テレビを見なくなった理由

のぶみ氏(以下、のぶみ):俺、実は聞きたいことがあるの。

山口トンボ(以下、山口):なるほど、はい。

のぶみ:最近テレビの番組に出さしてもらうことがあって、ちょっとある有名人の人と対談しないといけないんですね。火曜日に。そのときに、西野さんってどういうふうにテレビに出てるのかとかを、それちょっと話聞きたいなとか、思ってたんですよ。

西野亮廣(以下、西野):なるほどね。

のぶみ:番組って1日前とか2日前とかじゃないと、出るの言っちゃだめじゃないですか。

西野:そうですね。生?

のぶみ:生放送じゃなくて収録なんですけど、対談撮ってくれないかって言われたので。そんなの来るかと思って、びっくりしたんですけどね。

西野:何も考えてないです、出る前とか。あれ喋ろうこれ喋ろうとか、ほんまに何も考えてないから。

のぶみ:だってテレビも、見てないんですよね?

西野:いやまあ、それを言っちゃうと……。

のぶみ:あ、これも言っちゃだめ?(笑)

山口:いや、良いです良いです。

西野:でもね、あんまり見てないかもしれないです。

のぶみ:西野さん家行くと、でっかいテレビがあるんですよ。

西野:ついてるとこ見たことないですよね?(笑)

のぶみ:ないです。映画用とかかな?

西野:そうですね。あの画面でテレビを見たのっていうのは、たぶん3、4年前とかじゃないですかね。

ブルーハーツにシンパシーを感じる

のぶみ:3、4年前は何でやめたんですか?

西野:僕ね、もともと東京に来たときに、22、3くらいで来たんですけど。家帰ってボーッとテレビ見てる時間があって、「これ、あかんわ」と思って。すごく勉強になるような番組とかだったらまだあれですけど、ただ見てたんですよ。夜中の通販とか。「この時間何やろ」って思って、1回捨ててみたんですよ。試しに。

山口:ブルーハーツみたいなエピソードを。

西野:そうなんですよ。

のぶみ:マーシーがね。

山口:ヒロトのテレビを投げたっていう。

西野:感じるもん、やっぱシンパシーを。

山口:やかましいわ!(笑)

西野:ヒロトとシンパシーを、感じます僕。

のぶみ:この世代はみんな感じるの!(笑)

山口:みんななの!

のぶみ:俺もね、トンボさんもね。

西野:でも本当ね、「ドブネズミみたいに美しくなりたい」って聴いたときに、ええなーって思った(笑)。

山口:みんななの!

西野:リンダ! って言われたときに、俺うおーっ! ってなったから。

山口:みんななるの!

西野:シンパシーを感じてます、僕。

山口:みんななの!

のぶみ:(笑)。

テレビの無い生活がものを作るきっかけになった

西野:テレビ捨ててみたんですよ、1回。テレビ捨ててみて、4年くらいテレビない生活したんですよ。

のぶみ:え!? どうでした?

西野:これはね、そんなことこんな仕事してるやつが言っちゃだめですけど。意外とね、ないならないで、家帰ったらむっちゃ静かなんですよ。どうしようと思って。こっから自分で娯楽を作らなきゃいけないから。家の中でも。これは結構ね、悪くなかったんですよ。その4年間が。

のぶみ:それで何か、絵本とか描き出したりしたんだ。

西野:ものを作ろうとか、それこそわかんないですけど、ちょっと電子ピアノ買ってみようとか。電子ピアノ買ってみて練習してみたりだとか。

のぶみ:電子ピアノ? 弾けるんですか?

西野:大して弾けないんですけど、ギターを買ってみようとか。

のぶみ:ギターやってるとこ見たことある。

西野:テレビがなくなって音がなくなっちゃって、家がむちゃくちゃ静かんなって。何か作り出さないと、この家全然楽しないやんってなって。

のぶみ:断捨離じゃないですか、今で言う。

西野:それでやってたんです。それで今の家越してきて、テレビがまた再登場したんですけど。ない生活が結構長かったんで、つける癖がないです。あんまり。でも、本当にテレビ見てないかっていうとそうでもなくて、YouTubeで見てます。

のぶみ:YouTubeで見る?

