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ユーザーが考える「長期投資」のタームは?

司会者:では、このあと、質疑応答のセッションに入らせていただきます。

北澤直氏(以下、北澤):先ほどは、私どもから、勝手にいろいろと申し上げてしまったんですけれど、おそらく突っ込みどころ満載かと思いますので、ぜひ、ご質問いただきまして、ご回答できる範囲でお話できればと思います。プロダクトに関しましては梶田、ビジネス周りに関しましては私からお話できればと思っています。

質問者1:ありがとうございました。最初に梶田さんのプレゼンのなかでお話があったように、今まで投資をしたことない方が、やはり短期的なリターンに対する不安を抱くということに必ず対応していかなければいけないというのは、今の株式制度や円相場を見てると、本当にそうだと思うんです。

予測できないブレ率とか、また、ボラティリティを上げるようなイベントが日銀とかで、今後もあると思うんです。そういう短期的なリスクに関して、先ほどは、メールを送るとおっしゃったと思うんですけれど、どういう方がメールを送っているのかということと。

あと、長期投資というのはどのくらいのタームで考えていらっしゃるユーザーが多いのか、教えてください。

梶田岳志氏(以下、梶田):ユーザーさんがどのくらいの期間で考えているかということでいうと、おそらくは、一般的に中・長期というと5年くらいかと思うんですけれど、ユーザーがそう思っていらっしゃるかというと、そこはまだそうではないと思っています。そういうところが、短期的な解約に現れてくると思うんですけれど、これは我々の伝え方次第かなと思っています。

メールコンテンツを作っているのは誰か?

北澤:コンテンツは?

梶田:コンテンツは、プロダクトといいますか、我々と、金融出身の人間。例えば、野村證券のトップ営業マンであった人間などが、順に作っているという感じです。

質問者1:内部の方が?

梶田:そうですね。内部の人間が作っています。

北澤:先ほどご紹介したファイナンスのチームに加えて、某外資系投資銀行の日本のヘッドオブトレーディングをやっていた人間もいるので、非常に金融には詳しいというか、我々はトップクラスだと自負しています。

この野村證券出身の者は、いわゆる個人営業で全国区の数字をずっと出してきた人間なので、そういう一般的なユーザーの方々がどう思われるかという視点からも考えますし、それをどうわかりやすく、効果的なタイミングでお伝えするかというところで、梶田であったり、CMOの馬場であったりがチームで出している、そんな環境です。

梶田:1つ補足で申し上げると、先ほど、メールとお伝えしたんですけれど、より抽象化すると、タッチポイントを増やす。単純に接触回数が増えれば増えるほど、ユーザーは安心して解約は少なくなると聞いています。

そういったものの1つとして、一番簡単にできるのはメールだと思うんですけれど、テクノロジーを使うと、そういったタイミングをほかに作ることもできますし、どういったときがそのタイミングなのかという判断もできると思いますので、そういった点をテクノロジーとしてやっていきたいと考えています。

若者が抱える将来のお金に対する不安

質問者2:ビジネス面で2点ほどおうかがいします。先ほど、THEOの100日間の運用状況をまとめたスライドのなかで、保有資産額が500万円未満の方が全体の半分以上だと。例えば、保有資産が100万円の方で、そのなかの10万円を預けるとなると、資産額に対する割合としてはそれなりの額になります。こういったいわゆる資産形成層の方が運用に強い興味を示している、この背景についてどのように分析していらっしゃいますでしょうか?

