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敵はみんなマザコン…だから勝てる!? 投資のプロが語る市場の面白さ

敵はみんなマザコン…だから勝てる!? 投資のプロが語る市場の面白さ

ひふみ投信のカリスマ・ファンドマネージャー藤野英人氏が新著『投資バカの思考法』の発売を記念して、トークイベントを開催。市場価格が決まるプロセスの面白さと、世の中の動きをどう捉え、どう動くべきかということについて話しました。

(提供:SBクリエイティブ株式会社)

シリーズ
カリスマ・ファンドマネジャーによる<投資とお金> 特別講義
2015年10月8日のログ
スピーカー
レオス・キャピタルワークス CIO 藤野英人 氏

世の中の構成員の9割は凡人

藤野英人氏 私が、株式投資がとてもすばらしいと思うのは、たくさんの人が参加してるということです。頭のいい人だけが参加してるわけじゃない。 大体、株式投資は8割から9割がカモなんです。カモになって、欲だけで動いているような人たちが多いです。知識もないし管理もできない、そしていわゆる“普通の人”です。投資をしている人の8割ぐらいは普通の人なんです。 ものすごく優秀で神がかった人もいれば、普通の人もいる。無難にできる人もいれば、とにかくやることなすこと失敗ばかりという人もいるわけです。 そういう人たちが集まって株式市場を、いや、株式市場だけでなく、世の中はそうやって構成されている。天才だけじゃないんです。 むしろ天才はごく一部で、世の中は普通の人で構成されている。普通といってもそれぞれは個性的なんですけれど、バラバラな人で構成されてます。 ある同じ情報を見ても、「これはいい」「これは悪い」と違った感じ方をすることが多いです。 例えば、TPPなんかはそうじゃないですか? TPPが通ったときに、「やったー!」と思っている人もいれば「バカやろう!」と思ってる人もいます。政治的な問題に関しては結構意見があります。 「TPPなんてくそ! 何だよ、どうしたんだ、自民党なんかくそくらえ!」と思う人もいるし、「良かったね、これで日本も自由貿易のほうに入った」とか。さまざまな意見があるんです。 だから、起きた1つのことに対して、真逆の感情で真逆の意見が出てくる。それが普通なんです。 私はそういう人たちをなるべくフラットに見ようと思っています。善悪とか正しいと不正とかいうことを好き嫌いではでなく、フラットに。 そういう感情を入れないで、「この人は怒ってる」「この人は喜んでる」「この人は半分ぐらいの気持ち」「この人は悩んでる」というようなことをなるべくフラットに見たい。 というのは、株式市場もしくはマーケットは、そういうさまざまな人たちがさまざまな感情で評価を下してくれるところだからなんです。 また、私が株式投資ですごく好きなところは、そういう不完全な人たちが集まって評価を下すと、あら不思議、3年とか5年とかある一定の期間の中でいうと、合理的に株価が形成されるということなんですね。 どういうことかというと、利益が上がる会社はきちっと利益の通りに株価が上がり、利益を失う会社はその通り株価が下がるというふうに結果的になるということ。もうほとんどぴったりなんですね。 日本の3,500の上場企業を全て見ても、営業利益と株価の動きは半年から1年でいうとぴったり一致します。そうすると、利益を当てることができたらほとんど株式投資は成功できる、ということです。長期的、6か月ぐらいの期間でいうと。 そうするとその利益を的確に見る場合にも、結果的に(株価)は的確に動くんだけど、市場参加者そのものは、必ずしも優秀な人たちが参加しているわけではないのがおもしろいですよね。

