ハイビジョンでお届けする「会議を見せるTV第13回」

絵本作家のぶみ氏(以下、のぶみ):おー、始まった!

西野亮廣氏(以下、西野):まずあの……一般のお客さんが。

のぶみ:そういうことってあるんですね(笑)。

西野:始まる2、3分くらい前に独演会のチケットを買いに来てくださって。ほいで、「せっかくやったらチラッと見てったら?」みたいなことになって。初めてですね。

のぶみ:そんなことってありなんですね⁉

西野:よろしくお願いいたします。

のぶみ:さっきビックリしたんですよ。西野さんが独演会のチケット売ったじゃないですか。「じゃあ、写真撮っていいですか?」って西野さんが聞いてたのが衝撃でした。

西野:あれ、けっこう使えていいんですよ。例えば、さっき撮った写真を「チケット買いに来てくれた」みたいなことをつぶやくじゃないですか。(そうすると)買ってくれたあのお嬢ちゃんとかが、うれしくなって勝手にリツイートしてくれるんですよ。

のぶみ:なるほど!

西野:それで勝手に広がっていくっていう。

のぶみ:(お客さんに)それリツイートします? そういうの出たら。

観客1:します。

西野:今ちょっとツイートしてみていいですか?

のぶみ:ここに買いに来る人は見れるっていうことになったら、すごい来るぞ!

西野:そういうことですよね! 8時2、3分前にワニスタに来たら見れるっていう(笑)。

のぶみ:ほんと、そうですよ。ちなみにここ何人くらい入れるんすか? そんな入れないですよねえ。

西野:7、8人。

のぶみ:7、8人限定だよ。

西野:(コメントで)映像がきれいって。

のぶみ:なんで映像がきれいなんすか?

スタッフ:カメラ変えました。

のぶみ:カメラ変えた。

西野:すごいっすねえ。

のぶみ:すごいよね、ハイビジョンだよ。

日本のお笑いのレベルは本当に高いのか

西野:かっこええなあ。こんなんいけるすね。(ところで)今日、映画観に行ったんすよ。

のぶみ:映画観に行ったんすか。

西野:むちゃくちゃおもろかったです!

のぶみ:ドキュメンタリー映画?

西野:(コメントを見て)「いまから行ってもいいですか?」ってありますよ、のぶみさん。未成年はダメですよ、もう遅いですから。何時以降ダメとかありますよね、確か。

のぶみ:そうですよね。

西野:今日『バンクシ―・ダズ・ニューヨーク』って映画を観に行ったんすよ。ドキュメンタリーなんすけど。これちょっと長くなってもいいすか? ちょっとほやほやなんで。

まず昼間Facebookに書いたんですけど、「日本のお笑いはレベルが高い」とかけっこう言うじゃないですか? 芸人さんとかでもけっこう言うんですよ。近いとこで言うとダウンタウンの松本さんとかが。

のぶみ:まあ、言いますね。

西野:「日本の笑いのレベルは高い」みたいなことをおっしゃってた。人それぞれ思うところあるからあれですけど、僕はそうは思わないんですよ。

のぶみ:大丈夫かな(笑)。

西野:それは人それぞれだから。

のぶみ:そうですよね。個人のあれですよね。

西野:個人の。数字で出るものじゃないから。

のぶみ:決して西野さんが芸人さんにケンカ売ってるわけじゃない(笑)。一般論として、ですね。

西野:僕の考えで言うと、例えば大喜利の文化ってすげえと思うんですよ。予算がない中で、日本語って手数が多いじゃないですか。あれを上手に使って、大発明だなって思って。

のぶみ:『笑点』でもやりますもんね。

西野:あれは抜きん出てるなって思うんですよ。「この笑いは、お前らにはわからんやろ」って気持ちもわかるんですよ。でもそれって、どこの国にもたぶんあると思うんですよ。

中国にだって、スコットランドにだって、ブラジルにだって、内々で「これは俺らにしかわからない」みたいな、その国の文化で「これはおもろいわ!」「ハリウッドでいま流れてるアレよりもおもろいわ!」みたいなのは、たぶんどこの国にもあるなと思ったんですよ。

日本のコメディは半世紀遅れている

日本でいう大喜利みたいなのだったら、どこにでもあると。その上でコメディの話をすると……僕、コメディ超好きなんすよ。

のぶみ:アメリカのですか?

