大企業からスクーに来て活躍している人材

司会者:次のトークセッションは、組織と人材というところで、うち(アイ・エム・ジェイ)も含めた3社と森(健志郎)さんのところは事業規模とフェーズがぜんぜん違うので、各社のクリエイターに求められるものであったり、評価の仕方みたいなところをみなさんにお話したいなと思っています。

堺大輔氏(以下、堺):今回のクリエイターズキッチン、各社さんもいろんな人材がいらっしゃるなかで、会社の特徴がぜんぜん違う会社だと思っているので、活躍する人は各社さんで違うんじゃないかと。

もしくは、逆にどういう人たちが活躍するのかというのがおもしろいなと思っていて、いろいろおうかがいしたいなと思っています。じゃあまず、今日のゲストの森さんからおうかがいできればと思います。

森健志郎氏(以下、森):はい。まだ一番会社のステージが浅いというか、5年目の会社なんですけど。ちょっとずつ変わってきたというか、増えてきたと思っています。

最初に活躍していたのは、自分でモチベーションを生成できて、承認フローとかもすっ飛ばしてパッとやっちゃう、どんどん動けるエンジンみたいな人というのが、パフォーマンスを出しやすくて、みんなからも信頼をグッと作りやすいんですけど。

最近になってきて、活躍する人のタイプがまた増えてきたなと思っていて……もともと大企業の中でかなり活躍もされていて、ベンチャーに来て、ベンチャーの対応もできる人。

:なるほど。

:要は、人が増えてきた組織の中で、みんなと調整しながら働くという感覚も理解していて、かつ、ベンチャーにも適応して、「ああ、このへんは承認いらないのね」と察せる人が、最近はすごい活躍し出したんじゃないかなと。

:その方って、だいたい大企業でどれくらい働いて入ってくる方かわかりますか? ちょっとしか働いてないのか、けっこう長くいたかでだいぶ違ってくると思うんですけど。

:年齢でいうと、30代前半の方がすごい活躍してますね。大手のみなさんも知ってるような会社さんにいて、マネージャーや部長をやってうちに来て、という人がすごい適応していますね。

「LIGで働きたい」かどうかは絶対条件ではない

:ありがとうございます。じゃあ、岩上さん。

岩上貴洋氏(以下、岩上):活躍してる人は、だいたい、自分でなにかをしたいというのが明確にある人が活躍していて、面接でもよく見ているんですけど、「LIGで働きたい」という人はそこまで活躍してなくて、むしろ、「LIGでもどこでもいい」と。

:へえ。

岩上:どこでもいいわけではないですけど(笑)。

(会場笑)

:それ、問題発言ですよね(笑)。

岩上:もともとなにをしたいか、エンジニアがどうしても好きだとか、デザインでなにかを表現したいとか、チームを作りたいとか、そういうなにか、「これをしたい」ということがある人のほうが活躍しやすいなと。

指示を出さないでも、自分でそもそもそれが好きだから情報のインプットもするし、活動してくるし、土日とか休日の使い方もたぶん違うんじゃないかなと思うと、自分でなにかしたいという、なにかしら強いものがある人のほうが活躍するなと思います。

:実際にされてる仕事の内容と違ってたり合ってたり、いろいろあるじゃないですか。統制とか取ってるんですか?

岩上:統制は取りたいんですけどね。

(会場笑)

:ちょっとリアルな話が出てきましたけどね(笑)。

岩上:取れないほうがおもしろいかなと思っていて、なにかをしたい人って、すごいとがってたりするので。

:そうですよね。

岩上:そういう人のほうが好きですね。ボコボコしてて、きれいな能力値じゃなくて、とがっていて、「これはどうしても譲れないっす」みたいな人のほうが、一緒に働いてたら楽しいなって思いますね。

「シャイの壁」を突破できる人は活躍する

:ありがとうございます。じゃあ最後、川畑さん。

川畑隆幸氏(以下、川畑):そうですね、たぶん同じことを違う言葉で言ってるだけのような気もするんですけども、「アイ・エム・ジェイはどんな人が多いですか?」って聞かれたときに、必ず答えるのが「シャイな人が多いです」ということなんです。

:へぇー!