不完全な人が集まって、合理的な神になる

これが「神の見えざる手」なんです。 要するに、見えない神様がいて、その人の大いなる力によって株価は決まっていくんだという学説です。 だから、大いなる神様が、見えざる手、見えない手で株価を操っていると考えられています。私も、すごく思うんです。「本当に神様がいるな」と。マーケットには神様がいるんですよ。神様が価格を動かしてます。 ところが、その神様は、不完全な人たちが構成しているんです。おもしろいでしょう?  神様はいるんだけど、不完全な人たちが合体すると神様になるんです。 欲深なおじさん、欲深なおばさん、思慮に足りない人……が、がっしゃんこすると神様になるんです。 ということは、さらに分解すると、欲深くて思慮の足りないこの人、欲深な彼女、半分ぐらい欲深で半分ぐらい善良なこの人もみんな神様の一部なんですね。我々は全員神様の一部なんです。 我々は消費者として選挙民として、個々人としては不完全なんだけれども、でも全体として集まってくると比較的合理的な意見を下していくという面で見れば、僕らは全員神様の一部です。 だから僕はいろんな人の意見が、神様だと。神様の一部だと。だから皆さんのことをもの知るAさんも裏で陰口言ってるBさんも、あなたのことを支えてくれるC子さんもDさんも神様の一部なんですね。 そうやって世界は構成されているというのが私の頭の中の認識です。だからいろんな人の意見やいろんな人の考えを知り、リスペクトし、それで考えるっていうことがとても大事だと思います。

「死ね」と言われても気にならない理由

私は今Facebookで9,200人フォロワーがいて、5,000人の友達がいて、14,000人の人がいらっしゃるんですね。Twitterの人が30,000人ぐらいかな。 そうするといろんな人がいるんです。僕、フォローする人とか友達になる人を交流なくてもずっと残しているので、私の悪口を言う人が山のようにいるんです。「デブ、死ね!」とか(笑)。こういうことがすごくいっぱいあるんです。書いてあるんです。 いっぱい書いてあるんですけれど、あんまり気にしないです。「この人は私のことを死ねっていうふうに言ってる、ああ」なんて。 10年ぐらい前は結構、嫌だったんです。すごく。嫌でしょう?  死ねって言われたら。死ねって言われたくないよね。でも今はあまり気にしないです。 何でかっていうと、情報にしてるんですね。藤野英人に対してAさんは20パーセントの嫉妬と40パーセントの怒りがあって、多分60パーセントの自分の環境への不満足によって、私に対して死ねっていう言葉を発しているのだろう、「なるほどね」みたいな感じで。 怒りはもちろん根底にはあるでしょう。でもそれよりは「なるほどね」と思います。 だから情報としていろんなものを取って、それで世の中が成り立ってるっていうところが、私の世の中、世界に対する見方なんです。だからそういう形でマーケットを見る。 あるマーケットの情報があります。例えばチャイナショックがありました、黒田バズーカが来ましたとか、ありますね。 今日、消費関連の会社の株がすごく大きく下がったんですけども、何で下がったのかというと、コメ兵という会社があるんですね。これは質屋さんなんですけど。 コメ兵さんが決算で月次の数字を発表したときに、僕たちの(予想した)数字より悪かった。 悪かった理由は、「インバウンドの中国人がものを買うことが少なくなってきたからだ」と書いてありました。多くの投資家がそのことを受けて、「日本のインバウンダーは悪くなっているんだ」ということで、ドカンと下がったんです。 これはコメ兵さんの評価に対し、多くの人がその一言によって不安と恐怖を感じ、消費の株を全て下落させているということが、今回のマーケットで確認されたんです。 それに対してどう行動するか、どう判断するかということを、僕らはいろんな人の意見やいろんな人の考えをTwitter、Facebookで見て、「こういうふうに反応するんだな」「こう感じるんだな」と思いながら考える。 でもその中にある真実とかリアリティが何なのかというのを考えていくのはおもしろくもあるし、クリエイティブなところでもあります。

株価が抱える矛盾を受け入れられるか?

