なぜ「SMAP騒動」はここまで大きくなったのか

堀潤氏(以下、堀):さぁ、豪さん。テーマの発表をお願いします。

(テーマ「SMAP騒動」について)

脊山麻理子氏(以下、脊山):解散危機が報じられていた人気グループSMAPのメンバー5人が今月18日、バラエティ番組の生放送に出演しました。メンバーはそれぞれ謝罪の言葉を述べ、「これからは何があっても前を見て進みたい」と語りました。

:豪さんはどういう切り口でこれをご覧になってきたんですか。

吉田豪氏(以下、吉田):今ものすごい感じで報じられていますけど、シンプルに考えると同族会社で外様が目立つと大変なことになるんだなという話ではある。

:確かに、親御さんが娘さんに権限を委譲したいと。ところが、実力があるのは......。

吉田:飯島さんというよくできたマネージャーが出てきちゃって、そこがぶつかった。話自体はシンプルなんですけど。

シンプルな話のスケールが大きかったことと、プラス揉め事の発端から報道されていたというのが大きいわけじゃないですか。

:結局、リークなんでしょ?

発端となった『週刊文春』の記事

吉田:『週刊文春』の昨年1月の記事でメリー喜多川さんのインタビューとして、途中で飯島さん呼び出して……みたいなことがあったんですよね。

:「あなたには譲らないわよ」と。

吉田:はっきり言うと、「ジャニーズ内に派閥があるなら、飯島を今日辞めさせます」「対立するなら、SMAPを連れて行って今日から出て行ってもらう」と宣言してて。

これは、実はとある芸能マスコミの人から聞いた裏話なんですけど、「あの記事、実はインタビューじゃないらしい」という説があって。

:何ですか?

吉田:文春の人がジャニーズに呼び出されて、間違いを指摘されているときに、説教が「これおもしろい」ってことで、ICレコーダー回し始めて。

:おおおぉぅ!

吉田:そしたら、飯島さん呼び出しての揉め事に発展して、それをそのまま記事に原稿チェックもないまましちゃったという説を聞いて。それが本当だとしたら、おもしろいに決まっているじゃないですか。本物の揉め事がチェックもなしに出たら。

ただそれって、飯島さんサイドにしてみたら、本来表に出ないものがああやって出ちゃって、引っ込みがつかなくなっていくという。文春恐るべしな話を聞いたんですよ。

:なるほど。

吉田:本当かどうか知らないですけどね。ある人から聞いた話。

:すごいなそれは。

「ジャニーズよりマスコミが怖い」

吉田:何が怖いって、そのときはそんなにすごい記事が出たのに、ぜんぜん報道されなかったんですよね。

:CROSSでは、やりましたね! やりましたよね? やりました、やりました!

吉田:ほとんどのマスコミは黙殺だったじゃないですか。それが今になって「あの記事が発端で」みたいに言っていることが怖いというか……。その時点で触れましょうよという。

:やりましょうよってね。でも、結局あれでしょう? 今の報道のされ方としては、「SMAP解散危機回避してよかったね」って話ばかりがバーンと出て。

吉田:明らかにある筋からのリークの情報ばかりが出て。

:本当だったらこれも、僕が思うのは、本当に芸能でやれる皆さんの立場って弱いから、アメリカみたいに全員が加入する組合を作って、きちんと労働時間とか賃金とか待遇とかの面を、みんなで守り合って、みんなが活躍し始めるような、育成できるようなところを作るべきだと思うんですけど。

なかなか日本だとそういう議論までいかないで終わってしまう……。

吉田:だいたい独立騒ぎになると、大変なことになる。

:その後は仕事がなくなっちゃうとか。そういう話になっちゃいますもんね。

吉田:トシちゃんもここまで復活するまで何年かかったか。

:田原俊彦さんも地道にずっとコンサートしてやってこられたんでしょ?

吉田:ビック発言で叩かれたってされてますけど、数年前から「実は、あれはそんなに叩かれるものではなかった、操作されていた」みたいなことが報じられ始めたじゃないですか。「なぜ報じられるの、今?」という。

:それ、「一番本人がしんどいときに、ちゃんとその論調も出してあげてよ」という感じはしますよね。

吉田:「ジャニーズ怖い」的な意見は多いですけど、僕は「マスコミ怖い」って思いますけどね。

:断片的な一部の情報に基づいて報道していくこと。

吉田:忠実なところ、もしくは、反体制的なもののほうが少な過ぎるということが怖いですね。

SMAPの今後の活動

:でも、今回のSMAPの一連の動きを見てみると、ファンの皆さんの発信は、素晴らしいと思っているんですよ。それは、最初は「SMAP解散しないで」から始まるんだけれども、最終的には「こういう事務所のあり方って、やっぱりおかしい」って、署名運動が始まって。ジャニーズ事務所に対して署名運動が始まったりだとか。

けっこう、今まででは考えられないようなファンの動き。SNS時代だななんて思うようになったんですけど。

吉田:ただ、同族会社だと署名は効き目ないですよね。

:あぁ、そうですねぇ……。株式を公開しているとかならまだしも。ちょっと違いますよね。今後、どうなっていかれると思いますか。

吉田:あれだけ大っぴらに謝罪して、シコリ絶対残りますよね。

:中居さんがすごい心配というか。

吉田:誰が見ても。

:リーダー支えてあげたいなと思いますけど。

吉田:完全和解スッキリみたいな空気じゃなかったじゃないですか。放送事故の匂いがした。

:そうですね。

吉田:あれは、尾を引きますよね。確実に。

ただ、僕はジャニーズの取材をしたことがあるんですよ。V6とか取材して、(メンバー)死ぬほど仲良いんですよ。そういうの見ると、そういうところファン見たいじゃないですか。

:そうですね。

吉田:あんなわかりやすい確執見たくないと思うんですよ。

:そうですそうです、そうなんです。SMAPは太陽のようにいつもいてほしいというファンな勝手な思いかもしれないですけど。そういうのを期待しちゃいますからね。

吉田:元ジャニーズの人を取材する機会は、すごく多いんですよ。そういう人たちに話を聞いていると、ジャニーさんの悪口って実は出てこないんですよ。ただ、お子さん生まれたとしてジャニーズ入れますか?」と聞くと、「入れないかなぁ……」というのがあったりとか。

:大変なんでしょうねぇ……。

吉田:でしょうねぇ……。

:いや、本当に温かく見守っていきたいのと、事の本質はどこかっていうのを、しっかりと報道していきたいですね。

ありがとうございました。

本日のオピニオンCROSSは以上とさせていただきます。