病院をキャンセルしても孫氏に聞きたかったこと

孫正義氏(以下、孫):動議の方先にどうぞ。

質問者2:大変先ほどから詳細、かつちょっとわかりにくい部分もありましたけれども、これまでのご努力、私は大変尊敬しております。

もう間もなく12時になります。昨日のヤフーの総会では動議も無視され、そして何度か申し上げましたが、ぜひお伺いしたいことを言い残しました。

私は今日、病院に行く予定がございまして、そのために昨日ぜひ会長、社長におうかがいしたいことがたった1つございました。

まだお一方しか発言されておりませんから、時間はじゅうぶんいただけると思ってよろしいでしょうか?

もう1つ、差し支えなければ、本日総会担当の顧問弁護士のご氏名と所属弁護士会について教えていただければ幸いです。

動議はそういうことで、これだけの出席者がおりますから、たくさんの人から意見を聞いていただきたいというお願いでございます。

どうしてもおうかがいしたいことがございます。世界は今、政治、経済、そして各企業と御社もいろんな意味で大変な時期で、社長のご苦労もお察し申し上げます。

なんといいますか、アメリカの大統領選挙、そして……。

:あの、ちょっとだけよろしいですか? 動議ということですから、議事の進め方に関する動議であれば、あるいは議決の内容についての動議であれば、まず動議の内容をおっしゃっていただいて。

質問者2:先ほど申し上げましたが、昨日は12時で一方的に打ち切りになりました。私は昨日の動議に対する議長の取り扱いを大変疑問に思っております。

今日はそういうことのないように、多くの人の聞いていただきたいというのが動議でございます。

:できるだけ多くの人の意見を聞いてほしいというのが、動議の内容ですね。

質問者2:そうです。

:できるだけ多くの人に聞きますので、なるべく短めにひとつ……。

再生可能エネルギーを早く広く導入すべき

質問者2:ちょっとお待ちください。先ほど、議長は大変時間をかけて、1時間半にわたって独演会をされました。私にも少し時間をいただきたい。

たった1つの質問に入ります。私は社長のソフトバンクを世界的な企業に育て上げられたご努力に大変敬意を表しております。

そして、日本の財界の若干古い体質に新しい風を吹き込む、そして……要点を今申し上げております。お静かにお聞きください。

日本経済のみならず、ダボス会議においても、ここにご列席の社外取締役も含めて、世界をリードする……。

:すみません、もうちょっと短めにひとつ。

質問者2:端的に質問を申し上げます。私は何年か前に、原発事故のあとでございましたか、会長が時の総理ときわめて親しげに笑顔で語られているニュースを拝見しました。

その時に「あれ?」ときわめて衝撃的な印象を受けました。会長はいろんな意味で顔も広いし、考えるところもあったでしょうが、どういうお気持ちでああいうニュースになったのか。それから、今振り返ってどういうご感想をお持ちか。

その1点だけ今日うかがうために、病院をキャンセルしてまいりました。

:わかりました。原発の事故があって、その後に私は再生可能エネルギーをできるだけ早く広く日本に導入すべきだと申し上げて、議論をしてきました。

今、振り返ってみて、日本でも再生可能エネルギーは広がってきましたし、我々ソフトバンクも一生懸命取り組んでおりますし、世界でもどんどん広がってまいりました。

原発賛成反対いろいろあると思いますけども、私は、人類のために再生可能エネルギーは長い目で見てよいと思っておりまして、ソフトバンクも取り組んでおります。

そういう意味では、あのミーティングをもったことはよかったと、今振り返っても思っております。よろしいでしょうか。

(会場拍手)

はい。できるだけ1人1問。なるべく多くの人でいきたいと思います。よろしくお願いします。

じゃあこの一番前の方。どうぞ。私が長くしゃべりすぎたので、申し訳ありませんが、できるだけ短く。

30年以内に時価総額200兆円を目指したい

質問者3:419番。ご指名ありがとうございます。

孫さんの大好きな坂本竜馬生誕地土佐の高知から来ました。

:ありがとうございます(笑)。

質問者3:第2の人生として、ソフトバンクを世界NO.1のグループに、また、名実ともにその裏付けとなる株式時価総額1つの目標になると思います。トヨタの20兆円、米アップル社の50兆円が、目標の1つとなると思いますが、そのお考えをお聞きしたいと思います。

