ネットで不評だった長野五輪の開会式

山口トンボ氏(以下、トンボ):でもね、(オリンピック)せっかく日本でね……。

西野亮廣氏(以下、西野):そうなんです。北京(オリンピックの開会式も)見たんすよ。北京もすごいっすよ。

絵本作家のぶみ氏(以下、のぶみ):北京どうだったんすか?

西野:ぶわーっ!! やばいっすよ。まず、歴史が中国4000年ですもん。

のぶみ:確かにそうだった。すごい曲芸したりとか。

西野:もう見事でしたよ。スタジアムのど真ん中に巨大な巻物が広がって、このなかから物語が始まるみたいな。

三国志に出てくるような人が何千人も出てきて。やばいと思って、歴史でも負けるって思ったんですよ。タレントでも負ける、歴史でも負ける……日本で勝てるのなんなんだろうと思って。

そういえば、長野五輪があった1998年って、考えてみたらCDが超売れている時代だった。CDが一番売れた時代の日本で、日本がノリにノッてるときですよ。

「長野五輪は大変なことになってるぞ」と(開会式を)見たら……もう人類史上ベスト3に入るくらいスベってるんですよ。長野五輪のスベりようすごいんですよ。

トンボ:マジで?

のぶみ:トンボさん見ました?

トンボ:いや、長野五輪のやつはちょっと……。

のぶみ:長野五輪どんなの?

西野:劇団四季の演出家の方がやられて、線としては悪くなかったんですよ。「日本の文化をだいぶ前に出す!」みたいな。その当時のアイドルをいっぱい出すとかじゃなくて、日本文化を前に出すというところまではよかったんですよ。

いいのは本当にそこまでで、それ以降の、あの演出が……。まずお相撲さんを出してきたんですよ、写真なかったっけな。

お相撲さんの致命的な演出ミス

小谷真理氏(以下、小谷):お相撲さんいいっすね。

西野:お相撲さん出すといい感じするじゃないですか。

小谷:日本っぽい。

のぶみ:お相撲さんすごい出してるもんね。

西野:お相撲さん出すまではよかったんですけど。

のぶみ:浅利(慶太)さんだよね?

西野:そうです。

のぶみ:社長さんですよね、僕もお会いしたこと1回ある。

西野:あっ、なんかの社長なんすか。

小谷:なんかの(笑)。

のぶみ:劇団四季を創設した……。

西野:まあ、たいしたことないんすよ。そいつがたぶん戦犯だと思うんですけど。

トンボ:もうすでに「長野五輪開会式 演出」って打ったら、その次に「ひどい!」とか「最悪っ!」ってワードが出てきちゃいますね。

西野:すごいスベってるんですよ。浅利さんとかいうのは、お相撲さんが出てくるまではまあまあよかったと思うんですよ。

そこからがまるでわかってなくて、お相撲さんが出てきて、一応真ん中に土俵みたいなのがあるんですけど、土俵が普段のサイズの10倍くらいなんですよ。

のぶみ:写真これですかね?

西野:そうそう。10倍くらいのサイズだから、お相撲さんがちっちゃいんですよ。

のぶみ:映りますかね? こんなこと言うのは申し訳ないですけど、ちょっとださいですね。

西野:せっかく体の大きいお相撲さんを出してるのに、土俵が超でかいからいつもよりちっちゃく見えるんですよ。浅利さん、こいつ。

小谷:こいつ。

西野:こいつ劇場でしか演出したことないと思うんですよ。劇場だったら成立するけど、これはスタジアムでまったくだめで、「お相撲さんちっちゃ!」と思ったんです。ちっちゃい裸のおっさんが出てきて、ぴょこぴょこぴょこぴょこやってるんです。

のぶみ:あれだね、ちっちゃくなってる感じが。土俵が大きいのか。

西野:比較対象。お相撲さんをでっかく見せるんだったら、横にちっちゃいもん置いとかないと。まずお相撲さんをでっかく見せるというか、でっかい体のやつを出すというのが。

のぶみ:巨人みたいにしたほうがいいっすよね。

やるならお相撲さんを1万人出すべき

西野:でもまあ、無理っすよ。お相撲さんが2メートル50あっても、このスタジアムレベルだったら通用しない。こいつ、浅利さん。

小谷:こいつ(笑)。

西野:お相撲さんのトップ30くらい出すんですよ。

小谷:横綱。

西野:大関とか。「いよいよ横綱の登場です」って出すんですけど、そんなん誰が知ってんすか。

小谷:確かに(笑)。

西野:大関、横綱……。

のぶみ:見た目は変わらないもんな。

西野:横綱曙でしたわ。

小谷:曙かーい(笑)。

西野:それももう。

のぶみ:白鳳じゃなかったんか。

西野:違う。もうパッとこんわ。

のぶみ:白鳳でも外人だしね。曙……。

トンボ:強い人は本当に(外人が多い)。

西野:東京五輪で帰化されてたとしてもよくわかんないじゃないですか。

小谷:確かにピンとこないね。

西野:ほんで、このお相撲さんのトップ30出すんだったら、有名人でもなんでもないんだから、もう無名でいいからお相撲さん1万人出したほうが……。

小谷:あー、なるほど。

西野:パンチ力ある。

のぶみ:お相撲さんみたいな人・1万人。

西野:それはやってる人でいいと思うんですけど。

あと長野の奇祭かな? なんか知らん祭を紹介してたんですよ。柱を立てて、そこにおっさんが「よいしょ! よいしょ!」とか登って、「なんとーか、かんとーか」とかやってんすよ。そんな祭誰が知ってる? 僕でも知らないです。

