とても大切なことです。私たちはそういった物事にすべて目を通し、異なることを統合しようとしました。

真に価値ある企業は最後に動く

さて、フィンテックの分野において、みなさんがあまりにも過敏にすぎることがあり、提案したいことがあります。それは、規制という亡霊に関することです。規制は常に存在し、外れたことをしようとする私たちを足止めし、投資の多くにおいて押し付けられました。

PayPalの歴史には、最初の携帯電話銀行、世界初のモバイルバンクをスキップビルドするという理想がもともとありました。ところがわが社のCFOは、銀行を発足させるのに2フィートもの書類の山を埋めなくてはならず、私たちは結局のところ、銀行を作りたいわけではないのだ、と確信するに至りました。そこで、いくらかは書類の薄いペイメントのビジネスをやろうということになったのです。それは、1999年から2000年にかけては、正しい判断だったと思います。

このことは、私に疑念を抱かせました。多少緩くとも、規制された産業の多くでは、起業面でも投資面でも、ここシリコンバレーで多くの人が挫折してしまっています。私は、こういった規制の輪をくぐり抜けることさえできれば、その苦労の甲斐はあると思うようになりました。規制されたものに対するみなさんの反応は、アレルギーに近いですから。

ですから、もしみなさんが、多少なりとも規制のある産業への参入を考えていらっしゃる場合、少し時間はかかるかもしれませんが、規制の輪を潜り抜けさえすれば、決定的なアドバンテージになることは間違いありません。

さて、もう1つの課題で、私が常に大切だと考えているのは、初期の独占とテクノロジー、マーケット全体に対する展望です。さらに、常に非常に重要だと考えているのは、エンド・ゲームの問題です。初期の独占とテクノロジーは維持可能でしょうか? 長期戦において、どのように作用するのでしょうか?

2001年初頭に私がPayPalを始動させ、まだ27ヵ月しか経っていない頃、ビジネスに対するDCFの分析、これは非現実的な分析になりがちなのですが、非常に高い成長率とDCFを鑑みて、ほとんどの価値がターミナルバリューとなりました。

私たちは、2011年以降のキャッシュフローは、2001年と同様に企業価格の75パーセントから80パーセントを占めると結論付けました。私は、これと同様のことが、この会場にいらっしゃるすべての企業にいえると思います。10年後、つまり2026年以降のキャッシュフローが、企業価格の75パーセント以上を占めるでしょう。これは、DCFの単純計算の方程式です。

しかし、これはみなさんの実感と真っ向から相反するものでしょう。なぜならみなさんの頭の中は、「この先数ヵ月、来四半期、来年は、どうやって成長しよう」といった考えでいっぱいだろうからです。

私は、そのような疑念を過小評価したり、減らすよう言うつもりはありませんが、真の価値ある疑問とは、「自分は、最初に動いたか? 二番手として動いたか?」というものではありません。真に価値ある企業は、最後に動くからです。

スタートより大切なことは終わらせること

最後に動く企業は、最終的にそのカテゴリーを定義するのです。例えば、Googleは最後のサーチ・エンジンですし、Microsoftは最後のオペレーティング・システムです。PayPalが、我々が作ったレベルの、最後のe-mail決済企業であることを望みます。

その分野での最後の企業は、最上であることが多いのです。みなさんは、最初になりたいですか。一足飛びにスタートしたら、もっと大切なことは、そのまま終わらせることです。戦争とは違いますから。最初の動き手になりたかったら、最後の動き手になることです。

ですから、長期的に維持可能なアドバンテージを設立するという課題が、たいへん重要になって来るわけなのです。

こういった質問はゼロ化して、考えません。答えは常に不確かです。未来はどうなるのか、物事がどのように進行するかというストーリーは、経験しないとわかりません。うまくいくか、ビジネスの機が熟したか、成功したか、倒産するかなどは、時が来てみないとわかりません。

多分に分析的であっても、理論にかなっているか、称賛を受けるか否か、ストーリーは納得できるものか、機能するか否かなどは、聞かれてもわからないのです。

しかし、こういった疑念を追及していけば、首尾一貫した戦略の優良なセンスを磨くことができ、雑多なほかのビジネスとは、強力に差別化することができるようになります。

先進国を発展途上に導く

さて、本日の演題は、「先進国を発展させるには」というものでしたね。21世紀は発展し、私たちは、グローバリゼーションのおかげで、秀でたものをコピーして発展することができ、テクノロジーをもって新たな挑戦ができます。

私は常々、グローバリゼーションを横のX軸に据え、テクノロジーを縦のY軸に据え、差別化しようと試みて来ました。私たちは、常に縦軸について集中して考え、新たなマーケットを開拓し、新製品を創造するために、新しいことをやらなくてはなりません。

グローバリゼーションの説話が盛り上がったのは、70年代からで、2007年がピークだと思います。2008年の世界金融危機以降、私たちは、さらなる改革と行動が必要とされる世界に生きています。均衡が破れ、人々はグローバリゼーションに無駄に注目し、テクノロジーはないがしろにされています。

私たちの言語にもそれは表れており、世界を表現する言葉がまさにそれです。私たちは世界を「先進国」と「発展途上国」に分断しました。これは極端な二分化です。グローバリゼーション以前の問題であり、国を寄せ集めただけに過ぎません。発展途上国は、先進国をコピーする国の寄せ集めだということなのです。

また、これはテクノロジーとは真逆の二分化でもあります。なぜなら、私たちが欧米諸国や先進国と言う場合、そこにはなにも新しいことは起こらず、すべてはもう済んでしまった過去のもので、自分たちもそこに含まれていることを、暗黙のうちに意味しているからです。これは、強く抵抗するべき偏見です。

私たちがみな間接的に競合していて――願わくばあまり真っ向から競争はしたくない――巨大銀行ですが、彼らはみな、死に物狂いでグローバリゼーションを目指しています。彼らはテクノロジーや、新しいことへの挑戦をすっかり忘れているのです。

彼らの社内政治は、新しいことへの挑戦を排除してしまいます。同様の理由から、銀行は、1999年にe-mailをお金とリンクさせるというような、単純なことすらできませんでした。巨大銀行は、カルチャー的にも政治的にも、改革とは真逆の方向へ動いています。

ですから、私たちは、どんなに大きな突破口が眠っているか、決して過小評価してはいけません。そして、私たちがその答えにたどり着くには、私たちのいわゆる先進国を、いかに発展途上に導くか、という「逆説の問題」が存在するのです。ありがとうございました。