西野:YouTubeに上がってるのがすごい良くて、誰かのアンテナに引っかかったやつしかあがってないから。YouTubeに上げるって、結構な苦労ですから。だからおもしろいのが結構ばーって上がってるんで、YouTubeでテレビは見ますね。

のぶみ:そうか。でも出演オファーがあるじゃないですか。そのときに、一応どんな番組か知っておかないといかんじゃないですか。

なぜ放送作家は「この番組をご覧になられたことは?」と聞くのか

西野:そうですよね。のぶみさんね、放送作家にね、こいつ(山口氏)もそっちの人間ですけど。放送作家に物申したいんですけどね。番組行くんですよ、ゲストで呼んでいただいて打ち合わせするんですよ。

作家さんっていうか、ディレクターさんですね、大体打ち合わせは。ディレクターがね、「ちなみにあの、西野さんはこの番組をご覧になられたことは?」って聞いてくるんですよ。

のぶみ:いやあ、絶対聞きますよ。

西野:絶対聞いてくるんです。あれ、見てへんかったときの空気すげえじゃないですか。

のぶみ:すごいですよ。

西野:あれ、何であいつらあんなこと聞いてくるんですか?

山口:(笑)。

西野:お前ら見てへんかったらどうするつもりやと。だって、テレビってほとんど見てないんですよ。視聴率20パーセントって、80パーセントは見てないんですよ。じゃあ80パーセント滑るじゃないですか。その質問した時点で。

超人気番組だって、80パーセント滑るよ! 何でそんな質問するんですか、あいつらは。もちろん見てない、お前の番組なんか。ほとんどの人、お前の番組見てないんだから。

のぶみ:実際は何て言うんですか?

西野:見てないって言う。

のぶみ:言うんだ!

西野:見てないですもん。ほんで、「へー」みたいな変な空気なったんですよ。これお前が作った空気やからな、俺ちゃうぞ! 見てないって言った俺じゃない。この空気を作ったのはお前だぞと! 

のぶみ:怒ってるなあ(笑)。

西野:アホちゃうんかな!

番組のゲストのブログは事前にチェックする

のぶみ:僕は何か「出てください」って言われたら、まずそれをどうやったら見られるかなっていうのを。

西野:偉いですね。

のぶみ:探しまくって、友達に電話して、あの番組って見たことある? どういうふうにしたら良いの? って。芸能人とかが会いに来るとかになると、その人のことを一通り全部、Amazonで書籍買って読みますよ。

西野:ああ! それはでも、ちょっとわかりますよ。自分の番組にゲストで来ていただく方とかに関しては、事前にブログを拝見したり。

のぶみ:それはやるんですか。

西野:しますします。それは見ます。興味持ったほうが楽しいし、向こうものるじゃないですか。

のぶみ:そうなんですよ!

西野:初めまして西野ですって言って、ばーって喋って、この間のブログに書いてあったあれ良いですねって1つ入れるだけで、番組がすごい潤滑に回るので。だったら逆の話でテレビも見ろって話ですよね。のるんだから、向こうが。

山口:向こうが嬉しいんだから。

西野:それに関しては、本当ごめんね!

(会場笑)

西野:俺が間違ってました、すいません!

山口:話しながら気付きましたね、今(笑)。

西野:そう、僕が間違ってました。ごめんなさい! 俺が間違ってました、すいません。

のぶみ:だけど今、すごい情報が多いから。今、僕に本を書いてくれって言ってきてる編集長が情報断食っていう話をしていて。

西野:へー、おもしろい。

のぶみ:テレビやめるだとか、あれやめるとかこれやめるとか、今まで当たり前にしてたものを、これ本当に必要かなってもう1回見てみることで、これなくしたらどうなんのって。なくしたら何かを生み出すっていうのが、すごい大事なことなんじゃないかって。

Twitterをやめた理由

西野:それおもしろいですよね。僕、それよくやるんですよ。ちょっと話がずれるかもしれないんですけど。何かもうひと化けしたいなっていうときに、大体一番便利なもの切るんですよ。

例えば、今やったらぼくTwitterやめたんですけど。独演会のチケットを、毎年2000枚、Twitterで手売りしてたんですよ。Twitterで出没情報っていうのを出して、ここに来てもらってチケットをこうやって手売りしてたんです。2000枚、去年、今年と連続で成功したんですよ。完売してね。

のぶみ:すごいですよ、僕行きましたけどね。すごかったですよ。

西野:ありがとうございます。あれでわかったのは、2000枚は売れるんですよ。どうやら2000枚売れるっていうことがわかったんですよ。で、来年4000人なんですよ。倍呼ばなきゃいけなくて。

でも、あのやり方だと2000枚は売れるけど、2000枚しか売れないなと思ったんです。つまり来年のライブ、あのやり方をやると2000席空いちゃうと思ったんです。

のぶみ:でもさ、普通に考えたら、Twitterで2000枚売れるんだったら、Twitterプラス何かでやるじゃないですか。

西野:そうですよね!