北澤:ありがとうございます。

やはり、私どもが考えるのは、この20代、30代の方々の、日本経済や年金、自分が置かれている状況に対する認識というのは、私は昨年40歳になったんですけれど、私であったり、その上の世代とは圧倒的に違うのではないかということです。

例えば、具体的な事例でいうと、某FinTechスタートアップの新入社員の方が、初任給の半分をTHEOに入れたという事例があるんですね(笑)。お話をうかがうと、日本経済が右肩上がりだったということがないと。ずっとデフレと言われて、不景気だと言われて、メディアを見ても、年金問題どうなるのかな、と。

私なんかの世代は、初任給は「自己投資で使っちゃえ」「飲みに行っちゃえ」「服買っちゃえ」とかが、けっこうあったと思うんですけども、その念頭にあったのは、やはり、25歳の自分よりも35歳の自分のほうが安定的な収入を得ているだろう、と。

結婚したり、家を買ったりという出費はあるかもしれないけれど、それでもそれなりにやっていけるだろう。ちゃんと仕事をがんばっていたら、そうなるだろう。がんばって、ちゃんとやっていけば、リタイア後も退職金で暮らせるだろう。そこに補完するために、例えば、生命保険に入ったり、どこかでタイミングがあったら資産運用しようみたいなことが、私なんかでは、ばくっとした感覚としてあったんですけれど、「いやいや、将来、そんなに安心じゃないよ」と。お金に対する将来の不安というものが、もっと顕著になっているというのが、20代、30代の方々だと思います。

なので、これちょっと余剰資金だなとなったときに、すぐ使っちゃえじゃなくて、まず銀行預金に預けたりしますよね。でも、銀行に預けるだけでいいんでしたっけ、というのが今のテーマだと思っています。

ブレグジットの問題も、実は、一番振れているのは、ドル円の為替だったりするわけですから。それって、日本経済だよねと気付かれていて。「これはやはり資産運用とかをちゃんとやらないとダメだよね」と、感度高く思っている方が、相当いるんじゃないかなということで、やはり、世代によってそういった認識の違いがあるのではないかと考えているところです。

優れた資産運用であるとどのように伝えているのか?

質問者2:もう1点、THEOは始まったばかりで、ある意味では、運用のトラックレコードがない。いろいろな資産運用サービスがあるなかで、トラックレコードがないなか、運用が優れているということをどのようにアピールしていらっしゃるのか? それを教えていただきたいです。

北澤:ありがとうございます。まず、我々、今もリニューアルしたWebサイトでお見せしてますが、標準的な、中・長期的な運用をした場合の利回りは年利で3から8パーセントくらいです、と言っているんですね。

これを、10パーセント、15パーセントと言うつもりは毛頭ないんです。なぜかというと、我々の資産運用方法というのは、いかに分散投資をして、ボラティリティを減らすかというところ。安定的というところに、主眼をおいているということ。

加えて、パッシブ運用。いわゆる市場が下がったときに逆張りを狙うとか、ヘッジをかけるとかという話ではなくて、およそ、世界経済というのは、一応どんどんと右肩上がりに上がっていきます、と。今は、3.14パーセントですけれど。

そういったところで、世界経済と同じような資産構成を組み合わせて、なにか起きたときにも、お互いを打ち消すような相関関係を持っている資産をどんどん組み合わせて、かつ、最初に金融工学というところで、上積みの1パーセント、2パーセントというのを、例えば、技術的ですけど、スマートベータという観点からリスクプレミアムを乗せて運用するということで、3から8パーセントくらい年利で上がって、それが10年あれば相当いいよねというのが、我々の運用方針なんです。

だからこそ、「ほかよりも運用成績がいいですよ」という話ではなくて、我々は投資政策委員会というので、毎月しっかり集まって、加藤教授も含めて話をするんですけれど、そこでは、世界経済でなにが起きたのかというところが主眼になりますし、我々の想定しているモデルが、そのモデル通りの動きをしたのかというところが、まず主眼になります。

過去にさかのぼった運用シミュレーションをグラフで提示

そこで、例えばなんですけれども、ブレグジットがあって、株価が1回ドーンと下がりました。日経平均が一時ポンと下がりました。その下がったときに、逆に上がっていたら、それはパッシブ運用としては不安なんですよね。そこがポイントだと思っています。

