セブ山ってどんなやつ?

田中圭一氏(以下、田中):じゃあ、セブ山さんと、谷沢川コウさんの「コミPo!」を使って名作漫画」ってやつですね。そちらをまず披露していただけないかなと思うんですけども。まずは、セブ山さんのほうで作ったものが。

セブ山氏(以下、セブ山):そうなんです。ただ、今日僕は本当に別にコミPo!をめちゃくちゃ使ってるユーザーというわけじゃないのに呼ばれたんですよ。まずは、僕が作った4コマを見ていただきたいんですけども。

田中:じゃあ、見せてください。

ダ・ヴィンチ・恐山氏(以下、恐山):部外者の作った(笑)。

セブ山:もう仲間だからね。これ、ふだん僕がやってることなんですけど。

(会場笑)

たぶん「セブ山って誰なんだ、どんなやつなんだ」っていうのが一番よくわかると思うんですけれども。

田中:オモコロでよく見る?

セブ山:セーター1枚で冬を乗り切ろうというので。僕がこうセーターを着て。お金がないから服を。

谷沢川コウ氏(以下、谷沢川):モザイクなしですから。

セブ山:セーターを逆向きに着ると、こうなって暖かいよっていうのを、普段オモコロというサイトで。

(会場笑)

田中:よく幼稚園上がるくらいの子供がやってるやつですよね、本当に。

セブ山:こういうことをやってるんですけど。これをね、じゃあどういう名作にしてくれるんだと、送ったんですよ。

漫画『キングタム』風のコマ割りを再現

谷沢川:はい、いただきました。『キングダム』知ってる人? 

(会場挙手)

ああ~、みなさん6~7割方知ってますね~。『キングダム』は名作ですわ。

セブ山:知らない人のためにも説明すると……何でしたっけ?

谷沢川:三国志の前の、項羽と劉邦より前の、始皇帝の時代の戦いを描いた戦国ものですね。戦記ものといいますか、ヒーローアクションものですわ。バトルがすごい。何万体と戦ってる、英雄がいっぱい出てくる話ですよ。これを……。

セブ山:これやります? めちゃくちゃなこと言ってるでしょ。これを『キングダム』風にやるっていうのは。

僕はちょっと素人の目ではわからないんで、教えてもらっていいですか? どういう独特のコマ割りか。

谷沢川:独特のコマ割りの説明は、セブ山さんの漫画に変えたときに話しますから。これは戦ってるわけですよね。

戦ってる最中。この一騎打ちが、今こういう戦いの中でやりますよっていう話なんですね。バーンって。これもう一番前半の盛り上がりですわ。

これ何巻だっけ、今? 21巻ですね。今40巻まで出てますから。ちょうど中盤の盛り上がりですね。廉頗 (れんぱ)将軍と戦ってるところです。廉頗将軍の四天王である輪虎 (りんこ)と信 (しん)が戦ってるところですね。もう一番盛り上がる。

このシチュエーションを……もうパンパンいきましょう、セブ山さんと合体したら。

取り囲まれてるシーン。

セブ山:「バババ」。ぐはぁ。

谷沢川:次のページは。

恐山:なんでダメージ受けてる?

谷沢川:「ガギ、ギギギギギィー」。

セブ山:ふざけてんのか。

(会場笑)

