従業員70人、売上10億円規模の会社に成長

伊藤ようすけ氏(以下、伊藤):最初は妹と2人で始めた会社が、今従業員何人ぐらいいるんですか?

清水彩子氏(以下、清水):今は70人ですね。

ふくだ峰之氏(以下、ふくだ):すごいね。

伊藤:70人でしょ?

ふくだ:アベノミクスに思いっきり貢献してるよ。

清水:本当ですか?

伊藤:これ売上言っちゃっていいんですか?

清水:売上はいいですよ。

伊藤:売上今なんと……10億ですよ。

清水:はい。

伊藤:正直言うと、こんな夢のある話(笑)。

ふくだ:安倍総理に代わりまして、どうもありがとうございます。

清水:(笑)。

伊藤:(笑)。これ、すごいでしょ?

ふくだ:いや、これはすごいと思う。

清水:ありがとうございます。

伊藤:本当にすごい。今、10億なんですよ。

清水:そうなんですよ。

ふくだ:10億って、簡単に売上げられないからね(笑)。

伊藤:売上げられないから。

ふくだ:だって10億って単純に言えば、月8,000万とか9,000万でしょ?

清水:そうですね。

ふくだ:だって9,000万だったら、1日300万でしょ?

清水:はい。

ふくだ:1日300万円を売るんだよ?

清水:そうですね。だから雇用も本当に一気に増えていきまして、うちの会社は私が若かったので、若い人たちばっかりで成り立ってまして、平均年齢28歳で、70人中65人が女性なんですよ。

伊藤:ドレスとか水着とかね。

清水:そうなんですよ。女性ばかりの会社で……高学歴の人もいなければ、社会経験豊富だっていう人たちがいるわけじゃない。全員新潟の子たちで、うちの会社は成り立っています。

伊藤:さっき挨拶されたの、新潟の衆議院の先生の方ですよね?

清水:そうですね。

伊藤:秘書の方が来られたの?

清水:そうですね。石崎徹さんの秘書の方が。

伊藤:だって、わざわざ挨拶に来られたんですよ?

清水:はい。

ふくだ:そりゃ70人雇用されたら、政治家は頭下げに来るよ。

清水:いやいや、ありがたいです。

伊藤:だって、石崎なんか頭下げに来るに決まってるじゃない。

清水:いやいや。とても若手で頑張られてますよね。

成功事例は全て過去の話

伊藤:でもこんな夢のある話……結構とんとん拍子ですよね? 壁にはとりあえずぶち当たってるから。

ふくだ:苦労はあるよ。

伊藤:そりゃもちろん苦労はあるんですよ。

ふくだ:苦労を差っ引かなきゃ、こういうお話にはならないんだよ。

伊藤:すごいよな。

ふくだ:考え方のロジックと、進め方のプロセスがやっぱり正しいんだよね。経営コンサルタントとか、各市役所の経営相談コーナーとか、全然行ってないでしょ?

清水:そうなんです。実を言うと役員は私1人で。よく「お金出してくれた人がいるんじゃないですか?」とか「経営のプロとかブレーンがいるんでしょ?」とか言われるんですけども。いたら本当にどんなに良かったかなって思うことが。

ふくだ:いたらなってないですよ。10億円に(笑)。

清水:そうですかね。

ふくだ:新しく自分でやり始めていく中で見えてくるものがたくさんあるので。だいたい成功した人のモデルの話っていうのは、全てが過去だから。現在進行形ではないわけよね。

だからよく、いろんな地方自治体でも「海外で何かやりたいときには相談乗りまっせ」って、「そのアドバイザー用意してまっせ」って。

例えば商社の元部長とかでいるんだけど、たいがい引退した人の話聞いてると、昔の話されたよっていう。

清水:でもそれは本当にその通りだと思っていて、やっぱり時代がもう全然違うので。当然ながら今のインターネットも働く人の考えも、もう全然違うんですよ。

ふくだ:その通りだね。

今の若い人たちの働くモチベーション

清水:だからやっぱり、昔の考え方を当てはめても若い人って働いてくれないんですよね。「今の若い人たちが求めてるものって何なんだろう?」っていうのを考えた上でやっていかないと。

当然ながら私の中でも悩みってありまして。「今の若い人たちがもうちょっと頑張ってくれればいいな」って思うんですね。

伊藤:今の人って、若いからね。

清水:本当に思うんですよ。

ふくだ:僕は非常に気になることがあって、その70人近い若い人たちが、たぶん一生懸命働けなきゃ10億にならないので……。そこにあるモチベーションって何ですか?