ユーザーに伝えているのは、そういう分散投資をして、世界経済と一緒に成長しましょう。そのためには、きめ細かいETFの構成が絶対必要ですよねというのが、まず一義的な訴求ポイントです。

ちなみに、そんな定性的な話をされてもわからないというのは当然だと思いますので、我々がお見せしているのは、2007年7月くらいから、我々はアルゴリズム運用をするので、過去にさかのぼって、そこでこのモデルを回すとどういう変遷だったんですかということを、グラフでお見せしているんですね。

これは、相当、再現性が高いです。なぜかというと、ここで始めますと言ったら、入力している数字を全部ゼロにしちゃって、ここで運用を始めると、ほかの経済指標という答えは出ているので、そこに合わせれば、このモデルがどういうパフォーマンスだったのかということは、相当程度、再現は可能です。

こういうのが、アルゴリズム運用だったり、ロボアドバイザーのいいポイントだと思うんですけれども。ちなみになんですが、ここでも、我々がお見せしているときに、ここからだけ(グラフの2012年より右側)というのは絶対お見せしないんですね。

資産運用5年で、2010年から見ましたといったら、16パーセントくらいになったりするんですよ(笑)。でも、それは当たり前の話で、それは我々の運用エンジンが正しかったのではなくて、世界経済が右肩上がりで、リーマンショックからのV字回復があったからなんですよね。

我々が言いたいのはそこではなくて、リーマンショックの手前くらいで、ETFの数字でさかのぼれる限りで始めてみました。ここを起点として運用を始めると、リーマンショックでがくっと下がるよね。下がるんだけど、その下がり方というのが、実は、分散投資しているから、例えば、東証株価指数を見るよりも、よほどボラティリティが低い。下げ幅がやっぱり薄いよねというところが、ここでお見せしたいことです。

あとは、だからこそ、ここ(下がったところで)で「あぁ、だめだ」と止めないで、こうなっていくと、しっかりとV字回復基調のところで戻せるから。やはり5年10年という中・長期的なスパンで考えると、年利では3から8パーセントくらいいくんだよということを、しっかりとお見せするというのが、我々のサービスの本質というのをご説明するための責務だと考えているんです。

世界大恐慌が10年起きますというのを前提にしちゃうと、こうはならないかもしれませんが、あくまで、我々は世界経済がバランスよく持って、でも、ちゃんと、新興国の株だったり、いろんな割安株にも投資する。

そういうアルゴリズム的な上振れのところもちゃんと持っていけるようなことをやると、この8年のスパンを見ても3から8パーセントくらいまできます。これがロボアドバイザーの本質的な姿ですというところを、申し込み画面のところでもお見せしています。

ユーザーが9つの質問にお答えいただいて、ユーザーに合ったポートフォリオの姿をお見せする際には、こういった過去のパフォーマンスのシミュレーションをお見せするようにしています。

大切なのはユーザーに寄り添って安心してもらうこと

梶田:1つ補足させていただくと、こういったリターンが3から8パーセントというところ。1つ目の質問で、どういった方がどういった動機で始められるのかというご質問があったと思うんですけども、我々、Web上で複数の広告を出していまして、必ずしも一番訴求率が高いのが、期待リターンを明示したものではないんですね。

身近な話をさせていただくと、私の周りでも、投資に興味があるという方はいらっしゃるんですね。とくに、30歳ちょっと過ぎくらいで、ご結婚された方とか、この機会に投資のことを考えるという方がいらっしゃるんですけど、おもしろいくらい、周りと相談してないんですね。一人で考え込んでしまうという状況になっていて。

どれくらい買ったらいいのかというのを迷ってしまって、なかなか決められずにいる状況が、定性的なデータですけれどございます。

先ほどの、3から8パーセントというのが、必ずしも、一番訴求率が高くないという話。では、どういうのがいいかというと、1つは、リスクが少ないであるとか。あるいは、資産を運用して増やすというよりも、将来の不安に、こういった解決策がありますよと提示するもののほうが、訴求率が高かったりするんですね。

