ビジネス・ブレークスルー大学入学式--大前学長式辞

大前研一氏:みなさん、入学おめでとうございます。たぶん我が国で一番難しい大学大学院に入ってこられたということで、おめでとうと言ったらいいのか、なんと言ったらいいのか、複雑な気持ちではありますけれども。今日からみなさんの新しい生活がはじまります。

実は先週、大学大学院の卒業式がありました。いろいろな寄せ書きをもらいましたが、そのなかで一番目立ったのが、へき地にいる人、遠いところにいる人、いろいろな事情があって学校には通えなかった人、家庭の事情などで大学に行くチャンスに恵まれなかった人、そういう人たちから「この学校を作ってくれてありがとうございます」という言葉をたくさんもらった。

私は必要だと思っているから作っているわけだが、非常に感動した。卒業生からもらった記念品を机の上に置いているが、それを見るたびに「大学を作ってくれてありがとう」と(いう言葉を思い出す)。

文科省はこの大学なんていらないと思っている。サイバーでもって全部やるという、しかも千代田区の株式会社立の大学なんていうのはもうどうでもいいと、思ってるかどうか知りませんが、学校特区のときにスタートしましたので、ある意味既存の大学からもいろいろな目で見られると。

そういうものに対して(卒業した)この人たちはこれがあったから(大学に)行けたんだと(言う)。改めてこの大学に文科省が認可するディグリーをもらったということで喜んでいるわけですね。

そこまで言っていただいて、改めて私はこの大学を設置して良かったなと教職員の人々とも共有したい経験です。

世界初・遠隔双方向の受講システム

ただ、今日入られた方はこれから苦難の日々がはじまります。というのは、遠隔であるという、エアキャンパス、エアサーチの特徴は、みなさんがいつ何をやっているのかが全部わかるということです。

我々の教務課のシステムは、みなさんが2回くらいさぼったら、「この人脱落しはじめている」ということで警告を出します。

それでもまださぼっていると教務課から電話があります。最初はやさしく「どうしたんですか?」と。そのうちに「あんた、シェイプアップしないとまずいことになるよ」というようなことになります。みんなすごい心配そうな顔してますけど、多くの人はそれを乗り越えていくんですね。

やっぱり最初の3ヶ月が肝となります。大学は出席していれば終わりじゃないですか。ところが、BBT大学だと出席しているかどうか、みなさんがネット上でプルーフしないといけないんです。その瞬間に見ていなかったらこれはできないことなんですね。

代返なんていうのはありません。私は半分以上代返で卒業した人間で、なんでこんなシステムを作っているのかと思うんですけれども。あ、うそですよ。私は学力優秀、品行方正で通っています。

とにかくそういうシステムになってまして、ちゃんと見ていないと出欠を認めないと、これはBBTが世界初の日米特許をとっているものですね。

ですから、みなさんはこれに悩まされる。それからPCでもモバイルでもなんでもできる。こういうシステムです。ですから「忙しくて」とか、「旅行がち」でとか言うけれども、それでもできるというシステムです。

ですから、みなさんの頭にある学校とちょっと違う、常に参画しているときには我々のほうでトラッキングができるようになっています。「眠っちゃったらどうするか」という話ですが、1回ストップを押して再開すれば良いということです。

世界初の遠隔双方向の大学大学院ですので、そのへんのシステムはみんな特許になって、アメリカでも特許が通っているものです。ぜひそれをうまく使ってください。

講義がわかりにくかったときには、クラスメイトのノートを見るのではなく、もう1回視聴する。そのときにはスピードをあげて、1.2倍、1.4倍速で要点だけをなぞるとか、その部分だけを見るというシステムもありますので、わかりにくかったところだけを何回も見るということもできます。

こういった遠隔ならではのシステム開発が、この十数年の間に完全にでき上がっている。みなさんの先輩の声がすべて反映されている。みなさんちょっと緊張してますね。非常にこわい顔してますけれども、気楽にやっていただきたい。何回でも視聴できるというのは非常にいいことですから。

