独身者の結婚意向がこの1年で増加した

司会:続きましては、一般社団法人 結婚・婚活応援プロジェクト、増田代表理事より、結婚に対する最新の意識調査の結果などを踏まえまして、当社団法人の見解として、結婚・婚活推進における新しい提言についてご説明させていただきます。それではお願いします。

増田寛也氏:それでは改めまして、私のほうから今回の提言に至ります背景と、そして提言の内容をご説明申し上げたいと思います。一言で言いますと、「現在のライフスタイルに合ったオープンな出会いの場を提供する」こういうことを応援していこうという趣旨でございます。

少し社団のことを申し上げますと、2015年5月20日に発足したわけですが、加盟企業が今日現在25社集まっている。そういう社団でございます。それでは今回の提言の背景となります、最近の結婚に関する意識調査、そこから見られる傾向についてご説明差し上げます。

実は、独身者の結婚意向がこの1年で増加した。ここが今日申し上げたい背景のいちばんのポイントでございます。隔年で調査をしておりますが、独身者の結婚の意向はこれまでずっと下がってきておりました。

このままでは結婚したいという人がいなくなってしまうのではないか、そういうことが危惧をされていたんですが、今年の10月の調査によると、これが上昇したということで、特に女性の上昇が見られております。

結婚に対する気持ちが高まった背景ですが、男性女性それぞれ3項目ずつこちらに記載してございます。男性のトップは、「1人の生活はさみしい」ということ。女性の場合には、「どうしても年齢を重ねてだんだん焦りのようなものを感じてくる」そのあたりからがその背景にあるわけです。

もうひとつ男性の場合、9人に1人が「国や自治体の制度が整ってきた」。これは昨年からの地方創生の大きな流れのひとつの成果でもあろうかと思います。それから、女性の上昇率が特に著しかったと申し上げましたが、女性の実に6人に1人の方は「近年の芸能人の結婚ラッシュに触発された」。こういう回答が出てきております。

福山雅治の結婚が与える意外な影響

ちょうど調査したのが先月10月ということでありますが、その時に福山雅治さんが結婚するという報道がございました。こういったことが影響しているのだろうと思いますが、この数字を見ましても、4割近くの方が「うらやましい」と思い、3割を超える方が「自分も結婚したい」こういう風に思ったと。率直にこういう心情を吐露しているところでございます。

実は我が国の場合、結婚意向がだんだん下がってきていると申し上げたんですが、生涯未婚率が結果として昔に比べるとずっと上がってきております、2010年の数字で申し上げますと、男性では実に2割を超えて、20.16パーセント。女性もちょうどその半分ですが、10パーセントを超えて、10.6パーセントの方が生涯未婚でいらっしゃる。

この上昇のカーブは近年非常にきつくなってきているということがおわかりになるかと思います。その理由なんですが、ここで非常に重要なことは「出会いがないから」ということを理由に上げる方がいらっしゃるということ。

当然のことながら、いわゆる稼ぎが足りなくて、夫婦生活を営む、その上出産するのにやはり経済的に自信がない等々のこともあろうかと思うんですが、上位の理由に「出会いがない」と、適当な相手に巡り合わないという方が非常に多いということ、これがある種、気になるところでもございます。

コミュニティ内恋愛に遠慮がちな若者が多い

出会いがない理由なんですが、1992年の調査によりますと、当時は職場・仕事を通じての出会いというのが全体で35パーセント、3分の1を超えております。いわゆる「職縁」ということでございますけれども2010年の調査ではこれが29パーセントまで低下をしております。3割を切ってしまいました。

そしてこれは交際相手との出会いのきっかけなんですが、職場での出会いがどんどん減ってきているということではありますが、しかしやはり出会った人は、相変わらず「コミュニティの中での出会い」というのが6割を超えているということです。

それから最近の傾向としては、SNSを含むインターネットなどで相手を見つけるということもあります。この辺りに動きが出てきたというのが顕著な傾向であると同時に、とは言ってもやはりコミュニティ内で6割の人が見つけているということでございます。

やっぱり多くの方はコミュニティ内で出会い、しかし職縁というのがどんどん薄れてきてるということですから、このままですと出会いの場をどう作るかというのが非常に重要になってきて、ここに何か工夫が必要じゃないか、ということでございます。