ということは、もともと、そういった不安があって、解決方法として、やはりユーザーさんに寄り添うことと言いますか、問題意識をどこまでちゃんと捉えて、結局、安心できるかどうかというところが、もちろんこういったもの(運用シミュレーション)は必要なんですけれど、それ以上に重要なのかなと考えています。

ロボアドバイザーを1つのセグメントとして認知させること

質問者3:先日、ウェルスナビさんが、サービスを始められますと発表されました。別にウェルスナビさんと比較してというわけではないんですけど、ほかのロボアドバイザーのサービスと比べたときに、御社の強みはどのあたりなのかなと。

北澤:そうですね。まず、冒頭、私の個人の思いとして申し上げたいのは、本当にどんどんロボアドバイザースタートアップに参入してきてほしいと思っています。やはり規制だったり、法律上の要請での資本や人員ということで、必ずしもロボアドバイザーサービスは日本でリーンスタートアップはできない状況かもしれません。

そんななかで、やはり大手の金融機関が始めるのもよしなんですけども、そうではない視点から、どんどん新しいサービスが出てきて、ロボアドバイザーサービスが1つのセグメントとして認知されるということが重要だと思っているんですね。

これまで、若干いらっしゃいましたけど、我々は孤軍奮闘みたいなところがあったので、我々としては、新規に入ってくる方は同志だと思っています。パイを奪い合うという話ではなくて、どんどん認知させて、パイを広げていこうという話だと思っています。

そうやって、どんどんいろんなサービスが出てくると、結局のところ、選ぶのはユーザーですので。ユーザーがこっちがいいねと思っていたら、我々としてはどうしなければいけないんだという話になって、サービスとしても切磋琢磨して、どんどん改善される。結局、勝ち組はユーザーだよねということになると思っていて、我々はそれがあるべき姿だと思っています。これが1点目です。

それぞれのユーザーに合った最適な資産運用がある

そして、先だってリリース、サービス開始されたので、なかなか我々も内容をしっかりと把握できていないままで、他社のサービスとの比較というのも難しいと思うんですけれど、ただ、比較の視点として「運用報酬」とか、「期待リターン」とやってしまうと、若干ロボアドバイザーとしての本質を見誤ってしまうこともあるかと思っているんですね。

ロボアドバイザーで重要なのは、1人ひとりの資産運用の最適化って別々にあるよねという話なので、「めちゃくちゃおいしい幕内弁当を1つ作りました!」という話ではなくて(笑)。

お惣菜屋さんで人のいいおばちゃんがいて、若い人には「もっと食べなきゃだめよ」とか、おじさんには「油っこいもの止めなよ」とか、ちゃんとやるというところが重要で、そういう、梶田が言っていたユーザーに寄り添って、どれだけサービスを提供できるかみたいなところも重要です。

そういった意味でも、高度な金融工学をしっかり理解して、それをモデルとして作って、絶え間ない更新をしていくチームがあって、それをユーザーに寄り添うかたちでサービスとして展開するチームがある。この両輪が重要だと思っているんですけども、我々としては、このチーム構成には、今、どこにある会社様にも負けないだけの自信を持っています。

質問者3:ありがとうございます。

円高トレンドのときのリスクヘッジは?

質問者4:初歩的な質問なんですけれど、海外のETFに分散投資ですと、円高トレンドの時って、どういうリスクヘッジができるんですか? 資産がだだ下がりになっていくような気もするんですけど、そこについてどう考えているのかを教えてください。

北澤:ありがとうございます。短期的なリターンという理論も少し出てくると思うんですけど、ユーザーとしてお預け入れいただく通貨としては円ですし、出すときも円です。これがあるので、我々としては、一義的にお見せしているリターンも円です。そうすると、例えば、ブレグジットの時もなにが起こったかというと、為替の変動というところで、表示される数字にブレがあるということがあります。

