クラウドファンディングの本質を考える

のぶみ:熊本に行くときに、絵本を子供たちに無料で200冊配って、サインしてあげるというのをするんですけど、そのときに「俺が払おうかな」と思ったら、20万円ぐらいかかるんですね。

西野亮廣氏(以下、西野):はいはい。

のぶみ:作者だからって、別に金持ちじゃないじゃないですか? だからどうしようかなと思って……。今度講演会があるんですけど、「そのときのやつ(お金)をそれに回していいですか?」と言ったら、みんなけっこう「いい」と言ってたので。

西野:あー。

のぶみ:そしたら、その人たちの気持ちも乗るから渡しやすいなと思って。自分で全額自腹にすることでもないんだなというのを思いましたね。

西野:クラウドファンディングの本質というのは、そういう場合とか、ほかに町を作るというのもそうだと思うんですけど、お金を集めるのもすごい大事なんですけど、それよりかは当事者を増やすということだと思うんですね。

つまり、これはのぶみさんが1人でやられてることなのか、「みんなでやろう」と言って、みんなが1000円払ったら、やっぱり思いが乗るじゃないですか。のぶみさんの企画に私が乗っかってるということじゃなくて、「私の企画」になるじゃないですか。お金を出した瞬間に。

小谷真理氏(以下、小谷):なるほど。

西野:みんながそれぞれ自分の企画になるという。

のぶみ:それを独り占めするより、みんなが乗せたほうがいい場合もあるもんね。

西野:そうですね、いい場合がある。

のぶみ:楽しいしね。

小谷:みんなハッピー。

西野:勢いがつきますね。のぶみさんが1から10までデザインしていこうというよりも、各々が「僕これする」「私これする」って自立させてやったほうが、企画が広がっていくことが多いと思います。

のぶみ:なるほど。

小谷:少額のやつはいいっすね。

西野:少額のやつはむっちゃいい。

小谷:短期間で。募集期間2日ぐらいです。

いかにたくさんの人を巻き込むか

のぶみ:前も福島のゆるキャラで「あたまがふくしまちゃん」ってやつを作ったときも、僕が60万円払おうと思ったんだけど、「のぶみさんが1人で払っちゃったら、みんなの気持ちが乗らないよ」という話になって。

西野:でもそうですね。

のぶみ:みんなから、一気にお金60万円きたんですよ。だから、みんなの力を使ったほうがいいんだね。

西野:のぶみさんが使う力は、お金というよりかは旗を振る、「みんなこっちだよ!」と。やっぱりそういう人が1人必要だと思うんですよ。

のぶみさんみたいに影響力のある方は旗振り係というか、集合場所になるという。ハチ公みたいな扱い。

のぶみ:クラウドファンディングという、みんなのお金の使い方という授業(笑)。めっちゃためになるわ。

小谷:おもろいっすよ。

のぶみ:いや、なんか、結局、「人に迷惑かけちゃいかん!」みたいなやつとか、なんかいろいろあったりするんだよね。「巻き込んだら申し訳ないのかな」とか。いろいろあるんだけど、「そうじゃなんだぞ」と。「巻き込んだほうがいいんだぞ」って、「みんな幸せになるんだぞ」っていうのは、そのとおりだよね。

なんか結局、「人に迷惑かけちゃいかん!」とか、「巻き込んだら申し訳ないのかな」とかいろいろあるんだけど、「そうじゃなんだぞ」と。「巻き込んだほうがいいんだぞ」「みんな幸せになるんだぞ」というのは、そのとおりだよね。

旗振り係にバッシングはつきもの

西野:ただ、旗振り係は絶対にバッシングがありますから。なんにせよあるじゃないですか。

のぶみ:うん。

西野:熊本の支援をするにしたって、「目立ちたいのか!」みたいな。

のぶみ:そうそう、「目立ちたがり屋!」「ああなったらどうするんだ?」「こうなったらどうするんだ?」というパターンもですね。

西野:そういうときに、「うるせー!」って言っちゃえばいいんすよ。それ持ってるといいっすよ。

のぶみ:でも僕、びっくりしたんですけど。絵本あげるじゃないですか。それで場所を探してたんですよ。けっこういろんなところに断られて、「避難場所でやるとうるさいから」とか言われたりして。

お寺を借りようと思ってやったんですけど、そのお寺のお坊さんが、「子供に絵本をあげるじゃないですか、その子供が絵本を失くしたら悲しむじゃないですか。だから場所は貸せません」って言ったんですよ。

西野:へーーー!

のぶみ:ちょっとそれ聞いて、西野さんじゃないけど、「バッカじゃない?」と思って(笑)。「なんだそれ! すべてのものがそうだよ!」って。

西野:バカ、バカです。

のぶみ:すべてのものがそうじゃん!

