統制し“縛ること”を良しとしてきた、従来の総務部門

沢渡あまね氏(以下、沢渡):そんな中、組織の中でものすごく重要な役割を果たすミドルウェア・バックオフィスはどうアップデートしていくべきか? ここから時間の限り、ひもといていきたいと思います。

「バックオフィス2.0」、私はこういう話をしています。書籍『バリューサイクル・マネジメント』の中ではすべての部門、名指しで「今こういうところが問題で、こうなるべき」って話をしているんですが、今日は総務と経理の2つだけピックアップしてお話ししたいと思います。

「総務2.0」。従来の総務部門は、こんな総務部門ではないですかね。固定的な職場環境に社員を縛る。現場も、場合によっては事務職もすべて同じ人たち、同じ動きを公平のもとに統制する、縛ることを良しとしていた。あるいは安全管理のもとに、すべての人たちが同じ行動をするような教育をしてきていた。もちろんこれも、今までのやり方、現場によっては合理性があるんです。

あるいは寒い、暑い、暗い労働環境を放置していた。「職場は寒くて当然、狭くて当然、暗くて当然。文句言うな、コスト削減だ」。こういう労働環境を放置していませんでした? こういう環境が人のモチベーションを上げるでしょうか。そこに集まる社員が「自分はプロとしてリスペクトされている」「会社から期待されている」「だからいいパフォーマンスを発揮しよう」と思えるでしょうか? という話ですね。

「総務2.0」はオープンで快適な職場環境を提供します。別に「贅沢せよ!」と言ってるわけではないです。オープンで快適な職場環境、コミュニケーションが生まれやすい、自己開示しやすい、心理的安全性が生まれやすい。そんな職場環境だとか、人のアクティブな導線を誘発するようなオフィスを構築・運用できる。デザイン発想で職場環境をより良くできているか、アップデートできているか。

テレワーク・リモートワーク併用の時代になりました。オフィス以外で働いてる人、社員もそうですし、協力会社の人もいるわけです。オフィス以外で働いてる人とつながって、コミュニケーションしやすい。そんな仕組み・仕掛け、あるいはITの支えがあるのかどうか。

「ハード構築からソフト運用へ」と書きました。箱物を作って「食堂作っておしまい」「建屋作っておしまい」ではないです。その中でどのように人と人とのコラボレーションが生まれて、コミュニケーションが生まれて、そこからイノベーションが生まれるか。あるいは既存の問題・課題の解決に向けて、人が行動できるようになるか。

総務の課題は、総務単独では解決できない

沢渡:そのためには箱物だけではなくて、ソフト。例えばあとで少し紹介しますけれども、社内のオープンスペース、あるいはオンラインでつないで読書会をやったりだとか、社内の勉強会をやったりとか。ディスカッションをする機会を総務部門の方が率先する。コミュニティリーダーと言いますけども、コミュニティを運営していくリーダーになって、知識と知識の出会い・誘発を起こしていく。これはハード構築ではなく、ソフトウェアを運用するという発想ですね。コミュニケーションをデザインすることによって、組織の問題・課題を解決していく。

「Activity Based Working」という考え方があります。オランダ発の考え方で、文字通りそれぞれの人の仕事に適した環境を提供する。そもそも、狭い会議室と暗い執務室しかない環境で生産性が上がるか、イノベーティブなことが起こり得るか? という話なんですね。これを実現するためには、総務部門単独では解決できないかもしれないです。

ITを使った働き方、コミュニケーションの問題を解決するためには、情報システム部門とのコラボレーションが必要かもしれないです。オフィス以外でも働けるようなやり方、あるいは例えば「オープンスペースで自由に働いてもいい」。そうした瞬間、人事部門と話をしながら解決していく必要があるかもしれないです。オフィスのデザインを考えるためには、デザイン部門の協力が必要かもしれないです。

そうなんです。総務の課題は総務単独では解決できないんです。VUCAの時代、複雑性も増してきています。テクノロジーも進化してきています。人の価値観も変わってきています。総務の課題、人事・デザイン・情シスなどなど、バックオフィスの他部門とみなさん自身がコラボレーションしながら解決していく。むしろそれをリーダーとしてファシリテートする、ファシリテーターになっていっていただきたい。これこそが「総務2.0」の求められる姿ではないでしょうか。