我々として、メッセージとしてお伝えしたのは、ユーザーによっても、スタートしたタイミングでも違うんですけども、基本的に6月からの運用を、ドル建てで見ると勝ってたりするんですね。

ですので、中・長期的に見たときの本来的な資産運用。本来での資産の価値や、運用成績という意味では負けていないので、ご安心くださいということをお伝えするのが1つのメッセージです。ただ、「でも円で戻って来るんでしょ。だったら円でも見なきゃいけないよね」というところは、しっかりと今後も説明をしていかなくてはと思っています。

そこで、やはり本質的にあるのは、為替ヘッジをかけたほうがいいんじゃないのという話があるんですけども、1パーセント、2パーセントコストをかけて、為替ヘッジをかけることのメリット・デメリットがあると思っていまして。

このあたりは、たぶんご専門の方々もいると思うので、釈迦に説法だと思うんですけども、我々の中・長期スパンで考えたときの、為替に影響する要因と、ボラティリティの対応状況を鑑みると、行ってこいの可能性はけっこうあるわけで、そこの行ってこいのために2パーセントとか1パーセントのヘッジコストをかける意味はないよねと。そういう判断でヘッジはかけていません。

そこをしっかりご理解いただくということが重要ですよね。そこのコミュニケーションの乖離というのは、我々もまだあるなと思っていますので、そういうところはしっかり図っていきたいと思っています。

質問者4:今見せているのは、ドルベースですよね?

北澤:これは、円ベースです。

質問者4:円ベースですか。為替の変動は入っているんですか?

北澤:変動は入ってますね。だから、下がります。ここらへん(シミュレーショングラフ右端)でブレグジットがありますので、下がりますね。

ポートフォリオの構成はどのように変化するのか?

質問者5:細かいんですけれど、世界的にマイナス金利がけっこう拡がっているわけですが、そういう状況下だと、例えば、債券の組み入れ比率が、同じ質問に対して、今までは日本債券を4割組み入れるべきだった人が、日本もマイナス金利の状況になったときに、債券の構成比が下がるような傾向になるのか。とくにそれは、そのケース、ケースで一概に言えないのか。つまり、マイナス金利を受けて、モデルの中身に変化が出てきているのかどうかというのが1点。

世界的に金利低下で、期待リターンが株式の成長段階で全体的に下がっていると見ているのか。あるいは、長期的には、期待リターンの前提みたいなのは変えていないのか。

全体的に、期待リターンが下がっているとすると、1パーセントというフィーが、人によってはけっこう重く感じている人もいると思うので、まだ始めたばかりでなんとも言えないと思うんですけれど、将来、ライバルが出てくるなかで、フィーは下げていかれるのか。

北澤:わかりました。ありがとうございます。

まず、ポートフォリオの構成の内容の話。我々、ロボアドバイザーとして、なにをしなければいけないかというと、買っただけではなく、アドバイスするだけではなく、しっかりと運用し続けることが重要だと思っています。梶田が説明したこととも若干重なりますけれども、まず1つやらなくてはいけないこと、これは、リバランスだと思っています。

私ども、リスクとリターンだけの指標で見ておらず、1人の方が資産運用に対して求める目的というのは、中・長期的な価値の向上の目的。これは株式を主体としたポートフォリオで達成したい。また、運用中の安定性という目的、これは債券を中心としたポートフォリオで達成したい。

さらに、まったく関係ないインフレーションが起きたときに、自分の持っている保有資産の価値が下落してしまって……、いわゆる富裕層の方が懸念するような事項ですね。そのインフレーションをヘッジするという目的。この3つの目的を考えています。3つ目に関しては、コモディティで、それを運用します。

そういう3つの目的があるなかで、そのうち、このユーザーであれば、なにを重視しているのかというのを判断しているんですね。

ですので、この方ですと、成長が43パーセント、安定性を同額で43パーセント、インフレーションのヘッジは、そこまで高くない14パーセントと考えているんですね。 リバランスと我々が呼んでいる、これ実は、我々は毎月やっているんです。毎月やっているところはなかなかないんですけれど、もちろんGPIFとか、そういうものも毎月やっているんですけども、一般向けのサービスではなかなかないと思っています。