伊藤:おもしろいですね。

ふくだ:これ、非常に興味があるな。

清水:はい、そうですね。私の中でもまだ悩むところがあって……。1つはやっぱり日本って豊かなので、だんだんお金じゃなくなってきてるなっていうのを感じています。

全員がそうかっていったらそうじゃなくて、お金を稼ぎたい子もいれば、自分の時間を尊重しながら仕事をしたいっていう子もいて。

そうであれば、その考え方に沿った雇用をしていくべきだなって。今、非正規雇用者が多いけど、企業は人不足で困ってるんですよ。

うちの会社も人不足で困っていて。今でも毎日求人を出している状態なんですけど、それでもなかなか正社員って来てくれなかったりして。

じゃあ、「今の正社員に求められてるものって何なんだろう?」と。1つは当然ガツガツ稼ぎたいっていう人がいるのは絶対で、それとは違う人種の人たちがいるんだなっていう認識は持たなければいけないと思っていて。

そのときに「求人の高待遇って何だろう?」って上の方たちに聞くと、「そんなの時給あげて、お給料良くする。それが高待遇でしょ。だから、賃金上げましょうよ」と。それって昔の考え方で。

それをやって求人が来るかといったら、実際来ないんです。「じゃあ、高待遇って何?」って考えて、休みを1日増やしたんです。

ふくだ:週3日ってこと?

清水:いえ、正社員の勤務日数を増やしたんですよ。そうしたら、来るんですよ。

伊藤:人が。

清水:人が。

ふくだ:なるほどね。

清水:だからやっぱり、そういう子たちがいて、そこに需要あるなら、そういう求人を打たないと、当然ながら人だってついて来ないし、お金を出したって魅力ないわけじゃないですか。

でも企業は苦しんで、お金をいっぱい出そうとして。それで「仕事いっぱいしてよ」って言ってついてくるかって言ったら、やっぱりついてこないんですよね。

そうじゃなくて、休みもある中で仕事でもやりがい、モチベーションをつけて、ちょっとずつ仕事をしてもらう。

その代わりうちは人数をいっぱい増やしていくっていうやり方でやっていってるかなといったところですね。

ふくだ:なるほどね。

清水:でも、全員がそうじゃないですよ。

伊藤:もちろんね。

清水:だからやっぱり稼ぎたいっていう人たちと、そうではない人たちっていうので、2つ選択肢を渡した状態で、面接をしたときに、全員がお金がいいほうを選ぶかといったらもうそういう時代じゃない。

伊藤:なるほど。

清水:だから、うちは正社員を求めていても「準社員がいいんです」っていう子も多いんですよね。

それはそれで「いいんじゃない」って私は思っていて、「その中で一生懸命働こうね」っていうスタンスでやっています。

伊藤:なるほど。

ふくだ:なんか、いい会社だね。

伊藤:いい会社だと思います。

清水:いえいえ。

ふくだ:何かある種の匂いみたいなのがあって、すごくいい匂いがする会社だね。

清水:いやいや。やっぱりそうじゃないと、今生きてる人たちって「今」なので、昔のこと言っても仕方がなくて。

うちはたまたま平均年齢が若い会社で、若い意見がいっぱいきて、私もわりと若いので受け入れられたのかなっていったところですかね。

お金を稼ぎたい人もいれば、そうでない人もいる

ふくだ:でも、これから会社が育っていく中で、5年10年働いてる人たちも増えてくるじゃない?

清水:はい。

ふくだ:そういう子たちの考え方って変わっていくのかな?

清水:私は2つのパターンだと思います。(一方では)ずっとそのままだと思います。何でかっていったら、もう今の生活に満足している方がすごく多いんですよ。

例えば変な話、実家で暮らされてる方たちって、昔は自分の部屋がなくて、テレビがなくて、エアコンがなくて、何もないところから始まってるじゃないですか。だから、お金が欲しくて、そこに欲があったんですよ。

でも今の子たちって、実家に自分の部屋があって、テレビがあって、エアコンがあって、ベッドもあって、もう十分充実した生活があって、携帯電話があって。

その子たちがそこまでして、身を粉にして働きたいかっていったら、たぶんそうじゃないんですよね。

そういう人たちは、10年先もそれを保障してあげられるスタンスの中で、それを尊重してあげられる会社づくりができたら、会社も成長するんじゃないかなと思うんです。

別にその子たちを、「どうにかやれよ」っていうばかりのスタンスではなくなってるのが、今の時代だなって私は思っています。

ふくだ:たいした経営者だね。

清水:でも、その中にも働きたいっていう人たちだって当然いて。その子たちにはやっぱり夢を見させてあげたいから、「いい生活できる」「お金を稼ぐ」っていうことに生きがいを感じられる子たちは、やっぱりそれに応えてあげる。

でも、会社側も当然求めるものはあって。やっぱり仕事をして、会社を良くしていきたい。会社を伸ばして行こうよっていったところを、柱にしてみんなでやっていけば(成長していく)。

会社は本当に女性しかいなくて、(平均)28歳で、みんな子供産んだらすぐ辞めちゃうし、家庭に入ることを幸せだと思っている子もいるし、いろんな子はいるんですけれども。