谷沢川:何かと戦ってる。なんかわからないけど緊張感溢れてる。

セブ山:これどうなんですかね、これは。どうですか。

田中:『キングダム』ぽいですよね。

セブ山:ぽいですね。

田中:もう口のアップとかで完全にキングダムじゃない。

セブ山:なるほど。あ、そういうことですか。

谷沢川:そうそう。

田中:おそらく『ヤングジャンプ』に載ってても、みんな気が付かないよ。

セブ山:気が付くでしょう(笑)。

谷沢川:気がつかないと思う。

効果のつけ方で『進撃の巨人』にもできる

しかもね、目線がやっぱぜんぜん留まんないんですね。スムーズなんですよ、流れが。流れが綺麗。やっぱり左上の2つのコマあるじゃないですか。

セブ山:なるほどね。「人が周りにいて、あ、見られてるんだ」っていう説明が。

谷沢川:ちなみにすごいのは、ポイントは、セブ山さんのセーター持った姿があるじゃないですか。あれ、足がなかったの。

田中:1コマ目ですよね。

谷沢川:足、加えました。

田中:追加してるんだ(笑)。

セブ山:なんか変な(笑)。

田中:気持ちわる〜、これ。

恐山:進撃の巨人にこういうの出てますよね。

谷沢川:しかもね、バージョン3で出てきたパースつけるやつ。あれで立たしてるわけです。立たして周りにいるから、なんとなく立体的に見えるっていうね。

田中:ニーハイなのかなーとかね。

谷沢川:真ん中のコマは流れだからいらないっすよ。だから、意味がなくていい。

田中:何かが起きてる。

セブ山:「着てる」感じをこうバーって表してくれてるんですね。

谷沢川:実際、着てるかどうかわかんないわけですよ。わかんなくてもいいんです。次のページへ流れるコマだから。

セブ山:これやっぱ進撃の巨人じゃないですか、やっぱり。

谷沢川:なんか戦ってるじゃないですか。

田中:進撃の巨人的な魅力も、もう包括してるってこと。だから単行本にしたら『キングダム』と『進撃の巨人』の倍ぐらい売れるわけ。両方のファンがついて。

谷沢川:しかもね、こうするだけで対決シーンに見えるんですよ。

セブ山:確かに。

田中:上のコマちょっとモンハンっぽい感じしない?

谷沢川:狩られる側ですからね。序盤で狩られる側ですよ。

恐山:理性がないですもんね。

谷沢川:そうそう、顔が理性ないもん。

セブ山:なるほどね。

谷沢川:「ギ、ギ、ギ、ギ」っていうのあるじゃないですか。この「ギ、ギ、ギ、ギ」。このコマを飛び出してるこの「ギ」がいいんですよねー。あとここの血ね。この血。口から出てる。これがまた大事ですね。

句読点の使い方で躍動感アップ

ちなみに、コミPo!使ってる人はわかると思うんですけれども、ちっちゃい丸ってつかみづらいんですよ。だからどうしたかって言うと、実は丸じゃないんです。句点「。」なんです。

田中:ああ~。テキストデータ?

谷沢川:テキストボックスは必ずつかめるんですよ。だからこれもね「U」ですから。

田中:「U」?  

谷沢川:汗じゃないから。「U」だから。これは使いやすい。

田中:これ「U」?

谷沢川:うん。これ「U」です。これはすごい使いやすいですよ。

田中:これが飛んでるだけでものすごい緊迫した感じが……。

谷沢川:出ますよね。一瞬時が止まった気がするんですよ。だから、空中に埃とか塵が止まっていることによって、パッと気づいて「あれ、何?」っていう。「何、あの人?」ってなるんですよ。

田中:止まって、止まって、次のコマで躍動感ですね。

谷沢川:躍動感あるんですよ。『キングダム』のスピード感ですよ、これが。これ誰でも使えますからね。絵がなくても大丈夫っていう。あと血しぶきね。これ大事。

田中:だから、皆さんあれですよ。コミPo!持っている方も当然多いと思うので、ちょっとセーター用意して、今日の夜。

(会場笑)

谷沢川:セーターを用意してもらって。

セブ山:いや、セーターじゃなくて「コマ割り」の話でしょ。

恐山:むしろ、その「セーター」が事態をややこしくしてる(笑)。

セブ山:まさにそうですね。

谷沢川:どんな素材でも『キングダム』になりますから。『キングダム』にね。大丈夫。

セブ山:なるほどな~。これはもう僕の負けですね。『キングダム』になった。

谷沢川:いや、恐縮ですね。

田中:コマ割り論を熱く語る、この柿崎さんならではのこの……。

セブ山:小回り、そのね、もう「丸」をやってるっていうのも、こだわりまで言われちゃうともう僕の負けですね。

谷沢川:あとね、何がキングダムの……。まあ、いいや。長いからいいや。