これが、株だったら何本くらい、債券だったら何本とか、このようにETFを構成しているんですけども、先ほどのページに戻っていただいて、リバランスでなにが起こるかというと、毎月毎月、値動きがあるので、持っている保有ETFが、ユーザーが43パーセントと言っていても、45パーセントとか48パーセントになったり、こっちが減ったりする。球体で始めたものがだんだんひしゃげていくので、それを毎月売り買いして戻す、これがリバランスです。

状況に合わせ、最適な構成に適宜作り直す

ただ、この43パーセントの中身を、またひとつの丸として考えると、そのなかで、日本株に何パーセントなのかとか、先ほどのをご覧いただくと、米国の大型のバリュー株とか、中型バリュー株とか、APACの先進国の大型・中型株とか。こういった構成をそれぞれ、そのなかでも日本株が1パーセントなのか、いやいや経済状況が変動したから3パーセントであるべきだとか、こういったことを計算しているんですね。

ちなみに、43パーセントのユーザーだったら、このなかが100パーセントで、1パーセントが日本株だったら、全体で考えると0.43パーセントが日本株になる。そんなイメージを持ってください。ですので、その株の中身を構成するもの、これもモデルは経済事象の変動によって適宜変えていきます。

これは我々のリバランスと対比するために、リアロケーション、再分配と呼んでいるんですけれど、これも必ずしも毎月ではないんですけれど、我々は適宜やっています。

そういう意味で、例えば、マイナス金利の状況になって、債券もけっこうあるんですよ。ハイ・イールド系とかっていうのは、どちらかというと、株と似たような動きを持ったりするので、必ずしも、一律でマイナス金利になったから、債券のポートフォリオは全部だだ下がりでリターン求められませんという話も、今のところないですし、今までもそこはなかったので。

我々は、この43パーセントというお客様が決めた運用方針、これを自動的に「いやいや、インカムのほうがちょっと弱くなったから、これを35パーセントにしましょう」ということをやることは、今のところは、想定していません。ただ、インカムのなかでも、今まさにご指摘いただいたような、経済状況の変動というところで、なかの組み入れのウェイト、これを変えるということは常に行っている。そんな感じです。

梶田:もう1つは、この割合をずっと変えないのかという話なんですけれども、例えば、同じ方でも年齢に応じて取れるリスクというものは変わってくると思うんですね。若い方が、グロースというのは多くなるでしょうし、歳を召されているほど、インカムというのが多くなると思っています。なので、加齢であるとか、その方の状況の変動によってこういったものを変えるというものは、今はまだできていないんですけれど、準備しています。

運用報酬1%は高いのか、安いのか?

北澤:次のご質問、運用報酬1パーセントが、高いか低いか。ご指摘の通りだと思います。

我々が、まずそもそもなにをしたかというと、3パーセントとか4パーセントとか、ノーロードといわれる投資も積み上げると、年間そのくらい取られる。だって、年率3から8パーセントですよ。それも、5年10年見ないと、3から8パーセントにならないですと言っているのに、3パーセント取られたら、運用は厳しいというところから、やはり事業としては始めてているので。

運用報酬をいかに下げられるか。これは、我々、使命として考えています。ちなみに、アメリカのロボアドバイザー、ベターメントとかは、15ベーシス、20ベーシスくらいの運用報酬で実現できています。

ヨーロッパを見ると、もうちょっと高いんですよね。40、50ベーシスくらいになっていて、我々は今、100ベーシスです。もう一度繰り返しになりますけど、100ベーシス以上の報酬やコストというものはいただきません。

