エントリーフォーム最適化は、フォームだけの問題ではない

中山陽平氏:今回はタイトル通り、「エントリーフォーム最適化(EFO)という言葉の功罪」をお伝えできればと思います。実際、Webマーケティングにおいては、エントリーフォーム以外にも、いろいろコンバージョンポイントはありますけども、一番多いのが、いわゆるフォームですね。ここの改善は非常に効果的な部分です。

やっぱりここのエントリーフォームで、たとえば今まで90パーセントの人が帰ってしまっていた。つまり10人に1人しか実際にフォームに入力をしてコンバージョンしてくれなかった。

その状況から、たった10パーセント改善するだけで、80パーセントですから、2倍の人がコンバージョンしてくれる。つまりコンバージョンレートが倍になります。集客を2倍にするよりも、こういったところを2倍にしたほうが、単純に楽ですし、さまざまな集客チャネルからのすべてに影響するものですから、効率がいいんですね。

とはいえ、エントリーフォーム最適化というものを考えたときに、フォームそのものだけに着目するケースが増えているなあと感じます。エントリーフォーム、つまり「お問い合わせはこちらです」とか「資料請求はこちらです」といったものにおいて、エントリーフォームそのものが果たす役割というのは、もちろん大きいです。

なので、よくエントリーフォーム最適化(EFO)の中で言われる「入力をしやすいようにしよう」とか「入力補助機能を付けるようにしよう」とか、「スマートフォンでも入力しやすいようにしよう」ですとか。そういったことはもちろん大事なことなんですけど、それだけではないんですね。

エントリーフォームというのは、お問い合わせをするなり、資料請求をするなり、いろいろな申し込みをするなりの、最後のこちらからのアクションですよね。なので、その最後のアクションを行わせる、最後の一押しみたいなものをちゃんとできているかというのも、エントリーフォーム最適化、フォームリダ釣りを改善するという点では、すごく大事で。むしろそっちのほうが大きいんじゃないかなと実務では感じています。

フォームがあるページ全体を最適化することが重要

いわゆるテクニカルな、フォームを使いやすくするということよりも、どちらかというと、フォームが多少不便でも入力したくなるような仕組みをつくる、と。

特にリードナーチャリング型、リードを獲得する型ですね。そういったサイトの場合は、フォームに持っていく前の部分ですね。そちらのほうがすごく大事なんですね。

これが例えばユーザビリティ重視型のオンライン・サービスであったり、公共のサービスであったり、沢山の人が使うようなもの。たとえばクロネコヤマトとか、そういうところの荷物追跡サービスですとか、ショッピングサイト、ECサイトのカートのシステムですとか。そういったものでは、かなりシステムの使いやすさが重要になってくるんですけど、そうではない一般のサイトであれば、フォームに入力したくなるかどうかが実はすごく大事なんですね。

その部分を改善するということも合わせてエントリーフォーム最適化(EFO)と考えていただくことをおすすめします。

エントリーフォーム最適化というと、どうしてもフォームタグの中身、つまりフォームそのものに注目してしまいがちなので、どうもこの日本語がうまくないなと思うんですけども、正確に言うとしたら、フォームのページ最適化と言いますか。

「フォームページ」と言うと、「ホームページ」と似ちゃうので、なんと言ったらいいんですかね。確かに難しいんですけれども、ページ自体の最適化をぜひ考えてみてあげてください。

フォームに入力するお客さんの不安を解消する

エントリーフォームを入力する前が本当に大事です。入力すると、いったいどういうものが自分に得られるのか。そういったことをわかりやすく、直感的に、時には最後の後押しをするということで、すこし煽りみたいなものも含めて入れてあげる。

こういったことがコンバージョンレートを飛躍的に増やします。たとえば、エントリーフォームを入れる人がどんな不安を抱えているのか。それから、なぜフォームに入力をしてくれないのか。

そういったことを、まずお客さんに聞いてみたり。既にちゃんとコンバージョンしてくれたお客さんに、「フォームを入れようと思うときに、どんなことに悩みましたか?」ですとか、「何回目で入れましたか?」とか。

「実は3回目でやっと問い合わせしたんです」という方には、「なんで1回目と2回目はしなかったんですか?」ということを聞いてみたり。それはもしかしたら、フォームの問題ではないかもしれませんけれども、フォームというものをバンと目のあたりにしたときに、「まだいいかな」というふうに思ってしまった、フォームというものの重みに負けてしまった。そういうこともあるかもしれません。

だとしたら、フォームの前に、それによって得られるベネフィットですとか、不安がたくさんあれば、たとえば「営業電話がどんどんかかってくるんじゃないか」「メールでも電話でもどっちでもいいって書いてあると、送付先として、物を送るためだけに電話番号を書いていただいているだけなんですよ」と書いてあるけれども、でもセールスの電話がかかってくるんじゃなか、とか。

あとは「DMがどんどん送られてくるんじゃないか」ですとか、「この個人情報をどこかで使われるんじゃないのか」とか、お客さんはいろんな不安を持っちゃうと思うんですね。

それから、そのフォームそのものに限らず、そのサービスそのものに関する不安もあると思います。そういったものをキチンと解消していって、「不安はもうないですよね」と。

フォームを送信することで得られるメリットも明確に

さらに、今お問い合わせなりなんなりをすると、たとえばこういうものが得られたり、こういうメリットがありますよ、と。だからリスクはないです、あなたにとってメリットしかないですから、今すぐここからフォームを送信して、ぜひコンタクトを取らせてください、と。

そういうところが、実は大事なんですよね。また、もしそれがガイドブックやメールマガジンのようなオファーを提示して、それの代償として何かをもらうようなものであれば、そもそものオファーの改善ですとか、そっちのほうが効果を上げることが多いです。

ぜひ、このエントリーフォーム最適化というもの、もちろん大事なことなんですけど、言葉だけを無意識に解釈してしますと、とにかくフォームをテクニカルに楽に入力させればいいと思ってしまいがちです。

「項目を改善すればいい」「項目を減らせばいい」「入力をしやすくすればいい」ということだけを考えてしまいがちです。

でもそうではなくって、エントリーフォーム最適化の本当に大事なところは、フォームに多少、それが面倒であろうとも、入力して、そしてコンバージョンしてくれるような見せ方、あるいはそもそものオファーの作り方、そういうところにありますので、ぜひそういうところも一緒に見てあげていただければと思います。