でも学歴がない子たちばっかりで成り立ってたって、120パーセント増で売上を伸ばしてきてるんですね。「3.11」も消費税増税の間もうちは120パーセント増で伸びていて。

やっぱり働いてくれる人がいるからこそ会社が成り立ってるなっていうのを考えたときに、会社側はどういうふうにしていかなければいけないのかなっていうのを考えました。

女性が働きやすい会社づくりと世界進出

ふくだ:確かにその考えだったら、売上を伸ばすことが目的じゃないかもしれないけれども、もっと大きくなっちゃうんじゃないかな。

あとはそのつくっているものが、どこまで行きたいかだね。方向性がいろいろあるじゃない。

清水:やっぱりトップになりたくて、売上も当然伸ばしたいんですよ。

伊藤:清水さん的にはね。

清水:だから、今いるメンバーと年商も伸ばしていきたいし、大きな会社にしていきたいし、夢を見ていきたいなと。

伊藤:清水さんの最終的な夢は何ですか?

清水:最終的な夢は、本当にたくさんあるんですけども。1つはドレス業界のナンバーワンでいたいっていうところと、やはり新潟にいるので、新潟にいる子たちを幸せにしてあげたいし、うちに来て働いてくれる人たちをまずは幸せにしてあげたい。

そこから新潟に何か貢献できることがあればいいなって思っていて。あとは、やっぱり私が女性なので、女性が働きやすい会社をつくりたくて。

伊藤:なるほど。

清水:今、産休育休から帰ってきた子がいるじゃないですか。でもやっぱり子供がいると、どうしても帰らなければいけないとかいろいろあるので、「子供を会社に連れてきていいよ」って言ってるんですよ。

だから子供背負ってでも仕事したいならすればいいじゃないっていうようなスタンスでやっていて。

伊藤:なるほど。

清水:だから女性が働きやすい環境っていうのを、今後はつくっていけたらいいなと。あともう1つは世界進出ですね。

伊藤:世界進出ね。

清水:やっぱり。

ふくだ:清水さんの言う、いわゆる世界で一番のドレス会社ってどこの会社なの? 僕、ドレス業界がわからないから聞くんだけど。

清水:実はないですかね(笑)。

ふくだ:ない。

伊藤:ドレス専門の会社って聞いたことないよね。

清水:特に夜の女の子をターゲットにした会社っていうのはないですね。

伊藤:そこがブレないんだよね。基本夜のお店で働いてる子をターゲットにしたドレスなんだもんね。

清水:そうです。そこはもうブレないですね。

ふくだ:これ、だからその世界のプラットフォームになれる可能性があるわけよ。

伊藤:あります。

清水:そうなんですよ。言われる通り、私が狙っているのはそこで。例えば中国に行っても、ベトナムに行っても、台湾に行っても「夜の働く女の子が着るドレスって言えばsugarだよね」って言ってもらえるのが私の夢でもあります。

ふくだ:これは僕の大好きな、ある種のプラットフォーム産業だね。基本的に世界で売るということは、サイト中心にならざるを得ないじゃない? 実店舗があったとしても。

清水:はい。

ふくだ:その世界で一番売れるドレスサイトに何が起こるかっていうと、とりあえず夜のお店でドレスを買う人は、必ずそこにアクセスすると。

伊藤:はい。

ふくだ:それは1日何十万人のアクセスになっていく。そこのプラットフォームが取れたら、そこに何でも乗っけられるんだよね。だって必ず見に来るんだから。

そこにアクセサリーを売りたいっていう日本の会社があったら、そこに乗っけさせてあげるとか。いろいろ上積みはできるわけだけど、今までの日本はそのプラットフォームが取れないんだよね。これ……やれそうだね。

清水:夢ありますかね。

伊藤:前半ちょっと否定的なコメントが多かったんですけど。

清水:そうなんですね。

伊藤:30分以降、「神」って書いてあったかな。

清水:本当? うれしい(笑)。

伊藤:引き込まれた1時間だったんですが。もう、あっという間に終わりですよ。

清水:そうですね。

伊藤:ありがとうございました。

清水:いえいえ。

ふくだ:清水さんはまさに「地方」と「女子」と両方とも持ってるゲストだったね。

伊藤:そうです。しかも、何度も言いますけど年商10億ですから。

清水:(笑)。

伊藤:たった10年で。

ふくだ:お金じゃないんですけどね。

伊藤:そうです。

ふくだ:新潟ってすごい人材が多いってことだね。

清水:そうなんですか? うれしい。

伊藤:そうなんです。じゃあ、ふくださん締めてください。

ふくだ:清水さんが1つの成功事例っていうとちょっと薄っぺらいけど、こういう整理の仕方で商売やっていくっていうのは、すごい参考になると思うんだよね。

女子のみなさんも、新しい境地に行かれることをお勧めしたいなと。本当に今日はありがとうございました。

伊藤・清水:ありがとうございました。