マーケット、株式市場では、私みたいな人間が存在して儲けるため、2つのこと、2つの矛盾することが起きている。 というのは、「株価が常に正しい」という考え方と「株価は常に間違っている」という全く矛盾した2つの考え方を受け入れられるかどうかなんです。 「株価は常に正しい」がどういうことかというと、今日付いた株価、マーケットに付いた株価は、これはもう市場価格なんです。これをちゃんと受け入れることが大事です。 今日この会社は300円下がって1,200円になりました。1,200円になったというところで、いろんな人が売り買いしている。まさに、神の見えざる手が働いたことによって1,200円なんだと。この事実を僕らは受け止めなきゃいけない。 でも一方で、株価が常に正しいということであれば、僕らには儲ける余地がないですね。「株価は常に間違っている」ともいえます。 何でかっていうと、例えばその会社の理論価格が1,100円だとします。ただ、1,100円ぴったりに張り付いてることはないんですね、株式市場というのは。 そもそも1,100円が本当に正しいかどうかもわからない。わからないけれどもし実体価値があったとして、それに張り付くことはない。大体上にいるか下にいるかです。 だから株価は市場で付いてる限り、常に正しいというメッセージと、株価はいつも間違っているという2つのメッセージを(送っていて)頭の中でシンクロさせて同時に理解できるかということが、とても大事です。 株式市場の投資の名人は結構これができているんです。要は2つのメッセージをよく聞くことができるか。この会社の株価の意味は何か。 この株価は付いてる限り正しい。だけども、実体価値に対して上か下なのかということを判断する力と能力がとても大事だということになります。 株式市場に対する世界観を持つと同時に、そこからは技術の問題になってきて、実際にこの会社の企業価値をどうやって判断するんだということは、やはりちゃんと勉強を続けて、バランスシートを見たりPLを打ったり、ビジネスモデルを判断していく力が必要。 必要だけれども、それができたからといって株式投資ができるわけじゃないんです。もしBSとかPLをちゃんと見られる人が、株式投資がうまいんだったら、全国の公認会計士が超大金持ちになってますよね。でも公認会計士で大金持ちってあまり見たことはないです。 というのは、BSとかPLとか事業価値の体系を見ることはとても重要なんだけど、投資の世界の中でいえば重要な要素のたった一つにしかすぎないんです。 だから公認会計士ほどの難しい知識がなくても、簡単にBS、PLを読む力さえあれば、あとは世の中をどう見ることができるかとか、会社とは何か、人間とは何かということを追究をしたほうが投資家としてのバリューもあるし、実際に私が見てる大きな投資家は、資本はどうであれ、やはり人間関係であったり寄付を生かすやり方が非常にすばらしい深い人が多いです。 だから今話したような価値観や人間観や、ものを見る見方を得ることが、投資で成功するためにはとても大事だと私は思います。

