SEOの情報収集にはコストがかかる

中山陽平氏:今回のノンスペシャリストのためのWEBマーケティングラジオ、内容はご質問いただくことがすごく多い、情報収集ですね。特にSEOに関する情報収集について、「こういう風にしていかなければならない」「こういう風にしていった方が良いですよ」ということをお伝えしていければと思います。

第一に意識していただきたいことですけども、情報を集めるということ、それ自体が特に売り上げに繋がるわけではないということですね。

一生懸命情報収集したり、いろんなページを見たり、書籍を読んだりすること自体はスキルアップであったり、社内の情報の蓄積といったものの役には立つんですけども、それ自身が売上を上げるわけではないですね。ですから情報収集それ自体に価値を置きすぎると失敗してしまいます。

情報収集をすることによって何を行なうか。そして、それによってビジネスの世界に繋がるかどうか。それが大事ですので、情報収集というのは言ってしまえばコスト部門、コストセンターのようなもの、もし情報収集部署のようなものがあれば、それはコストセンターだと考えるべきです。

この時にWebマーケティングの世界で、最も情報収集にコストが掛かるのが、検索エンジン最適化SEOですね。

SEOに関わったことがある、あるいはちょっとだけかじったことがあるという方は、これを実感してらっしゃるんじゃないかなと思います。それはどういうことかというと、SEOは本当に人によって言っていることが全然違いますよね。

それから、第一次情報であるGoogleが言っていることも、直接的なことは言わないです。また、英語ですよね。基本的に情報は英語で入ってきます。マット・カッツの言葉が一番注目されますけども、こういう人はブログも英語ですし、動画も英語でしゃべります。

二次情報には、間違ったものもたくさんある

それから海外のSEOの有名な人、例えばダニー・サリバンも英語でしゃべります。それを日本語に訳して、日本人が解釈をして、ブログの記事にしている。もちろんウチもやっていますし、いろいろな方がやっています。これが二次情報。

この二次情報がたくさん溢れているのが現在です。二次情報なので当然その人の主観であったり、経験であったり、あるいは、その英語の能力、翻訳能力。そして、これはあまりこういう言い方をするとあれかもしれませんけど、センセーショナルに伝えようする。ちょっとしたスポーツ新聞的に針小棒大にものごとを捉えて、「とりあえずページビュを集められればいいや」みたいな形にしてしまうブログもあります。

またあまりSEOに詳しくないのに、聞きかじりのようなもので間違った解釈をしてしまう場合もあります。そういった情報がネット上にはたくさんあります。

みなさんもページ内容について調べよう思った時に、あまりにもいろんな情報があり、そしてそれぞれ違うことを言っている。どれが正しいのかわからない。結局、有名な人とか、わかりやすい文章の人とかを選ぼうかな、というふうになってしまいがちだと思います。

例えばメールマーケティング、ソーシャルも結構大変ですけども、普通のウェブの戦略、事例、そういったものって、もっとシンプルなんですね。SEOだけが複雑です。SEOに関しては、本当に情報収集が大変だということを実感されていると思います。

最新の情報を追わないという選択肢もある

こういった状況にどう対応するかなんですけども、これは企業規模やリソースを意識してください。例えばリサーチとか、実際に自社で実験するサイトがあったりとか、いろいろ試せる状況であれば、新しい状況の中から信頼性がありそうなものを抜き出して、実際に自社でやってみて確かめてみる。これが一番良いと思います。

ただ大部分の企業がなかなかSEOに時間をさけないと思うんですよね。実はSEOってものすごく大変で、時間もかかります。無料のようなイメージがありますけど、人的コストであったり、かける労力を考えると、実は有料で、場合によってはリスティングでやったほうがコストがかからないんじゃないかということもあります。

こういった小規模な事業の場合はむしろ、最新の情報を追わないという選択肢もお勧めします。

本当に一番最新の情報っていうのは、みなさんが実験しながら記事を書いている状況ですし、Google自体のアルゴリズムや方向性も、いろいろ試しながら、テストしながら進んでいます。新しいものを追いかけていくのは非常にパワーを使いますし、大変なんですね。