のぶみ:増やすっていう発想じゃなくて。

西野:じゃなくて。4000ってなったときに、もうちょっと大発明がいると思って。そんときに、あのやり方したら2000枚プラス300枚400枚500枚とかは、たぶんいくと思うんですよ。

でも4000ってなったら、またすごい大発明がいるなと思って。とんでもない、お前そんなやり方すんのかっていうのがいるって思ったときに。

のぶみ:それわかるわあ。

西野:じゃあ一番チケットが売れてるやり方ってTwitterだなと思ったら、まずそこをスパンっと切って。

のぶみ:それでも結構な度胸ないとできないよね。

西野:こわいですよ。切ったら切ったで、思いつかないと死ぬわけじゃないですか。4000枚がドンと売れる方法を思いつかないと、僕死ぬわけじゃないですか。

のぶみ:ちょっと待って、今は思いついてるんですか?

西野:全く思いついてないです!

のぶみ:そうですよね。だって僕、Facebookのやつ見てますけど、思いついてる感じではまだなかったから。

西野:大ピンチですよ。何ならやめるんじゃなかったとすら思ってます(笑)。

のぶみ:(笑)。

西野:本当に思いついてないですよ。でも、こうでもしないとたぶん思いつかないんですよ。

のぶみ:そっかあ! それすごい発想だなあ!

25歳でひな壇には出ないと決めた

西野:テレビもそうで、20歳くらいでぱって売れて25くらいでゴールデン出てぱーってやってたんですけど、大してスターなってないなと思って。

毎週視聴率20パーセントとかとってて、何千万人とか見てるんですよ、全国どこ行っても僕のこと知ってて、ってなったんですけど。スターになってないと思って、渦の中心にはいないと思って。

CD出したら100万枚売れたとかなってない、スターになってないじゃんとか思って、それでやばいって思って。そんときに、やっぱスターなりたいですから、せっかくだったら。それで一番の自分の生命線ってなんだろうって考えたときに、ひな壇だと思って。ひな壇っていうか、テレビですよね。それをスパンって切っちゃおうと。

のぶみ:ひな壇からいって、MCになるっていうのが普通ですもんね。

西野:ひな壇にいって、そこで新しいスタッフさんに顔見せですよね。あそこで関係性を作って、次の番組、次の番組ってあるんですけど。そういうひな壇だとかグルメ番組だとかクイズ番組だとか、25で一切やらないって決めちゃって。

じゃあそっからあてがあったかっていったら、何もなかったんですよ。だから25でスパンって切ったときっていうのは、ちょうどそのときトンボさん出会ったときぐらいかな。

山口:ちょうど、そうですね。

西野:それで、どうしようと思ったんですよ。暇なんですよ、要は。週5とかで休んでたんですよ。2本撮りとかの番組だったりするんで。

のぶみ:そんときは、不安になったりするんですか?

西野:最初は勢いでスパンってやめてますけど、1ヶ月くらいでだいたい、1回後悔する波が来るんですよ。「やめるんじゃなかった」、「ひな壇やっぱ出ようかな」っていう、波が来るんです。そこをぐっと抑えて。そっから何かしないと、死ぬわけじゃないですか。

のぶみ:いや、そうだよね。

西野:それでやばいと思って、絵本描き始めたりとか、舞台をやり始めたのもそのときですよ。本当に中野Studio twlっていう50人でいっぱいになるような小屋を貸しきって。でも、誰が興味あります? 僕の舞台なんか。

のぶみ:前に西野さんが言ってて、なるほどって思ったんだけど。売れてる芸人と売れない芸人ってどこが違うんですかって僕が質問したら、「売れる人っていうのは、ネタ始めに良いネタを作って、テレビ出始めたらあとは人に委ねる」って言ってたんですね。

売れない人っていうのは、まあネタありきですけどね、ここまでいくのも大変ですけど。「うわーってネタやって、でもテレビ出始めても『俺はこのやり方をやる』っていって変えない人っていうのは、結構上手くいかないんだよ」っていう話を聞いてて。

僕その話聞いてて、やり方っていうのがすごく大事だなと思って。人っていうのは成長するために生きてるから。1人で頑張って頑張って、例えば部長とかになるじゃないですか。そのときに、部下の力を使わないと今後は上手くいかないはずですよね。

でも、「ここまで自分1人でやってたから、部下の力は使わないで俺だけの力でやってやる」ってやると、たぶん課長としてはだめな課長になりますよね。

西野:それはそうですよね。

のぶみ:だからやり方を変える瞬間っていうのが、たぶんあると思ってて。西野さんはテレビ辞めるときだったり。普通やらないようなっていう。

西野:本当焦りましたよ。

のぶみ:だってだって、今慌てどきですもんね。

西野:そうですよ、どうしようかと思って。良いアイデアがあったら教えてくださいね、チケット4000枚売るアイデアがあったら。

のぶみ:確かに確かに。

西野:そういうの考えたいね。

のぶみ:皆で考えたら? じゃあ。

山口:せっかく会議を見せるテレビなんだから、何かが生まれる瞬間がここであると良いですよね。