音も「色」で分類できる?

マイケル・アランダ氏:「色」と聞いて私たちが思い浮かべるのどんなものでしょうか。

おそらく、目に見える光の種類としての色ではないでしょうか。白い雲、ピンクの花、茶色の牛、といった具合に使う「色」ですよね。

そういった使われ方以外にも色は使われます。音の識別を表す方法、ホワイトノイズ、ピンクノイズ、ブラウンノイズに表される、音の周波数成分を表す言葉として。

そもそも、それらのノイズは人が生理的に取るに足らない音として認識するような、気にも留めない音なのですが、人類の進化に伴い、今では集中力の向上にも役立つノイズとしても役に立っています。

この音を聞いてみて下さい。これがホワイトノイズです。

(ホワイトノイズが流れる)

光と音、両方は周波から出来ています。周波数を受ける私たちにとって、周波数がどれくらいになるのか、どれくらいの速さで振動する周波数なのかというのはけっこう大事なことだったりします。

白い光が虹の色のすべての基調となることはご存知でしょう。すべての周波数の基調もそうなのです。

つまり、ホワイトノイズ、という名前は、私たちが耳にする音のすべての周波数を含んでいることに由来するのです。

20~20,000ヘルツの間で1秒あたりに繰り返される波振動には大きな開きがあります。

速く、そして不規則に連続して繰り返される周波数、不規則で、めまぐるしく変わる周波数は、あなたの脳にどうってことのないざわめきだと認識されるだけですが。

ホワイトノイズはなぜ高音に聞こえるのか

さて、ホワイトノイズは高音の部類だということに気付かれたでしょうか。「不規則な周波数を伴う音がホワイトノイズを作り出しているのだとしたら、それは高音なのではなく、中音になるのでは?」と、ちょっと妙だと思わないでしょうか。

ホワイトノイズがなぜ高音なのかと言うと、そこには耳と脳とが音を探り出し、処理するといった働き、生態学が関係しているのです。

音域としてあなたが耳にするものは機械によって作り出されたり、探り出されたりした客観的な周波数とはまったく異なるものです。

聴覚系、そして音楽というものは、12半音からなる、オクターブが基準となっています。

例えば、低いドの音から高いドの音まで、鳴らしてみましょう。

それぞれ単体で鳴らしてみると、どれだけそれが高音になっても、どれも同じ音の開きがあるようにしか聞こえないでしょう。しかし、そこに存在する差違は決して同じではないのです。

低いドと、1オクターブ高いドの周波数の値は、それぞれ倍の違いがあるのです。つまり、周波数が2倍、さらに2倍と、周波数はだんだん多くなって私たちに届けられるのです。

不定期にちりばめられた周波数、つまり、多くの音が混ざりあった音から、私たちはどんな音なのかを認識しているのです。

ホワイトノイズが甲高い理由がもう1つあります。人体解剖により、私たちは3~4キロヘルツの音域に慣れたからです。私たちの脳は、ホワイトノイズを、元々の周波数よりも甲高い周波数の音、つまり、実際よりも誇張された大きい音として捉えてしまうのです。

ピンクノイズ、ブラウンノイズはどんな音?

もし、ホワイトノイズ音が安っぽい音に聞こえるとしたら、ピンクノイズのようなほかの色のノイズの方が気に入るんじゃないでしょうか。

(ピンクノイズが流れる)

ピンクノイズは人の聴覚を考慮したかのような音です。周波数のバランスを取っているので、音域を均等に保っています。ピンクノイズの周波数もやはり不規則ですが、高い周波数の勢いはそれほどありません。

周波数が上がれば上がるほど、音自体は小さくなりますし、それはどんなに高い音が頻繁に鳴ろうが変わらないのです。

異なった音域の音が調子を変えることなく耳に入ってくるというのは、あなたの耳にとって、深みのあるバランスの取れた視聴体験となるでしょう。

ブラウンノイズはまったく違う性質を持った音です。より高い周波数から音量を減退させてしまうのですから。

ブラウンノイズはより深みのある音を作り出します。大きな滝の音や、遠くの交通網のような音です。

ブラウンノイズ、と聞いてパンツの辺りが心配になって見たとしたら、悪名高い“ブラウン・ノート”(お腹のゴロゴロ)が聞こえたのでは?

まあ、人間が聞くには低すぎる特別な音が存在するのでしょうが、腸を含め、あなたの体が確実にブルッときているのなら、それは不本意な動きが下腹部で起こっている、ということなんでしょうけどね!

大丈夫です。ブラウンノイズはあなたとあなたのお尻に害はありませんから。この話は止めましょう。ほかのことはなにも考えずに安心してブラウンノイズに耳を傾けてください。

ホワイト、ピンク、ブラウンのノイズが仕事を助けてくれる理由

ほかにも周波数の特徴によって異なる、色の名前がついている音があります。ですが、ホワイト、ピンク、ブラウンが主です。ホワイト、ピンク、ブラウンノイズが心地よい音に感じられたとしたら、孤独とは無縁でしょうね。

多くの人はそれらの音を仕事や睡眠の助けとして利用します。これはどうしてなのでしょうか。

どうやら、生態学のなかに答えが隠されているようです。あなたの脳は、とくに背景情報がほとんどない環境に置かれると、変化をいち早く察し、なんとか順応しようとします。

2人で話している人と、3人で話している人の違いは人数だ、ということを説明するほうが、後に99対100の人たちがしゃべりあっている場面で、違いについて説明するよりも簡単ですからね。どちらも1人多いことには違いありませんが、あなたの脳が99人と100人の違いを見つけ出すのは至難の技なのですから。

物音1つしないなかにいれば、あなたの脳はどんな音にも注意を払うことはできるでしょうし、また、気も張るでしょう。それは結局のところ、過去に進化の過程で、捕食者やほかの脅威に祖先が怯えていたことに関係する、危険を察知する能力の成せる技なのかもしれません。

静かな部屋に響く蛇口のポタポタやパートナーのいびきで神経がすり切れてしまう、という側面もあるということはいなめないですけどね!

ホワイト、ピンク、ブラウンノイズといった音は、消音効果のある毛布のようなものなのです。それらのノイズは音を覆い隠し、元々の音よりも小さくさせるのですから。

時として、悩みの種である不快なノイズに対抗できるのは、やはりさらなるノイズだということなのです。たくさんの色の付いた音がやって来る、というね!