川畑:うちはすっごい……自分の会社のことをほめるのもあれなんですけど、すっごいやさしい人が多いんですけども、甲斐甲斐しく「困ってることある?」って声をかけるタイプの人はあまりいないんですよ。

(会場笑)

川畑:小鳥がくちばしを開けて待ってるところに、餌をあげてくれる人はいないんですけども、聞けばやさしく「そこまで聞いてねーよ」っていうくらい教えてくれる。アイ・エム・ジェイはそんな人が多いんですよ。

:(笑)。

川畑:なので、そこを突破できるかどうかなんですよね。

:その一歩を?

川畑:その一歩を。だから、シャイの壁を越えられる人は活躍するんですよ。

:あー。

川畑:シャイな人たちの壁を越えられて、「ちょっとご飯食べに行きましょうよ」ってひと言言える人は活躍するんですよね。

:それはなんなんですかね? そのひと言を言えるか言えないかというのは人による?

社内は静かだけど、Slackは活発

川畑:人によるっていうのもありますけど、アイ・エム・ジェイは今年おかげ様で20年なんですが、だから「企業規模もそれなりにあって老舗です」「インフラ整備みたいなのも、そこそこ整ってます」みたいな感じの、ちゃんとした会社だと思って来る人がけっこういるんですよね。

:ちゃんとした会社じゃないですか(笑)。

川畑:まぁ、そんな感じでちゃんとした会社だと思って来るので(笑)。例えば、中途の人にもやさしくオリエンテーションがあって、仕事の手順もあって、会社のコミュニケーションのルールはこうで、ということを懇切丁寧に教えてくれる。そんな会社だと思って来る人は、だいたい活躍できないんです。まだまだ整っていないことも多いので。

:なるほど。受け身だと難しいっていうことですよね?

川畑:そうですね。だから、うちはそこそこちゃんとしてそうなベンチャーなんですよ。

(会場笑)

:いやいやいや、僕らから見ると相当ちゃんとしてそうなベンチャーと思いますよ(笑)。

川畑:そこを超えられるかどうかっていうのは、やっぱり一番大きい。

:なるほど。それはありますね。うちの会社もけっこう……。うちはぜんぜんちゃんとしてるイメージはないと思うんですけど(笑)、うちの中で活躍する人も、いかに巻き込めるか。

相談できやすい人が、たぶん一番活躍しますね。まあ結果、相談される人が一番あれなんですけど、相談されやすい人、相談する人というのが、結果的に一番活躍してるかもしれないですね。本当に、うちの社員って誰も話しかけないんですけど、チャットはめっちゃ活発なんですけどね。

(会場笑)

:めっちゃ静かなときに、Slackだけバーッて流れてるみたいなことはあるかもしんないですね(笑)。なるほど、ありがとうございます。

「思いが強いやつ」「勝手にやってきたやつ」が勝つ社風

:そういういろんなタイプの活躍する人たちがいるなかで、みなさんそれぞれ、自社のサービスをやったり、モノを作ってる会社だと思うんです。

それぞれデザイナーさんがいて、クリエイティブがいて、ディレクターがいて、当然マネージャーがいて、代表がいてとなったときに、例えばプロジェクトで、どうやって最終的な決定、「これでいこう!」ということを決めるのかなと。

クリエイティブの面でも、機能でも、違うのでもいいんですけど、「どうやって決まるんですか?」という質問を、けっこうもらったりするんですけど。それも会社によって味が出る、色が出るのかなと思っていて、どうなのかなと思っていまして。じゃあ、激しくうなずいている森さんから。

:どうやって決めるかですか?

:どうやって決まっていくか。まあさっき、「(トップの判断で)やれー!」という話もあったじゃないですか。

:まあ、そういう案件ももちろん。

:ありますよね、それは絶対あると思う。でもそうじゃない、現場で細かくやっていて決まることもあるわけじゃないですか。

:まあ、99パーセントそうです。二宮とか僕直下の室にいたりするんで、そういうチームとはそういうことをやってますけど。

基本的には担当者というか、いち個人が「どうしてもこれやりたいんです」となったら、基本的にそれが通ります。うちはエンジニアでも、勝手に作ってくるんですよ。

:超いいっすね。

:全社朝会を毎週やってるんですけど、新卒のエンジニアが「すいません、今日ちょっと共有事項あります。勝手に倍速機能作ったんで、見てください」って。それで、みんなに拍手を求めたりするという。

(会場笑)

