水に長く浸かるとゆびがしわしわになるのはなぜ?

マイケル・アランダ氏:泳いだ後、お皿を洗った後、または疲れた後にゆったりとお風呂に入った後など、10分以上水につかると指先や足先がレーズンの様にしわしわになってしまいますよね。

どうしてそうなってしまうのでしょう?

何年もの間、科学者たちは水が乾いた外皮に浸透することによって、この現象が起こるものだと理解していました。しかし、水の浸入ということで、皮膚の表面の状況に関しては説明がつきますが、皮膚がひだになり、しわになるためには皮下組織にも影響がなければなりません。

「神経がない指には、しわができない」新しい発見

1935年、ある医者のペアが、神経に損傷を受けた患者にはこの現象が起きないということに気が付きました。

ある患者を例に挙げると、ある少年は指三本の感覚を失ってしまいました。彼の手が濡れたときに、感覚のある指はしわになったのに、麻痺した指にしわは起きなかったことを、研究者たちは観察しています。

実は、指がプルーン状になる現象は、水分が浸透したためだけに起きているのではなく、神経組織が水分を保持するために活発に働くために起こる現象なのです。神経組織が皮下の血管を縮小させるために、しわが生じるのです。そのため上皮にも、しわが生じます。

しわは進化の証?

この現象は無意識に生じるため、ある生物学者たちは、それが何らかの進化的な機能であると思っています。しかし、これは何の役に立つというのでしょう? 

一つの最近の説は、このしわによって先祖は、濡れた場所――例えば川や湿った植生地で食べ物を集める場合――でもよく物が掴めるようになった、というものです。

そう考えると、雨で滑りやすくなった場所でも歩きやすくもなったと言えるでしょう。

2013年の研究では、進化論生物学者たちはこの説をテストするために、被験者たちに、しわのある指とそうでない指を使って、ビー玉など、様々な濡れたものと乾いた物体を持ち上げてもらいました。

結果として、しわのある指の人たちは濡れた物体を、しわがない被験者と比べて、12パーセント早く掴むことができました。しかし、乾いた物体に対しては相違は生じませんでした。ですから明らかに、しわは溝により水分を押しやる助けになります。ちょうど車のタイヤのトレッドのような役目をするのです。

しかし、そうなると次の疑問が生じます。もし、しわになった皮膚が滑り止めの役目をするのなら、なぜ皮膚はいつもしわになったままでないのだろう? きっと、しわになった指先や足先は感覚が鈍くなり、それは有利なことではないからです。