私は、アメリカのロボの人間とか、香港の人間とか、FinTech協会の理事とかもやっているので、いろいろ話すんですけれど、利益率はあまり変わらない。これは、何点かあるんですけど、ETF市場が、日本ではまだ育っていないので、日本でETFを買うとまだ種類が足りないのと、あと流動性が低いから、リバランスがしっかり行えないという状況が残念ながらあります。

細かな資産を組み合わせて、それをインデックス投資というのをして、リバランスをちゃんとコストを安くするというと、アメリカに持っていくのがいいですね。

そうすると、やっぱり日本で送金するときの通行手数料みたいなものがあって、アメリカに送金する時もあって、それをドル転してというところ、そこまでって、ベターメントは不要なんですよね。その分で取られるところが、けっこうあるというのは、まず1つあります。

いかにしてコストを下げるか

あともう1つあるのは、実は、我々、ユーザーから資産をお預かりして、これをアメリカに送金してオンラインブローカー、インタラクティブ・ブローカーズという世界中でロボアドバイザーとして使われているブローカーがあるんですけれど、ここをプライマリーブローカーとして、取引を行うんですね。

我々は、発注の取次ぎをするみたいな感じなんですけども。ここ、とても安いんですね。日本の証券会社の為替手数料とかと比べても、圧倒的に安いので、そこを使うんですけれど。ただ、例えば、ベターメントも昔インタラクティブブローカーズ使ってたんですね(笑)。

なんですけれども、そこのブローカレッジフィーとかコストって、ユーザーが負担するのもよくないし、自分たちが負担してもマージン嫌だよねということで、自分たちでブローカレッジライセンスを取ったんですよ。なので、今って、APACかな、クリアリングハウスだけ使って取引しているので、そこでまたコストを安くすることができてるんです。

我々、第一種金融商品取引業を取ったので、日本の証券会社としての登録はすでに済んでいるんですけれども、さすがにアメリカに行って、アメリカの証券会社の登録というところまではなかなかビジネス的に難しいので、そこでまたコストが取られているというところはあります。

ただ、我々、この1パーセントもどんどん下げていかなきゃいけないとも思っています。あまりこれは大々的に説明していないんですけれども、資産運用額の3,000万円までは1パーセントの運用報酬なんですけれども、そこを越える部分って、我々は、実は0.5パーセントしかいただいていないんですね。

それはなぜかというと、資産が増えれば増えるほど、通行手数料とかの何百円とか何千円とか取られる単位のところの割合が減ってくるので、その部分はコストを減らしてもいいなと考えているので、実は、段階的に、資産運用の報酬残高も減らしています。

今後も、手数料のところとかというのも、例えば、既存の金融機関であっても、FinTechスタートアップでもというところと、いろいろ提携したり組んだりすることで、どれだけコストを下げることができるかというのも、我々の使命の1つではないかなと考えています。

質問者5:ありがとうございます。

優先順位が高い新規機能は?

質問者6:ちなみにこれから新しく入れていく機能で、優先順位が高いものってなんですか? 例えば、積み立てとか。なにか考えていることは?

北澤:おぉ、もうそれでもいいかもしれません(笑)。ありがとうございます。

梶田:そうですね。ちょっと抽象的な表現になってしまうんですけれど、我々開発チームのKPI、どういう数字を追っているのかという数字の1つは、ユーザーのAUM、お預かり資産額と、顧客の継続期間ですので、これを最大化するようなものを優先的に開発していきます。

おっしゃったような積み立てももちろん重要だと思っています。あるいは、長期的に、先ほどもコミュニケーションのタッチポイントを増やすというお話をしましたけれど、メールだけじゃなく、ほかのタッチポイントを増やせるような機能。例えば、アプリケーションだとプッシュ通知とかがあると思うんですけれど、そういったものの優先度を高く考えています。

司会者:では、お時間になりましたので、第1回目のラウンドテーブルはこちらで終了させていただきます。本日は誠にありがとうございました。

北澤・梶田:ありがとうございました。

<続きは近日公開>