今後10年というスパンで働き方を考えるヒントとは

質問者3:僕は大学院を出ていて、企業に勤めて2年目で、いま、転職を考えています。まだそんなに自分の中ではスキルがあるわけでもなく、人脈が広がっているわけでもない。経験という観点においては、少しだけ出てきただろうかという部分はあるのですが。

僕は今27歳になるのですが、ここから先、今の会社で働いて、このままスキルを磨いて、30歳ぐらいまでやっていくのか、それともさっさと別の会社を見つけて、どこかに行くべきなのか。今後、10年ぐらいというスパンで見たときに、どういった動き方をするのがいい手なのかということについてお聞きしたいと思います。

北野唯我氏(以下、北野):それ、まさに『転職の思考法』という本がございまして。

このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法

(会場笑)

いい本がありまして。ドンピシャなテーマな気がしました。えっ、でも、どうして転職しようと思っているんですか?

質問者3:転職をしたいと思ったのは、そもそも自分自身が起業をしたいという方向に向いていて、それをするにあたって、今は商社で働いているのですが、ここである程度ビジネスの作り方などを学びたいと思っていましたが、そのポジションに行くまでにはかなり時間がかかると感じたからです。

時間がかかって、例えば40歳、50歳になったあとで「よし、起業」となる体力を持っている自信もなく、早めに動くべきなんじゃないかと思いました。

北野:なるほど。どうですか? 起業。

尾原和啓氏(以下、尾原):そうですか。いや、その前に、カチンと来る言葉を一つしゃべっていたので、ぶった切ってもいいですか?

北野:いいですよ、いいですよ。

(会場笑)

北野:商社マンは大丈夫です、絶対に。

尾原:いや、自分が何者かと呼ばれる存在になる前に「人脈を広げる」というような、クソみたいなことを言うのはバカだという話です。

北野:(笑)。

尾原:人脈を広げるというのは、「北野さんと話したいです」、「この方はディープラーニングのプログラムができる方だから会いたいです」というように、個体認識できるようになれたら広げればいいけれども、何者でもない状態で人脈を広げても、相手は次の日に覚えているわけがないだろうと。

そんなことよりも、あなた、商社という深い仕事に就いていらっしゃるのであれば、取引先の会社から「ぜひあなたが来てください」という人になれなくてどうすんの?

だから、『転職の思考法』には書かれていないからいいんだけど、世の中、なんか社長の名刺の数を集めりゃいいという人がいっぱいいるけど……。

(会場笑)

「あなたと仕事をしたい」と言ってくれる人は何人いるか?

尾原:そんなことよりも、「あなたと仕事がしたい」「これだけの時間を使ってくれる」でもいい。「こんなに汗をかいてくれる」でもいい。「こんなに真剣に訴えてくれる」でもいい。「あなたと仕事がしたいんだ」という人が、いま何人いるんですか? その人が5人いれば、必ず「あなたと仕事をしたい」という、次の仕事へのスライドがありますよ。

そういうことを最初のうちにやっておかないと、歳を喰ってからそんなふうにじっくり誰かに求められるようなことは、体力がなくなってくるとだんだんできなくなるから、俺みたいな人間になるぞ?

(会場笑)

北野:えっ、いいんじゃないですか?(笑)

横田大樹氏(以下、横田):どこでも誰とでも働ける。

北野:どこでも誰とでも働けるという(笑)。

どこでも誰とでも働ける――12の会社で学んだ“これから"の仕事と転職のルール

尾原:ごめんね。別にあなたを怒っているんじゃなくて、なにか最近の人脈を広げるというブームにすごくカチンと来ていて(笑)。

北野:カチンと来ているんですか?

尾原:カチンと来ている。俺もやたらネットワークが広いと言われるから、しょうがないんだけどさぁ。そんな想いで俺はネットワークをやってんじゃねぇんだよと。

北野:なるほどね。「一緒にすんじゃねぇ、ボケ!」ということですね。

著名な人にとってのいちばんのプレゼントは「いい質問」

尾原:一人ひとり、北野さんにどうやって気に入られるか、北野さんに「尾原さんに会えてうれしい」と言われるために、俺、どれだけ北野さんの本を何回も読み返したことか。

北野:まじっすか? ありがとうございます(笑)。

尾原:Twitterも、ここ3ヶ月分全部見たというように。

北野:えっ、やば……やばい(笑)。しょうもないことしかツイートしてません。いや、でもそうですよね。なんだかぜんぜん話がブレるかもしれませんが、僕も誰かと会うときや対談するときは、その人のTwitterや、その人の本などは絶対に読みます。それは、一定のレベルと言うと失礼かもしれませんが、すごい人たちにとっていちばんのプレゼントは、やっぱりいい質問だったりするからですよね。

尾原:そうそうそう。

北野:だから、お会いさせていただくときは、その人が喜んでくれるような、「あっ、そう、それなんだよ!」と言われるような質問はなんだろうか、とかなり考えたうえで、それを用意して2〜3個持っていってしゃべると、すごく仲良くなれる。

先ほど「お金がいる」というような話がありましたが、そういうことは別にお金はいりませんよね。本を2〜3冊読んで、ネットオタクじゃなくて、なんだ……。

尾原:ネットギーク?

北野:そういったことをしていけばいいだけのことです。知恵のような話なので。それが大事だと思っていますが。

尾原:いい質問というとビビってしまうかもしれませんが、基本は2つだけです。「たぶん北野さんはこういうことを考えて、この文章を書かれたのではありませんか?」というようなことです。

北野:いやぁ、具体的。いや、今のめっちゃ具体的や(笑)。本になりそう。

尾原:こっちが苦労したことや、こっちががんばっていたことを言い当てられると……。

北野:わかる、わかる!

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