楽天株式会社 2016年度第2四半期決算説明会

山田善久氏(以下、山田):本日は、楽天株式会社2016年度第2四半期決算説明会にお越しいただき、誠にありがとうございます。

具体的な数字の話に入る前に、私どもの根幹の存在意義であるミッションステートメントを「イノベーションを通じて人々と社会をエンパワーメントする」に変えましたので、ご報告いたします。

今までは「世界一のインターネット・サービス企業を目指す」ということだったのですが、インターネットだけではなくて、リアルでオンラインとオフラインが融合することが増えているなかで、私どもは商流全体に絡んでいこうと。

オンラインのEC化率は、まだ日本で言うと一桁ですけれども、広くいろんな商品に絡んでいきたいということがございますので、ビジョンを「Global Innovation Company」といたしました。

連結業績

具体的な連結業績なんですが、ハイライトとしては以下の通りになります。

Non-GAAP営業利益という、通常の営業利益に海外のインターネット企業が行っているような会計上の調整を加えたものでお話をさせていただきますと、スーパーポイントアッププログラム(SPU)費用増にも関わらず、前年同期比プラス2.5パーセント。

楽天カードの営業利益は前年同期比プラス26.4パーセントと非常に堅調に推移していると。 楽天銀行は、マイナス金利ということもあってなかなか厳しいところもあるようですが、非常に好調な成長を維持していると。

国内ECの流通総額は、前年同期比プラス10.9パーセント。

それから、海外を含むその他インターネットサービスは、前年同期比で損失が半減しているということで、おおむね想定に沿った結果になっていると考えています。

まとめを言いますと、売上収益は前年同期比プラス8.9パーセント。Non-GAAP営業利益は前年同期比プラス2.5パーセントということでございます。

事業別業績

事業別に見ますと、こちらの通りになっております。

国内EC、こちらが営業利益は24.6パーセントのマイナスが出ているわけですけれども、前回もお伝えしている通り、しばらくは利益を取ろうというよりかは、店舗様を含めた総流通取扱額を増やそうということでございまして、それについては後ほどご説明いたします。

国内ECの売上収益は順調に推移しているということでございますので、考えていた通りの結果でした。営業利益のほうもだんだん改善していくと考えております。

その他インターネットサービスの営業利益は、まだマイナスの32億円ということなんですが、前年と比較しますとそのマイナスも半減ということでございます。

グローバル流通総額ですが、国内のEコマース、国内のカード、それから非常に好調に推移している海外のEbates等合わせてプラス18パーセントぐらいということで、引き続き堅調に推移しているということでございます。

FinTechセグメント事業別業績

フィンテックはこちらの通りでございます。

楽天カードの営業利益は前年同期比プラス26.4パーセントと非常に好調でございます。それから楽天銀行は、マイナス金利という環境下でもプラス16.5パーセント。

日本株全体がなかなか厳しいということもあり証券だけマイナスになっておりますが、これは環境でございますので、しかたがないのかなと思っております。

楽天カードと楽天銀行ですが、だんだんと規模が大きくなっていくにしたがって、利益率も向上しているということで、こちら利益率の推移を載せさせていただいております。

カードで言いますと、つい先日、日経産業新聞さんが発表された、国内クレジットカード取扱高のシェアの数字でございますけれども、楽天カードがこれまでが5位だったところが3位になって、シェアも10パーセントということです。思ったほどトップと差がないというところで、非常に順調だというところでございます。

楽天銀行・楽天生命 四半期業績推移

銀行も非常に順調で、1つ大きなトピックスとしてあるのは、法人向けのビジネスローンを開始したということで、今まで楽天カードで楽天市場の出店店舗さん向けに融資を開始しているわけですけれども、そちらも非常に好調にいっているということで、今回は銀行を通じて本格的に法人向けビジネスローンを開始します。

それから楽天生命ですが、利益自体はかなりアップダウンがあるので、今回は7億近い利益で前年同期比プラス50パーセントなのですが、ずっとこうではなくて、多少のアップダウンがあると。

ただ、オンラインを通じて生命保険を販売するということについて、だんだん感じがつかめてきたということがあります。

次の大きな波の1つとして、「生命保険をオンラインで」という動きがあって、それのリーダーとして楽天生命に期待しております。

国内EC

国内のEC流通総額というところなんですが、前年同期比プラス10.9パーセントということで、2桁で伸びています。

今年の1月から、スーパーポイントアッププログラムということで、ユーザーさんに還元するようなプログラムを始めました。これからもっと伸びる兆候、具体的な数字が出てきておりますので、今のところは想定通り、今後、国内ECの流通総額を前年同期比プラス15パーセントから上を狙っていくというところでございます。

国内のECのキーワードとして「品質向上、クオリティ」ということをずっと申し上げているわけですが、あくまで成長のための品質向上ということで、いくつかに分けて簡単にご説明します。

マーケティングということで今まで申し上げていたものですが、スーパーポイントアッププログラムという「カードを使うと何倍」、「アプリを使うと何倍」というふうに、ユーザーへのポイント還元をして応援するプログラムでございますが、新規および復活ユーザーのベースが非常に伸びてきていると。