西野:いや、全部好きっすね。三谷幸喜さんも好きなんすよ。

のぶみ:おもしろいすよね。

西野:それで……。

ホームレス小谷氏(以下、小谷):すんません!

西野:小谷、今日アレやで。一般の人が来てる。

小谷:えっ⁉ ついに?

西野:チケット買いに来てくれた。

のぶみ:そうなんすよ。今、ホームレス小谷さんが来たんですよ。

小谷:違う道で来ようと思ったら、ぜんぜん違うとこ行ってしまいました。だめですね。違う道で行こうと思ったら。好奇心わいてしまって。

のぶみ:好奇心わいてしまった? 今、西野さんがコメディの話をしようとしてるとこだよ(笑)。

西野:コメディの話をすると、例えば1959年に『お熱いのがお好き』って映画がありまして。

のぶみ:僕、観ましたよ。

西野:大好きなんすよ。

のぶみ:大好きですね。

西野:超おもしろないすか?

のぶみ:女性に扮装して、マリリン・モンローに会いに行くんですよね。

西野:三谷幸喜さんの映画ってあれじゃないすか? 勘違い、すれ違いで、それが効いてきたぞって。

のぶみ:バレバレなのに、それがうまく続いてくってところで。

西野:三谷幸喜さんって、『お熱いのがお好き』の監督はビリー・ワイルダーなんすけど、超影響受けてると思うんですよ。

ビリー・ワイルダーというのは、その上のエルンスト・ルビッチってやつがいるんすけど。あれが1942年くらいにはあのかたちでやっちゃってるんですよ。『生きるべきか死ぬべきか』みたいなやつを。

のぶみ:けっこう前なんですね。

西野:けっこう前なんすよ。だから、もう60年以上前なんすよ。僕らがいまオンで笑っちゃってる勘違いすれ違いって、あっちではもう60年、70年くらい前にもうすでに仕上がっている。

でもあいつらって超賢いから「これじゃあんまり商業的に広がっていかないな」みたいなのがあって。さらにあの手この手で、ピクサーみたいな映画を作ったりとか。

のぶみ:笑い入ってますもんねえ。

西野:我々はそれと比べて「日本の笑いは……」とか言ってますけど、ちょっと待てよと。例えばそのコメディ1つとっても、単純に半世紀くらい遅れてるなって思ったんですよ。ビリー・ワイルダーの感じって。

のぶみ:そうか。

西野:単純に半世紀くらい遅れてるって思ったんです。そのことを知らないから、なんなら三谷幸喜さんがつくった形くらいに思ってるから。単純に遅れてるって思ったんですよ。

のぶみ:パロディはパロディですからねえ。その、三谷さんのやつがね。

西野:そう。あっちではあの手この手でもう人を楽しませるように、(コメントを見て)『古畑(任三郎)』もですよね。あれはもともとあったもんをこっちに輸入してきて。単純にちょっと遅れてると思ったんですよ。

向こうはそこからピクサーやって、『アナ雪(アナと雪の女王)』やって、『ベイマックス』やってバカスカ当ててるじゃないすか。単純に「あいつら、すげえ」って思ったんです。それで、決定打が『バンクシ―・ダズ・ニューヨーク』なんですけど。

のぶみ:おお! そうなんすか、そんなに⁉

西野:いや、あいつらはやっぱエンタメ、超成熟してますよ。

のぶみ:そうなんすか。

西野が絶賛する映画『バンクシ―・ダズ・ニューヨーク』

西野:もう僕らの何歩も先いってます。まず簡単にいうと。今日『バンクシ―・ダズ・ニューヨーク』って映画を観てきてん。

のぶみ:どんなのかちょっとだけ教えてもらおうかな。

西野:ざっくり言うと、神出鬼没の覆面アーティストなんすよ。街中でスプレーでこうパパッと絵描いたりするやついるじゃないすか。

ざっくり分類するとそこに入るんですけど。バンクシ―っていうやつの活動が、まあSNSの使い方と、人の巻き込み方とメディアの使い方が超うまい!

