サービスリリース後に「これイケるな」と感じた瞬間

小野裕史氏(以下、小野):「スタートアップのはじめ方」というテーマで話をしていますけれども、ぜひこれを聞いてみたいという方いたら、手を挙げていただければ。

質問者1:実際にサービスを始めてみて、どういったところで「これイケるな」という手ごたえ(を感じたか)。数字なのか反応なのか。「これイケるぞ」と思ったときは、どうだったのか?

小野:いい質問ですね。じゃあ、どなたからでも。

重松大輔氏(以下、重松):まず実際にリリースをしてみて、利用者がついて、今まで借りられなかったようなところから借りられるようになって。実際に利用体験を言ってくれて、「すごい! 今までにない体験だ」みたいな。

オーナーはオーナーで、「こんなんでお金もらっちゃっていいの?」みたいなのがきて、それがどんどん増えていくというのがあって、「これイケるな」という感じでしたね。これでご飯食えるんだみたいな。仮説が実証されたみたいな。

小野:あんまりなかったものだから反応がよくて、だからこそ、これはイケるということにつながったんでしょうかね。みなさん、どうですか?

佐々木大輔氏(以下、佐々木):僕はオフィシャルにリリースする前に、Tech Crunch Tokyoというイベントで、こんなの作ってますというのを(告知した)。「本日クローズドβ版のトライアルやりました。モニターになってくれる人募集!」と言って。やったら、100人ぐらい申し込んでくれたですけど。

でも、実際それで「準備できました!」と案内したら、誰も使ってくれなかったんですよ。「やっべー」と思って。もう本当に士気が下がる。

ただ、本当にクローズドでやろうとしてたぐらいなので、実は中身もめちゃくちゃで。あんまりしっかりできてなかったし、しょうがないかなという感じだったので、「でも、いいや、このままやろう」と言って。

そこで見つけたモニターじゃなくて、もっと別のやりかた、当時でビザスクというサービスを使ったんですよ。ビザスクでモニターになってくれというのでやって、「これで確定申告してください!」みたいなことをやって。

一応、ユーザーのフィードバックを取りながら作って、最後リリースしたんですけど。でも、実際にリリースしたときは、初日で「これはすごい」ということになって。

とてつもない量のニュースメディアに書いてもらったし。あとは、実際使ってもらったブロガーさん。例えば、イケダハヤトさんとかがすぐ使って、大絶賛をしてくれた。

そういうのを見て、それをさらにバーッとリツイートするような人たちが、いっぱい出てきて。

まだ、リリースしたときはサービスもクソだったんですけど、そこでがんばって誠意をもって。すごくブログに書かれた、「ここがイケてない」みたいなことはすぐ直して、その人にお知らせする。

そうすると、俺が育ててるんだみたいな感じで、みんな喜んでくれて。さらにもっと書いてくれると。その連鎖ができたというか、初日にもうその兆しがあったんですけど、そこですごいいろんな反響があって。

クソだと書いてくれた人もいたけど、この人たちにちゃんと直しましたと言えば、味方になってくれるんじゃないかなとかと思えたというのが、これイケるなと思った瞬間でしたね。

金谷元気氏(以下、金谷):akippaの場合は、自分たちは大阪の会社なので、相談する人がまったくいなかったんですね。誰も知らないという状況で。

たまたま大阪イノベーションハブという施設があって、そこでピッチイベントがあったので行ったら、審査員がgumiの國光(宏尚)さんとエニグモの須田(将啓)さんだったんですよ。

そこで発表したら、國光さんから「これ、バリュエーション10億はつくよ」と言われて。「Airbnb知ってる?」と言われて、「知らないです」と言ったら……。

佐々木:知らないで始めてるのがすごいです(笑)。

金谷:それですごく、まず自信ついて。そのあと、エニグモの須田さんからは500万出資をいただきました。

これはイケるんじゃないかなと思って、事前登録のサイトだけフリーランスの人に作ってもらうと、1万人以上登録してくれたんですね。「これイケるな」と、そのときにもう。

起業家がかかえる自己矛盾

金山裕樹氏(以下、金山):いろんなポイントあったと思うんですけど、今から「なに言ってんだ、こいつ?」ということを言います。

小野:楽しみです(笑)。

金山:たぶん(ここにいる)4人とも、イケないと思ったことは1回もないです。やった瞬間に、絶対にイケると思ってます。けど、イケないかもと常に思ってます。けど、いつかイカすぞと。

(会場笑)

起業家は、この自己矛盾が本当あると思います。絶対イケると思ってるんですよ。もうやり始めた、やるぞと決めた瞬間からイケると思ってるんですけど、イケないかもなみたいな。でも、ベースはイケるんです。だからたぶん、みんなやり始めたときにイケると思ってると思います。