そうではなくて、3カ月前くらいの情報、古くて半年前くらいですかね。出てきた情報で、最終的にみんな同じようなところに収束してるよねという情報。そういったものに基づいて、いろんな施策を打つ。

そうするとあまり大きなハズレは無いですし、だいたいその頃には情報が収束していますので、「言っていることがあの人とこの人で違う」ということが起こりづらくなってきています。

あまりリソースが無いのでしたら、最新の情報を追うのは諦めて。どうしてもSEOというのは新しい情報を追いたくなってしまうんですけども、諦めて、少し前の枯れたものを実践していく。基本的なことをひたすら実践していく。そういった方向でやるほうが費用対効果は確実にいいです。

うちのお客様もレベルにあわせて、最新の情報をお渡しすることもありますし、そうでない場合には「基本的なことをとりあえずやっておいてください」と。

あとはコンテンツ作成とか、リアルのプロモーションとかにさいていく。そういうことが全体の最適化につながっていきますよ、というご提案をしているんですね。

SEOをあくまでさまざまな手法の中の1つ

どうしてもSEOっていうのは使いたくなります。なぜならリスティング広告のようにお金がかからない無料のものと思われがちだからです。無料なんだったら、情報を集めて「お前らがんばれよ」「頑張ればいっぱいお客さんが作れるシステム作れるぜ」とやってしまいがちなんですけど、実はこのように大変な作業があります。

情報収集をして実験をして効果測定をする、みたいな作業がありますので、無料だと思わず、あくまでGoogleのオーガニックな通常検索な部分から集客するということを考えてやってもらうといいと思います。

本当にSEOは、真面目に追いかけると大変です。じゃないとSEOの専門会社なんてないですから。信頼できる専門会社を見つけて、いつでも質問できるような体制を整えて、施工を半分おまかせするというような体制もいいと思います。

あまり内制化というものを考えすぎると、全体のマーケティングとしては効率が悪くなってしまいます。

ちょっと話がそれますが、マーケティングは本当に全体を見れなくてはだめです。何かを売るときに、SEOだけを見る、リスティングだけを見る、ソーシャルだけを見る、メールマーケティングだけを見る、ということではなくて、まず自分たちの周り、お客さんたちの周りにどういうチャンネルがあるかを見極めて、その中でどこに投資すると最も効率がいいかを考えることが大事なんですね。

あくまでSEOはその1つでしかありません。あまりそこに固執せずに、いったんお客さんとみなさんの関係を見つめなおして、コミュニケーションデザインなんて言いますけども、見つめなおして、その中で一番効率の良いチャンネル、やり方をしていくことを強くお勧めします。

SEOはコストがかからないというのは間違い

話をまとめますが、SEOは情報収集が本当に大変で、コストがかかります。例えば1日1時間情報収集をしたら、その社員の1カ月でいったら20時間から22時間、あるいはもっと時間がかかります。社員の時給が3000円だったら、それだけで6〜7万換算になってしまうんですね。

それだったら、その費用をかけてリスティングしてしまった方がいいかもしれません。それだったら、その費用をかけて外部に投げた方がいいかもしれません。

もちろん投げる先は考えないといけないですけど、そういうことを考えて、自社でやることが本当にいいのかどうか、ナレッジ蓄積の部分も含めていいのかどうかということは、中小企業の方は考えていただければいいと思います。

宣伝ではないですけども、うちの場合はいつでも相談していただければ、みなさんにあった情報を提供すると言ってますので、そういう意味でも喜ばれています。

というわけで今回のポットキャスト、SEOを中心とした情報収集についての考え方でした。特にいろんなブログがいろんな分野にありますので、何が正しいのかわからないという時代になってくる。何が正しいのかわからないと悩んでる内に時間だけが過ぎていって、結局何もやれていないということになってしまう。

こうなると怒られてしまいますから、そういうことをさけるために、ぜひコストだと考えて、いかにそれを最小限にして、そして最大限の効果をあげるか。

それを考えることがマーケティングのWeb担当者、コンサルタントすべての人間に言えることです。ぜひその考え方をもって、いろんなことを試してください。それでは本日のポットキャストは以上です。