ご覧のように、オフィス空間デザインによってコミュニケーションが生まれやすくなった、タコツボ化が解消したなんて話も多々あると思うんです。総務だからできる風穴の開け方、総務だからできるオープンなコラボレーションを生む仕掛け作り・仕組み作り、ぜひ注目していってほしいと思うんですね。

オープンなオフィスを使った、組織内の知識と知識の出会いを誘発する勉強会ですとか、あるいは外部の講演者をお金を払って呼んで、そこで同じテーマでもってディスカッションが起こるような仕組み・仕掛け。「コト」を作っていってる、こんな総務部門もあります。

最近では、デジタルツールを使ってテレワークしている社員同士をつなげて、同じテーマでなにかディスカッションをする、問題を解決する。こんな場を提供して組織活性していったり、社員のエンゲージメントを高めている会社もありますけれども。コミュニティリーダーとしての総務部門、こういう動きも組織を活性化させますし。あるいは今までにない若手・中途採用の方。こういう方々を総務に登用し、新しい価値を生んでいく柱になってもらう。こういう目でコラボレーションをしていってほしいと思います。

煩雑なルールを社員や取引先に押し付けがちな、経理部門

沢渡:もう1つ、部門名指しでいきますと、経理。「経理2.0」。経理というのもお金の面で組織を守る、ものすごく重要な役割でありつつ、悪気なく今までのやり方ありき、統制型一辺倒のやり方で社員を縛りがち。例えば煩雑なルールや運用を、社員や取引先に押し付ける。一生懸命に事業部門とお取引先が「請求書これでいいですか?」ってチェックして、最後に出したそのあとに重箱の隅をつついて、最後にちゃぶ台返し。「この文言変えてください。はい、やり直し」。

しかも電子でやればすぐ修正できるようなものにも関わらず、お決まりのように「原本をハンコを押して郵送してください」。ちょっと待ってくださいよ。事業部門の人、お取引先、それが本業ですか? って話なんですね。間接業務まみれで、それで本来価値を出す、素早くつながって素早くディスカッションをしたり、成果を出していくという時間・カロリーがどんどん奪われていくわけですね。

監査や会計士や税理士の言いなりなのも問題です。「必ず原本持っておかなければいけない」「このルールに従わなければいけない」。それって本当にそうですか? と一回揉めてほしいと思うんです。今の時代、電子でできることはたくさんあります。スキップできるものもたくさんあります。

経理や監査の担当者がなぜこういう「古い当たり前、古い自社内のガラパゴスのルール」に固執してしまうかというと「外に出ない」「他社のやり方を知らない」「今のトレンドを知らない」。こういうことから、経理が悪気なくコラボレーションの邪魔をしてしまう「残念な人たち」になってしまうリアルは間違いなくあります。

私も大企業の働き方改革を支援していますから、講演の依頼を受けることも多いんです。こういうシーンに遭遇した瞬間に「経理や監査と正しく戦ってください」と担当者に毅然とモノイイすることがあります。それによって「全部PDFでOK」とか「郵送なしでOK」に変わった会社もいくらでもあります。

「経理2.0」。ルールを疑いアップデートする。「今のやり方って時代遅れじゃないかな?」「後工程・前工程、お取引先・お客さんに無駄なコストを生んでないかな?」。なにより、紙・ハンコからの脱却、ペーパーレス促進。そして繰り返しになりますが、時代遅れなことを言ってくる監査法人・会計士・税理士と“正しく揉める”。

外に出て経理同士で他者とつながる、でもいいと思うんです。外で学べる機会はたくさんありますから。あるいはワーケーションみたいなことを経験するのもいいと思うんですね。ワーケーションみたいなものを経験すると、いかに日頃から紙・ハンコ、あるいはオフィスの機材が制約になってイノベーティブな働き方をできなくしているかって、自分ごととして感じられると思うんですね。

新しいやり方やテクノロジーを取り入れる、自ら経験してみる。そうやってなにか不便をなくしていける経理部門って、めっちゃ強いですよね。めっちゃ頼りがいがありますよね、という話なんですね。