そのベースがだんだんと楽天カードを利用するようになったりして伸びていくというのが大きなシナリオでございます。

こちらは非常にいい数字が出ているわけですけれども、新規および楽天を使われなくなってしばらく経った人たちが再び使い始めた復活顧客が伸びています。以前は新規・復活のお客様がちょっとマイナスだったんですね。

この新規および復活顧客自体がまた増加に転じてるということでございまして、その数が前年同期比で10パーセントを超えてきているということで、非常にいい兆候かなと。こういう人が楽天カードを利用するようになって、そうすると楽天市場で買い物をしていただくので、もう倍以上ですね。

今は、どんどん増えている顧客がだんだんと楽天の定期ユーザーになりつつある、発展途上の段階であると思っております。

品質向上×UI

その他いろんな品質向上等やっておりますけれども、わかりやすい表示をするとか、スマートフォンのプッシュ通知を提供するとか、ポイントの還元率を表示するとか、こういったことが転換率を非常に高めています。

そういったこともあって、スマホアプリ利用による転換率というのが、いろんな施策を始めてから1.2倍になってるということでございます。

この半年ぐらいで行ってきた一連の施策が、目に見えた形で具体化してきていると。それが今年の第3四半期、第4四半期にかけて結実していく、そういった段階かなと考えております。

楽天市場モバイル流通総額比率

楽天市場におけるモバイルの流通総額の比率もまた上がりました。もう6割近いお客様がモバイル経由で来ていると。このモバイルにおいてアプリ利用による転換率が上がってるというのは非常に心強いと思っております。

それから、いろんなお客様のユーザーインターフェースを改善するなかで、買い物をするのに多少なりとも気になるような広告はいったん取り下げた動きが以前ありました。

短期的には売上・利益がマイナスになっても、いったん取り下げたなかで、広告の商品構成も見直していました。

それの見直しもだいぶ終わりまして、私どもとしては、今年の第3四半期からまた広告の売上高が増加していくと考えております。

今は国内ECのマイナスはちょっと大きいわけですけれども、これがだんだんと改善していく大きな要因の1つが広告であるということでございます。

出店店舗に対するフォローアップの施策

楽天市場における出店店舗様の品質向上も継続的にやっておりまして、低い評価が入ってしまった店舗様へのフォローアップをしております。

これは、私どもがお客様に実際に電話をしてお聞きした内容を店舗様へフィードバックすることをやっているわけですけれども。 こういった地道な施策によって、出店店舗様の平均レビュー評価が上がっていることにもつながっているということでございます。

国内・海外ECの進化

今までは国内ECと言うと、どうしても楽天市場ばかりが取り上げられがちだったんですけれども、市場に加えて、いろんなサービスでオンラインのマーケティングに取り組んでいこうということでございまして、ECが進化しているということですね。

だから、楽天市場に出店はしないんだけれども、楽天にクレジットカード番号を預けてる人が何千万人もいるということで、その決済のところだけ楽天の利便性を自分のお客様に提供したいという法人のお客様もいらっしゃいます。

こちらのMUJI様は代表的な例ですけれども、この楽天ID決済というサービスが順調に伸びているということでございます。

それからRebatesといって、楽天に出店はしないんだけれども、ここで買うと楽天ポイントがかなりたくさんもらえるという仕組みの、国内のポイント提携モールがありまして、これの流通総額がこの半年の間に10倍になっています。

あとは、スマホでの個人間の取引が非常に加速しておりまして、従来は楽天オークションというサービスをNTTドコモさんと共同でやっていて、PCとスマホ両方だったのですが、それをスマホ主体にして、プログラムのソフトを変えてそこに集中しようと。

楽天オークションは、売上としてもそんなに伸びてなかったので、急成長している「ラクマ」のほうに集中しようということで、そちらに移行することに決めました。楽天オークションはちょっと停滞気味で、ラクマ(利用者)は急増していると。これからは、国内の個人間の取引についてこのラクマに集中するということでございます。

海外ECは選択と集中を進めております。

とりわけEbatesは引き続き順調で、売上が四半期で14百万ドル、このEbatesだけで14億円ということで、非常に効率がいい。

それからアメリカを中心としたマーケティングのサービスを提供している「Rakuten Marketing」ですけれども、こちらも非常に伸びているということでございます。

楽天モバイル(MVNO)ハイライト

楽天モバイルも、かなりよく伸びております。10年ぐらい前に楽天カードがサービスを開始した初月の申込者数がグレーの数値、2年近く前に楽天モバイルが始まった初月の申込者数をプロットしたのが赤の数値です。

今は10年経って楽天カードは1,300万近くの加入者になっているわけですけれども、初月からプロットすると、実は楽天モバイルのほうがちょっといいくらいであると。

これも数年すると何百万単位、あるいは一千万の加入者を超えるようなサービスになる可能性が十分にあると思っておりまして、マーケットシェアも急速に伸びております。

MM総研の資料ですが、(MVNO SIMマーケットシェアは)7.2パーセントまで来ているということでございます。

それから「Project V6」はコスト削減計画で、いろいろと多面的に展開しているなかで、足元もきちんと見直さなければいけないということで、営業費用100億円の改善計画を立ち上げているわけですけども、計画通り進めております。私からは以上でございます。