それから、コミュニティ内での恋愛観なんですが、傾向ですけれども、ここに書いてあるように、コミュニティ内恋愛に遠慮がちな若者が多いということです。ここが大きな出会いの場であることは間違いないんですが、なんとなく遠慮がちになっていると。

この辺りをどう考えたらいいのかというと、うまくいかなかった時のコミュニティの中での気まずさを遠慮しているのか、さらに深層心理に迫っていかなければいけないのですが。それにしても、ガツガツいくというよりは、どことなく遠慮がちな若い人たちの揺れる気持ちみたいなものが、こういったところにも表れているというところであります。

以上が最近の結果についての動向なんですが、いずれにしても出会いの場がないというのが65パーセントを超える大きな割合を占めていることに、自治体も重い腰を上げつつあるというのが、これからお話しする状況であります。

行政からも出会いの場を提供していく

これはおそらく背景としては、地方創生等の動きもあったと思います。私も以前は自治体の首長をやっておりまして、私がもう8年前に退任をしたので、ちょうど20年前から8年前の12年間ですね。

その当時は少子化対策というと、出産する際の環境を整備する、周産期医療センターを整備するとか、あとは子どもを授かった方々に対して負担感をより低下させるようないろんな取り組みをするということをやっておりました。出産する前のところは基本的に自治体の行政の範囲外のような考え方であったのかと思います。

しかし、先ほどのいろんな分析から見て、やっぱり「出会いの場がない」と、そういったところを求めている人に対して「行政でやれることがあるのか」というのが、最近自治体の意識として上がってきているんだろうと思います。

各自治体の活動状況を改めて我々のほうで調べたのですが、結婚サポートセンター、それからその施設を通じた事業、応援フォーラム等ございますが、結果として40都道府県で何らかの形で事業を実施しているということで、これは以前に比べて大変多い数字であろうと思います。

こういう自治体の取り組みについては、ある程度動きが見られてきたということですが、やはりデリケートな問題でもありますし、自治体だけの取り組みでは限界がある。ここではやはり一方で企業の取り組みというのが非常に重要であると。

企業内での婚活推進の取り組み

こちらに、東広島市に所在している株式会社サタケさんというところの取り組み内容を書いてございますが、かなり従業員のみなさま方に手厚くいろんな対応をしていると。優良事例としてひとつご紹介します。ぜひ取り上げていただきたいと思いますが、こんな若い人たちにとってうらやましい取り組みをしている企業もございます。

「結婚意向は上がっているけれども出会いがない」という現状に対して国や自治体の取り組みは進んできたんですが、このような民間企業の取り組みを進めていく、さらに応援していくということで、そういう観点から見た我々からの緊急提言であります。

結婚を希望する職員、社員に対して積極的に婚活支援をすべきだ。結婚・婚活の活性化にぜひ貢献していただきたい。こういうことであります。

先ほど小池議員の方からも触れられましたように、日本の場合にはいわゆる婚外子はわずか2パーセントで、結婚した男女から98パーセント子どもが出産されます。出産ということについていろいろ議論するためには、まず若い男女に結婚していただく必要があるというのが、今の日本の社会の状況だろうということであります。

したがって、企業や団体とこうした関係で取り組めること、例えば「婚活部」や「婚活サポート課」というのをきちんと企業の中で設けて、会社の仕事としてこれを推進していくですとか、社内結婚推奨制度を確立する、それから婚活の福利厚生化、こんなことも考えられるのではないかと思っております。

提案でございますが、例えば婚活部を、時間外活動ということではなく、ひとつの事業部として設置して本格的に取り組む。それから社内結婚推奨制度ということでございますが、実際に婚活から結婚にたどり着くまでの様々なノウハウを提供する。

それから人事評価、給料に反映されるような評価をしていく、支援金を用意する、結婚の記念日を制定してみんなでお祝いする等々、具体的なアイデアはそれぞれのところでさまざま考えられるんじゃないかという風に思います。

それから、社団としては「婚活スタートチケットの導入」と書いてありますけれども、加盟社が25社ございます。そこを使った場合には優待価格で利用できるような、そういうスタートチケットの導入も今進めようと考えて、話をしているところでございます。

大変駆け足になりましたが、いずれにしても自治体での取り組みも立ち上がってまいったわけですが、民間企業の取り組みをここできちっと進めていく、官民合わせてこの問題に取り組むということが必要でありますので、以上のような緊急提言をまずはさせていただきました。

どうもありがとうございました。

(会場拍手)