山形県の政策課題

宮本周司氏(以下、宮本):今、交通インフラ等の整備の話も出ましたが、次にお聞きしようと思ってたのが山形県独自のいろんな政策課題。

今ご説明があった高速道路とか、いろんな交通インフラの整備、拡充というのも必要だとは思うんですけれども、それ以外に、例えば先ほどいろんなご紹介があった食べ物とか温泉とか、そういった観光資源の面でも、課題となっていることがあるようにお聞きをしたんですが。

大沼みずほ氏(以下、大沼):そうですね。やっぱり東日本大震災の後に外国の観光客の方がまだまだ戻って来てないという課題があります。

やっぱり、何となく東北という1つのくくりの中で、みなさんちょっと足が遠のいているのかなというところですので、しっかりと。

日台サミットも今年山形で開かれているんですが、台湾をはじめ、香港やシンガポール、東南アジアの方々、また中国や韓国といった、これまで来てくださっていたお客様を受け入れる体制をしっかりしていかないとなというところが大きな課題です。

あとはやっぱり県内の高校を卒業する人が大体1万1,000人ずつ毎年いるんですが、そのうちの6,000人が県外に出ていってしまって、そうなるとなかなか戻ってこないと。

やはり雇用の創出が非常に重要なテーマでありますけれども、Uターン、Iターン、Jターンって言うんですか、地方にいかに戻ってきてもらうのか。

そういった若い人たちが活躍できる場を、いかに政府としてもバックアップしていただけるのか、次の木曜日の厚生労働委員会でもそれを政府に問いたいと思っています。

宮本:いいですね。今まさしくみずほ先生がおっしゃったように、地方創生につながることだと思うんです。

当然、少子化であったりと超高齢化。この日本が抱える大きな課題というものもあるんですが、それに間接的に影響するのが、今おっしゃったような、地域がしっかりと高校まで育てた子供たち、若者が進学であったり、お仕事であったり、一度県外に出られてなかなか戻ってこない。

戻ってこない人が循環しないから、また地元の地域の産業も衰退をする。この悪循環が、山形も含めて全国各地で起こっていたと思うんですよね。

ですから、若者が「やっぱり戻って来たいな」という魅力を我々がもっと引き出してアピールすることもそうですし、地域に密着した産業がまた新たな強みをつくったり、地域の活力や雇用の機会をつくっていただけると、改善の兆しが出てくるのかなと思いますよね。

観光立国を実現させる方法

大沼:特に観光は本当にもったいなくて、去年「デスティネーションキャンペーン」で、本当に多くの方に山形に来ていただいたんですが、これをどう継続していくのかという意味では、やっぱり、観光業を生業として育てていくということが重要で、例えば高校とか地元の大学に観光科を設立したりですね。

例えば福岡は、消費税の増税で日本全体が個人消費が落ちたにもかかわらず、そこまで景気が悪くなかったのは、やっぱり観光客の個人消費が経済を引っ張ったところがあるんですね。

観光立国ということで政府が進めていますけれども、そのためのインフラはまだまだ整っていなくて。例えば、その千代寿がある寒河江市というところに、慈恩寺というすばらしいお寺があって、そこに興福寺と同じ聖徳太子像というのがあるんです。

興福寺さんのは本当に宝仏殿の中に佇んでいらっしゃって、他の文化遺産もそうですけれども、非常に施設も立派なんですが、うちの場合まだまだ慈恩寺の仏像の一つひとつも手に届く範囲にあって、やっぱりそれをどういうふうに観光資源として生かしていくのか、そのためのインフラ整備。

また、若い人たちがその観光で生業が成り立つようなシステム(をどうやってつくるのか)。ホテルとか旅館にしても、やっぱり人手不足というのがあって、土日にせっかく来ていただいても、人手がいないがために部屋を埋めるができないといったような課題も、旅館組合のみなさんとの意見交換の中から出てきたんですね。

全国、世界にアピールしたい山形の魅力

大沼:「まさに、ここ(Cafesta)の宣伝力だよ」というお言葉はいただきましたけれども、私も観光大使の肩書きをいただいているんですが、まだまだ発信が不十分だなと思っています。やっぱり全国、世界中に山形が観光地として、来ていただくにふさわしいところだと(伝えなければいけない)。来ていただけれは、温泉もたくさんあるし、食事も各地域によって、全然違う味付けで。

宮本:地域の名産が。

大沼:一度来ていただければファンになっていただける方が多いと思うので、観光というところにしっかり力を入れて、雇用もそこから創出できればなと思っています。

宮本:なるほど。そうですね。私も本当にしょっちゅう山形行かせていただいていますけど、本当に地域地域でいろんな魅力がありますね。先ほどお話があったように、海外からのお客様という面では、外務省でのご経験であったりとか、香港のほうにも働きかけて山形の地酒を……。