のぶみ:ちょっと似てるじゃないですか。

西野:僕だと思ったんすよ。

のぶみ:そうなんだ。

西野:いや、あいつのが超すげえってなったんです。

のぶみ:「そんなやついるんだ!」ってなったか。そういうことか。

西野:(自分も)だいぶうまいほうだと思ったんすよ。いま、日本で一番うまいんじゃないかなって思ったんすよ。SNS使って、全部メディア巻き込んでみたいな。

のぶみ:そうですよねえ。

西野:「いやあ、これ。しばらく負けないぞ」って思ったんすけど、やっぱ世界は広いっすね。バンクシ―、超すげえっす。

のぶみ:バンクシ―はどんなんやってんすか?

神出鬼没のアーティスト・バンクシーの宝探し

西野:あいつがやってんのは、その『バンクシ―・ダズ・ニューヨーク』というドキュメンタリー映画で描かれてたのは、まずバンクシ―はイギリスかどこかの人なんすよ。覆面だからわかんないんすよ。一応イギリスみたいな。

のぶみ:イギリスもちょっとコメディ上ですよね。『モンティ・パイソン』とかすごいですもんねえ。

西野:一応イギリス出身みたいなことになってんすけど。バンクシ―が10月の1ヶ月間だけニューヨークに行くんすよ。「ニューヨーク行きます」とインスタで言っちゃうんですよ。

ニューヨークで毎日街のどこかに1日1個僕のアートが出ます。その後は、一瞬ですげえ絵を描くんすけど、いつ描かれたか誰もわからないんです。

まず10月1日を迎えて、バンクシ―が「はい、これ僕が描いた絵です」ってインスタにパッとあげるんすよ。すげえ絵なんすよ。1個1個にメッセージ性があって、すごいんすけど。

じゃあこれを見て、ニューヨークの人たちは何をするかといったら、この絵がどこにあるか探し出すんですよ。

のぶみ:そりゃ、そうでしょうねえ。

西野:もう宝探し。みんなで情報交換して、ああだこうだってやって。

のぶみ:ちょっと西野さんっぽい(笑)。

西野:すごいんすよ。ニューヨーク広いじゃないすか。人もいっぱいいるし、絵なんてそこかしこに描かれてるし.。

その宝探しを楽しもうと思ったら、まずバンクシ―のインスタをフォローしてないとダメですよね。インスタのフォロワーが超増えるんすよ。

のぶみ:なるほど、なるほど。

西野:この絵を見ながら、みんな「どこだ、どこだ」ってやって。それでバンクシ―が超賢いから、時間が来たらその絵を消すんですよ。

のぶみ:え? どういうことですか?

西野:3時間だったら、せっかく描いた絵を上からスプレーでプシャーって消しちゃうんですよ。

のぶみ:それってグラフティアートなんですか?

西野:それもあるし、いろんなアートがあるんすけど。絵もあるし、立体の物もあるし、いろんなのがあるんすけど、基本的には3時間くらい経ったら消すんですよ。だからみんな、バンクシーのインスタにクギづけですよ。

のぶみ:見れないかもしれないって。

小谷:「急がな」と。

西野:みんなでブワーって情報交換して。

まずうまいのが、情報交換するじゃないですか。逆に自分だけ見つけたいから、嘘情報を流すやつもいるんすよ。

のぶみ:ああ、そうか!

小谷:なるほどね。

西野:それで人がこの情報はほんまかどうかと、嘘かどうかみたいのが、ブワーってSNSで情報交換して、見つけたらバシャバシャバシャって撮って「あったあった!」って。