事務・間接業務を増やすのが、間接業務部門の仕事ではない

沢渡:とにもかくにも、バックオフィスのみなさんに申し上げたい。これは行政にも官公庁にも、私は霞が関でもこのスライドでよく話をするんですけども。事務作業・間接業務を増やすのが間接業務部門の仕事ではないです。「撲滅するのが仕事です」ぐらいの覚悟で正しく、なくせる間接業務はなくす、ITに乗せられる仕事は乗せ換える。クラウドサービスなど標準的なものを使っていって、そのぶん時間を浮かせて「自社の経営戦略、自社の問題・課題を解決するにはどうしたらいいか?」というところで汗かく。こういう人たちにアップデートしてほしいですね。

事務作業・間接業務を撲滅するくらいの覚悟で、今までのルールや慣習を変えていかないと、この国ヤバいんですよ。プロが育たないんです。プロが間接業務まみれになって疲弊する国・会社に、誰が勤めたいと思いますか? イノベーションも起こらないです、生産性もGDPも上がらないんです。

自問自答してください。アナログなコミュニケーションはコスト、事務作業はコスト。自社独自のガラパゴスなやり方だとか業界独自のルールが、相手に無駄なタダ働きを強いていませんか? と。事務レス・ペーパーレスに抵抗する人たちもみんなコストです。

働き方改革の本質って何ですか、変革の本質って何ですか? 外に出ましょう、表に出ましょう。そして正しく、みなさん自身が組織をアップデートできる人たちになっていきましょう。「事務作業大国日本」をなくす。みんなで「仕事だから当たり前です」で仲良く苦しむ・苦しめる景色から解放されましょう。バックオフィスのみなさんが要(かなめ)です。

「どうやって自分たちの本来価値を上げていくか」

沢渡:最後にまとめとして「健全な組織のバリューサイクル」。こんな話をしたいと思います。私はこの世界をみなさんと一緒に作っていきたいんです。(スライドを指して)この宇宙の画、背景が黒ですから「宇宙」と呼んでいるんですけども。この宇宙をどう実現していくか。これ実現していくために、バックオフィスの役割って間違いなく大きいんですね。

働き方改革のゴール、DXのゴール、組織変革のゴールは何ですか? 一番上、ビジネスモデル変革なんですね。稼ぎ方、人の採用の仕方を変えることによって、高利益体質になり待遇改善していき、そこで働く人たちも地域もお取引先も幸せになる。このモデルを作ることに「NO!」と言う経営者はいないはずなんですね。

経営者はビジネスモデルを変えたいと思っている。一方で、現場それぞれの事業部門、あるいはみなさんのバックオフィスの部門もそうかもしれないです。現場はこの下の丸のところ「どうやって自分たちの本来価値を上げていくか」。ここに注目する。

本来価値を出せているんだっけ? 今の時代・世の中と照らし合わせた時に、自分たちは価値ある人たちになれているのか、価値ある組織になれているのか? それを邪魔するものは、業務改善によってなくしていく。業務改善をするための育成・学習、本来価値を出していくための育成・学習、ともに必要ですね。このサイクルをぐるぐる回していけるかどうか? ここにかかっています。

“余白”を作り出した、ある大企業の研究部門の話

沢渡:ある大企業の研究部門の話をしましょう。その研究部門の部門長は、こういう悩みで私にお声がけくださいました。「うちは研究部門なのに研究できていない」。どういうことですか? って聞き返したところ、彼はこう言いました。「社内説明資料作りに追われていて、ろくに研究する時間がない」。研究者も疲弊していきます、辞めていきます。「その部門をなんとかしたい」。私はこの部門長のお悩み、すばらしいと思いました。

そこで私のような外部の人間も入りながら、無駄・当たり前を疑い、間接業務をなくしてスリム化していって、本来価値を創出できるように……この部長はこういう目標を掲げました。「3ヶ月後に1研究員あたり1時間でいいから、まず研究する時間を作りたい」。余白を作りたいと。すばらしいゴールですね。