大沼:そうですね。

宮本:まさしく山形と日本の各地、もしくは山形と世界をつないでいくハブ的なお仕事も実践されているんじゃないですか。

大沼:外務省にいたから何かができるとは思っていないのですが、香港って日本に来るリピート率がすごい高い地域なんですね。

中国とか韓国とかは、政治的ないろんな問題があると、一気にツアーがキャンセルになっちゃたりすることもあって。

そこで今悩んでいらっしゃる、旅館さんなんかもあったんですが、やっぱり香港というのはリピート率が高いのと、京都、大阪、東京とか北海道とかはもう行ったから他の地域に行きたいなと思ってる香港の方が結構多いんですね。そういった方々にやはり、山形に来ていただいて、山形のよさを知っていただくと。

あとこの間、キャロライン・ケネディさんが米沢に来てくださったんですけれども、お父様のケネディ大統領が、自分が尊敬する政治家の中で上杉鷹山公を挙げていらっしゃって。

宮本:はい。有名ですね。

大沼:それで米沢に来てくださったというご縁もありますし、本当にそういう意味では、アジアの方々だけではなくて、アメリカとかヨーロッパの方々。

特に蔵王は、スキーでも有名でして、オーストラリアの観光客もかなり来るようになってきているんですね。やっぱりただ、そこの地域地域に行って宣言しないと、山形に留まっているだけでは来ていただけないので、私も外にどんどん発信をしていきたいと。

宮本:すばらしいですね。この酒造業という立場からも、本当に大きなマーケットの可能性を秘めている中国の中でも、ライセンスフリー……お酒を取り扱う免許。ライセンスフリーって実は香港だけなんですよ。

実は香港というのは日本酒が中国シェアに市場に入っていくところで、今一番注目されている、入り口的な存在なので、やはりこれまでのご経験も含めて、すばらしい取り組みを実践されてるなと思っておりました。

山形観光の主要4エリア

宮本:本当に魅力あふれる山形だと思いますが、みなさんが「じゃあ、旅行に行こう」と思っていただいたときに、おすすめのプランであったりおすすめの場所。それをぜひご紹介いただけたらと思います。

大沼:実は山形は4つの地域に分かれてまして、山形市のある村山地域。米沢牛とかが有名な置賜地域。あとは、庄内と鶴岡とか酒田とかくらげ館で有名なんですが、海側の地域。あとは秋田との県境の最上地域。

まず4箇所に来ていただきたい。例えば米沢を主宿にするなら、米沢の近くに小野川温泉というのがありまして、小野妹子が入った美人湯というのがあって、本当にとろっとして、美人湯として名高いですね。

宮本:みずほ先生も入ってきたんですか。

大沼:毎回米沢に行くときは必ず。

宮本:それでお美しいと思いました。

大沼:必ず上杉鷹山交の軌跡を辿っていただいて、上杉神社に行っていただいて、かつ米沢織物と言って、織物も有名なんですね。お買い物はぜひ米沢織物をご購入いただいて、米沢牛を食べていただくと。

宮本:贅沢ですね。

大沼:あと、村山はやっぱり芋煮。日本一の芋煮会が9月にあるんです。すっごい大きな、お鍋で。

宮本:よくテレビでやりますよね。

大沼:馬見ヶ崎川という河川敷で食べるんです。その芋煮を、人生に1回は食べに来ていただきたいですし、蔵王で見る樹氷というのは、流行らないですが、朝にはもう本当に……。

宮本:あれも見たいですね。

大沼:あれは本当に山形の蔵王でしかできないんですね。なので、ぜひ来ていただきたいです。奥の細道で有名な庄内は、先ほど話したクラゲ館という、世界各国のクラゲを集めた(水族館がある)。これはクラゲフェチにはたまらない。

宮本:どれくらい集めてるんですか。

大沼:クラゲオンリーなんです。

宮本:オンリーなんでしたっけ。もう、すごい種類があるんでしょうね。

大沼:小さいのから、長いのから(いろんな種類がある)。かつ庄内地域は映画も結構(有名です)。藤沢周平さんの記念館もあるんですけれども、映画の撮影もされていた地域で、本当に風光明媚な景色です。

あと酒田には、本間美術館とか土門拳写真館もあって。あとは出羽三山といって、これは西のお伊勢様、東の出羽三山と言うぐらいてパワースポットですから。特に婚活中の女子は来ていただきたい。

宮本:そういったご縁がある。

大沼:はい。出羽三山はそうですね。

あと最上地域の金山地区は金山杉で街全体をつくって、イザベラ・バードが旅行したときに「大変美しい街だ」ということで。

あとは、新庄まつりという、これは今、山車を無形文化財に登録するということになっているんですが、市民のみなさんの手で山車を作って、歌舞伎のワンシーンとかを大きく作って。

宮本:それを山車で表現するんですか。

大沼:そうなんですよ。本当に地域によって楽しみ方が違いますので、ぜひ4回来ていただけるように「一泊二日コースを考えていかなきゃな」と思いました。

宮本:4地域にそれぞれ来ていただくと。

大沼:ふるさと納税もお待ちしてます。

宮本:いいですね。さすが山形県を代表する観光大使というような締めくくり方だったと思います。今日は、大沼みずほ先生をお招きしました。ありがとうございました。

大沼:ありがとうございました。

制作協力:VoXT