猛毒を持つ生き物は数億年前から存在していた

ハンク・グリーン氏:動物界は食うか食われるかの世界ですが、限られたラッキーな動物だけが毒液の力を使うことができます。例えばヘビ、クモ、サソリ、貝、クラゲにハチ、そして一部の不思議な哺乳類もこの力を使うことがでます。

これらの動物たちは、皆種族が近いわけでもないのに、どのように毒で自分の身を守るようになったのでしょうか? 毒液はいかに誕生し、それはどのように作用するのでしょうか? そして皆さんが気になるのは、どの動物が最も危険であるかではないですか? いいんですか? 本当に知りたいんですね?

鳥やコウモリ、ハチなどは羽があり飛ぶことができるという共通項があるにも関わらず、彼らの生息地や種族が異なるのと同じように、毒を持つ動物たちもまた、収斂進化の一例です。

収斂進化とは、異なる種類の動物がそれぞれ異なる地点で類似する特徴を持つようになることを指します。クラゲのような刺胞動物門に属する多くの動物は5億年から7億年の歴史を持つ最古の有毒動物です。

サソリや……

ムカデは……

少なくとも4億年前から生息していると言われており、陸上で生息する有毒生物の中では最も古い歴史を持ちます。有毒ヘビは有毒のトカゲと同じ祖先を持ち、アメリカドクトカゲや……

コモドオオトカゲ……

といった有毒トカゲの歴史は、2億年ほど前から始まったと言われています。

「ヴェノム」と「ポイズン」の違いは何か

このような生物が持つ毒は、どこからともなく突然やってきたわけではありません。これらは皆、たんぱく質遺伝子の変化により誕生しました。生物の毒の中には唾液の中に含まれる消化酵素に非常に近いものや、体内に侵入するバクテリアを攻撃するための免疫系タンパク質に近いものがあります。

多様な生物が異なる種類の毒を持っているのですが、大きくわけると、神経細胞受容体を攻撃するものと、血液を固める機能に障害をもたらす毒という、2種類があるといえそうです。

これらは化学的作用して生物を素早く殺すのに最も効果的な方法です。これがタコであろうがアリであろうが、すべての有毒生物が類似している理由です。そうです。有毒タコというものも存在するのです。

今ここで話している生物の毒(ヴェノム)と、一般的に使われる「毒」(ポイズン)は厳密に言うと異なります。「毒」(ポイズン)は消化、吸収、吸引されるものですが、有毒生物の生み出す毒液は、キバ、トゲ、クチバシ、尻尾や触手によって、その攻撃対象に注入されます。

ヴェノムを持つ生物は自身で毒を作りだしますが、ポイズンを持つ生物は周囲の環境からそれを得ます。これについてはまた後ほど詳しくお話します。

呼吸困難と心臓発作を引き起こすハコクラゲの毒

では最も危険な有毒生物とはなんでしょう? 答えは「どれが一番危険かは決めることができない」です。このような生物は、それぞれ生態も違えば行動も違い、環境も違います。ですから、科学的にどれが最も危険であるかということを証明することができないのです。

しかし、一撃で放つその毒の強度と量が最も危険であると言える動物は明らかになっています。

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