自動運転の未来

堀潤氏(以下、堀):さぁ、三橋さんテーマの発表をお願いします。

三橋貴明氏(以下、三橋):私はこれです。

(テーマ「自動運転」について)

脊山麻理子氏(以下、脊山):日産自動車は今年、半自動運転の技術を採用した新型車を発売すると公表しています。また、名古屋大学を中心とした実験チームは今月、町全域の道路や標識、建物などを三次元のデータに変換した地図を作り、住民を乗せた走行実験を計画しています。

:2016年のキーワードの1つです。この例のように、自動運転に活かす目的で1つの自治体の道路情報を丸ごと三次元データ化する試みは全国で初めてだということなんですね。

車も、もはやインターネットデバイスの1つの時代になってきてますからね。

三橋:今日本って、日本だけじゃないんですけど、世界的に車社会ですね。車社会というのは交通事故が前提なんですよ。大変残念なことに。いろんな国で大変悲惨な交通事故が起きているんだけど。

:日本でもかつて「交通戦争」と言われて多くの方々が犠牲になって。

三橋:ただこれは、本当の意味で自動運転の技術が進化していって。ITS(Intelligent Transport Systems、高度道路交通システム)と言うんですけど、道路と車がお話しますよとか。そういう技術進歩が進んでいったら、交通事故ゼロ社会は実現できると思うんですよね。

:新幹線が安全に運行しているのを考えると、徹底的に管理していくことによって、ということですね。

三橋:あともう1つは、自動運転のキーポイントって、皆さん運転している人はわかると思うんだけど、実は人間って、情報を与えられたらものすごい瞬時に膨大なパラメーターを処理して、それで適切な判断で運転しているんですよ。

:相当な情報量だもんなぁ。

三橋:(自動運転車も)高速で計算しなくちゃいけないということで。やっぱり、CPUの演算能力とかも上がってきて、日本はスーパーコンピューター京の100倍の計算速度の100京のスパコンの開発をいろんなルートで始めているんですけれども。

こういう技術と組み合わさっていくと、本当に2016年から自動運転というのが。たぶん最初は一区画とか、あるいは高速道路だけですよ。でも、そういう部分で使われていって、10年後20年後になったら、それが当たり前の社会になって、交通事故が起こらない社会というのができるかもしれない。

一応言っておきますけど、企業のメーカーだけがやったらいいという話じゃありません。もちろん、道路のインフラの部分とか、スパコンのところは政府のお金も入れなくちゃいけないでしょうというかたちで、「国家として将来こうしましょう!」というビジョンを打ち出して、それで予算をつけていく。

あるいは、投資をしていくということを今やるべきだと思うんですよね。そうすると、20年後30年後の国民が、今の我々に感謝することになると思います。

リスクを冒せない管理社会

:真由さんいかがですか、今の話。

山口:私、思うのは、自分の自由意志でリスクを冒して運転する。自分の自由に運転をするとか、自分で自由に自転車を運転するとか、自分の自由に歩くとか。こういうことは、どんどんラグジュアリーというか、贅沢なことになっていくんだなって。すべてが管理されて、リスクを取ることすらできない社会になっていくんだなという気はします。

三橋:今、日本は高齢化じゃないですか。高齢化と車社会はすごく相性悪いんですよ。なぜかと言うと、車を運転できないと買い物にも病院にも行けませんよということになって、実際そうなってて。車運転できないから、買い物難民というのが生まれてきているので。そういう部分から入っていくのかなという感じはしますけどね。

:病院の送り迎えや救急車の問題も変わってくるかもしれませんね。

三橋:例えば、救急車が道路とお話できて、道路が各車に対して、「こっち寄りなさい」とか指示を出して。自動運転でそれができたとしたら、びゅーんと真ん中抜けていくとか。

:そうですね。

三橋:そういうことができてくるようになるんですよ。

:大変興味深いお話をいただきました。