小谷:たしかに。

のぶみ:もらったら失くなるかもしれないじゃん。でも、失くならないかもしれないじゃん。

西野:はいはい。

のぶみ:「失くなるかもしれないから、やめてください」ってどういうことなんだろう。

西野:バカですねえ。

小谷:なにその理由。

西野:坊さんですか?

のぶみ:「なんだ、その坊さん!」って思って。

西野:バカですよ。ハゲてるだけですよ。着物を着て、ハゲてるだけの。

感情的でかわいい小谷の嫁

のぶみ:「盛り上がってること」というとらえ方をするってことなんですよね。

西野:はいはいはい。

小谷:そうそうそう。

西野:いや、でもすごい。小谷の嫁の……。

のぶみ:「肉食いたい」っていう。

西野:ほんますばらしいと思う。

小谷:ありがとうございます(笑)。

西野:すばらしいなあ。

のぶみ:しかも、けっこうかわいいんでしょ?

西野:かわいいっすよ。

小谷:はい。

のぶみ:小谷さんと写メ撮ってるの見たら、めっちゃかわいかったもんなあ。

小谷:感情的なんで。それがいいんです。

のぶみ:感情的?

小谷:嫌やったら「嫌」って。感情的なんすよ。なんも合理的に考えてないんすよ。だから、「肉食いたいから」ってとんでもない理由やったんですよ(笑)。

西野:アホやなあ(笑)。

のぶみ:小谷さん、そこだとめっちゃしゃべりますね(笑)。

西野:映ってへんからな。

のぶみ:いつもカメラにやられるとしゃべらないもんね。

小谷:小学校のときの、「1人から1円ずつもらって1億円やん!」みたいな。

西野:やったやった。あの感じ!

のぶみ:ほんとそうだよね。

小谷:まさにそれやと思います。

西野:あの感じ、すばらしいよな。本当は芸人がそんなんしてほしいですよね。

小谷:(笑)。

西野:「こういうおもしろがり方もあるよ」という。芸人がそういう選択肢を作ってあげてほしいですけどね。

のぶみ:ほんとだよ!

「肉食いたいから」でお金が集まった理由

西野:だって、それをやる以上は絶対に叩かれるわけじゃないですか。「そんな集め方していいのか!」みたいな。そのファーストペンギンには、芸人がなれよとは思いますよね。「こういうやり方いいよ」って。

小谷:たしかに(笑)。

西野:なんでホームレスの嫁に。誰にやられてんねんと。

のぶみ:それ、なんで思いついたんですか? 嫁は。

小谷:単純に肉食いたいんすよ。

のぶみ:「食えよ」って話だもんな(笑)。

小谷:たぶん感覚が先にいってるんですよ。

のぶみ:すげーな。

小谷:だから、「クラウドファンディング、身軽に使えばええやん」みたいな。

のぶみ:考えるより、感じろなんだね。

西野:あれはすばらしい。

小谷:「肉食いたい」ってアホすぎるやろ(笑)。

西野:肉食いたいから。

小谷:はい、「お金ください!」って(笑)。

のぶみ:うわー。

クラウドファンディングの流行

西野:クラウドファンディング、あの調子でやってくれると流行りそうですね。

小谷:なるほどね。

西野:クラウドファンディングって2012年ぐらいに日本に入ってきたんですけど、浸透してないんですよ。

小谷:ぜんぜんしてないですね。

西野:なんか選ばれた人しかできなかったし、崇高なことじゃないとやっちゃいけないみたいな雰囲気が出てた。

のぶみ:社会貢献みたいな。

西野:それをギャグで、「肉食いたいからお金ちょうだい」。あれ1回相談してほしかった。

小谷:わー、聞いたら良かった!

西野:俺やったらあのタイトル、「楽して肉食いたいからお金ちょうだい」にしてたと思います。

のぶみ:(笑)。

西野:絶対そっちのほうが、「ざけんなよ!」って言いながら。

小谷:振り切ってるわ!

西野:1口500円だっけ?

小谷:500円です。

西野:あの500円って、笑った人が入れてると思うんです。

小谷:そうなんですよ。

西野:「ふざけんな!」って(笑)。

小谷:まさにそのとおり!

西野:笑った人が入れてるから。

小谷:「ウケました!」って言って入れてる人がいたり。

西野:そうそうそう。笑わしてもらったから、「なんやねん!」って言って入れてる。次に小谷がなんかやるときは、絶対冠に「楽して」っていうのを。

小谷:そうしますわ。

のぶみ:うわー、それ絶対いいよ。

西野:絶対そっち。