重松:長期休みとか入ったら、一瞬KPI落ちるじゃないですか? ドキドキしますよね。また、フワッと戻ったりとかして。

金山:本当にあれよくないです。心にすごい……。こっちは生活がかかってるので、やっぱりそのやりとり。本当に商売に対して、真摯に向き合っていくなかで、心がみがかれて、「イケる」が強くなってくるのかなと思います。

もう、やり始めたときからイケると思って、絶対やってます。イケないと思ってやってる人は1人もいないと思います。

小野:僕も仕事でベンチャーキャピタルという、いろんなベンチャーの経営者を見られる機会あるんですけれど、やっぱり伸びてる会社はみんな、目標達成意欲のすごさが強いですよね。

だから、毎日それをやり続けて「これはやっぱりダメだったな。ピボットしよう。変えよう」という場合においても、結果的に別の目標に対して結果を出しやすい。そういう訓練がされてる。それは、能力というよりも訓練だと思うんですけれども。

そういう人たちがやり続けて、結果につながっているのかなと思いました。よろしいでしょうか。

質問者1:ありがとうございました。

小野:ほかに質問ある方いらっしゃいますか?

起業当初、自分の給料は月5万円

質問者2:お話できる範囲で構わないんですけど、共同創業者だったり、最初の初期メンバー5人ぐらいまでの、エンジニアとかすごく優秀な方を採用されたり、気に入った方と一緒にやりたいということだと思いますけど。どれぐらいの給料をもらっていたか。お話していただけるなら、共同創業のお給料を。

小野:前職との差とかも聞きたいですね。

重松:私も子供が3人いて、共同創業者も子供がいたので、(月給)20(万)とかだと本当死んじゃうので、さすがに厳しいので。お互い40歳で始めてますが、調達が終わるまでは、自分には出してなかったですね。

小野:給料? 前職のフォトクリエイトは上場企業ですから、そこそこもらってたわけですよね。

重松:このへんの(みなさんの)会社と比べると、ぜんぜんあれですけど、そこそこですね。むしろ共同創業者は、前前職のヤフーのほうが当然もらってたわけですから。

小野:佐々木さんのところはどうですか? Googleですからね。Googleはもらえますよね。

佐々木:すごいもらってました。楽だし(笑)。すごいぬるい人生送ってたんですけど。でも、僕は起業したときは、最初1〜2年目の自分の給料は5万円。

小野:月5万円ですか? 熱いですね! お小遣いじゃないですよね?(笑)。

佐々木:役員報酬は、1年間変えちゃいけないんですよ。だから、もう5万円と書いて。それはもう、年金事務所に行って「すいません。保険料一番安くしたいんですけど、いくらがいいですかね?」と言ったら、「5万円がいいんじゃないですか」と言われて。

(会場笑)

5万円にしました(笑)。ちなみに無職のやつは最初無給です(笑)。

(会場笑)

小野:0に7掛けしても0ですからね(笑)。

佐々木:もう0。

重松:なに掛けても0だって(笑)。

佐々木:あるとき、ちょっと仕事できるようになったねというときに、夜ラーメン屋で「そろそろ給料払おうと思うんだけど、どうかな?」と言ったら、「マジっすか!」(笑)。

(会場笑)

小野:ずっと無給生活だったわけですよね。

佐々木:でも、無給だったの2ヶ月ぐらいですよ。

小野:彼の人生的に、給料がない生活だったわけですよね。

佐々木:まあ、それまでの人生ずっと給料なかったですからね。

小野:人生初給料、ラーメン屋で。

重松:スタートアップにおいて、幸せの基準が低いのは大事ですよね。ハングリー精神ですから(笑)。

小野:ありがとうございます。金谷さんのところ、いかがですか?

akippaスタート時の給料

金谷:うちの場合は、前職がもともとみんな低いところを流れた人間なので、入ったときは18万5000円とかです。

副社長が社員ナンバー5番で、今、人事やってるんですけど。だいたい20万ぐらいですかね。それで、だんだん昇給していくというか、成果に合わせて上がっていくというかたちです。今はたぶん、けっこうもらってると思います。

小野:最初、(スタッフは)シングルマザーだったわけですよね。給料が、あんまり稼いでもお小遣い程度なのかなと。

金谷:シングルマザーの人たちが時給900円でやってましたね。

小野:なるほど。

金谷:最近Googleから来た人が役員になったんですけど、その人は(前職から)かなり下がってる。

小野:どのくらいなんですか? もし、差し支えなければ。

金谷:まあ、半分まではいかないですけれど。

小野:すごいですね。それでも来たいという会社になっているということですね。

金谷:なんとかやってます。

小野:金山さんは?

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