なお、ここにいる株主のみなさんの笑顔が見たくないですか? よろしくお願いします。

:ありがとうございます。4、5年前に、「新30年ビジョン」を株主総会のこの場で発表させていただきました。

その時に「大ボラだからまともに聞かないでくださいね」という前置きつきで、時価総額についてもコメントをさせていただきました。

「30年以内に200兆円にしたい」ということでありました。

今おっしゃったように、現在でいえば、アップルだとか、グーグルだとか、そういう会社でも、200兆円いっておりません。50兆円前後の金額です。この金額で、事業の価値だとかを表しているとは必ずしも思いませんけれども、ソフトバンクが世の人々に大切だと思ってもらう1つのものさしとして、時価総額があると思います。

そういう意味では、そういうものも1つの明確な目標として持ちたい。ただしこれは、約束ではなくて、「ホラですよ」ということで申し上げたい。

ちなみに、ソフトバンクがYahoo!BBを開始して、4年連続で1,000億円規模の赤字を出したとき、この株主総会のこの場で、1,000億円の赤字の真っ逆さまのどん底の時に申し上げました。

いずれ必ず利益を1兆円2兆円と数える規模の会社にしますということを「ホラ」を前提として申し上げて、多くのみなさまに笑っていただきましたが、今年は、営業利益でおそらくこの1兆円前後の規模になるんじゃないかなと。一時益を含めずに、その規模まで、あの時言った「ホラ」がついに現実になりました。

ですから30年以内に200兆円超えるという今回の「ホラ」は、もしかしたら、ちょっとだけ、真実が含まれているかもしれないということで、淡い期待として覚えておいていただきたいと思います。よろしいでしょうか。

(会場拍手)

シンギュラリティが起こる未来には通信分野が重要になる

それでは、今度はB列の白い紙を挙げている方。

質問者4:442番です。シンギュラリティという言葉を聞きまして、全体的な流れを見ていくというと、通信=携帯会社が必要だということなんだと思うんですけども、そういった意味で、日本ではソフトバンク、米国ではスプリントをやっているのは、シンギュラリティに必要な核となるのが通信の分野だからなのかなと思ったんです。そういった通信の会社を持っていると強みになるのかどうかというところを聞ければと思いました。

:ありがとうございます。非常にいい質問です。まさにその通りなんです。人工知能が人間でいうと頭だとする。神経は(頭に)つながっているわけですから、においだとか触れたものだとか聞いたものとか、体の五感が感じたものが、頭に集約して、頭で考えるわけです。

考えたら、これまた、口だとか手だとか足だとかを通じて、実行していくわけですけど、これすべて体のなかで、体のなかで微弱な電流を使って「通信」しているわけです。

ですから、頭が大事だと同じように、今度は通信というのが大事です。日本、そして世界一のGDPのアメリカに、通信網を自らの体に持っているということは、我々の中長期の戦略としてのコアとして欠かすことのできないものだと思いました。

これは、我々が20、30パーセント株を持つという次元の話ではなくて、自ら100パーセント近く持って、自ら経営の責任を持って、オペレーションしていくわけです。

ですから、今のご質問に対しては「イエス」。よろしいでしょうか。

じゃあほかに、D列の一番前の方。マイクが来るまで手を挙げておいていただきたいです。

江戸城を作ってほしいというリクエスト

質問者5:410番です。よろしくお願いします。

先ほどの話が発展すると、人間は将来的にはそんなに一生懸命働かなくてもよくなるんじゃないかと私は思っているんですけど、その後、人間としてなにが満たされるかと言うと、体験が必要になることだと思います。観光というのが1つの目玉で人間の欲求の1つになると思うんですけど……3つの提案があるので聞いてください。

:できるだけ短く(笑)。

質問者5:はい。東京に今、目玉が実はないので、ぜひ作っていただきたいものが3つありまして、1つは城、江戸城です。

:ちょっとソフトバンクの領域とは違うかな(笑)。

質問者5:あれ……そうですね。次が、サッカークラブです。もう1つが、サッカー専用のスタジアム。ぜひやっていただきたいと思います。

:はい……貴重な意見なんですけども、ちょっとソフトバンクの情報革命の領域からは、直接的でないかもしれません。

ただ、ソフトバンクはソフトバンクホークスをやっていて、スタジアムを持っているわけですから、必ずしもノーというわけではないんですけれども。我々のコンテンツの1つとしてですね、スポーツには積極的に取り組んでますので。

インターネット、情報革命を通じて多くの我々のユーザーに、ヤフーもそうですけれども、コンテンツ、エンターテインメントを届けていくその一環としてでしたら、やるかもしれませんけれども、メインの領域ではないですね。