共同創業者に友達を選ぶことの危険性

冨田阿里氏(以下、冨田):お金の使い方、面白い。次の質問いっていいですか。

人の集め方、選び方について。あと、経営者(の参加者)が多いので、共同創業者について。一緒にやる人はどうやって選んだり、集めますか?

亀山敬司氏(以下、亀山):ほら、大学時代の友達とかとやるやついるじゃない。それはロクなことがないと思う。

家入一真氏(以下、家入):わりと同意なところは、若干ある。

亀山:まあ、それでもいいんだけど、どっちが頭かははっきりさせておかないといけない。会社は民主主義じゃないから。

とくに、大きい会社なら役員会とかもあるけど、君たちの規模のときは、独裁者が走って「俺についてこい!」みたいな感じじゃないと事業なんかできないし、それがスタートアップの売りみたいなものだからね。

大きくなった場合はこいつに責任持たせてやらそうとかあるのかもしれないけど。ほとんどの起業家は、俺も含めて、若いころは全部トップが引っ張っていく感じになるから。どっちが責任持つんだとか、相談してやるとか言ってられる場合じゃないんで、どっちが上かははっきりさせておいたほうがいい。

「最後は俺が責任取る」みたいなかたちじゃないと、絶対どっかで喧嘩になるし、もし喧嘩になって別れたら、どっちがその会社を引き取るのかは決めておいたほうがいい。

だいたい、みんな孤独は嫌だから、「一緒に仲良く経営やろうぜ」って言うわけ。学生ならとくにね。でも、たいていうまくいかないから。「俺が会社やるからお前手伝ってくれよ」ならいいけど。

オラオラ系ではない「ゆるふわ独裁」

亀山:どう? 共同経営の、そういう経験はある?

家入:まったく同意で、アドバイスするときに必ず言うことは、友達同士で起業するのはいいけど、どっちが代表になるのか(を決めといたほうがいい)。あと、株式も、50:50とか30:30はあんまりおすすめしない。リスクを取って代表をやる人間にある程度寄せて、それから始めたほうが絶対良い、ということは言う。

これらが正解かどうかはわからないけど、まわりを見てきた感じでは、50:50とか共同創業のケースって、揉めてることのほうが圧倒的に多い。だからやるなという言い方もあまりしたくないけど……。

亀山:経営者って、孤独も引き受けないと無理なところがあるからね。

家入:そうなんですよ。

亀山:バンドとかだと解散が当たり前のような気がするんだよね。同じやつなんていないから、突き詰めたら絶対違ってくる。結婚はもう男女の違いで、役回りも違うからいけるけど。こと仕事になると、まず自分1人で引き受けるぐらいじゃないと、起業するべきじゃないという気はしてる。

高宮慎一氏(以下、高宮):ザ・トップとナンバー2で、たぶん見てるものもぜんぜん違って、だから起業家の人たちって横ですごく仲良いし、VCでも同じ目線で入れるとすごく仲良くなれる。けど、なぜかナンバー1とナンバー2のコミュニティは違う。

家入:確かに。

亀山:でも家ちゃんとか、ゆるいキャラだけど、一緒にこう、って感じはどう?

家入:僕は明確にゆるふわ独裁という言葉を使っていて、基本的にスタートアップは独裁であるべきだと思ってるんです。

走りながら、右、左、っていちいち民主主義的にやったり、多数決をとるのって結局、責任の所在を曖昧にしちゃって良くないと思っています。走りながら右か左かを決めていかなきゃいけない局面は、ある程度独裁で、軍隊的な感じでやるべきだと。ただ、お前ら俺についてこい! みたいなオラオラな感じじゃなくても、やり方はある。

亀山:ゆるくだけど、決裁はしている。

家入:そうそう。

共同創業で学べること

亀山:「任せるよ」でもいいけど、誰か決めなきゃいけないって話だよね。でもやっぱり、共同創業者のいる人はけっこういるの?

(会場挙手)

家入:多いですよね。

亀山:やっぱり多いんだね。その中で、だいたいフィフティ・フィフティはいる?

(会場挙手)

家入:いる。

亀山:どうなの? 反論があるなら、試しに言ってみてよ。

家入:(みんな)俺らは絶対大丈夫、って言うんだけど。

冨田:このあと、手挙げにくくならないですか? 大丈夫ですか?

(一同笑)

亀山:いやいや(笑)。そのへんが、ぶつかり合うっていうか、一方的に話してても面白くないから。

冨田:確かに。みんなの声も聞いてみたい。

亀山:反論とかあったらぜひ聞きたい。あんた古いよって言ってもらいたいね。

質問者:自分の場合、学生とではなくて、社会人の方と一緒に共同創業という形なので、ぶつかることはもちろんありますが、その場で一緒に学ぶという部分もあります。そこに関しては、30年後とか、会社を自分たちが大きくできたときに、何かしらあればいいかなと思ってます。

もちろん、言い合いも生じてはくるんですけど、その中で会社として同じ方向を向いていれば、自分としてはいいと思います。

亀山:うん。

高宮:なるほど。人の心は、変わっちゃうんだけどな……。

亀山:いや、いいやん。1年後にもう1回話を聞きたい。

質問者:よろしくお願いします。

トリプル共同代表のカヤックがうまくいっている理由

高宮:唯一知ってる、3人のトリプル共同代表で、株がきれいに1/3、1/3、1/3なのは、カヤックなんですよ。ただカヤックの場合は、みんなクリエイター肌で物を作りたいから、柳澤が経営という嫌な雑務をやる代わりに、彼が決めたことには従うっていう、3人の中での取り決めがあるんですよね。だからきれいに1/3だけど、意思決定においては従う。

冨田:取り決めがあるとうまくいくのかもしれない。

家入:僕が思ったのは、法人格という呼び方があるように、法人には1つの人格があって、起業家、経営者にももちろん人格がある。起業家と法人の人格って、途中までは一緒に歩むんですよ。美学とか、こういうことは許せないとか、自分はこういうふうにしたいとか。

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