その目標設定をして、では浮いた時間で何を研究するんだ? 機械学習? AI? 議論をして育成・学習に投資をして、業務改善にも投資をして……もうその会社は2ヶ月後に、1人2時間以上の余白作れました。こういうことだと思うんですね。みなさんそれぞれの部署が本来価値を出していけるか。本来価値を出す邪魔をするハードルに、名前をつけてなくしていけるか。

バックオフィスも一緒です。全社の人たちが本来価値を出す。つながるお取引先・お客さまが本来価値を出す邪魔をしているものに名前をつけて、それをテクノロジーでなくしていく、工夫でなくしていく、デザインでなくしていく。こういう、正しい組織全体のアップデートを支える人たちになってほしいと思うんです。

この中にそれぞれダイバーシティですとか広報ですとか、SDGsですとかイノベーションですとか、さまざまなマネジメントのキーワードを散りばめました。こういうものはすべて、このサイクルを作っていく上で間違いなくどこかに関連しています。単独で自己目的化して一人歩きさせるのではなく、この画の中、この宇宙の中で自分たちはどこから取り組んでいくか?この健全な組織のバリューサイクルを回していくために寄与するバックオフィスに、どう変わっていくか、どこから変えていけるか? ここをぜひ議論していただければと思います。

変われるバックオフィスは、自らの価値を上げる

沢渡:私は冒頭「ダムが好きです」という話をしました。ダム際ワーキングを推進しています。今の時代、ダム際でも成果を出せる、そんな働き方もできるんです。(スライドを指して)この写真で示すとおり、私はダム際でいろんなコラボレーションだとか企業間連携だとか。あるいは執筆活動をしたり、新しいビジネスモデルを生んだり、成果を出しています。

ダム際にいても、どこにいても成果を出せるような、そんな働き方。そんな人間らしい働き方を、バックオフィスが率先して、ぜひ未来地図を作っていっていただきたい。私は強くそう思いますし、一緒に変えていきたいと思います。

ご質問、あるいは私とディスカッションされたい方は、ぜひ「沢渡あまねマネジメントクラブ」に登録いただければと思います。法人向けには、私がこのようにテーマを決めて講演をして、それを社員同士でディスカッションをする、出前オンライン講義「組織変革オンデマンド」。あるいは異なる企業の方、異なる組織の方と越境して組織変革をするためにはどうしたらいいかを話し合う「組織変革Lab」というオンラインの講義プログラムも提供しています。ぜひこういうものもご活用いただければと思います。

さぁ、おしまいに。変われないバックオフィスは自らの価値を下げるんです。しかしながら変われるバックオフィスは、自らの価値を上げます。組織の問題・課題、イノベーション、コラボレーション、ビジネスモデル創出。社内外のファン創出。メンバーのエンプロイアビリティ、雇われ得る力。そしてメンバーのモチベーション、その仕事に対する誇り、やりがい、愛着、エンゲージメントを高めていきます。さまざまな組織課題を解決するんですね。

そのためにはデジタルワークシフト、デジタルを前提に業務を改めていく。そしてデジタルを使いながら、デジタルとアナログを組み合わせながら、組織のコラボレーション。つながる力、つながって解決する力を後押しし。あるいはバックオフィス自身が他部署とつながって、事業部門とつながって、外とつながって問題解決をできる。そんな最高のバックオフィスにアップデートしていってください。

さぁ、あなたは、あなたの組織は、変わる覚悟がありますか? ご清聴ありがとうございました。

産みの苦しみ・成長痛だと思って、乗り越えてほしい

沢渡:古荘彩氏(以下、古荘):沢渡さん、ありがとうございました。私もこちらの書籍、拝読させていただいて。自分は広報という立場ですので、書籍内に「広報2.0」というセクションもございまして、大変参考にさせていただくことが多く。

沢渡:ありがとうございます。

古荘:ありがとうございました。ここからは時間残りわずかではあるんですけども、トークセッション形式でお届けしていきたいと思います。先ほどダム際の写真がたくさんあるスライドがあったと思うんですけども、そもそもダムの魅力を発見された経緯ってございますか?(笑)。