あと10年は個人が投資でプロを凌駕できる

「世の中を見る」というときにいくつかの例を挙げて、どうやって2つの株価のメッセージを得ているのかについて話をしたいんですけれども。 本の中にわかりやすい例として、ドン・キホーテの話を書きました。ドン・キホーテに対して私は結構大きく投資をして成功したんです。これは大分前、98、9年ぐらいに投資をしたときに、ドン・キホーテはすごく低く評価されていました。なぜか。 ちなみに日本で株式投資をするときに、多分あと10年間ぐらいは個人投資家が機関投資家を出し抜くことがかなりできます。 ただ、あと10年ぐらいしたら難しくなると思うんです、私の考えでは。でもあと10年間ぐらいは個人がプロを凌駕することは難しくはないはずです。 アメリカは非常に難しいです。かなりのプロであってもアメリカで勝つことって、日本よりはとても難しいです。なぜかというと、市場参加者、特に機関投資家というプロの人たちの層が厚いからです。 層が厚いってどういうことか? 優秀な人がいっぱいいるから層が厚いのか。そうじゃないんですね。そういうわけではない。優秀かどうかっていうことではなく、本当に層があるんです。 それは何かというと、例えばカリフォルニアのすごく有名な大学とか、それからマサチューセッツの有名な大学とかのMBAとか出てきた人たち、もしくはロケットサイエンティストみたいなロケットを打ち上げることを計算してたような人たち、もうめっちゃ頭のいい人がいっぱいいます。 ノーベル賞を取った人たちも取るような人たちもいっぱいマーケットに参加してます。でも、ウォールストリートとか行くと、高卒でたたき上げでマーケットのリーダーをやっていて、そこで腕が良くてファンドマネージャーになった人も結構いるんですね。たたき上げみたく腕1本で生きてきた人もいます。 あと女性、普通にたくさんいます。人種。アメリカ人。アメリカ人も東海岸、西海岸、南部と北部といっぱいいますし、若い人、年寄り、いっぱいいます。 それからインテリ、インテリじゃない人。イギリス人、中国人、フランス人、ドイツ人、日本人、ロシア人、たくさんの人がいます。 宗教もバラバラですね。ドゥールー教で運用した人もいるんですよ。さまざまな人がいます。だからアメリカは難しいんです。 市場参加者の層が厚いというのは、あらゆる価値観の人が参加しているので、出し抜くことが難しいというのがこのアメリカなんですね。 日本は出し抜けるんです。なぜか? 市場参加者の層が薄いんです。まず個人投資家、普通の人たちが投資をする習慣が少ないですね、アメリカに比べると。 「投資は危険だから」「投資は悪だから」という人がいっぱいいます。これはチャンスなんですね。何でかというと層が薄いっていうことだからです。 あと機関投資家というのは、すごい似た人たちなんですね。何かっていうと、日本のファンドマネジャーと日系の資産運用会社のファンドマネジャーは、ほぼ100パーセントが男です。 女性はいないんですね。野村アセットとか女性いるのかな? 1人とかいるのかな。3年ぐらい前に絶滅しちゃったんです、1回。女性のファンドマネジャーが。1人もいなかった時代があるんですよ、この先進国で。 だから結構私、衝撃受けたのは、15年ぐらい前に、中小型株のファンドマネジメントの調査をしていたときに先輩から言われたんですね。 「お前も大分経験があって腕もついたから、中小型株なんて女・子供の仕事はやめて、もうちょっとまともなとこに来い」と言われて、すごくめちゃくちゃカチンと来たんですね。 だって彼ってその一言であらゆるものを罵倒してますよ。僕を罵倒してるし、中小型株を罵倒してるし、女も子供も罵倒してるじゃないですか。本当に数秒ぐらいの間にこんなに罵倒できるって、すごいなとすごく感心したんですね、そのときに。 でも私は思ったんです。中小型株はチャンスなんです。その偏見がチャンスなんです。なぜか。罵倒されたり無理解があったらチャンスだと思ってください。無理解こそチャンスですね。理解されないということは、私が多く見る限りチャンスなんです。

日本のファンドマネージャーはみんなマザコン!?

そこには可能性があるんです。もし本当にそれが正しければ。大企業を良しとしている。それでほとんど100パーセント。で、大体8割ぐらいがマザコンです。 (会場笑) お母さん大好きとかいうのは多分全ての男性がそういう要素がありますよ。それが自然ですからね。自然現象。 で、大体ほとんど東大、京大、一橋とか、慶応、九大、北海道大学、同志社とか、20校ぐらいの大学で90パーセントぐらいを占めてるんです、日本のファンドマネジャーは。 お母さんの言うことを聞いて塾へ行って、お母さんの自己承認のために何か応えてる。それでお母さんの自己承認のために金融機関で働くことが多いんです。 っていうのは、会う人、そういう人ばっかりだから。で、すごいプライド高いんですよ。ものすごく。 そういう人たちが日本のファンドマネジャーの8、9割ぐらいですね。だから勝てる。何でかというと偏見の塊だからなんです。偏見の塊であるということは、頭に来ることではないんです。出し抜くことなんですね。 だから私がなぜものすごく優秀といわれてるファンドマネジャーたちに4年連続もほぼトップの成績を取ってるかというと、出し抜くからなんですね。 出し抜くというのはどういうことかというと、だますわけではないです。フラットな目で行動するということが出し抜くことなんです。 人をだまして出し抜くというのは良くないことですね。でも逆にみんなが洗脳されてる状態の中で、脇を正しい道を歩いてくというのは悪いことではない。

  

(制作協力:VoTX

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