トンボ:知らないです。

のぶみ:ぜんぜん知らんね。

西野:僕も知らないし、日本人の知らない祭を海外に見せちゃって、案の定ぜんぜん盛り上がってないんですよ。日本人も誰も知らないし。

トンボ:乗り方もわからないし。

のぶみ:乗り方わかんない(笑)。

西野:それで、「よいしょ、よいしょ!」で「わっ!」てキメみたいなのがあるんですよ。そこがキメかどうかも知らないですよ。

のぶみ:そうかー。

西野:それで「決まった!」ってなったら、会場にアナウンスで、「なんとかが決まりました。盛大な拍手をお願いします」と。

……「拍手をお願いします」なんて絶対言ったらダメですよ。ロンドン五輪だったらそんなん言わんでも「おーっ!!」て。

のぶみ:ポールマッカートニーが出た時点でそうだよね。

西野:「拍手をお願いします」ってもう敗北宣言だよな。

日本の有名人では通用しない

のぶみ:でも、日本人のミュージシャンで外国で活躍してる人って、いないのか。

西野:いないっす。

のぶみ:きゃりーぱみゅぱみゅとか?

西野:いや、きゃりーちゃんとかパフュームとか言いますけど、知らないですよ。ほんの一部ですよ。

トンボ:ポールマッカートニーと比べられちゃうとね。

のぶみ:そうだよね。

西野:まず「有名人でどうだ」は捨てないと。

のぶみ:ジャッキーチェンとか言われそうだもんね。「日本人で知ってる人」って言われたら。

西野:有名人は通用しないです。だから、まずこの4年間でやらなくちゃいけないのは、「五輪に有名人が出たら損するぞ」「国民から袋叩きにあうぞ」という雰囲気をつくっておかないと。芸能事務所やりますよ。

小谷:やるでしょうね、このままいってもうたら。

のぶみ:本当にマリオしかないかもね。(コメントで)「渡辺謙」って書いてあるけど、渡辺謙何するの?

小谷:ジブリとか。

のぶみ:ジブリもねえ……。

西野:最近ずっとその話になっていて。

のぶみ:「任天堂に任せよう」って書いてある(笑)。変な感じになっちゃう(笑)。

西野:まあゲームはね。その話になっていて。

日本の技術力を生かした「ピタゴラ装置」

のぶみ:それは案出たんですか?

西野:昨日、(放送)作家の高須(光聖)さんに、「高須さんだったらなんですか?」って聞いたら、高須さんは「ピタゴラ装置だ」と言って。

壮大なピタゴラ装置。それは俺むっちゃいいと思ったの。ちっちゃい球から始まっていいんですけど、その時々でなんかあるじゃないですか? 宮大工さんの技術とか。

のぶみ:宮大工さん(笑)。金槌でやらない。

西野:それを釘を使わずに2つの柱がこうやって、釘を使わずに1本になって、それがどんどんどんどんでっかくなっていって。花火がバスバスバスバスあがって。

トンボ:花火は有名やもんね。

西野:そうです。最新のテクノロジーもいっぱいあると思うんですよ。ALE? (人工の)流れ星流すとか。

のぶみ:いまドローンで飛べるとかいう話もありますもんね。人間が立って乗れるって。

西野:日本が勝てるところって、そういう職人さんの技術。この人自体は有名じゃなくていいんだけど、「やっぱり技術大国だな」というそこしかない。

それを順番に見せていく装置としてピタゴラ装置を。むっちゃいいやん。有名人1人も出なくて、それはすっげーいいと思ったの。途中でっかい花火があがったりして、最後の決めに聖火台にパッって火がついたら。

小谷:ええやん!

西野:「うわっ!」ってなると思う。

小谷:なるやん絶対。

トンボ:拍手のタイミングもわかりやすい。

小谷:それやん!

西野:1時間くらいの壮大なピタゴラ装置。

のぶみ:なんか「忍者っぽいのも出そうぜ」って書いてある。「ロボットも出そう」とか、「宮大工さん出そう」とか。

西野:その時々で。

トンボ:技術の進化の歴史がピタゴラ装置でできたら素敵っすよね。

のぶみ:やっぱあの(『ピタゴラスイッチ』の)音楽流れるのかな(笑)。

トンボ:いや絶対流しちゃだめですよ(笑)。

のぶみ:リコーダーなのかな(笑)。

トンボ:全員ずっこけますよ。

西野:そっちすよ。

トンボ:技術力で勝負。

西野:逆にそこしかない、中国には歴史で負けるし、ヨーロッパとかアメリカにはタレント性で負けちゃってるし、技術しかない。