沢渡:ダムの魅力を発見した経緯……話せばめちゃめちゃ長くなるんですけども。手短に言うと、2004年でしたかね。私が日産自動車の勤め人をしていた時に、同僚となんとなく休みの日に長野県の上高地を目指したんです。当時は日産自動車の本社は、都内の銀座にありました。

そして車を出して上高地に行く途中に、松本に「奈川渡ダム」というダムがあって。そこでたまたま休憩したんですよ。で、ダムを見上げたら「すばらしい景色だな」って感動してで。そこからですね。

古荘:なるほど。私も上高地がすごく好きなんですけど、ダムまでは気づかず。大変失礼いたしました。

沢渡:いえいえ(笑)。そんなきっかけです。

古荘:「リモートで働く」というところに関しては、ダム際じゃなくても、今はみなさん在宅(勤務)だったりすると思うんですけども。けっこう「リモートで働く」っていうだけで“井の中の蛙”と申しますか、ほかとつながってコラボレーションを生み出すっていうのが難しくなってくると、そういうふうに感じる方が多いんじゃないかなと思うんですけど。沢渡さんの実体験などございましたら、ぜひ教えていただければと思います。

沢渡:私はリモートを使いこなすことによって、むしろつながる幅が広がったという実感ですね。何事も産みの苦しみがあるので、リモートワークのような新しい働き方を経験すると、まず最初に葛藤があるんですね。例えば「ITを使いこなせない」とか、あるいはやっぱり話しかけられない、孤独になってしまうというのはあるんですけども。

これって産みの苦しみで。きちんとそこを乗りこなしていくと、今度はリモートゆえにつながれる……例えば地域関係なくつながれる相手が生まれてきたり。例えば問題・課題だとか、あるいは「そのテーマおもしろそうだね」って、共感ベースですぐビジネスチャットでやり取りが始まって、場合によってはZoomを立ち上げてオンラインミーティングして。そこから一度も直接会わずして一緒にイベントやったり、なにかマーケティングしたりとか。そういう経験も生まれてきてますし、そういう世の中になっていっていますから。

その産みの苦しみに名前をつけて、きちんとスキルアップするものはスキルアップする、投資するものは投資する。でも「やっぱりこの部分は対面のほうがいいよね」ってアナログを組み合わせることによって、ビジネスのやり方だとか、つながる相手の幅って広がってきますから。そこをきちんと産みの苦しみ、成長痛だと思って乗り越えてほしいなと思います。

古荘:「成長痛」、ありがとうございます。「ダム際で成果を出せるような働き方に」っていうところのスライドで、たくさんの方々が(写真に写って)いらっしゃったと思うんですけど。そういった方が沢渡さん以外にも増えていかれれば、それこそローカルのビジネスの活性化じゃないですけど「別に東京じゃなくても」とか。都市に限らず、時空間を越えて新しいコラボレーションがどんどん生まれていくんだな、と痛感いたしました。

沢渡:そうですね。このダム際の写真も、こういうワーケーションみたいな働き方って「フリーランスとかクリエイターとか、個人でやってるエンジニアだけがやってるんじゃないか?」って思われがちだと思うんですけども。ここに写っていらっしゃる方って、KDDIまとめてオフィス中部の方、静岡新聞の方、三菱地所の方など、大企業の方なんですね。

大企業も今はこういった、場所にとらわれずつながることによって自社にない価値を生み出していったりだとか、新たなビジネスモデルを生んでいったりっていう、そういう動きがこれからどんどん加速していくと思うんですね。

ですから、ダムにこだわる必要ないんですけれども、やはり今までと景色を変える。そこでオープンなディスカッションができる。そこから今までにその地域にない人たちだとか、その組織にない能力を持つ人とつながって解決をしていくやり方を、使いこなせる組織とそうでない組織のビジネスモデル構築力だとか問題解決力の格差は、ものすごく広がるなと思ってます。

古荘:なるほど、ありがとうございます。確かに本の中でも「景色」って言葉は何度も出てきており、重要なキーワードなんじゃないかなと思います。たくさん示唆に富む本で、ぜひみなさんにも読んでいただければと思います。短い時間ではございましたが、沢渡さん、ありがとうございました。

沢渡:ありがとうございました。