:そのプロダクトオーナーという、プロダクトにアップロードする順番とか、なにを作るべきかを決めているマネージャーが、ワタワタするみたいな。

:「聞いてねーし」みたいな(笑)。

:「バグチェックはちゃんとやろうな」みたいな(笑)。だったりするくらいの会社なので。

:なるほど。勝手にやって、見せて、決まっていく。思いが強い人が勝つみたいな。

:そうですそうです。やってきたやつが勝つみたいな。

:なるほどね。自社サービスだから、なおさらそうかもしれないっすね。

:うちは、自分でコンテンツも作ってる動画学習サービスなんですけど、コンテンツも結局、ディレクターの裁量で決まっていて、「この人が出てくれる」と言っても、「ブッキングしちゃったんで。ビジョンとか戦略的にも、絶対にこの人でやります」みたいなのを、勝手にやったりするので。僕もなにが出るか見てないですね。

:すごいですね、最高です(笑)。ありがとうございます。じゃあ、岩上さん。

50人を超えたフェーズの権限移譲

岩上:うちもけっこう、現場のリーダーやマネージャーがガンガン決めていくってしないと回らなくなってきたので、50人を超えたくらいからかなり権限移譲をしていますね。

50人くらいまでは経営陣が一緒に入っていろいろやってたんですけど、さすがにちょっと見きれないというところで、開発に関しては開発のトップがどんどん決めてくし、デザインのトップが決めてくという感じにしないと、そもそも組織が回らない。

あと、いろんな事業をやっているので。例えば、ゲストハウスってどういう人が出てるのかよくわからないんです。

(会場笑)

:それは評価しようがないですね(笑)。

岩上:すごい楽しみにしていて。

:実際に、ゲストハウスの事業は誰が見てるんですか?

岩上:別の役員が見ていて、僕はあまり把握していないです。

:へー、おもしろいっすね。ほとんど見てないんですね。

岩上:もうぜんぜん。アクティビティをやってるんですけど、どういうアクティビティがあるか、いまだに把握してないですね。「キノコ採り」がすごい人気だというのは、理解しています。

(会場笑)

:それ、どちらかというとインターネットで知ったレベルですよね(笑)。

岩上:(現場に)行って、キノコ採りから帰ってきてるお客さんがいっぱいいるので、「あー、すごい人気なんだな」って。そういうレベルでは把握してます(笑)。

「営業 対 制作部門」の受託あるある

:ありがとうございます。じゃあ最後、川畑さん。

川畑:プロジェクトの単位でいうと、うちはプロデューサーや営業と呼ばれる人たちが、だいたい最終の決定権を持つんですけども、わりとプロジェクトの中でも、クライアントの信頼を一番得ている人というのが、なんとなくできるじゃないですか。

:はいはいはい、ありますね。

川畑:結局クライアントといい関係を築けている人の声が、一番大きくなるんですね。

:なるほど。

川畑:なので、それがクライアントと一番フェイシングしている人だったら一番円滑に回るんですけども、たまに違う人だったりすると、「あいつが決めてきたんだけど、どうすんだ?」みたいな話がエスカレーションして、現場にいなくて、というのはよくありますけど。

:(笑)。

川畑:でも結局、うちは受託というところが大きいですね。クライアントの声をいかに拾えてる人間かというところが、決定権を持つということになるケースが多かったです。

:なるほど。それで言うと、僕の悩みが出てきたのは、役割が営業、クリエイティブ、ディレクターと、けっこうきれいに分かれてるイメージなんですけど、「営業 対 製作部門」というような構図というのは生まれたりするもんなんですか?

川畑:そうですね。やっぱり良い意味でも悪い意味でも受託魂な人たちが多いので、基本的に「クライアントの希望は、実現してあげたい」という人種が多いんです。

:やさしい人たちだから(笑)。

川畑:「『なんとかしてください』と言われたらなんとかします!」みたいな(笑)。まぁ、そういう人は多いんですけども、一方でプロデューサーとかアカウントを持ってる人間は、「それをやったら、リソースかけすぎで工数オーバーでしょ」みたいな返しがあるので、そこのせめぎ合いはありますよね。

:なるほど、そうっすね。受託のところだとあるあるですよね。

川畑:受託あるあるですね。

:たしかに。チームラボでいうと、うちはなんかこう声が大きい人がいますよね。

でも、その人たちって、エンジニアだったらエンジニアでできる人というか、うちは部長とか課長がいない代わりに、なにかしら「あの人はこれがすごくわかってる。一番得意だよ」みたいな人たちがいるので、その人たちの声というのは大きいかもしれないですね。

川畑:うちでいうと、それがクライアントの信頼というところと、スペシャリティが一致してるということですね。

:なるほど、ありがとうございます。