BBT建学の精神

ビジネス・ブレークスルー大学は、

知的創造を礎に、

国際的視野と開拓者精神を持ち、

先駆的指導者たらん人格を涵養し、

世界社会に貢献するを以って

建学の精神とする

これからは自分1人のためじゃないよと。まわりの人とか、社会のため、ひいては国や世界のためになる、そういうことを勉強しているんだという、これが建学の精神ですので、自分だけよければいいやという部分ももちろん、講義のなかにはそういうものに非常に役に立つものもあるが、やはり広く、国際的な視野を持って、先進国日本としての経験、自分たちの知っていることを途上国に提供するなど、そういうことを志す、広い志を持った人にぜひなってほしいと思う。

多様なバックグラウンドを持つ入学生

経営学部の入学生は160名、経営学研究科は経営学修士(MBA)がとれるわけですけれども、120名で、あわせて280名です。

BBT大学は労働集約型であまり人数が多いと指導が大変なのですが、たぶんパーフェクトなサイズなのではないかと思う。みなさんが順調に卒論までいった場合、このぐらいの人数が我々から見ると物理的限界かなと思うので、今日の入学者の人数は非常にバランスがいいと思っています。

経営学部160名の方の分布ですが、高等学校を出て10代で入られた方が15パーセント、20代が34パーセント、30代が29パーセント。どちらかというと20代と30代が中心となっています。

40代以上の人もいらっしゃって、30.8歳というのが平均年齢です。

現段階の学歴は、高等学校卒業が半分弱、大学を出たが経営の勉強をしたいという人が40名など、大学大学院をすでに出ている人もいらっしゃいます。

女性が44名。非常に比率が高く28パーセントとなっています。安倍政権と違って女性の枠があるわけではないが、最近の傾向として、働きながら、子育てしながらでも大学に行きたい、経営の勉強がしたいという方が増えているということだと思います。

しかし我々の大学はまさに30歳ということで、脂ののりきった人たちがクラスにいるということになる。もちろん高校卒業してすぐに入学する人もいるので、そういう人は逆にクラスメイトから学ぶことができる。

必ずしも先生、LAから学ぶというのではなく、クラスメイトから学ぶことも非常に多い。これを英語ではクロス・ファータリゼーションというが、お互いから学び、集団知が増していく、これがBBTの特徴です。

大学院の方は30代が半分、次に多いのは40代。学歴は、学士が一番多く、修士や博士の人もいる。経営の勉強をしたいという人が入学しているということです。

地域的には、大学だと関東が一番多く、関西、九州、沖縄、その他。文字通り全国どこかに誰かがいるという状況。

海外は中国、シンガポール、ベトナム、アメリカ、チリ、セネガル、チェコ、フィリピンに住んでいる人がいる。サイバーの大学で、ネットが通じていれば参加できるので、クラスメイトは文字通り地球上どこにでもいるという状況になっている。

これもBBT大学、大学院の特徴ですが、学生の職業の分野が非常に広いということがあります。かつてはこういうことをやると、ほとんどメーカー勤務の人が集まるとか、そういう現象が起こっていたが、今はコンピューター、サービス、飲食、レジャー、教育関連、建設不動産、自動車、商社など多岐にわたる。

クラスメイトから学ぶという観点から考えたときにはこの広がりはすばらしく、この人たちがみんなで知恵を出すと、ほとんどの先生はかなわないというくらいいろんな業界の方がいる。

大学院の方は関東が圧倒的に多くて、次が海外となっている。アメリカ、中国、ベルギー、タイ、インド、インドネシア等。分野も幅広く、コンピューター、製造業、サービス業、その他考えられるあらゆる分野の方が来ている。公務員の方もいる。

年代も、分野も幅広い仲間が今日できたということになります。これが同期の桜です。学ぶことが非常に多い仲間であるということをまずご理解いただきたい。

在校生・卒業生の学びのネットワーク

在校生・卒業生が今までに滞在した国別にみると、なんと99ヶ国にも広がっている。ネットが通じればそこで勉強もできるし、卒業したあと、自分はこういうところでこういう活躍をしたという報告をしてもらっている。

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